Google AnalyticsでCookie利用ができなくなる?その後の対策とは
Webサイトを運営する事業者やブロガー、そしてそれらのパフォーマンスの効果測定や改善施策の提供を行う広告会社の人々にとって、Google Analyticsは非常に利便性の高いサービスを提供してきました。
しかし、そんな便利な機能についても、Cookieの廃止によってその利用環境が危ぶまれているのではという意見もあり、その動向次第ではこの先のWeb運用のあり方が一変する可能性もあります。
今回は、Google AnalyticsへCookieがどのような役割を果たしているのかや、Cookie廃止後の運用可能性について、ご紹介していきます。
①Cookieの役割と課題とは
②Google AnalyticsとCookieの関係
③Cookie廃止後のGoogle Analytics運用方法
Cookieの役割と課題とは
そもそもこのCookie(クッキー)とは、これまでどのような役割を果たし、どんな問題点を浮上させてきたのでしょうか。Cookieの概要について確認しておきましょう。
Cookieの役割
Cookieとは、訪問したWebサイトによってユーザーのPCやスマホ情報を抽出する仕組みのことを指します。これまで、WebブラウザはWebサイトのユーザー情報のリクエストに対して非常におおらかに応える設計となっていたため、簡単なユーザーのクリック操作で膨大な情報を提供することが定着していました。
WebサイトがCookie情報をユーザーから抽出する理由は、インターネット広告の表示を最適化させるため、というものがあります。Cookie経由で得たユーザーデータをもとに、Webサイトはさらに広告主、正確には広告を配信する事業者(ASP)へデータを提供し、そのユーザーに最適な広告配信を実施する仕組みとなっています。
また、Webサイトが適切なサービスを提供するためにもCookieは用いられます。例えばECサイトはCookie情報をもとに、サイトに訪問したユーザーを記録し、買い物かご機能を提供しています。一度サイトを離脱してもユーザーのカゴには商品が入ったままにできるため、購買率の向上やカゴ落ちのリスクの低減につながります。
ユーザビリティの向上や、Webサービスの収益性を高める上で、Cookieは大きな役割を果たしてきました。
Cookieの課題
しかし、ユーザーの個人情報を半ば強制的に収集し、事実上無断で活用するCookieの仕組みは、たびたび議論を巻き起こしてきました。最大の問題となったのは、やはりCookieという仕組みそのものの合法性です。Cookieは直接個人の名前や住所などを特定することはできないものの、性別情報や趣味嗜好など、プライバシーの範囲に当たる情報をWeb利用履歴から獲得する仕組みを備えており、プライバシーの侵害に当たりかねません。
そのため、広告配信などに活躍してきた、第三者がCookieを利用できるシステム、いわゆるサードパーティCookieについては、多くのWebブラウザやWebサービスがその利用を制限するトレンドに差し掛かっています。
サードパーティCookieに対して迅速な対応を発表したのは、Appleです。同社では最新のiOSや自社ブラウザのSafariにおいて、サードパーティCookieの利用を強固に制限しており、ユーザーが自ら設定許可を変更しない限り、Cookieの取得ができない設計となっています。
Googleなど、そのほかの企業もCookie廃止に対して前向きな姿勢を示しており、今後数年間でインターネット利用のあり方が大きく変わると考えられています。
Google AnalyticsとCookieの関係
Cookieの利用が制限されることによって、Google Analyticsの利用にも影響を及ぼすとされています。両者の関係についても、ここで確認しておきましょう。
なぜGoogle AnalyticsにCookieが必要なのか
Google Analyticsの仕組みというのは、ユーザーが取った行動やウェブサイトでの操作を記憶することで、Analyticsユーザーに対して有益な情報を提供するというものでした。
Google Analyticsの最大の特徴は、ユーザーのサイト内での動向を細部まで確認できるというものでしたが、この機能はCookieに依存したものです。そのため、Cookieが廃止されることで、Google Analyticsは一気に陳腐化し、サービス終了に至るのでは、という懸念もあります。
Googleで進むCookieの廃止
Googleでは段階的なCookieの廃止が進められており、今後数年以内にGoogle Chrome上でのサードパーティCookieのサポートは終了する予定となっています*1。
当初は2022年までに段階的に終了する予定でしたが、2021年6月現在は23年後半までの終了と延期されており、向こう2年ほどはCookieの利用は継続される見込みです。すでにChromeではCookieのブロックや削除機能が搭載されているため、ユーザーの意思決定次第ではCookieの追跡が困難になっているのが現状です。
Cookie廃止後のGoogle Analytics運用方法
このように、Cookieの廃止の動きが明確になっている一方、Google AnalyticsではCookieに依存したサービス提供が続いています。ただ、Analyticsの今後についてもGoogleはすでに次の手については検討が進んでおり、近いうちに新しい分析方法が導入される見込みとなっています。
機械学習の活用
Google AnalyticsがポストCookieの時代で同じサービスを提供するために導入を進めているのが、機械学習の活用です*2。現在同サービスに導入されている機械学習ツールは、ユーザーのキャンペーンパフォーマンスに大きな変化が生じた場合、それを自動的に通知するという仕組みです。
今後、Googleはこういった機械学習を用いたユーザー動向の分析機能を強化するとしており、Cookieに頼らない、ユーザー分析の手法が誕生すると期待されています。
プライバシーに配慮したアナリティクスの実現
Cookie利用において最大の焦点となったのが、プライバシーの問題です。例えCookieが廃止され、それに変わるデータ収集方法が誕生したとしても、ユーザーのプライバシーへの配慮が欠けている場合、早期に廃れてしまう可能性もあります。
そこでGoogleでは、ユーザーの同意に基づくデータ活用の仕組みを進め、透明性の高い環境構築を進めています。2020年よりGoogleが提供を開始しているConcent Modeと呼ばれるシステムは、ユーザーからの同意に応じてGoogle Analyticsの活用を行えるというものです。同意があったユーザーに対してはAnalyticsを適用し、その範囲においてのみCookieの利用を許可してもらう技術です。
将来的にはより簡単に、詳細に、そしてプライバシーに配慮した形での運用設計を計画しており、今後のアップデートにも期待が集まるところです。
おわりに
現状、Google Analyticsの運用について、Analyticsユーザーから将来に向けてできることは限られており、抜本的な対策を取ることはできません。
しかしGoogleはCookie廃止後の将来を見据えたAnalyticsの運用環境構築にも力を入れており、近いうちに最適化された新しいサービスを利用できるようになるかもしれません。
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参考:
*1 Impress Watch「Google、ChromeのサードパーティCookie廃止を延期。2023年後半に」
https://www.watch.impress.co.jp/docs/news/1334037.html
*2 TechCrunch「Google AnalyticsはちゃんとCookieがなくなった後に備えている」
https://jp.techcrunch.com/2021/05/14/2021-05-13-google-analytics-prepares-for-life-after-cookies/