Googleの次期wear OS3.0はAlexaに対応するのか?現状と今後の影響
最近発表されたGoogleの「wearOS3.0」は、さまざまな新しい機能が実装され、いよいよAppleのWatchOSに迫るか!と噂になっています。
そんな「wearOS3.0」について、「Alexaに対応するかもしれない?」という情報が公開されました。今回の記事では「wearOS3.0」の具体的な内容を含め、「wearOS」の現状などについてもまとめていきましょう。
この記事でわかること
・Alexaに対応するという情報の根拠について
・ウエアラブル市場の現状について
・wearOS3.0の登場による影響
Alexaに対応するという情報の根拠
GoogleやAppleの最新情報については、公式のアナウンス以外にも多くの”リーカー”と呼ばれる情報通からの推測やリーク情報が多く含まれています。
今回の情報についても、有名リーカーの一人であるSnoopy氏(@snoopytech)のツイートが元になっています。*注1
Snoopy氏は、「wearOS3.0」に対応予定のGalaxy Watch 4シリーズが、GoogleアシスタントとBixbyの両方をサポートするとツイートしました。その後、9to5 Googleのチームがアンドロイドアプリケーションパッケージ(APK)を分析し、今までとは違う別の(音声)アシスタントをサポートすることを想定させるリファレンスを発見したというものです。
ここで注意したい点として、「現在サポートしている以外の音声アシスタントに対応したリファレンスが発見された」と言うことまでが事実であり、それが「AlexaやBixbyに対応している」かどうかは、あくまで推測であると言う点です。
どうやらBixbyへの対応については、何らかの根拠があるように感じられる内容となっていますが、Alexaに関しては推測もしくは希望的観測の域を出ていないように思われます。
Bixbyは、サムスンが2017年から提供しているAIに基づく音声アシスタントシステムです。 Galaxyシリーズで利用することが可能であり、Googleの音声アシスタントや、AppleのSiriに対抗するものです。
今回、wearOSの新バージョンで「別の音声アシスタントに対応」するらしいことが判明した時に、真っ先にBixbyが登場したのには次のような理由からでしょう。*注2
次世代の「wearOS3.0」は、サムスンが自社開発しているウエアラブル端末用OSである、「Tizen」と統合される予定です。この統合は、長年にわたって互いに競合関係にあったウエアラブル端末用OSにおいて、2社の共通ライバルであるAppleに対抗することが主な目的です。
このような流れから考えて、「他の音声アシスタント」への対応ということなら、当然真っ先に統合されるサムスンの「Bixby」が該当すると予測されます。
ここまでは、推測といっても自然な流れから出てきたものですので、ある程度高い確度であると考えて良さそうです。
しかしAlexaへの対応については、この流れとは異なります。「他社製品への拡張対応ができるのであればAlexaにも対応するかも、、、」という希望的観測要素が強いように思われます。Alexaへの対応は「wearOS3.0→Tizenと統合→Bixbyへの対応」の流れとは異なります。
とはいうものの、一般に広く普及している端末に対応することは、wearOSにとってもユーザーに訴求する重要な要素であることは間違いありません。当然、その方向での進化も戦略には含まれているでしょう。
この先、どのタイミングになるかは不明ですが、いずれはAlexaに対応してくるのでは?というのは、あながち先走った推測ではないようです。
ウエアラブル市場の現状
GoogleがwearOS3.0で、サムスンと連携をする方向に進んだのは、ウエアラブル市場におけるApple Watchの圧倒的なシェアに対抗することが目的です。
Googleとサムスンは、それぞれ独自のOSでシェアの拡大を志向したものの、なかなか思い通りには進まず、Appleに市場を取られている現状を打開できていません。
特に、全世界的な新型コロナウイルス流行の影響もあってか、人々のアクティビティが室内でのワークアウトに向かい、ウエアラブル市場は活況を呈しています。
今後の市場の伸びを考えると、Googleとサムスンはこのままではダメだという危機感もあるのでしょう。
Counterpoint Reserachの調査によると、2021年1~3月期のスマートウォッチ出荷台数は、前年同期比で35%の伸びを示しています。中でもAppleは50%増と好調を維持しています。全体シェアとしてはAppleのWatchOSが全体の約3分の1を占めています。
一方のWear OSは、わずか3.0%とその差は歴然です。では今後、Tizenと統合したwearOS3.0の登場によって、現状はどのように変化するのでしょうか?
現状を元に計算した場合、wearOSとTizen、さらにGoogleが買収したFitbitまで含めると、そのシェアは15.7%に達します。この水準であれば、十分にAppleの牙城に迫ることができるでしょう。
また、市場に同一のOSで稼働する多くの端末が存在すること自体が、アプリ開発者にとってもメリットとなります。マーケットが広いほど開発意欲に繋がり、それがwearOS陣営にもプラスに働くというwin-winの関係を構築することができるでしょう。
兎にも角にも、市場占有率を高めるためには、サムソンとの連携が得策であることは違いありません。*注3
wearOS3.0の登場はどんな影響を与えるのか?
wearOS3.0の登場は、メーカーの枠を超えるOSの統合という、かなり画期的な出来事になります。今までこのような事例があまりないため、どのような影響があるかを予測するのはかなり難しいことになるでしょう。
しかし、いろいろな要素を考慮した上で、少しだけ「ありそうな未来」の姿を想像してみましょう。
1)wearOS3.0によってGoogle陣営の市場影響力が増してくる
これは、Googleにとって最も理想的な未来です。サムソンのTizenとの統合がうまくいき、Fitbitまで含めた既存ユーザーをそのままwearOSへと移行することによって、AppleのWatchOSに続く第二の勢力として影響力を強めてくるというものです。
前述した通り、シェアが確保できればアプリも充実し、それがユーザーの使用満足度を高め、ブランド力向上にも繋がります。
OSは、一度慣れてしまうとなかなか他のOSに馴染むのが難しいということもあり、ある程度のユーザーを確保することは、今後の展開においても非常に重要です。
2)OSの変化にユーザー離れが起こり、シェア確保に失敗
OSの大幅なリニューアルは、常に既存のユーザーを失う危険を伴います。新しいOSが互換性を完全に維持できれば良いのですが、画期的なリニューアルとは二律背反になりがちです。
実際にwearOS3.0も、既存の端末でアップデート可能かどうか明確ではありません。唯一の情報としては、「現行のGalaxy Watchユーザーには、製品発売から3年間はソフトウェアサポートが継続して提供される」というものだけです。
上記のことを踏まえると、発売後まもない「Galaxy Watch 3」であれば、この3年間サポートに入るため、おそらくwearOS3.0へのアップデートが可能であろうと期待できます。
問題はそれ以前の機種です。3年間サポートの対象外となるため、wearOS3.0へのアップデートができない可能性があります。この辺りについては、完全にNGともOKともアナウンスが成されてないため、あくまで現時点での情報に基づく憶測である事にご留意ください。
もし、最新機種以外はwearOS3.0のアップデート対象外ということであれば、現状のOSで使い続けるしかありません。最新OSの恩恵を受けることなく、3年以上前の状態で利用を続けるしかない、と言う状況はユーザーにとってあまり望ましい事ではないでしょう。
そうなった場合、既存ユーザーは端末の買い替えを前提に考慮することになります。その時、果たしてwearOSにこだわる必要があるのでしょうか?もしかすると、Apple Watchへの乗り換えを促すことにもなりかねません。
このように考えると、前述したような「現状のシェアの単純合計」で、将来のシェアを予測することは非常に難しいことがわかります。やはり、優れたUIと充実した機能、さらにアプリケーションでユーザーの評価を得ることが最重要なテーマでしょう。
wearOS3.0では、バッテリーの持続時間アップ・操作スピードの向上などが期待できますが、それだけでは不十分かもしれません。果たしてどのくらい優位性があるのか、実機で登場するのを期待して待ちたいところです。*注4
今回の記事では、wearOS3.0がAlexaに対応するかどうかについて、リーカーからの情報を元にまとめてみました。
スマートウォッチ市場は、現在のところApple Watchが圧倒的なリードを継続しているところです。この状況をなんとか打破したいはずのGoogleとサムスンが、独自路線を捨ててでも取り入れた新たな戦略が、どのような結果を出すのか楽しみに見ていきたいところです。
ユーザーにとっては、競争の結果によってさらに使いやすく、高機能な製品が市場に登場することが何よりも大きなメリットになります。
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注1
9to5 Google “Wear OS is preparing to support alternate assistants, including Samsung’s Bixby”
https://9to5google.com/2021/08/03/wear-os-alternate-assistant-bixby/
注2
Galaxy 「Bixbyでもっといろんなことを」
https://www.galaxymobile.jp/apps/bixby/home/
注3
IT Media mobile 「世界のスマートウォッチ市場調査、Appleの出荷台数は50%増でシェア33.5%」
https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/2105/28/news077.html
注4
GOZMODO 「新Wear OSで今のFitbitやGalaxy Watchユーザーはどうなる?」
https://www.gizmodo.jp/2021/05/future-of-the-partnership-between-google-samusung-and-fitbit.html