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YouTubeが源泉徴収を開始!日本への影響とデジタル課税について

この記事を読むと、以下の3つの事がわかります。
1.YouTubeが改定した利用規約について
2.新しく始まった源泉徴収と日本への影響
3.世界的に問題視されるデジタル課税について

2021年5月、GoogleはYouTubeで収益を上げる“YouTuber”に対して源泉徴収を課すことを発表しました。突然のことに、国内外のクリエイターにも影響が広がっています。

結論から言うと、日本のYouTuberは税務情報の申告さえ行っていれば源泉徴収はされず、収益の手取りは下がりません。しかし3年毎の申告が必要になる可能性もあり、日本のYouTuberも他人事ではないのです。

この記事ではYouTubeで収益を上げている人・または収益化を考えている人に向けて、突然YouTubeが源泉徴収を行うことになった背景と税務情報の申告手順、そしてデジタル課税の現状について解説します。

YouTubeが源泉徴収を開始!日本が免税される理由について

YouTubeは2020年11月から2021年6月にかけて、以下の3つの規約を更新しました。(※1)

1.顔認識データ…個人を特定する可能性がある顔認識情報の規約を明言
2.YouTubeの収益化に関する権利…収益化していないチャンネルの動画にも広告を表示する可能性があることを明言
3.米国の納税義務…Googleへの税務情報の報告義務が発生。さらに収益から24%の源泉徴収による控除を行うことを発表※

上記3つについて米国ではすでに2020年11月に更新しており、米国以外では2021年6月から有効となります。

2021年6月1日からYouTuberに24%の控除を始める

世界的に有名な動画投稿サイトYouTubeは、アメリカ外に住むYouTuberに対して源泉徴収を行い、収益から税金を天引きすることを発表しました。(※2)2021年6月から規約も更新していますが、これにより一部のYouTuberは手取りが20%以上も減ってしまうことになります。

源泉徴収を行う範囲はアメリカ外と明記していますから、日本をはじめアジア圏やヨーロッパ圏など、その影響は世界中に及びます。

ここでポイントとなるのは控除の理由が“源泉徴収”である点です。つまりGoogleが自社の利益のために天引きを行うわけではなく、Googleが本社を置くアメリカ政府に納税するものとして控除を行うわけです。Googleが突然源泉徴収を行うことになった理由は、後ほど詳しく解説します。

日本のYouTuberは申請すれば免税となる

Googleの規約改定により、YouTubeで上げた収益から最大24%が税金として控除されます。しかし日本で活動するYouTuberは、租税条約があるため源泉徴収が免税となるのです。

しかし、免税となるのはYouTubeにきちんと税務情報の申告を行った場合のみとなります。申告を忘れた場合は日本在住であっても最大24%の控除がかかってしまうので、忘れずに申告しなければいけません。

日米で結んでいる租税条約とは

租税条約とは国同士で締結している条約の1つで、憲法と同等といわれるほど強い力をもっています。日本ではアメリカやイギリス、中国など50を超える国と二か国間租税条約を締結しています。(※3)

租税条約は、主に脱税を防いだり二重課税を防いだりといった目的のために結ばれるものです。この租税条約があることで、今回のYouTubeの規約改定でも日本のYouTuberは源泉徴収が免除されています。

2021年7月時点で米国と租税条約を結んでいないブラジルやインド在住のYouTuberは、今回の規約改定によって最大24%控除される可能性があります。そのため海外では、「Googleが税金を支払うべきで、クリエイターから徴収しないでほしい」と反対運動まで起きているようです。

24%の控除といえば、10万円の収益があった場合24,000円も差し引かれ、手取りは76,000円まで減収します。YouTubeの収益で生活している人にとっては影響が大きく、混乱が起きるのは無理もないでしょう。

規約を改定した理由はIRSの要請

今回Googleが税務情報の申告や源泉徴収を始めたきっかけは、IRSからの指摘があったからといわれています。実際にYouTubeが規約を改定して源泉徴収を行うことで、IRSはより効率的に税金を回収できるのです。

IRSとはアメリカ合衆国内国歳入庁のことで、アメリカ連邦政府の1つです。アメリカ財務省の外局として設置されているもので、日本でいえば国税庁のような役割を持っています。

YouTubeの本社はアメリカカリフォルニアにあり、YouTubeはアメリカ政府の指示に従わなければいけません。そして世界中にいるYouTuberは、YouTuberとして活動している時点でアメリカに本拠地を持つYouTubeと取引していることになるのです。

日本のYouTuberが押さえておきたい申告方法と注意点

前述の通り、日本も2021年6月からYouTubeの規定が変わったことで税務情報の申告
が必要です。そしてその申告を怠れば、YouTubeの収益から最大24%控除される可能性があります。ここでは日本在住のYouTuberが知っておくべき税務情報の申告方法と注意点を解説します。

【3年毎に更新】申告はGoogle AdSenseから行う

税務情報の申告はGoogle AdSenseから、以下の手順で行います。

1.まずはAdSenseアカウントにログインします。
 AdSenseのログインはこちらから
https://support.google.com/youtube/answer/10390801?hl=ja
2.AdSenseの管理画面から[支払い]-[設定]-[設定を管理する]を開きます
3.[お支払いプロファイル]から[アメリカ合衆国の税務情報]-[税務情報の管理]を開きます
4.[税務情報の追加]を開きます。この時再度パスワードを求められますので入力しましょう
5.質問内容に順番に回答します。(回答方法は個人と法人で分かれます)
[租税条約]の「租税条約下で源泉徴収に適用される軽減税率の請求を行っていますか?」には[はい]で回答します。その後も質問に回答していきましょう
6.質問に最後まで回答すると、最後に税務書類のプレビューを確認できます。内容に問題がないことをチェックしたら[戸籍上の姓名]で名前をアルファベットで入力して、必要な部分にチェックを付けて進めて[送信]をクリックします
7.確認画面で[新しいフォームを送信]-[新しいフォームの作成を開始]で送信を行って申告は終了です

最後に登録しているメールアドレスに「GoogleのPayments:税務情報が承認されました」とメールが届いていれば無事に申告完了となります。

そして上記の税務情報の申告ですが、今後は【3年ごと】の更新となる可能性があります。2021年7月現在、Googleは「3 年ごとに税務情報を再提出いただく場合があります。」(※4)と明言を避けていますが、今後の動向には注目しておかなければいけません。

申告を忘れると収益から24%控除される

2021年5月以前にYouTubeで収益を上げていた人は、2021年5月31日までに税務情報の申告が必要でした。

しかし、「日本には租税条約があるし、申告しなくても大丈夫では?」「うっかり申告を忘れていた!」という方もいるかもしれません。前述の通り、税務情報の申告を忘れていた場合は最大で24%控除される可能性があります。

2021年5月以前からYouTuberとして収益を上げているクリエイターは、すでにYouTubeからお知らせのメールが届いています。そして2021年5月以降に収益化を始めた人は、収益が上がった時にYouTubeから連絡が届くようになっていますので、メールが届いたらすみやかに申告するようにしましょう。

GAFAを取り巻くデジタル課税の課題

デジタル課税とは、経済のデジタル化が進むグローバルな企業に課税する仕組みです。巨大IT企業は無形資産が多く、ITを基盤としたビジネスモデルと現在の税制が合致していないと世界中から問題視されています。

YouTubeを傘下に持つGoogle、Amazon、Facebook、Appleを総称した“GAFA”ですが、2021年1~3月の最終利益は4社合わせて約591億ドル、日本円では約6兆4500億円となりました。(※5)

コロナ禍における巣ごもり需要が後押ししており、YouTubeでも2020年9月時点での月間ユーザーは6,500万人を超え、YouTubeにアップされた動画の総時間は前年比80%UPとさらなる急成長を見せています。(※6)

GAFAは急成長を見せる一方でタックスヘイブンなどを利用して納税額を抑えており、世界中で問題視されています。一説では約24兆円もの税負担を回避していると指摘する声(※7)もあり、IT巨大企業のビジネスモデルに見合った税制が求められているのです。

現在の国際ルールでは、国内に支店や工場といった物理的な拠点がない企業からは原則課税できないことになっています。そのため課税ルールが当てはまらない事例が多く、今後の課題となっています。

今回YouTubeが行った規約改定による源泉徴収も、デジタル課税に対する取り組みの一環かもしれません。スマホやSNSが当たり前となった今、ユーザーである私たちもデジタル課税に注目する必要があるでしょう。

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参考サイト
※1 https://support.google.com/youtube/answer/10090902
※2 https://support.google.com/youtube/answer/10391362?hl=ja
※3 https://www.kokusaizeimu.com/mameyougo/3.html
※4 https://support.google.com/youtube/answer/10390801?hl=ja
※5 https://www.sankeibiz.jp/macro/news/210430/mcb2104300839015-n1.htm
※6 https://www.thinkwithgoogle.com/intl/ja-jp/marketing-strategies/video/youtube-recap2020-2/
※7 https://www.nippon.com/ja/in-depth/d00511/

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