1. TOP
  2. ブログ
  3. 建設DX支援に向けた4社合同の新会社へ期待されるソリューションとは

建設DX支援に向けた4社合同の新会社へ期待されるソリューションとは

建設業界におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)は、大手企業を中心に実施が進んでいるものの、まだ十分に普及しているとは言えません。そこで建機を扱うコマツや通信会社のNTTドコモなどを中心として、2021年4月に新たな建設DX支援会社が誕生しました。4社合同で設立された新会社は、どのようなソリューションを手がけていくのでしょうか。

今回は、新たに登場した合同DX支援企業の「EARTHBRAIN(アースブレーン)」がどのような役割を果たすことになるのか、参画企業の強みやこれまでの事例に注目しながら予想していきましょう。

目次:
①合同DX支援会社「EARTHBRAIN(アースブレーン)」について
②建設DX推進の課題
③EARTHBRAINが提示する強み
④EARTHBRAIN参画企業のDXソリューション事例

合同DX支援会社「EARTHBRAIN(アースブレーン)」について

2021年4月、コマツやNTTドコモなどの4社は建設業界のDX支援を目的とした新会社の設立を発表しました。EARTHBRAINと名付けられたこの会社は、コマツの子会社に残りの3社が出資するかたちで立ち上がり、同年7月より事業を開始しています。参画企業にはコマツとNTTドコモの他、ソニーセミコンダクタソリューションズと野村総合研究所が5%ずつの出資を行い、事業に加わっています*1。

会社のコンセプト

EARTHBRAINがコンセプトとしているのは、建設生産プロセスのデジタル革命です。建設業界は高度な技術力を必要とする大規模なプロジェクトが多く存在する反面、建設現場でのデジタル活用は今ひとつ進んでおらず、肉体労働を軸とした従来型の働き方が定着しています。建設DXの推進によって、生産性や現場の安全性、そして環境適応性を高めていくことが同社の提示するビジョンです*2。

建設DX推進の課題

建設DXの推進は、多くの企業が喫緊の課題として取り上げているものの、中々実現にまで辿り着かないのが現状です。DXを実施するにあたって、建設業界ではどのような問題を抱えているのでしょうか。

建設現場のデータ化の遅れ

1つめの課題は、建設現場におけるデータ活用の遅れです。DXは積極的なデータ活用が大前提となりますが、建設現場ではそもそも活用のためのデータ収集が追いついておらず、スマートな現場づくりが進んでいません。図面のデジタル化やIoTの導入、タブレット活用などを進めるなどして、現場の状況をリアルタイムで管理できる環境構築が最優先となります。

DX人材の不足

このようなデータ活用環境を整備するためには、データの扱いに長けている人材の起用が欠かせません。いわゆるDX人材の獲得ですが、建設業界ではDX人材の確保も進んでおらず、各企業で人材不足が大きな問題となりつつあります。どれだけ設備投資の余裕があっても、それらを扱える人間がいなければ健全なDXの実現は期待できません。既存の人材をDXに向けて教育するにしても時間を要するので、即戦力となる人材は別途獲得することが求められます。

EARTHBRAINが提示する強み

このような建設業界が抱えるDX課題を解消してくれるのが、EARTHBRAINの役割です。具体的にどのようなサービスや強みを提供してくれるのか、見ていきましょう。

建設現場の「見える化」に注力

EARTHBRAINが注目しているのは、建設現場の「見える化」、つまり現場における積極的なデジタル技術の導入です。事務所や本社などの遠隔地から、複数の建設現場を同時に監視できる仕組みづくりなどを整備することで、効率的な現場のマネジメントを実現することに重点を置いています*3。

リモートでの管理ができれば、山奥などの過疎地域における建設コスト削減や工期短縮化が実現できるだけでなく、危険地帯での安全性向上にも繋がります。その過程でデータ化された建設現場情報を活用し、より効率的でスマートな建設業務の遂行を実現します。

実践経験に基づく業務効率化に向けたITサービスの提供

EARTHBRAINが強みとしているもう一つのポイントは、コマツやNTTドコモの豊富な実践経験です。これについては後述にて詳しくご紹介しますが、両社とも建設DXに向けた積極的な取り組みがこれまで行われてきたこともあり、ノウハウの蓄積が進んでいます。そのため、実践での経験や得られたデータをもとにした、確かなソリューションの提供に役立ててもらえることにも期待して良いでしょう。

EARTHBRAIN参画企業のDXソリューション事例

EARTHBRAINの軸を担うコマツとNTTドコモは、これまでどのようなDXソリューションを建設業界で提示してきたのでしょうか。最後にこの2社の事例を確認し、EARTHBRAINの展望について検討してみましょう。

コマツ

建設機械メーカーのコマツは、「スマートコンストラクション」と呼ばれるサービスを2015年より展開してきました。これは測量用ドローンや半自動の建機を活用して施工を効率化するサービスで、従来の有人建設プロジェクトに比べ、飛躍的な効率化とコストパフォーマンスの改善を実現できるということで大いに注目を集めてきました*4。

人と建機、そして現場をつなぐプラットフォームとして同サービスは展開され、現場の全てをデータで「見える化」し、プログラムによってコントロールされた安全で確実な現場作業へと結びつけています。EARTHBRAINにおいてもこの「スマートコンストラクション」の技術や経験が生かされることが期待でき、全国的な建設DXの原動力となってくれるでしょう。

NTTドコモ

NTTドコモは高度な通信技術を活用した、建設・製造業界への積極的な支援を行ってきた経験を有しています。2020年7月は竹中工務店との協業により、デジタル朝礼やマストタスク管理を現場に導入しています。「現場の人、モノ、空間のデータを収集して『人間行動モデル』を作成し、プロセス管理をデータで記録することで、生産プロセス全体の効率化を実現しました*5。

また、同社は2021年11月にJFEエンジニアリングとの共同検討に合意し、高速通信システムを活用したプラントの建設や操業・メンテナンスの無人化・省人化を実現するDXソリューション開発をスタートさせています*6。実物大のプラントに次世代通信規格の5G通信環境を整備し、新技術の実証実験を行うなど、IoT化を加速させる技術研究の進展に期待が持てます。

おわりに

建設DXは建設会社が単体で取り組むには限界があるため、支援企業の力を借りるケースも珍しくありません。人材不足や需要の急拡大が進む建設業界では、EARTHBRAINのような建設DX支援に特化した会社のニーズも高まっています。コマツやNTTドコモが蓄積してきた経験を活かし、高度なソリューションが提供されていくでしょう。

大手ゼネコンBIM活用事例と 建設業界のDXについてまとめた ホワイトペーパー配布中!

❶大手ゼネコンのBIM活用事例
❷BIMを活かすためのツール紹介
❸DXレポートについて
❹建設業界におけるDX


▼キャパの公式Twitter・FacebookではITに関する情報を随時更新しています!

*1 日本経済新聞「コマツやドコモなど4社 建設業のDX支援へ新会社」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUC306U60Q1A430C2000000/
*2 EARTHBRAIN「株式会社EARTHBRAIN」
https://www.earthbrain.com/
*3 *1に同じ
*4 *1に同じ
*5 日経クロステック「ドコモと竹中工務店が建設DXで協業、デジタル朝礼やマストタスク管理を現場導入へ」
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00154/00970/
*6 NTTドコモ「報道発表資料 : JFEエンジニアリングとドコモがDXソリューション創出・事業化の共同検討で合意 」
https://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/2021/11/24_01.html

    ホワイトペーパーフォームバナー

    【DL可能な資料タイトル】

    • ・プログラムによる建築/土木設計のQCD(品質/コスト/期間)向上
    • ・BIM/CIMの導入から活用までの手引書
    • ・大手ゼネコンBIM活用事例と建設業界のDXについて
    • ・デジタルツイン白書
    • ・建設業/製造業におけるデジタルツインの実現性と施設管理への応用

    詳細はこちら>>>

    PAGE TOP