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点群データをCADへ変換する手順とコツ・おすすめソフト3選

点群データは建築や土木、製造業などさまざまな分野の情報をデジタル化するために活用されています。
CADなどに情報を取り込む際は、3Dスキャナーで得た点群データを変換してモデル化する必要があるのです。

この記事では、点群データの具体的な作成手順やデータ変換用のソフトウエアソフトウェアについてご紹介します。

点群データが求められる背景

建物や住宅などが老朽化してきた場合、必要に応じて保守を行います。
国土交通白書2020によると、建設後50年を経過する施設の割合は2019年時点で27%ですが、2029年には52%と急激に増えると予想されています。(*1)

対象となるのは国が管理する橋梁やトンネルなども含まれるため、単に解体して再度新しい建築物を建てればよいとは言いきれません。
昨今は、既存のインフラに保守を行い維持管理するケースが増えているのです。

一般的に、建物の保守には施工期間中に変更された内容を図示した竣工図が必要です。
しかし、昨今はBIMを用いた設計が一般的になっているため、可能であればデジタルデータとして対象となる建築物の情報を取得できると効率的です。
つまり、竣工図を確認しさえすれば必ず必要な情報が取得できるとは限りません。

この課題を解決するのが、CADへの点群データ変換が頻繁に行われるリバースエンジニアリングの技術です。

CADに出力される点群データの情報

リバースエンジニアリングでは、スキャナーから対象物にレーザーなどを照射して点群データを作成し、その情報をCADソフトウェアで扱える3Dデータに変換して設計を進めていきます。

CADデータに変換される点群情報は、数百万から数十億の点の集合体であり、各々に位置座標や色情報が含まれています。

このような点群データの情報は、建築・製造・自動車・航空宇宙・医療・文化財保護など、さまざまな分野で利用されています。

点群データの長所と短所

多くの3次元CADでは、ソリッド形状を作成するにあたってBRepの手法を用いています。
BRepはBoundary Representationの略で、境界に点や直線などの幾何要素・位相要素を組み合わせています。
そのため、どれだけモデリング精度(トレランス)を高めても必ず同じ形状が再現可能です。

一方点群データは文字通り点の集まりです。
頂点情報や曲率情報が含まれていないため、点群の精度や対象物の形状によっては精密に必要な形状が取得できるとは限りません。

点群データは「おおまかにどういう状況になっているか」を知るために大きく役立ちます。
しかし、点群データそのものを設計データとして活用するのはかなり難しい点に注意が必要です。

点群データを変換して得られたCADデータについては、以下のような特徴があります。

長所
短所
点の精度を高めると複雑な形状の再現が可能
何もないところから作成するよりも素早く形状が作成可能
数学的に完璧な曲線を描くことはできない
面の情報が含まれていないため、レンダリングや製造に直接活用できない
正確なBRepやポリゴンモデルに変換することが困難

CADへの点群データ変換手順

一般的に点群データは以下のような手順でCADデータに変換されます。
対象となる物体にレーザーなどを照射して点群データを取得
点群データを変換してメッシュ(ポリゴン)データを生成
欠けている場所があれば穴埋め処理などを実施
メッシュデータをもとに面を自動生成
面のずれ、欠けなどを確認・調整しCADデータを構築

点群データから面を作成すること自体にCADの知識は不要です。
しかし、自動面では形状やパラメータの変更はできません。
そのため、リバースエンジニアリングとして3D点群データを用いる場合には、CADの知識を用いてスキャンデータを参考に形状の作成を行う必要があるのです。

CADでの利用効率を高める点群データ変換のコツ

点群データをCADデータに活用する際は、以下に注意が必要です。

点群データの精度

CADで点群データを活用するには、点群データ自体のサンプリング精度が非常に重要です。
測定する点の数が少なければ、正確な3Dモデルが作りにくくなります。
均一な平面の箇所に比べると、角や凹凸の多い場所、曲率がある場所については、より細かくデータを取得する必要があります。
そのため、点群データの取得には一定のノウハウが求められるのです。

目的に合わせて測定機器や点群データを取り込むソフトウェアの解析能力についても事前に検討が必要です。

点群データの前処理を行う

点群データを用いて設計を行う場合には、前処理が欠かせません。
点群データはノイズや外れ値があるため、直線や曲率など本来の対象物にあった特徴が失われていることがあるのです。

取り込んだデータすべてが設計データに使えるとは限らないため、対象物自体の形状をよく確認して点群情報を平滑化する工程が必要です。

元の形状を参考にデータの修正を行う

CADデータへの変換は、各ツールのアルゴリズムを用いて自動的に行われます。
しかし正確な3Dモデルを作成するには、点群の自動平滑化や面生成機能だけでは不十分なケースが多くみられます。

完全に正確なCADデータを作成するためには、点群情報を参考に新しく形状を作成する工程が欠かせません。
CADデータに修正を加える必要がある場合は、元形状をよく参照し、CADデータの自動修正ツールに頼り過ぎないようよく確認する必要があります。

点群データをCADデータに変換できるソフトウェア3選

CAD点群データ変換には、様々なソフトウェアが利用されます。
以下では、点群データをCADに変換するソフトウェアをピックアップしてご紹介します。

Geomagic Solutions

点群データをもとにCADやCAM、CAEの環境にあわせたネイティブデータが作成できます。設計変更に使える履歴もあわせて生成されるため、必要に応じて編集が可能です。

また、面にねじれなどがある場合には、コネクタを用いて調整する機能や一部カーブを修正する機能があるため、自動面がそのまま設計に活かせます。
CADモデルを作成した場合には、偏差チェックでメッシュ情報と簡単に比較が可能です。(*2)

ScanSurvey Z

点群データ・3D GIS (地理情報システム)・Excelが連携できるため、開発計画はもちろん施工管理や修繕・保守管理に活用可能です。
点群データをもとにして土量計算、勾配メッシュ、地形推定、樹木検出、材積計算なども行えます。

スマート林業・農業などICTを活用した工事に活かせるIT導入補助金の対象商品です。(*3)

Galaxy-Eye

プラント施設、建築現場など大規模な点群処理に対応するソフトウェアです。
点群データをもとに配管・鋼材・ダクト等を規格に沿ってCADデータ化できるため、CADの操作時間が削減できます。

点群をそのまま動かすレイアウト検討やムービーの作成、工事計画の進捗管理の機能も有していて、ビューアー機能を使えばそのまま関連メンバーに情報共有が可能です。(*4)

まとめ

点群データは図面から必要な情報が取得しきれない場合や、対象物の情報をCADやBIMのデータ化したい場合に役立ちます。

CADなどに用いるためにはデータの変換が必要であり、測定した点群データがそのまま使えるわけではありません。
現在は便利な変換ツールが多数発売されているため、ニーズにあったソフトウェアを活用してみましょう。

 

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参考URL
*1 https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r01/hakusho/r02/html/n1212000.html
*2 https://ksdl.co.jp/dxc/contents_pr_geomagic.html
*3 https://be-system.co.jp/products/scansurveyz-assistz/
*4 https://ftr.co.jp/solution/3d-measurement/galaxy-eye/

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