1. TOP
  2. ブログ
  3. 点群データを公開するプラットフォームを比較。活用のポイントは?

点群データを公開するプラットフォームを比較。活用のポイントは?

3D活用が進む中、注目を集めているのがデータプラットフォームの存在です。特に点群データを複数保管・公開しているプラットフォームは国内でも次々と登場しており、無料で多様な点群データを活用できます。

この記事では、そんな点群データを公開しているプラットフォームについて、それぞれの特徴を比較しながら紹介しつつ、点群データ活用のポイントについて、解説します。

目次:

  1. 点群データとは
  2. 点群データの使い道
  3. 主な点群データプラットフォームの比較
  4. 点群データ活用のポイント

点群データが注目される背景

点群データは3Dデータの一種で、データの空間情報と色情報が内包されているのが特徴です。一般的な3Dモデルよりもデータが簡素化されていながら、立体構造物として必要な情報を含んでいるため、汎用性に優れます。

近年点群データの活用が進んでいる理由として、点群データを取得しやすい環境が整備されたことが挙げられます。ここ数年で着工された新しい建造物の多くは、事前にCADを使って設計図面を描いていることもあり、当時の3Dデータを使い、建物の修復や維持管理に役立てることが可能です。一方、21世紀以前に建てられた、数十年以上も前の建造物は3Dデータがなく、昔ながらの方法で維持管理を行う必要があります。

しかし近年、点群データは3Dデータが存在しない建物でも、専用のスキャナーなどを使い、簡単に取得できるようになりました。そのため、幅広い建物や土地を点群データ化し、効率的な維持管理や設計、都市計画の設計などに反映させることが可能です。測量に必要な負担も最小限で済ませられ、従来の測量に比べ、人件費の削減や、現場作業員のリスク低減に役立っています。

点群データの主な使い道

点群データは、事業者や研究者向けにさまざまな使い道があることから、多くの注目を集めています。ドットデータだけで構成されている点群データは、通常の3Dモデルに比べて軽量でありながら、正確に構造物を再現しているため有用性が高いのが特徴です。

例えばトンネルや高速道路など、土木インフラの設計や点検といった、大規模なプロジェクトに対応できるのはもちろん、GISデータを使った地図作成などにも役立っています。国や自治体が管理する、公共物のプロジェクトへ盛んに利用されていることからも、点群データ技術の信頼性の高さがうかがえます。

また、近年はデジタルツインの実現と活用においても、点群データの価値が注目されています。デジタルツインとは、仮想空間に現実世界の構造物や都市設計を正確に再現し、高度なシミュレーションを可能にする技術です。

デジタルツインはただ3Dモデルを仮想空間に投影するだけではなく、現実に即した温度や湿度、交通量、スケール比も反映する必要があり、そのためには莫大なデータを収集・反映させなければなりません。

高度なセンシング技術と点群データ収集技術などによって、リアルタイムに変化する現実世界の環境を高度にシミュレートし、都市計画や防災管理の高度化に役立てられます。

主な点群データプラットフォームの比較

点群データは、3Dレーザースキャナーなどを使ってデータ収集を行いますが、地形や巨大な構造物のレーザースキャンについては、とても個人や一企業の予算では実行できません。

そこで活用したいのが、政府や各企業が独自に提供している点群データです。まだまだ十分な数が揃っているわけではありませんが、点群データを公開しているプラットフォームを参考にすることで、自由に点群データを取得し、自社の開発や研究に役立てることができます。

ここでは、積極的に活用したい主な点群データプラットフォームの紹介と比較を行います。

国土交通データプラットフォーム

日本で利用できる最もポピュラーな点群データプラットフォームは、国土交通データプラットフォームです。

このサービスは国土交通省が独自に管理を行っており、日本全国のさまざまな点群データを利用することができます。点群データだけでなく、BIMデータについてもダウンロードが可能なため、土木・建設目的のデータ活用推進においては欠かせないサービスです*1。

定期的なアップデートやデータの拡充も期待でき、データベースとしての充実度は最も優れています。

ICT活用工事3D点群データ

ICT活用工事3D点群データは、東京都が独自に提供している点群データプラットフォームです。東京都建設局が発注している土木工事に関する点群データが、このプラットフォーム上で常に更新・提供されているので、東京都内に関する細かなインフラデータ集めに最適のサービスです。

道路や車両基地、河川の工事データを数多く揃えているため、これらのデータを探している場合、最適なデータプラットフォームと言えるでしょう*2。

Symmetry Dimensions

実践的な点群データプラットフォームを探している場合、Symmetry Dimensionsがおすすめです。このサービスは2021年にリリースされたデータ連携プラットフォームで、点群データやGISデータを実際の地図に落とし込んで表示されるのが最大の特徴です*3。

多くのデータプラットフォームは、各サービスごとで別個にデータが管理されているだけでなく、地図情報に基づいたデータではないため、データの検索や参照が困難であるという問題を抱えています。そこで登場したのがSymmetry Dimensionsで、点群データやGISデータ、CADデータなどを、地図上で管理してくれます。

公開されているデータは大半がオープンソースのものであるため、企業は同サービスを利用することで、ニーズに応じたデータ検索や活用をスムーズに行うことが可能です。

点群データ活用のポイント

点群データは、デジタルツイン技術などの最新技術の登場に合わせて注目度が高まっている技術です。点群データを有効活用したい場合は、まず点群データが自社のどんなプロジェクトに適用できるか、課題検討を進めるところからスタートするのが良いでしょう。

また、点群データを扱える技術を持った、エンジニアやデータサイエンティストの存在も不可欠です。データを有効に扱える仕組みづくりを整備し、人材確保や人材育成にも力を入れましょう。

まとめ

この記事では、点群データ活用の可能性や、現在活躍している主な点群データプラットフォームについて、解説しました。

点群データは通常の3Dモデルとは異なる汎用性を持っており、CADデータのない構造物もデータ化できるのが最大の特徴です。自治体や政府の点群データ活用や、点群データの公開も進んでいるため、民間企業での積極的な活用にも期待したいところです。

 

建築・土木業向け BIM/CIMの導入方法から活用までがトータルで理解できる ホワイトペーパー配布中!

❶BIM/CIMの概要と重要性
❷BIM/CIM導入までの流れ
❸BIM/CIM導入でよくある失敗と課題
❹BIM活用を進めるためのポイント
についてまとめたホワイトペーパーを配布中


 

▼キャパの公式Twitter・FacebookではITに関する情報を随時更新しています!

参考:

*1 国土交通省「デジタルツインの実現に向けて連携を拡充

~国土交通データプラットフォーム上でBIM/CIM と3次元点群データの表示・検索・ダウンロードが新たに可能に~」

https://www.mlit.go.jp/report/press/kanbo08_hh_000806.html

*2 東京都「ICT活用工事3D点群データ」

https://catalog.data.metro.tokyo.lg.jp/dataset/t000014d0000000027

*3 日経XTech「企業のマル秘データが新事業に化ける」

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/ncr/18/00171/090900005/

    ホワイトペーパーフォームバナー

    【DL可能な資料タイトル】

    • ・プログラムによる建築/土木設計のQCD(品質/コスト/期間)向上
    • ・BIM/CIMの導入から活用までの手引書
    • ・大手ゼネコンBIM活用事例と建設業界のDXについて
    • ・デジタルツイン白書
    • ・建設業/製造業におけるデジタルツインの実現性と施設管理への応用

    詳細はこちら>>>

    PAGE TOP