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東京都都市整備局がBIM導入を検討。その内容とは

BIM運用は民間組織だけでなく、自治体や公共機関においても進展しています。東京都都市整備局は、今後組織のデジタルトランスフォーメーションを進めていく上で、BIMは重要な役割を持つ技術として、大いに注目しています。

今回は、東京都都市整備局のBIM運用や、それを取り巻くDX事情について、深掘りしていきたいと思います。

①東京都都市整備局が検討しているDXの内容
②建築行政手続のデジタル化について
③建築行政におけるBIMの活用促進について

東京都都市整備局が検討しているDXの内容

東京都都市整備局が2021年に発表した東京都建築安全マネジメント計画によると、DXの実現にあたっては以下の2点に注目していることがわかります*1。

建築行政手続のデジタル化

一つ目は、建築行政手続きのデジタル化です。東京都では国との連携も視野に入れながら、率先して建築行政手続のデジタル化を推進し、行政運営の効率化と都民サービスの向上を図るとしています*2。

東京都独自のシステムの構築や、BIMの活用、定期報告、建築計画概要書の閲覧等の手続きのデジタル化など、実現可能なレベルの業務効率化を徹底して行うという姿勢を見せています。

建築行政におけるBIMの活用促進

二つ目の取り組みが、建築行政におけるBIMの活用促進です。都の建築行政におけるBIMの具体的な活用策を取りまとめ、実現に向けた課題整理や対応策の検討を実施する予定です。

肝心なのが、東京都と国はあくまで別個の存在として役割分担を徹底する点です。別個の存在を前提としながら、国の動きとも連携し、建築行政の立場から建築物のライフサイクルを通じたBIMの活用促進を図ります。

建築行政手続のデジタル化について

ここから、DXに関する各取り組みの内容について、より詳細に触れていきます。まずは、建築行政手続のデジタル化についてです。

国の取組状況

まずは主たる国取り組み状況についてですが、こちらは「国土交通省の所管する法令に係る行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律施行規則」(平成15年国土交通省令第25号)の施行により、建築行政手続のデジタル化に関する法制度はすでに整備されています*3。

また、電子署名に関する要件の緩和など電子申請しやすい環境の整備が段階的に進められ、建築基準法施行規則等の改正によって、建築確認申請や定期報告などの民から官への申請手続で求めていた押印や電子署名も不要となっており、手続きの利便性はますます向上していることが窺えます。そのためあとはフレームワークを改革していくだけで、業務のDXは簡単に進められるとも捉えられるでしょう。

建築確認のデジタル化に向けた各機関の取組状況

次に各機関での取り組み状況ですが、これは機関によって進捗度合いはバラバラです。指定検査確認機関では電子申請の実施や、独自の申請システムの開発が進む一方で、自治体では検討は進んでいるものの、依然として電子申請の実施には踏み切れていないのが現状です*4。

建設業許可や経営事項審査の手続きのデジタル化の状況

建設業許可や経営事項審査の手続きは、年間で1万件を超える審査が実施されています*5。この膨大な処理に対応すべく、国はデジタル申請システムの設計を開始しており、東京都も導入を予定しています。実際の運用を想定し、申請者の利便性向上と審査事務の効率化に向けて、国とともに検討を行っています。

国に対する要望

より一層の行政運営の効率化と都民サービスの向上を図る上で、東京都都市整備局はいくつかの要望を国に提出しています*6。

定期報告調査・検査資格者データベースを整備し、行政等による閲覧を可能とすること、定期報告がオンライン化された際、代理者による報告が可能となるよう規則改正を行うこと、届出の電子化に際して、誰もが使用しやすいシステムとなるよう検討することなど、現状のアップデートに関する要望がまとめられました。

今後の取り組みにおける展望

東京都の展望では、年間受付がおおむね1,000件以上になる建設業許可や建設リサイクル法に基づく届出などの申請に関して、効率化を実施できるようデジタル化を予定しています。

特に建築確認においてはデジタル化の効果が最大限に得られるよう、関係機関全体でデジタル化に取り組み、「建築確認におけるBIM活用推進協議会」に参画するなど、積極的なBIM活用の道を模索しています。

建築行政におけるBIMの活用促進について

続いて、建築行政におけるBIM活用についてです。

これまでのBIMの活用状況

国土交通省の見解によると、建築物の設計・施工におけるBIMの活用状況は、設計、施工の各プロセスとも限定的で、まだまだ導入の余地は大きいとされています*7。また、竣工後の維持管理におけるBIM運用は依然として進んでおらず、この点についても迅速な普及が求められるところです。

今後、設計から維持管理に至るまで、BIM運用を建設物のライフサイクルの全てのステップにおいて普及させる必要があると考えています。

また、BIM導入に積極的な企業もその規模に応じて意見が分かれています。設備投資の余裕がある大企業はBIM導入に興味を示す、あるいは実際に導入している一方、中小企業についてはBIM導入を見送るケースが多く、企業間の導入状況の差を解消していく必要もあるでしょう。

BIM推進に向けた国の動き

BIM推進の重要性については国が大きな理解を示しており、「建築BIM推進会議」を2019年より設置し、BIMのもたらす周辺環境の将来像を提示するとともに、将来像に向けた官民の役割分担・工程表を提示しています。

BIMデータの活用が建築確認申請の分野にまで広がることで、建築確認の審査や検査の効率化が期待されるため、東京都もこの動きを積極的に推進したいと考えています。

今後の取り組みの展望

東京都は、今後も建築行政におけるBIMの具体的な活用策や将来像の取りまとめ、及び実現に向けた課題整理や対応策の検討を行う予定です。海外や国内でのBIM活用の調査を実施し、理解を深めていくとしています*8。

3Dデジタルマップを活用した災害シミュレーションや、景観検討のシミュレーションを実施するなど、具体的な導入案についても検討が進んでいます。

おわりに

建設業界の課題を解消する上では、民間企業の取り組みだけでなく、自治体や国の取り組む姿勢も求められるところです。建設業は日本を支える重要な業界であるため、全面的な国バックアップを受けながらDXを推進しています。

東京都においても国と連携しながら手続きを進め、さらなる利便性の向上を図っていく次第となっています。

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*1 東京都都市整備局「東京都建築安全マネジメント計画」
https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/kenchiku/management/index.html
*2東京都都市整備局「東京都建築安全マネジメント計画改定概要」p.4
https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/kenchiku/management/data/maneg01.pdf
*3東京都都市整備局「4建築分野におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)の推進」p.42
https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/kenchiku/management/data/maneg04.pdf
*4同上 p.43
*5同上 p.45
*6同上 p.45
*7同上 p.49
*8同上 p.50

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