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生成AI連携で進化するノーコードツールを比較

現在IT技術の急速な進化に伴い、ビジネスシーンで活用されるアプリやサービスが氾濫しています。エクセル・ワード・パワーポイントあたりが使えさえすればなんとかなった時代は、もはや過去の話となりつつあります。
さらには、ローコード・ノーコードで自社業務に対応したアプリ開発も可能となるなど、IT技術の進化のスピードに戸惑ってしまいます。
本稿では、AIの導入で進化するGoogleのAppSheetを例に、代表的なノーコードツールであるKintoneとの比較を通じて、その特徴を調べてみました。

この記事でわかること
 ・生成AIとの連携で新たなステージへと進化するAppSheetについて
 ・ローコードで業務アプリが構築できるKintoneについて
 ・その他のノーコードツール

生成AIとの連携で新たなステージへと進化するAppSheet

AppSheetは、Googleが2020年にAppSheet社から買収したサービスです。それ以前にもGoogleは、独自のローコード開発ツールである「Google App Maker」を提供していましたが、この買収を期にサービスを停止しています。

AppSheetは、ノーコードで業務用アプリを作成できるツールであり、Googleが提供する各種のクラウドサービスとの親和性が高く、コストを抑えながらスピーディな開発が可能です。
2021年には「AppSheet Automation」が実装され、RPA(Robotic Process Automation)的な作業自動化が可能になりました。

このようなサービスの登場以前は、それぞれの業務内容に合わせたツールは、エクセル+VBAで自作するか、外部の業者に依頼するぐらいしか方法がありませんでした。

しかし、業務内容にあわせたツールを開発したり維持するためには、自社内にある程度VBAなどの開発言語に精通した人員を確保する必要があります。専門部署が設置できれば良いのですが、そこまでの規模がない会社の場合、本来の業務と兼任でシステム作成ができる社員に頼ってしまいがちになるなどの問題がありました。

また、個人の能力に頼るような開発手法では、長く安定して運用することが困難です。いわゆる「属人性」の問題が発生してしまい、その人員の転勤や退職などに伴い、せっかく長年かけて構築したシステムの運用ができなくなることもあります。

その点、習得に長年の学習と経験を必要とするような開発言語を使わず、ノーコードで業務アプリを構築できる「AppSheet」は非常に効果的です。ノーコードは業務アプリに限らず、ウェブサイトの構築やLPの作成などにもニーズが高く、さまざまなサービスが提供されています。

現在、ウェブサイトの構築で圧倒的なシェアを持っているWordPressもその一つであり、HTMLやCSSなどを全く知らない人であっても、比較的簡単に本格的なウェブサイトを作ることができます。

さて、AppSheetの特徴に話を戻しましょう。Googleは、ビジネス用にGmailやスプレットシート、グループウエアであるGoogle Workspaceなどを提供しており、広く利用されています。AppSheetはこのようなGoogleのサービスとの親和性が高く、すでに導入している企業にとって無理なくスムーズに活用を進めることが可能です。

AppSheetは、豊富なデータベースとの連携ができることも、大きな魅力となっています。Googleスプレッドシートやエクセルに登録されたデータを利用することもできますし、mySQLやSQLサーバーなどの本格的なDBに接続することも可能です。

さらにAppSheetで作成したアプリは、ウェブアプリとしてはもちろん、ネイティブのモバイルアプリとして利用することもできます。iOS・Androidの両方に対応しており、わざわざ別のモバイルアプリ開発環境を構築しなくても良いのは、大きなメリットになります。

現代のビジネスにおいて、モバイル環境で利用できることは非常に重要な要素となります。いつでも、どこでも情報にアクセスし、データの更新や共有をすることによって意思決定をスピーディに行うことが必須となっています。

AppSheetを使えば、開発言語の知識がない一般社員でも、業務に必要となるアプリを素早く作成することができます。また、誰でも理解しやすく、修正や機能追加ができるため、属人性の問題も解決し、ビジネスを加速させるツールとなります。
しかも、普段使い慣れた各種サービスとの連携が容易で使いやすいとなれば、わざわざ外注してコストの割には使えないシステムを導入する意味がなくなります。

AppSheetにはいくつかのグレードがありますが、Enterpriseクラスからは生成AIを使ったサービスを利用することができます。これはAppSheetに限らず、Googleが提供するクラウドサービス全般で生成AIとの連携を進める動きの一環であり、もはや「生成AI」は、ビジネスに必要不可欠なツールとして定着すると言っても過言ではないでしょう。*注1

ローコードで業務アプリが構築できるKintone

Kintoneは、グループウェアサービスで有名なサイボウズ株式会社が提供するノーコードアプリ作成ツールです。サイボウズ株式会社は、グループウェア黎明期から国内では大きなシェアを確保してきた企業であることから、日本企業の特性にあったサービスを提供しています。

日本語に完全対応していることや豊富なテンプレートがあること、さらに学習用の日本語テキストや動画素材なども多く、スタート時のハードルが低いことなどが特徴です。
また、グループウェアとしての機能があり、複数人がスケジュールを共有したり、チャットで意思疎通を図ることも可能です。

AppSheetとKintoneの違い

AppSheetとKintoneには以下のような違いがあります。

まず料金体系については、それぞれいくつかのクラスが用意されています。
AppSheetは無料版があるため、まずはお試しで使ってみて、うまく活用できそうなら上位版にアップグレードすることができます。
しかし、残念ながらKintoneは無料版がないため、最低でも1ユーザーあたり月額780円のコストがかかります。

また、Kintoneができる限り単独で完結できる仕様なのに対して、AppSheetは他のサービスと柔軟に連携できることを重視した設計となっています。
一度Kintoneを導入してしまうと、あとで他のサービスに切り替えるのに「一からやり直し」になってしまう可能性が高いのですが、AppSheetは外部のDBにデータが保持されているため、別のツールを使ってデータの再活用することが可能です。*注2

その他のノーコードツール

最後にいくつか代表的なノーコードツールをご紹介しましょう。

ウェブサイト構築

◯WordPress

代表的なツールとして「WordPress」は外せないでしょう。WordPressのようなCMS登場以前は、HTMLやCSOを理解した上で最新のWeb技術を使いこなせないような一般ユーザーにとってユーザーとっては、簡単な更新作業さえハードルが高いものでした。
しかし、一度サイトを構築してしまえば、情報の更新がワープロ感覚で簡単にできるのがWordPressの大きな特徴です。
また、さまざまなテーマが存在しており、デザイン面でも機能面でもその気になればこだわることもできます。ただしSEO対策として、きめ細かなサイトのメンテナンスや情報更新が必要です。

◯Wix ADI

Wixはアメリカ発のウェブサイト構築ツールです。オンラインで利用できることや、ハイクオリティなページデザインが特徴です。
Wix ADIではAIを導入し、ユーザーの指示に従って自動でウェブサイトを構築できるように進化を遂げています。

他にも日本発の「STUDIO」、汎用性が高い「Webflow」、一ページだけのランディングページ作成に特化した「ペライチ」や「Smart LP」など、さまざまなサービスが存在しています。

アプリ開発

◯Adalo

ウェブアプリ・ネイティブアプリの両方に対応したモバイルアプリの構築ができます。日本向けにローカライズされていることから、日本語環境での制作が容易です。

◯Bubble

世界で200万人のユーザーが利用しているウェブアプリ開発ツールです。やや難易度が高い代わりに、汎用性が高くきめ細かい機能を実現することができます。

他にもDBにGoogleスプレッドシートを利用できる「Glide」や、日本製のノーコードアプリ開発ツール「Click」などがあります。

業務効率化ツール

◯楽々Webデータベース

エクセルのデータを利用できるツールです。普段業務で使っているデータをそのまま活用してデータベースを構築できることから、導入しやすいと言う特徴があります。

◯Airtable

スプレッドシートとデータベースの機能を持つ、クラウドベースの管理プラットフォームです。スプレッドシートを扱うような感覚で操作できることから、エクセルが使えるユーザーなら少ない労力で、より本格的な業務アプリを組むことができます。

本稿で紹介した「AppSheet」や「Kintone」以外にも、さまざまな外部Webアプリとの連携を可能にする「Zepier」、情報一元管理ができるオールインワンツール「Notion」、ノーコードWebスクレイピングツール「Octparse」など、幅広いツールが存在しています。

このように、ウェブサイト・ECサイト構築から、モバイルアプリ・業務効率化アプリ開発などの幅広い分野で、ローコードツール・ノーコードツールが利用されており、その活用は今後ますます拡大していくでしょう。

さらに「AIの支援を受けることで、驚くほど効率的な業務の遂行ができる。」そんな未来がもう直ぐ近くまで来ています。
今後の業務では「与えられたソフトが使えれば良い」のではなく、「必要なツールは自作する」ことが重要となります。AIの支援を受けることによって、より高度で複雑な作業を人間は担う。やっと、本来の人間らしい仕事に集中できる環境が整って来たと言えるのではないでしょうか。*注3

【まとめ】
AIの支援を受けた各種サービスが次々に実用化され、私たちの日常業務に大きな影響を与えつつあります。特に自然言語に対応したChatGPTなどのサービスを利用することにより、対話をしながら様々な開発を進めることができるため、広く一般ユーザーにも大きな恩恵が得られるはずです。
今後は、「単純作業をどれだけこなしたか」ではなく、このようなツールをうまく活用し「どれだけ質の高い成果を出したか」で、評価されるようになるのではないでしょうか。

 

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■参考文献
注1
IT Leaders 「Google Cloudがクラウドサービス群に生成AIを組み込んで提供、文章作成やコーディングを支援」
https://it.impress.co.jp/articles/-/24834

吉積情報株式会社 「ノーコードツールの導入に迷われている方必見!AppSheet と Kintone(キントーン)の違いを比較してみました」
https://www.yoshidumi.co.jp/collaboration-lab/google-appsheet-column10#623a863a85ad34000174a2c9-d0ae007f2f57b5519f7759a8

ツギノジダイ 「AppSheetとは できること・使い方・料金を解説【図解付き】」
https://smbiz.asahi.com/article/14406221

Google Cloud 「AppSheet」
https://cloud.google.com/appsheet?hl=ja

注2
NOCODO 「【kintone AppSheet】業務改善DX推進ノーコードツール比較!」
https://nocodo.net/media/media-8706/

注3
Walkers 「【2023年最新比較】無料のおすすめノーコードツール12選」
https://walker-s.co.jp/media/free-nocode-tool/

SaaS Log 「徹底比較 おすすめノーコードツール」
https://kigyolog.com/service.php?id=306

アスピック 「ノーコードツール比較15選!タイプ別に紹介」
https://www.aspicjapan.org/asu/article/23016

日系XTECH 「生成AI時代のノーコードツール最前線」
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/mag/nc/18/020600014/053100146/

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