1. TOP
  2. ブログ
  3. ジェネレーティブデザインAIとは?AIに優れた設計案をどんどん出してもらおう!

ジェネレーティブデザインAIとは?AIに優れた設計案をどんどん出してもらおう!

ジェネレーティブデザインAIとは、入力した条件をもとにAIが設計してくれる技術です。(*1)

デザイン設計の工程は、「今までにないアイデアがほしい」「とにかく早く設計案を出さなければ」「試作ばかりでなかなか前に進まない」など、人間の限界にぶつかりがちではないでしょうか。

昔ならとことん考えてアイデアをひねり出すしかなかったのですが、今は行き詰まったらAIに手伝ってもらうことができます。

今回は、ジェネレーティブデザインAIについてご紹介します。

これまでにない画期的なアイデアを、ジェネレーティブデザインAIと一緒に探していきましょう。

この記事を読むと以下の3つのことがわかります

1.ジェネレーティブデザインAIとはどんなもの?

2.ジェネレーティブデザインAIを利用するメリット

3.ジェネレーティブデザインAIが使えるCADソフト2種類

ジェネレーティブデザインAIとは

ジェネレーティブデザインAIとは、具体的にどのようなAIでしょうか。
概要のほかに、従来のAIとの違いや、日本での取り組みについて見ていきましょう。

ジェネレーティブデザインAIはあらゆる業種で活躍する

ジェネレーティブデザインAIは、入力された条件をもとに、いくつものパターンの設計案を出してくれるAIです。

設計案というと、「製造業でしか使えないのでは」と思われるかもしれませんが、今後はあらゆる業種において役立てることができるでしょう。

例えば、オーストラリアのサーフボードテクノロジー企業は、サーフボードの制作にジェネレーティブデザインAIを利用しています。(2) また、家庭用電化製品のロジクールは、ゲーミングヘッドセットの開発にジェネレーティブデザインAIを利用しています。(3)

このように、建築や製造以外のあらゆる業種で、すでにジェネレーティブデザインAIが活躍している事例があります。

ジェネレーティブデザインAIと生成(ジェネレーティブ)AIとの違いは?

ChatGPTやGeminiなどの生成AIは、今ではすっかり日常的なツールとなりましたね。
テキスト入力でメールの文章を作ってもらったり、ちょっとした調べものをしてもらったりと、お仕事で使っている人も多いのではないでしょうか。

ところで、こういった生成AI(ジェネレーティブAI)と「ジェネレーティブデザインAI」とは、何が違うのでしょうか?

ジェネレーティブデザインAIは、生成AIを応用した技術です。(*4)

生成AIは、あらかじめ機械学習によって組み込まれた知識を組み合わせて、最適な答えを探し出すAIです。
ジェネレーティブデザインAIは、入力された条件に基づいて、まったく新しい設計案を生成するAIです。

つまり、生成AIは機械学習によって訓練されたAIで、ジェネレーティブデザインAIは、その生成AIを応用した設計技術ということになります。

ジェネレーティブデザインAIへの日本での取り組み

この革新的な技術について、日本での取り組みはどうなっているのでしょうか。

日本では、2024年1月にジェネレーティブデザインAIの活用を目的として「一般社団法人Generative AI Japan」(GenAI)が発足しました。(*5)

サーフボードメーカーやロジクールのヘッドホンなど、ジェネレーティブデザインAIはすでに多くの導入事例があります。

しかし、法的なガイドラインの整備が追いついていないため、ルール作りや教育についてもこれからといった状態です。
そのため、生成AI活用促進の場として、一般社団法人が設立されました。

1月に発足したばかりのため、まだ具体的な活動実績は発表されていませんが、神戸市の日本マイクロソフトやGoogleCloud六本木オフィスなどを拠点として活動しています。(*6)

ジェネレーティブデザインAIを使うメリットは

設計のサポートをしてくれるジェネレーティブデザインAIですが、実際の業務ではどのように役立てることができるでしょうか?

ここからは、導入した企業の事例から、ジェネレーティブデザインAIのメリットを見ていきましょう。

今までにないアイデアが出せる

自動車メーカーのトヨタでは、シートフレームのデザインにジェネレーティブデザインAIを利用しています。(*7)

シートのデザインは、乗り心地や安全性を左右する重要なパーツです。
デザインの担当者はこれまで、デザイン性と設計条件の板ばさみになりがちでした。
いくら美しいシートをデザインしても、製造段階で実現できないシートフレームでは、市場に出すことはできないからです。

そこで、ジェネレーティブデザインAIを利用してデザインを検討することになりました。
安全性や快適性を満たす条件を入力しておくと、設計条件をクリアしながらも、デザイン性を損なわない斬新なシートフレームを設計することができます。

こうして、シートフレームのデザインにさらなる可能性が広がっています。

設計時間、費用を短縮できる

アイデア以外で設計者を悩ませるのは、コストや制作スケジュールの問題ではないでしょうか。
ジェネレーティブデザインAIを使うと、最適な設計案を素早く提出することができます。

ドイツの自動車メーカー、メルセデスのF1チームは、ジェネレーティブデザインAIを利用してリアサスペンションのパーツを設計しました。(*4)
結果として、6週間の制作スケジュールを48時間にまで短縮することができました。

このように、ジェネレーティブデザインAIを利用すると、人間が取り組むよりかなり迅速に設計案を検討することができます。

試作が最小限に抑えられる

ジェネレーティブデザインAIは高度なシミュレーション機能があり、3Dモデルの段階でも細部の調整ができます。
つまり、実物大の試作品を作る前に、何回でもシミュレーションすることができるのです。

これまでの「手作業で試作品を作って、試験をして、その結果を反復して設計案を修正して…」といった長いプロセスを、ごく短時間で終えることができます。

オーストラリアのサーフボードテクノロジー企業「Lamina」では、サーフボードのデザインにジェネレーティブデザインAIを利用しています。(*2)

通常の工程なら、細部の調整は試作品を製作してから行いますが、ジェネレーティブデザインAIならPC上で行うことができます。
そのため、試作品を作る前に何度もシミュレーションを繰り返し、調整を行いました。

結果として試作品を作る回数を最小限に抑えられたため、制作スケジュールの短縮と費用の削減を実現できたのです。

ジェネレーティブデザインAIが使えるCAD2選

ジェネレーティブデザインAIは、デザイン設計を行う企業にとって非常にメリットが大きいことがわかりました。
ただし、導入するにはジェネレーティブデザインに対応したCADソフトと、必要に応じてサポート費用などが必要となります。

ここでは、ジェネレーティブデザインAIが利用できるCADを2種類ご紹介します。

Autodesk Fusion

CADメーカー、オートデスクの「Autodesk Fusion」は、CAD・CAM・PCBなどの設計に必要なソフトウェアをすべて盛り込んだ設計ソフトです。(*8)

クラウドベースでチームが連携して作業を進めることができるため、国内の遠隔地や海外などに散らばったメンバーで作業するときにも最適です。

費用はサブスクリプションで、1ユーザーで1年96,800円となっています。
ただし、ジェネレーティブデザインAIのシミュレーションは拡張機能となっているため、利用するなら拡張機能「Autodesk Fusion Simulation Extension」の購入が必要です。

Creo

PTCの「Creo」も、ジェネレーティブデザインAIが利用できるCADです。(9) PTCはアメリカのCADメーカーで、スタートアップなどのベンチャー企業への支援に力を入れています。(10)

購入は、サブスクリプションとSaaS製品が選択できます。(*11)
Creoには、ジェネレーティブデザインAIによる設計機能のほか、拡張現実(AR)による設計の可視化機能があります。

また、Creoは3DCADで業界標準となっている世界的なソフトウェアでもあります。
日本でも、オムロンや日本車輛、日立など、大手製造メーカーによる多数の導入実績があります。(*12)

まとめ

ジェネレーティブデザインAIのメリットは、新しいアイデアの発見や、コストと納期の大幅減など、人間では限界のあるチャレンジをサポートできることです。
導入にはコストと時間がかかりますが、設備投資として考えると、競争力強化には必要な経費であるとも考えられます。

製品のデザイン面で、現状では解決できない問題を抱えている方は、ジェネレーティブデザインAIの活用も検討してみてはいかがでしょうか。

建設・土木業界向け 5分でわかるCAD・BIM・CIMの ホワイトペーパー配布中!

CAD・BIM・CIMの
❶データ活用方法
❷主要ソフトウェア
❸カスタマイズ
❹プログラミング
についてまとめたホワイトペーパーを配布中

◆参考URL

*1 AUTODESK 『ジェネレーティブ デザイン AI』

https://www.autodesk.co.jp/solutions/generative-design-ai-software

*2 ADSKニュース『Lamina: サーファーと環境のためにより良いサーフボードを作る』

https://adsknews.autodesk.com/ja/stories/lamina-crafting-better-surfboards-surfers-environment/

*3 ADSKニュース『オートデスク、AU 2021 で新しい Fusion 360 製品設計機能と顧客のイノベーションを紹介 』

https://adsknews.autodesk.com/ja/news/au-21-fusion-360-enhancements/

*4 Design & Make with Autodesk『ものづくりの未来をドライブするジェネレーティブ デザインと生成AI』

https://www.autodesk.com/jp/design-make/articles/generative-design-and-generative-ai-jp

*5 PR TIMES『産学連携での生成AI活用を目的に「一般社団法人Generative AI Japan」を発足』

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001230.000000120.html

*6 Generative AI Japan『Create a place to promote AI AI利活用を促進する場をつくる』

https://generativeaijapan.or.jp/

*7 Design & Make with Autodesk『トヨタがジェネレーティブデザインを活用した先行開発で見据える未来のシートフレーム』

https://www.autodesk.com/jp/design-make/articles/toyota-design-jp

*8 Autodesk『Autodesk Fusion』

https://www.autodesk.co.jp/products/fusion-360/overview?term=1-YEAR&tab=subscription

*9 PTC『AI に基づくジェネレーティブデザイン | 3D CAD』

https://www.ptc.com/ja/technologies/cad/generative-design

*10 PTC『PTC Creators Program™ – スタートアップ向けソフトウェア』

https://www.ptc.com/en/try-and-buy/software-for-startups/startups-creators-program

*11 PTC『Creo パッケージ』

https://www.ptc.com/ja/products/creo/packages

*12 PTC『お客様事例』

https://www.ptc.com/ja/case-studies

    ホワイトペーパーフォームバナー

    【DL可能な資料タイトル】

    • ・プログラムによる建築/土木設計のQCD(品質/コスト/期間)向上
    • ・BIM/CIMの導入から活用までの手引書
    • ・大手ゼネコンBIM活用事例と建設業界のDXについて
    • ・デジタルツイン白書
    • ・建設業/製造業におけるデジタルツインの実現性と施設管理への応用

    詳細はこちら>>>

    PAGE TOP