BOMとは?構築のメリットや種類、方法を解説
製造業において採用されているBOMは、管理業務を遂行する上では欠かせない概念です。
近年は製造業DXが進んでいることで、BOMをシステム化して運用するケースも増えており、現場の負担削減や生産性向上において重要な役割を果たしています。
この記事では、そんなBOMとはどのような概念なのかについて解説しながら、種類と構築の方法について、解説します。
目次:
- BOMとは
- BOM構築のメリット
- BOMの種類
- BOM構築をシステム化する強み
- BOMシステム構築の懸念事項
- BOMシステム構築の方法
BOMとは
BOMとは「Bill Of Materials」の略称で、製造業界で用いられている「部品表」を表す言葉です*1。
製造業における部品は、その一つ一つの品名や型番、数量、製造元といった詳細な情報を管理しなければならないため、繊細な扱いが求められます。
そこでBOMを構築することにより、それぞれの部品の管理を効率よく行うことで、業務上のミスを回避したり、業務そのものを効率化したりすることが可能になります。
BOM構築のメリット
BOM構築は製造業において、
- 業務品質の向上
- 業務負担の削減
といったメリットをもたらしてくれることから、高度な業務環境を整備する上では欠かせない取り組みといえます。
BOMを構築しておくと、管理表を参考にするだけで部品の情報をすぐに把握することができるので、部品の取違えや情報共有のミスを回避することができます。
また、部品情報を把握するための情報検索負担や、コミュニケーション負担を軽減することができるため、素早く業務を遂行しつつ、従業員の負担を削減するのに役立ちます。
BOMの種類
BOMには大きく分けて、以下の4つの種類があります。それぞれでどのような違いがあるのか、ここで確認しておきましょう。
E-BOM
E-BOMは製品設計のためのBOMです。製品設計における仕様要件を満たすために用い、必要な部品をここで管理します。
それぞれの部品には何が使われているのか、どのような仕様で動作するのかといった情報を把握することが可能です。
M-BOM
M-BOMは、製造部品表として知られているBOMです。部品そのものの情報だけでなく、部品がどのような順序で組み立てられるのか、どのような加工工程を経ることになるのかといった情報を把握することができます。
作業のスケジュールをM-BOMを使うことですぐに理解できたり、進捗管理を実施する上で活用したりできる部品表です。
S-BOM
S-BOMはサービス部品表として知られるBOMで、主に保守メンテナンスのようなサービス業務において用いられています。
メンテナンスの際に必要になる部品は何か、という情報を瞬時に把握できるので、メンテナンス業務の効率化や、余計な部品調達によるコスト増大を回避できます。
購買BOM
購買BOMは、調達部門で用いられる部品表のことです。調達部品に関する数量や価格、仕入れ先情報などが一つの表にまとまっているため、見積もり作成の効率化などに役立てられます。
BOM構築をシステム化する強み
BOMは使用用途に応じて使い分けることで、強力な業務効率化を期待できる一方、それぞれを手作業で一つずつ作成するというのは大きな負担がかかります。
そこで活用したいのが、専用のBOM構築システムです。BOM構築をシステム化することで、
- ヒューマンエラーの削減
- 効率的なデータ管理の実現
が実現します。BOM構築を手動で行うのとは異なり、システムを使って自動的に記入を行うので、手作業の際に起こりうる人為的ミスを回避できるのが強みです。二重入力などによる業務遅延のリスクも回避できることから、強力なメリットと言えます。
また、BOMシステムでは部品情報をデータ管理できるので、編集作業も容易に行えます。追加や修正などの作業が必要な際には、システムを開いて簡単な操作で実行できるため、BOM運用の業務負担削減が実現できるでしょう。
BOMシステム構築の懸念事項
BOMシステムは導入さえ実現してしまえば、現場にとって強力な味方となることは間違いありません。ただ、BOMのシステム構築には以下のような懸念事項も発生するため、運用に際しては事前の準備も必要になるでしょう。
品番の整備が必要になる
BOMシステムの構築には、まず品番の整備が必要です。品番は運用の都合上、ある程度統一されているものの、担当者によって品番が異なったり、受注のたびに値が変更されていたりと、業務の煩雑化を招く問題を抱えている事もあるものです。
こういった問題をあらかじめ解消しておかないと、BOMシステムを立ち上げた際にデータ管理がうまくいかなくなってしまうリスクがあるため、まずは時間をかけて品番の整備を進めることが大切です。
BOMの統合を部門間で進める必要がある
BOMは必ずしも全社的に統一されているとは限らず、部門間でBOMを統合する作業が発生する事もあるでしょう。
BOMは部門間によって品目が異なっていたり、振り分け番号が異なっていることがあるため、統合環境のBOMシステムを立ち上げるためには、この部分を解消しなければなりません。
BOMの統合を行わずにBOMシステムを立ち上げると、部門間の連携が妨げられてしまうため、やはり丁寧な統合作業が求められます。
BOMシステム構築の方法
BOMシステム構築の方法は、
- システムの検討
- システムの導入
- システムの稼働
という3ステップがセオリーです。
BOMシステムの導入に際しては、そもそもなぜBOMシステムを導入するのか、どんな問題を解決したいのかを整理することが大切です。
あらかじめ解決したい問題が決まっていることで、課題解決につながる機能を備えたBOMシステムの導入を、円滑に進められます。
導入したいシステムが決まったら、具体的な導入手続きを進めていきます。導入したいBOMシステムが実際の業務とどれくらいギャップがあるのか、何をすればギャップを埋め、システムをフル活用できるのかを整理し、改善のための計画を策定します。
導入の手続きを進めることができたら、稼働フェーズに移行します。従来業務から段階的に脱却し、最終的にはBOMシステムを効果的に運用できるよう、運用状況を評価しながら導入を進めます。
まとめ
この記事では、BOMとは何か、導入によって得られるメリットや、構築の手順について解説しました。
製造業の効率化において、BOMの構築が持つ意味は大きく、それをシステムによって達成することは魅力的な選択肢です。
BOMシステム導入時の懸念事項もふまえ、早期にBOM導入を進めましょう。
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出典:
*1 MONOist「「BOM(部品表)」とは何か? その基礎から最先端のモノづくりを踏まえた在り方まで」
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/1806/20/news134.html