BIM 360の指摘事項機能でリモートワークをスムーズに!使い方と流れをざっくり解説
建設プロジェクトの設計案に問題が起こったとき、どんな方法で連絡を取り合っているでしょうか?
メールやビジネスチャットツールなどさまざまな方法がありますが、どれもいったん図面から離れなければならないし、一括管理も難しいですよね。
Autodesk BIM 360の「指摘事項」機能なら、作図画面上で指摘コメントのやり取りができます。(1) チャットの文章を考える手間もなく、指摘事項の一括管理ができるので、作業時間の短縮につながります。(2)
この記事では、BIM 360の指摘事項についてご紹介します。
指摘事項の基本的な流れと操作を解説していますので、まだ使ったことがない方もぜひ参考にしてみてください。
この記事を読むと以下の3つのことがわかります
1.BIM 360の指摘事項ってどんなもの?
2.BIM 360の指摘事項の基本設定
3.BIM 360の指摘事項の使い方 作成方法と指摘の解決
BIM 360 の指摘事項ってどんなもの?
まずは、BIM 360 の指摘事項がどんな機能なのかを見ていきましょう。
BIM 360の指摘事項機能とは?
BIM 360の指摘事項は、チームで情報共有ができる機能です。
BIM 360のプロジェクトごとに管理ができるため、社外のメンバーともスムーズに共有できます。(*1)
例えば、図面上で干渉しそうな箇所を見つけたとします。
この問題個所を解決するために、指摘事項機能を使って、図面上の問題個所に直接ピンを置きます。
すると、その箇所を担当しているメンバーにメール通知が届きます。
その後、メンバーが問題個所を修正して、指摘事項の状態を「完了」にすることで、指摘事項が解決します。
BIM 360は2024年9月30日で使えなくなる
ところで、BIM 360は2024年9月30日で使えなくなることをご存知でしょうか。
BIM 360は2021年に製品の終了スケジュールが決定し、サポートは2024年9月30日で終了することになっています。(*3)
今後、BIM 360は「BIM Collaborate Pro」となって引き続き提供されます。(*4)
BIM Collaborate Proには、BIM 360のすべての機能に加えて、RevitやCivilの共同作業ができるサービスが含まれています。
現在、BIM 360をお使いの方は、そのままBIM Collaborate Proに移行できます。
BIM 360の指摘事項の基本設定
ここからは、BIM 360の指摘事項を使うための基本設定を見ていきましょう。
最初に、基本的な流れをご紹介します。
BIM 360の指摘事項の大まかな流れ
BIM 360のプロジェクトで、図面を作成した「担当者」と、図面をチェックする「指摘事項の作成者」がいるとします。(*1)
1.作成者が図面のエラーを発見する
2.作成者が指摘事項を作成する
3.担当者が指摘事項を修正して、状態を「解答済み」にする
4.作成者が修正箇所をチェックして、OKなら状態を「完了」にする
以上が、指摘事項機能の基本的な流れです。
指摘事項のステップを増やすことで、さらに他の担当者に、修正やチェックを依頼することも可能です。
プロジェクトの規模や性質に合わせて、指摘事項のワークフローを作っていきましょう。
指摘事項の権限レベルを設定する
BIM 360の指摘事項を作成するには、権限の設定が必要です。(*5)
指摘事項の権限レベルは、プロジェクト管理者が設定します。
権限レベルは、指摘事項を「すべて表示」「作成」「表示と作成」「フルコントロール」の4つのレベルがあります。
どのメンバーにどの権限レベルをセットするか決めてから、設定を行いましょう。
・権限レベルの設定方法
1.BIM 360で「Project Admin」をクリック
2.「サービス」タブから、左側パネルの「指摘事項」をクリック
3.ユーザごとに権限レベルを指定する
4.「追加」をクリック
指摘事項のタイプを設定する
指摘事項には、「タイプ」と「サブタイプ」という属性があります。(*6)
指摘事項は「サブタイプ」として設定します。
「タイプ」には、「屋根」や「全体」など、指摘事項のカテゴリを設定しましょう。
このタイプとサブタイプを設定することで、指摘事項の一括管理がしやすくなります。
・タイプの作成
1.BIM 360で「モジュールセレクタ」をクリック
2.「サービス」タブから、左側パネルの「指摘事項」をクリック
3.「新しい指摘事項のタイプを作成」をクリック
4.指摘事項の名前を入力する
5.「作成」をクリック
・サブタイプの作成
1.「サービス」タブから、左側パネルの「指摘事項」をクリック
2.サブタイプを作成したいタイプの、名前の左にある三角矢印をクリック
3.「サブタイプを追加」をクリック
4.指摘事項の名前と属性を入力する
5.「保存」をクリック
BIM 360の指摘事項の操作方法
指摘事項の基本設定と大まかな流れについて、確認できましたでしょうか。
ここからは、BIM 360の指摘事項の作成と解決の手順について見ていきましょう。
図面上の問題個所を指定して指摘事項を作成する
図面上にピンを置いて、指摘事項を作成する方法はこちらです。(*7)
BIM 360の指摘事項は、Design Collaborationの2Dまたは3Dビューで作成します。
1.Design Collaborationの2Dまたは3Dビューを開く
2.「指摘事項」パネル下部の「指摘事項を作成」をクリック
3.図面上で、指摘事項の押しピンを置きたい箇所をクリック
4.指摘事項のステータスを「下書き」にして、名前を入力する
5.コメント、割り当て先、期日などを指定する
6.指摘事項のステータスを「未完了」にして、「作成」をクリック
指摘事項の作成が完了すると、指定した割り当て先のユーザにメールで通知が送られます。
プロジェクトに対して指摘事項を作成する
指摘事項は、プロジェクトそのものに対して作成することもできます。(*2)
プロジェクトに対する指摘事項の作成には、Autodesk Construction Cloud(ACC)のドキュメント管理ソフト「Document Management」を使います。
1.Document Managementを開く
2.ヘッダの「指摘事項」をクリック
3.右上の「指摘事項を作成」をクリック
4.指摘事項のタイプを選択して、ステータスを「下書き」にして、名前を入力する
5.コメント、割り当て先、期日などを指定する
6.指摘事項のステータスを「未完了」にして、「作成」をクリック
Document Managementでは、PDF形式やCSV形式への指摘事項の書き出しも可能です。
指摘事項の一括管理に利用しましょう。
指摘事項に対応する
次に、指摘事項への対応方法を見ていきましょう。(*8)
図面の修正箇所を指定された担当者には、メール通知が届きます。
1.メール内の「指摘事項を表示」をクリック
2.Document Management の「指摘事項」タブに指摘事項が表示される
3.Model Coordinationを開いて、指摘事項のタイトルをクリック
4.指摘事項を確認する
5.修正、コメント入力、質問等で指摘事項に対応する
6.指摘事項のステータスを「解答済み」に変更する
まとめ
指摘事項は、設計上の問題を発見し、施工前に解決するための機能です。
リモートワークが一般的になってきた今、メンバー間のやり取りをスムーズにすることは、どんな業種でも課題となっている項目ではないでしょうか。
プロジェクトの品質向上と作業時間短縮のために、指摘事項機能を使いこなしていきましょう。
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◆参考URL
*1 ヘルプのホームページ Autodesk BIM 360『指摘事項』
*2 ヘルプのホームページ Autodesk BIM 360『ドキュメント指摘事項を使用するには』
https://help.autodesk.com/view/BIM360D/JPN/?guid=GUID-2E10E17D-D814-4357-AD94-7AD10B1B55D4
*3 Autodesk『Autodesk BIM 360 Teamのサポート終了』
*4 Autodesk『BIM Collaborate Pro』
https://www.autodesk.co.jp/campaigns/aec-collaboration
*5 ヘルプのホームページ Autodesk BIM 360 『指摘事項の権限』
*6 ヘルプのホームページ Autodesk BIM 360 『指摘事項のタイプおよびサブタイプ』
https://help.autodesk.com/view/BIM360D/JPN/?guid=GUID-A57279AB-3E8A-4F61-AF18-AD956042A1B2
*7 ヘルプのホームページ Autodesk BIM 360『指摘事項を作成するには』
https://help.autodesk.com/view/BIM360D/JPN/?guid=GUID-6962A317-4B5B-4DBB-A94C-B3899594E875
*8 ヘルプのホームページ Autodesk BIM 360『指摘事項を確認し、応答する』