BIMモデラーは売り手市場!魅力やなり方を解説します
「BIMモデラー」とは、BIMツールを使いこなしてモデリング業務が行える人のことです。日本でも建築・土木業界でBIMの導入が進んでいますが、BIMツールを使えるBIMモデラーが全く足りていません。
特に人材不足が深刻な建築・土木業界においてBIMモデラーは重宝される人材で、これからますます需要が高まる見込みです。
そこでこの記事では、BIMモデラーの具体的な業務や必要とされる技術やスキル、魅力について解説します。ものづくりが好きな方や、建築・土木業界に興味がある方、BIMを勉強しようか考えている方はぜひ最後までお読みください。
この記事を読むと、以下3つのことが分かります。
1.BIMモデラーの仕事やスキルについて
2.BIMモデラーの魅力
3.初心者からBIMモデラーになる方法について
BIMモデラーの主な仕事について
BIMとはBuilding Information Modelingの略で、設計から維持管理に至るまで情報を一元化して、関係者と共有しながら作業を効率化させていくものです。建築や土木業界の深刻な人手不足解消のため、また属人的で複雑だった技術継承を効率化させるために、国土交通省が主導してBIMを推進しています。
BIMモデラーとは、BIMツールを使い3Dモデルを作る人を指します。モデラーとは立体化したり三次元のものを造ったりする人を差し、例えばCG業界で「モデラー」と呼ばれる場合、CGソフトでキャラクターやオブジェクトを立体化する人のことです。
BIMは「Modeling」とある通り、3Dモデリングが中心となります。BIMモデラーは単に3Dでオブジェクトを作成するだけでなく、各パーツに品番や価格サイズなどの情報を与え、すべての関係者が共有できるモデルを作らなければなりません。
プロジェクトの途中で様々な仕様変更が発生しますが、一か所を変更するだけでBIMツールがほかの連動する部分も変更してくれます。
BIMモデラーに求められる知識やスキル
BIMモデラーとして活躍するためには、以下の知識やスキルが必要です。
- BIMツールを操作できる技術
- 建築業界の基礎知識
- 各関係者とのコミュニケーション能力
BIMはBIMツールを使ってモデリングする必要があり、オートデスクの「Revit」などが有名です。専門性が高く誰でも使えるものではないので、まずはBIMの仕組みや操作方法を身につけることが重要となります。
BIMは3次元データがベースとなりますが、業務の中では図面を読んだり理解したりといった知識もある程度必要です。関係者とやり取りする上でも、建築業界の基礎知識がなければ上手くコミュニケーションが取れません。
BIMモデラーの魅力
BIMモデラーは以下のような魅力があります。
- ものづくりに参加できる
- 今後IT人材として需要が高まる
- 多様な働き方ができる
- CADオペレーターなどからのキャリアチェンジができる
ものづくりに参加できる
BIMは建築や土木といった業務を効率化させるためのもので、ものづくりに直結するお仕事です。大きな建物に興味がある、橋や道路づくりに参加したい……など、ものづくりが好きな方はBIMモデラーに向いているでしょう。
BIMの主な業務は、BIMツールの中で3Dモデリングを行い、デジタル空間の中で完成モデルを作成することです。
図面や設計図など2次元データを基盤とした建築、土木工事では完成するまで全貌が明確にわかりません。しかしBIMなら3Dモデリングによって細部に至るまでイメージを作り込むので、ものづくりが好きな方は楽しさややりがいを感じることができます。
今後IT人材として需要が高まる
日本は海外に比べるとBIMの導入が遅れているといわれがちですが、その大きな原因の1つは「人材不足」です。
つまり今のうちにBIMのノウハウを身に付けておけば、人材として高い価値を身につけることができます。
野原グループが2024年に行った調査によると、「建設業界で最も深刻な課題」として挙げたのは以下3つであり、人手不足が63.0%と最多であることがわかっています。(※1)
- 人手不足…63.0%
- 高齢化による技術継承…45.3%
- 円安などによる建材・人件費の高騰…30.2%
特に人手不足についてはその深刻度が前年比+6ポイントとなっており、年々悪化しています。全体的に少子高齢化が進む日本では、属人性の高かった建設・土木分野では経験やスキルを持つ職人が高齢化していることもあり深刻な問題です。
また人手不足の問題は中小企業よりも大手企業の方が深刻度は高く、BIMの技術や知識を高めることで大手企業への就職・転職もしやすくなるかもしれません。
多様な働き方ができる
BIMモデラーはリモートワークで働けることも多く、毎日出勤できない・フルタイムで働けないという方にもチャンスがあります。
特にCAD業務では特定のPCにソフトをインストールすることが多く、働く=ツールがインストールされたPCがあるオフィスへの出勤が必須、というケースがほとんどでした。しかしBIMツールはクラウドタイプが多く、自宅のPCからでも操作可能です。もちろんその会社の運用や自宅PCのスペックなどの条件が揃わなければなりませんが、実際にリモートワークOKとして求人を出しているケースも多く、在宅やリモートワークを希望する方にもおすすめです。
CADオペレーターなどからのキャリアチェンジができる
建築設計における技術といえば、BIMの導入が始まる前はCADが最有力でした。AutoCADなどのCADツールで図面作図補助をするCADオペレーターは、現在でも建築業界で活躍しています。
BIMは誰でも簡単にできるものではなく、BIMツールの操作技術以外に図面を読むなど建築分野の知識も必要です。すでにCADオペレーターとして活躍している方は図面が読めたり建築・土木への知識があったりするので、BIMにおいても重宝します。
すでに国内でのBIMにおける求人でも、CADスキルを重視する傾向が強いです。
CADとBIMは混同しがちですが、基本となるデータが違います。CADでも3DCADがありますが、あくまでも2次元データが基本です。まず2次元データから製図を行い、必要に応じて3DCADで立体的にしていきます。
対してBIMは、BIMツールによって最初から3Dでモデリングを行います。そして必要に応じて、設計図などの2次元データを作成するのです。モデリングしている3Dデータは健在や部品1つずつに、品番やサイズを付与していきます。
CADとBIMはツールや流れも大きく違いますが、どちらにしても建築・土木に関する知識があるに越したことはありません。その点、知識や経験を持っているCADオペレーターはBIMモデラーとして重宝されるでしょう。
未経験からでも目指せる!BIMモデラーになる方法
BIMモデラーになるためには、以下の4つの方法が挙げられます。
- スクールに通う
- 企業やベンダーが主催する勉強会に参加する
- 独学で学ぶ
- 未経験OKの求人に募集する
最近ではオンラインスクールでBIMを学ぶことができます。例えばオートデスクなら学生や教員なら教育期間限定ライセンスとして1年間無償で製品を利用できるので、使わない手はありません。(※2)
またBIMが使える人材を増やす目的で、BIMツールのベンダーや国内の企業が育成プログラムを開催することがあり、未経験の方に大変おすすめです。
ある程度予備知識があったり周りに詳しい人がいたりする場合は、独学で勉強するのも良いでしょう。BIMツールで有名なオートデスクは公式サイトでマニュアルを公開していますし、YouTubeの公式アカウントで解説動画を出しています。
→オートデスクのYouTube公式アカウント
https://www.youtube.com/@AutodeskJapanBIM
独学で勉強してある程度技術やスキルが身に付いたら、ベンダーが主催する資格取得やポートフォリオを作成すると就職に有利です。BIMツールは高額で個人だと購入しにくいですが、学生ライセンスが使えれば1年間は無償利用できます。また「半年だけ」など期間を決めて、1か月ごとのサブスクリプション契約にする方法もあります。
国内ではまだまだBIMに長けた人材が少なく、業界的に慢性的な人不足状態です。そのため未経験の人を採用して企業で育成してもらえることも多く、これはBIMモデラーとして大きな経験になります。
「未経験歓迎」とあってもこれまでの経験やスキルは重視され、建築業界での経験やCADの実務経験があればより有利です。国がBIM推進に力を注いでいる今こそチャンスで、未経験から飛び込んで、働きながら学ぶのも良いでしょう。
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参照サイト:
※1 https://nohara-inc.co.jp/news/release/8717/
※2
https://www.autodesk.co.jp/education/edu-software/overview?sorting=featured&filters=individual