Revitクラウドワークシェアリングとは?BIMのチーム作業をもっと快適にするサービス
Revit クラウド ワークシェアリングとは、BIM Collaborate Proを使って、チームのメンバーでRevitモデルの共同作業ができるようになるサービスです。(*1)
この記事では、Revit クラウド ワークシェアリングを導入した企業の具体例をもとに、コストや作業時間がどう変わったのかを解説していきます。
また、同様のサービスを導入した場合のコストや、作業時間の比較も検証します。
Revit クラウドワークシェアリングが、業務の改善にどのように役立つかを検討していきましょう。
この記事を読むと以下の3つのことがわかります
1.Revitのクラウド ワークシェアリングとはどんなサービスか
2.企業の導入事例
3.類似サービスの価格や機能の比較
Revit クラウド ワークシェアリングとは?
Revitのクラウド ワークシェアリングには、主に3つの機能があります。
ひとつずつ簡単に見ていきましょう。
リアルタイムで同時に共同作業ができる
Revitのクラウド ワークシェアリングでは、リアルタイムで同時に共同作業ができます。(*1)
使い方はシンプルで、共有するプロジェクトやメンバーを設定し、Revitのクラウド ワークシェアリングから、BIM Collaborate ProへRevitモデルをアップロードします。
(RevitとAutodesk BIM Collaborate Proのサブスクリプションの購入が必要です)(*3)
ひとつのファイルで同時に作業ができるので、作業効率が大幅にアップします。
常に最新の状態で共同作業ができる
Revit クラウド ワークシェアリングを使うと、「中央モデルとの同期」ができます。(*1)
クラウドに保存した中央モデルを更新すると、メンバーが作業中のローカルモデルも、中央モデルに合わせて同期させることができます。(*4)
こうして、どのメンバーも常に最新の図面を共有することができます。
公開オプションが設定できる
Revit クラウド ワークシェアリングでは、BIM Collaborate ProにRevitモデルをアップロードして作業します。
このとき、中央モデルのシートとビューについて、どのページを公開するか、公開オプションを設定することができます。(*1)
必要なシートだけ公開できるので、設計担当者以外も効率が上がりますね。
企業の導入事例
Revit クラウド ワークシェアリングを使うと、チームのメンバーでスムーズに作業ができるようになります。
では、実際に導入すると、どんな変化があるのでしょうか?
Revit クラウド ワークシェアリングを導入した企業の事例を見ていきましょう。
導入のきっかけはBIMプロジェクトの効率を最大化するため
イギリスのBuroHappold Engineering(ビューロハッポルド・エンジニアリング)の事例です。(*5)
同社は、アメリカにあるブラウン大学工学部の新しい研究センターの建設を成功させました。
研究センターは80,000平方フィート(およそ7400平方メートル)という大規模な建築物で、社内外のチームと連携して取り組む必要がありました。
そこで、効率を最大化するために、BIM 360(現在の「BIM Collaborateソフトウェアシリーズ」)を採用し、プロジェクトに取り組みました。
作業時間を20%短縮
Revit クラウド ワークシェアリングを採用した結果、同社は全体の作業時間を20%短縮することができました。(*5)
チームのメンバーで同時に作業できたこと、変更がすぐに反映され共有されたこと、この二つが大きく時間短縮に貢献したとのことです。
また、チーム全体のワークライフバランスも大きく変わったと語っています。
コストは90%の削減
全体のコストはなんと、90%の削減となりました。(*5)
最初に採用を検討していた「Panzura」のコストの10%ほどに抑えられたこと、設計データを後工程で使用できたことが大きな要因です。
BIM Collaborateを使うと、モデルの干渉チェックや調整もワークフローに結合できます。
そのため、設計データを使って、設計者と現場の担当者が干渉チェックのやりとりを行えるようになりました。
チームのメンバーで設計データを介して問題を共有できるので、作業時間が大幅に短縮され、コスト削減につながりました。
Revit クラウド ワークシェアリングと類似サービスの違いを比較
Revit クラウド ワークシェアリングを使わずに、他のサービスで同様のシステムを構築した場合、どのような違いがあるでしょうか?
ここからは、上の項目でご紹介した会社が導入を検討していた「Panzura」と、「Revit クラウド ワークシェアリング」の違いを比較していきます。
導入までの時間
Panzuraは、クラウドストレージをオンプレミス型ファイルサーバ(自社に据え置きで使うファイルサーバ)のように利用する、ハイブリッド式のクラウドサーバです。(*6)
クラウドでありながら、据え置きファイルサーバのような使い勝手のよさがあることが特徴です。
Panzuraを導入するには、まずはお問い合わせして要望を伝えて、見積りをとり、と時間がかかります。
しかし、担当者がつき、自社にぴったりのオンリーワンシステムを構築してくれるというメリットがあります。
Revit クラウド ワークシェアリングを導入するには、ソフトウェアをサブスクリプションで購入後、ダウンロードして設定します。
早ければ、思い立って購入したその日のうちに使い始めることができます。
使い方がわからなくなった場合は、オンラインでのサポートサービスがあり、営業時間中はいつでも相談することができます。
コストを比較
「Panzura」は利用料金が公開されておらず、見積りで価格が決定する仕組みです。(*7)
価格の参考に、Panzuraを利用したクラウドストレージサービスの費用を見てみましょう。
株式会社インターネットイニシアティブによる、Panzuraを利用した中小規模向けのクラウドストレージサービスの料金がこちらです。(*8)
初期費用は、ハードウェア・シングル構成で398万円となっています。ただし、導入費用、サブスクリプションは別途必要です。
さらにここから、BIMソフトウェアの料金も発生するでしょう。
Revit クラウド ワークシェアリングを利用する場合の費用はこちらです。(3) BIM Collaborate Pro の価格は、1ユーザー・1年で158,400円です。(9)Revit の価格は1ユーザー・1年で427,900円です。(*10)
合計で、1ユーザー・1年で586,300円となります。(記事執筆時点2023年12月12日)
この金額にはRevitのサブスクリプションも含まれるため、合計金額内で最新のBIMソフトウェアを使うことができます。
機能を比較
Panzuraはクラウドストレージサービスです。
ファイルを共有して作業するなら、ワークシェアのルールを作る必要があります。
チームのメンバーで図面を複数に分けて作業した場合は、変更した部分の共有をその都度行い、常に最新の図面で作業する必要があります。
そのため、作業時間に図面を同期する時間が加わることになります。
Revit クラウド ワークシェアリングは、ワークシェアをするためのサービスです。
共同作業に特化しているので、中央モデルとの同期や、リアルタイムの同時作業などがスムーズに行えます。
さらに、BIM Collaborate Proを使うと後工程への図面の共有ができるため、干渉チェックなどの作業時間も短縮が可能です。
まとめ
Revit クラウドワークシェアリングとは、BIMを使ったチームの共同作業を快適にするサービスです。
チームの共同作業は、効率の最大化がコストに直結します。
現在お使いのBIMソフトウェアや作業環境に、「あともうちょっと」と感じる部分がある方は、ぜひ検討してみましょう。
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❹建設業界におけるDX
◆参考URL
*1 AUTODESK BIM 360『Revit クラウド ワークシェアリング』
https://www.autodesk.co.jp/bim-360/design-collaboration/revit-cloud-worksharing/
*2 AUTODESK HELP『Autodesk Design Collaboration Revit モデルを共有する』
https://help.autodesk.com/view/COLLAB/JPN/?guid=Design_Collab_Share_Revit_Models
*3 AUTODESK HELP『AUTODESK Revit 2024 Revit Cloud Worksharing にアクセスする方法について』
https://help.autodesk.com/view/RVT/2024/JPN/?guid=GUID-F7295877-241B-4A97-B71C-C714D2CEC7C9
*4 AUTODESK HELP『AUTODESK Revit 2024 ワークフロー: Revit Cloud Worksharing』
https://help.autodesk.com/view/RVT/2024/JPN/?guid=GUID-ABFFFEE6-2C6D-4779-B508-A1C4BC0C4885
*5 AUTODESK『BuroHappold Engineering のブラウン大学 IPD プロジェクトのコストを大幅に削減 BIM 360 DESIGN および BIM 360 GLUE ユーザー事例』
https://www.autodesk.co.jp/customer-stories/burohappold
*6 Panzura『トップページ』
https://www.scsk.jp/sp/panzura/index.html
*7 Panzura『FAQ Panzuraに関するよくあるご質問』
https://www.scsk.jp/sp/panzura/contact.html
*8 クラウド Watch『IIJ、「IIJクラウドファイルサーバソリューション」に中小規模向けのゲートウェイ製品「FOBAS」を追加』
https://cloud.watch.impress.co.jp/docs/news/1170621.html
*9 AUTODESK『『Autodesk BIM Collaborate Pro: チーム、ワークフロー、インサイトのすべてを一元管理。』
https://www.autodesk.co.jp/products/bim-collaborate/overview?term=1-YEAR&tab=subscription&plc=COLLRP
*10 AUTODESK『『Autodesk Revit: 設計と施工のための BIM ソフトウェア』
https://www.autodesk.co.jp/products/revit/overview?term=1-YEAR&tab=subscription