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BIMの活用に関するロードマップとは|3つの目的と原則適用の内容を解説

2020年、国土交通省は建設業などの業務フローの効率化を目指した具体的な方針としてBIMの活用に関するロードマップを示しました。しかし、ロードマップの存在自体は聞いたことがあるものの、具体的な内容を詳しく把握していないという方もいるのではないでしょうか。

本記事ではロードマップの概要と目的を解説します。また、2023年度以降原則として適用しなければならない事項にもふれていくため、ぜひ参考にしてください。

この記事を読むと、以下のことがわかります。
1.ロードマップの概要と目的
2.原則適用の内容

BIMの活用に関するロードマップとは

2020年2月、国土交通省は建設業などにおける公共事業だけでなく全事業においてBIM/CIMを導入・活用するための具体的な方針を打ち出し、ロードマップを公表しました。導入時期の目標は2025年度を目処としており、ロードマップの目的として次の3つの項目を掲げています。

・規格などの標準化
・システムやサービスの普及、活用する企業に対する促進
・活用の高度化

それぞれの目的に対し具体的な進め方や目標を示し、BIM/CIMを導入および活用する企業数の拡大を図ろうとしています。

BIMの活用に関するロードマップで提示された3つの目的

ロードマップには3つの目的が提示されました。ここでは、3つの目的の内容を詳しくみていきましょう。

1.標準化を図る

1つ目の目的は関連する規格などの標準化です。具体的には次の3つの標準化を目指しています。

・国内の規格
・業務フロー
・形状や属性情報

建設の生産および管理システムに携わる全ての関係者がBIM/CIMに関連するシステムやサービスなどをスムーズに運用できる環境構築が目標です。2025年までに3次元に留まらず、4次元・5次元データの標準化を目指しています。

2.普及および促進を行う

2つ目の目的は関連のあるシステムやサービスの普及および活用を検討している企業に対する促進です。導入により業務の効率化・高機能化を図るためには、できる限り多くの企業に広く浸透させる必要があります。広く浸透させるためには導入しやすい環境を整え、促進することも重要なポイントです。

浸透させるための取り組みの具体例としては次の3つが挙げられています。

・適用可能な事業を拡大する
・関連するシステムやサービスを使いこなせる人材を活用する
・業務の効率性を向上させるシステムの普及

BIM/CIMを使いこなせる人材を活用し、効率化を図るシステムを導入することで、環境を整えることを目標としています。

3.活用の高度化を図る

3つ目は公共事業におけるBIM/CIM活用の高度化です。具体的には次のような目標を立てました。

・公共事業の品質の確保および向上
・発注関係における事務作業の根本的な見直し
・データ活用の拡大

2025年度までにBIM/CIMを活用した契約の標準化や設計照査および監督、検査要領への反映などを目標として掲げています。

ロードマップにおける課題

2020年2月に公表されたロードマップに掲げられていた目標は、2025年度までに達成すべき項目として記載されていました。しかし、2020年7月に行われた「第1回国土交通省インフラ分野のDX」の会議において、公共事業における原則適用の開始時期を2023年度までに前倒しすることを発表しました。(*2)

前倒しの要因としては新型コロナウイルスの影響が想定されます。新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、テレワークやオンラインツールの活用が促進されました。多くの企業においてもデジタル化が促進され、働き方も大きく変化しました。企業のデジタル化および働き方の変化により、煩雑な業務フローを効率的に遂行できるという見解になり、目標の前倒しに踏み切っています。

時期の前倒しで想定できる課題の1つに人材不足が挙げられます。体制の構築を進めたいものの、システムやツールを使いこなせる人材が不足しており、導入に踏み切れない企業も少なくありません。人材不足に対し国土交通省は次のような対策を検討しています。

・全国で使用できる研修プログラムおよびテキストの作成
・研修に遠隔からも参加できるWebinarを活用する
・ARやVRなどを活用しつつモデル事務所の事業と連携して研修を実施する

BIMの活用に関するロードマップにおける原則適用事項の内容

2023年には第10回 BIM/CIM推進委員会が開催され、最新のロードマップが公表されました。加えて、公共事業において原則として対応しなければならない原則適用事項が2つ明示されています。(*3)

・3Dモデルの作成および活用
・データシェアリング

ここでは、それぞれの内容をみていきます。

3Dモデルの作成および活用

1つ目は事業や工事の規模・必要性に応じ、3Dモデルを作成・活用することです。2023年以降、発注者は3Dモデルを活用する目的を次の2つの項目から1つを選択し、どちらかに設定しなければなりません。

項目取り組みやすさ内容
義務項目比較的容易・サイズや寸法などを視覚化し、効果を高める・精度が求められる・しばらくは2Dモデルを使用しつつ3Dモデルを作成する
推奨項目高度な内容・視覚化による効果を高める・施工後に外部から見えない箇所も3Dモデルで解析できるようにする・施工管理時の省人化を図る・大規模な業務および工事で有効的

2つの項目の区分は業務や工事、特性に適しているものを発注者が選びます。発注者の決定を基に、受注者が作成する手順です。

データシェアリング

2つ目の原則適用事項では発注者の義務としてデータシェアリングを提示しています。業務や工事などを契約した場合、発注者は受注者に対し、次のような行動を実行するように求めています。

・設計図の作成にあたり、基となった情報を共有すること
・受注者が希望した電子データを含む参考資料を貸与すること

事前に契約者が受注者に対し必要な情報の根拠となる資料を提示することで、契約後の工事および業務へのスムーズな着手を図ります。

まとめ

国土交通省はBIMの活用に関するロードマップを発表しました。目標を達成するためには、関連性のある規格を標準化し、システムなどを導入しやすい環境の整備が不可欠です。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くの企業でデジタル化が進み、働き方も大きく変化しました。この影響を受け、国土交通省は目標達成を2025年度から2023年度へと前倒しすることを発表しています。

また、2023年1月には今後の具体的な方針として2023年度から対応しなければならない原則適用が2つ提示されました。原則適用は3Dモデルの作成および活用とデータシェアリングの2点です。対応するためにも、3Dモデルを作成できるスキルの習得が不可欠となるでしょう。

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*3

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https://www.mlit.go.jp/tec/content/001624301.pdf

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