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BIM時代の新人材「BIMコーディネーター」とは その役割や資格を紹介

幅広いプロジェクトでBIMが導入されるようになり、オフィスや建設現場に新たな役割が登場しています。「BIMマネージャー」と「BIMコーディネーター」が代表格として挙げられますが、BIMコーディネーターの詳細については、情報が少ないのが現状です。

そこで、この記事では、BIMコーディネーターの役割や、おすすめの資格を紹介します。建設DXの核であるBIMを武器として活躍したい方は、ぜひご覧になってみてください。

BIMを司る新たな役割とは

BIMは、プロジェクトの企画・設計・施工・運用・維持管理において一貫して活用されることを目指さしており、建物に関する膨大な情報を含みます。そのため、プロジェクト全体をとおしてBIMのすべての情報を把握し、適切に管理する役割が必要になりました。

そこで新たに登場したのが、「BIMマネージャー」と「BIMコーディネーター」です。ここでは、BIMマネージャーとBIMコーディネーターの役割について解説します。

BIMマネージャー*1

BIMマネージャーの役割は、会社のBIM運用の方針や、プロジェクトのBIM実行計画書(ERI・BEP)を理解し、それらに沿ってプロジェクトのBIMを管理することです。建築主・設計者・施工者がBIMを活用する目的を把握し、その達成に向けてBIMの運用をコントロールします。具体的には、建築主と協議をしながらBEPを策定し、設計者・元請事業者・専門工事事業者の間に立って工程やモデルの取り合いを調整していきます。

国土交通省が「建築BIM加速化事業」で公表しているBIMの体制イメージでは、以下のように位置づけられています。

BIM体制イメージ(設計)

*2

引用)国土交通省「建築BIM加速化事業について P.3」

https://r5-6bim-shien.jp/wp-content/uploads/2024/01/R5-6_bim_kasokuka.pdf

BIM体制イメージ(施工)

*2

引用)国土交通省「建築BIM加速化事業について P.4」

https://r5-6bim-shien.jp/wp-content/uploads/2024/01/R5-6_bim_kasokuka.pdf

BIMを積極的に導入しているスーパーゼネコンでは、設計段階では設計部、施工段階では現場配属の人材が、BIMマネージャーを担当するのが一般的です。プロジェクトを深く理解でき、なおかつBIMに明るい人材が、BIMマネージャーに適任といえるでしょう。

BIMコーディネーター*3

BIMコーディネーターは、BIMを運用するに当たって必要な環境の整備やモデリングの支援が、主な役割です。BIMマネージャーが主にBIM運用の管理を担当するのに対し、BIMコーディネーターは実作業の進行をサポートします。

BIMコーディネーターが、部分的にモデリングを担当することもありますが、基本的には運用支援に徹した方がプロジェクトはスムーズに進みます。BIMコーディネーターがモデリングまで担当してしまうと、BIMの全体像を把握しながらチームをサポートするのが難しくなるからです。

令和6年度の建築BIM加速化事業では、BIMコーディネーターの費用に関する補助対象が拡大されたため、BIMコーディネーターを設置しやすくなりました(*2_P.6)。

BIMコーディネーターの役割

次に、BIMコーディネーターの役割を詳しくみていきましょう。

BIM環境の整備

BIMを導入するには、適切なスペックのパソコンや周辺機器、ネットワーク、クラウド環境、ソフトウェアなどが必要になります。しかし、これらの環境の整備が追い付いていない企業も多く、また、スーパーゼネコンなどにおいても数年単位で新しいシステムやソフトウェアを導入しているのが実情です。

BIMコーディネーターの最初の役割は、会社や建築主がBIMを運用する目的を理解し、目的どおりの使い方ができる環境を整えることです。設計者や施工者、建築主が、BIMの操作でストレスを感じてしまうと、BIMに触れる機会が減り、運用する意義が薄れてしまいます。プロジェクトのライフサイクルをとおしてBIMを有効活用するには、BIMコーディネーターによる適切な環境整備が欠かせません。

BIMのモデリングや運用・活用の支援

実際にモデリングが始まり、干渉チェックや打ち合わせでBIMが活用されるようになると、BIMモデラ―や設計者、施工者、建築主からBIMのモデリングや運用・活用方法に関する質疑・要望が発生します。これらの質疑や要望に応え、BIMの正確なモデリングや適切な運用・活用を支援することも、BIMコーディネーターの役割です。

専門工事業者の作図担当者や職人などは、BIMなどの最新技術に慣れていないこともあります。その場合でも、できるだけ多くの関係者が不自由なくBIMを操作できるように支援することが大切です。異なる立場の関係者がBIMに触れることで、BIMに多くの情報が集約され、モデリング段階で課題を発見しやすくなります。課題の解決に素早く取り組めるようになるため、手戻りの少ない建設プロセスを実現できます。

プロジェクトの管理

BIMコーディネーターは、BIMマネージャーと連携を取りながら実作業を支援するため、BIMマネージャーのプロジェクト管理を補助するシーンもあります。特に、モデリングの進捗については実作業を間近で見ているBIMコーディネーターの方が適切に把握しているケースもあるので、スケジュール管理に関する助言を積極的にできると重宝されるかもしれません。

プロジェクトの特性に応じた役割

現状では、BIMマネージャー・コーディネーターの役割に関する明確な定義はありません。会社やプロジェクトによって求められる役割が異なるので、関係者と目線合わせを行ってから実務に当たりましょう。

BIMコーディネーターにおすすめの資格

BIMマネージャー・コーディネーターに必須な資格はありません。資格の有無に関係なく、BIMに詳しい、もしくは、新しいシステムに柔軟に対応できる人材が、担当しているのが一般的です。そこで、ここでは、BIMコーディネーターに相応しいBIMスキルを証明できるおすすめの資格を紹介します。

BSI国際規格の認定資格(ISO19650関係)*4

・BIMプロジェクトインフォメーション資格(ISO-19650-2)

・BIMアセットインフォメーション資格(ISO-19650-3)

イギリスの規格協会であるBSI(British Standards Institution)は、ISO19650に関する上記の認定資格を設置しています。ISO19650は、ライフサイクル全体にわたるBIMを活用した建設プロセスに関する国際規格です。日本でもISO19650を導入する事例が増えているため、これらの資格を取得することで活躍の場を広げられるでしょう。

ソフトウェアに関する資格*5*6

・Revit Architecture ユーザー試験(Autodesk)

・Archicad BIM 認定試験(Graphisoft)

現在、BIMソフトウェアとして主流になっているのが、「Revit」と「Archicad」です。それぞれの開発元であるAutodeskとGraphisoftは、BIMやソフトウェアの知識と技術を証明する認定試験を設置しています。これらのソフトウェアでBIMを運用する企業に対しては、説得力のある資格といえるでしょう。

国内の汎用資格*7*8

・BIM利用技術者試験(ACSP)

・BIM/CIM管理技士資格認定試験(JCITC)

「BIM利用技術者試験」は、コンピュータ関係の検定試験に特化した組織であるACSPが設置したBIM資格です。2023年に先行して「2級」が開始され、2024年からは「1級」と「準1級」が始まります。

「BIM/CIM管理技士資格認定試験」は、建設工事における安全、技術、品質の向上を目指す財団法人であるJCITCが設置したBIM資格です。JCITCは、BIM/CIM管理技士資格を「BIM/CIM 活用業務の適正な執行を監理する者、業務に関する技術上の事項を処理する者、又は業務成果の照査に当たる者に与えられる資格」(引用:JCITC*8)と定義しています。

どちらもまだ新しいですが、国内では珍しい汎用的なBIM資格です。ソフトウェアに限定されないBIMの全体的な知識やスキルを身に付けるには、よい資格といえるでしょう。

おわりに

BIMコーディネーターは、建設DXで登場した新しい役割であり、明確に定義されていません。必要とされる資格もないため、BIMの知識があれば誰でも担当できます。BIMで建設プロセスを変えていきたいと考えている方は、挑戦してみてはいかがでしょうか。

(3095字)

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注釈

*1

出所)BuildApp News「BIMマネージャーとは|BIM用語集」

https://news.build-app.jp/glossary/bim-manager/

*2

出所)国土交通省「建築BIM加速化事業について」

https://r5-6bim-shien.jp/wp-content/uploads/2024/01/R5-6_bim_kasokuka.pdf

*3

出所)Autodsek「建設DXの実現に向けたBIM導入で、BIMマネージャーが果たす役割とその重要性」

https://www.autodesk.com/jp/design-make/articles/bim-manager

*4

出所)BSI「BIM資格を取得し、専門的知識の習得を証明する」

https://www.bsigroup.com/ja-JP/our-services/training-courses/BIM-training-solutions/bim-qualifications/

*5

出所)Autodesk「オートデスク認定 Revit Architecture ユーザー」

https://www.myautodesk.jp/certification/user_Revit.html

*6

出所)Graphisoft「Archicad BIM 認定試験」

https://graphisoft.com/jp/training/archicad-bim-user

*7

出所)一般社団法人コンピュータ教育振興協会「BIM利用技術者試験」

https://www.acsp.jp/bim/

*8

出所)公益財団法人日本建設情報技術センター「BIM/CIM管理技士資格とは?」

https://www.jcitc.or.jp/bimcim_execution_manager/info/

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