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建設業界におけるCDEとは

令和5年から始まったBIM/CIMの原則適用もあり、BIM導入を進める企業も増えてきています。

関連情報が多い建築・建設業界がBIM化を進めるうえで重要になってくるのが、プロジェクト関係者全員が、平等にプロジェクトに関する情報へアクセス可能な領域、CDEです。

この記事では、建築、特にBIMとの関連という観点からCDEについて解説します。

この記事を読むと以下の3つのことがわかります。

(1)CDEとはなにか

(2)なぜCDEが重要なのか

(3)海外の事例

CDEとは

CDEとは、Common Data Environment の略で、日本語では「共通データ環境」と訳されます。

プロジェクトにおける情報の共有、管理、および文書化をサポートする一元的なデジタルプラットフォームを指し、プロジェクトチームメンバー全体がプロジェクト関連情報に平等にアクセスし、プロジェクトを円滑化・効率化することを目的としてます。

日本国内で有名なCDEサービスとして以下のものが挙げられます。

  • Autodesk社「Autodesk Construction Cloud(ACC)」*1
  • Catenda社「Catenda Hub」*2
  • Rendra社「StreamBIM」*3

CDEで何ができる?

CDEの理想的な在り方としては、「プロジェクトの様々な情報の集約」「プロジェクトメンバーが常に”同じ”レベルの情報にアクセスできること」「プロジェクト情報の機密性が高い・担保されていること」です。 

建築・建設業界に限った話ではないのですが、プロジェクトを進行していく中で、「特定のファイルや情報を誰が持っているのか、どこにあるのかわからない」「どのファイルが最新なのかわからない」というのは、よくある話ですよね。

それに対し、CDEには常に最新のモデルや図面が集約され、だれがいつアクセスしても、同じレベルの情報を見られるのが大きなメリットになります。

他にも、セキュリティが担保されるというのも大きなメリットの一つです。

建築・建設業界は、ひとつのプロジェクト関係者が大変多いです。誤って情報が他の関係者に漏れてしまう可能性もあります。 CDEでは、プロジェクト管理者がメンバー1人ひとりに対して権限を設定して、閲覧できる情報を制限することが可能です。

上記のための代表的な機能としては、

  • ユーザーの閲覧権限管理

→プロジェクト責任者がメンバーの権限を設定

  • 3Dモデルのビューワー

→最新のモデルをWeb上で常に確認できる

  • モデルへの指摘事項(コメント)の追加・管理

→別ファイル等にまとめるのではなく、CDE上で完結

  • 図面ファイル・PDFなどのドキュメント管理

→常に最新情報を集約

  • ステータスによる進捗管理

→進捗報告が省略

  • ダッシュボードでの進捗集計機能

→ひとめで状況把握が可

などが挙げられます。

ドキュメント管理や権限管理などは、メイン機能としてほとんどのサービスに備わっています。

しかし、その他の指摘事項やダッシュボードなどは、サービスによってあったりなかったりで、そのサービス独自の機能もあったりします。

また、APIが公開されているサービス・製品であれば、機能を追加したり、業務フローに合わせてカスタマイズが可能となります。

なぜCDEが重要なのか

CDEの有用性として、具体的には以下のような点が挙げられます。

  • 手間・コストの削減

建設業界は、一つのプロジェクトに対して施主、設計者、建築家、メーカー、エンジニア、施工者、解体業者など関係者が非常に多いです。


従来の建設業界の業務フローでは、関係者間で情報の不整合が発生することがあります。
それに対しCDEでは、上記でも述べたように、ひとつの領域にすべての情報やファイルが集められ、プロジェクトメンバー全員が常に最新の情報を得られます。

これにより、手戻りや情報管理のミスが減り、コストカットやプロジェクトの円滑化・効率化につながります。

  • BIMモデルの活用

CDEは、BIMモデルを使用したプロジェクトにのみ有用なものではありませんが、特にDX・BIM推進という観点から考えると、重要なものになります。

BIMがCADと決定的に異なるのは、ファイル・モデルに含まれる情報量の多さです。そのため、BIMそのものがプロセス・資産管理の中心として位置します。

CDEが単なる情報の置き場ではなく、BIMを組み込むことで、情報の活用場所にもなるのが、CDEとBIMの組み合わせたときの有用性の一つになります。*4

  • BIM 情報管理の国際標準ISO19650への準拠

ISO 19650は、国際標準化機構が定めたBIMの活用に関する国際基準で、建物資産のライフサイクル全体を通じて情報を管理するための国際的な標準規格です。国内では大和ハウスを皮切りとして、この規格の認証を取得する企業が増えてきています。

CDEはその中で、「特定のプロジェクトまたは資産のために共有する情報供給源であり、管理されたプロセスによって各情報コンテナを収集、管理、配布するためのもの」と記載されています。*5

ISO19650認証を取得するためにも、CDEの整備は必要不可欠となります。

海外のCDE導入事例

シンガポールを拠点として中国、マレーシア、ベトナムで国際的に事業を展開するBoustead Projects Limited 社は、Autodesk社のCDE製品であるAutodesk Construction Cloud(ACC)の中のAssemble、Autodesk BIM Collaborate、および Autodesk Buildを導入し、プロジェクトの設計から施工を連携させました。

それにより、電子メールやファイル転送によるやり取りから、より一元的なシステムへ移行し、プロジェクトの各ステップの円滑化・効率化に成功しました。

具体的な導入効果は以下の通りです。

  • 施工における詳細の最終決定まで、現在では受注から3ヵ月以内での完了
  • BIM により管理されたプラットフォームにおいて、物流管理の時間を 30% 短縮
  • QC プロセスを 40% 改善 (2.5 時間から 1.5 時間へ短縮)
  • 欠陥の発見と是正の迅速化
  • 検査の承認時間の短縮
  • BIM の設計変更と製造における不履行の削減
  • 建設のライフサイクルを通じたデータの可視性の向上

従来の業務フローの煩雑な作業ややり取りが、一元化されたプラットフォーム内で納まっていることで、時間や手間がカットされていることがよくわかります。*6

まとめ

この記事では、建築、特にBIMとの関連という観点からCDEについて解説しました。 関係者が多いために、業務や情報のやり取りが煩雑になりがちな建築・建設業界ですが、CDEの整備は、プロジェクトの円滑化・効率化に貢献することでしょう。

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参考)

*1 Autodesk社「Autodesk Construction Cloud(ACC)」

https://construction.autodesk.co.jp/

*2 Catenda社「Catenda Hub」

https://www.global-bim.com/index.html?page=catendahub

*3 Rendra社「StreamBIM」

https://streambim.com/html/jp/index.html

*4 ORACLE「建設業における共通データ環境(CDE)とは」

https://www.oracle.com/jp/construction-engineering/what-is-cde-and-bim/

*5 Autodesk「ISO 19650, 共通データ環境, CDE, Autodesk Construction Cloud」

https://www.autodesk.com/autodesk-university/ja/

*6 Autodesk「BOUSTEAD 社が AUTODESK BUILD を使用して、どのようにレポート作成時間を数日から数分に短縮したか」

https://construction.autodesk.co.jp/customers/customer-story-bo

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