Quadcept(クアッドセプト)とは?電子設計を加速するサービスを一挙紹介
はじめに
画像引用: Quadcept「Quadcept Force」https://force.quadcept.com/ja/
本記事では、クラウドベースCADとして注目度が高まっている「Quadcept(クアッドセプト)」を起点に、回路設計ソフトやプリント基板設計ソフトの最新トレンド、そして作業効率や生産性を高める具体策を学ぶことができます。電子CADに精通しない方や、他社のEDAツールから乗り換えを検討している方に向けた包括的な情報を提供し、クラウドを活用した電子回路設計のメリットを知っていただくことが本記事の目的です。特に、リモートワーク対応が進む時代において、どこからでも回路図やPCBデザインにアクセスできる高い柔軟性は、Quadceptの大きな魅力だと言えます。
さらに、Quadceptが提供するオンライン製造サービスであるElefabや、大規模でも小規模でも扱いやすいクラウドPDMサービスのQuadcept Forceなど、開発工程を統合的に支援するサービス群についても詳しく紹介します。これにより、回路設計から基板実装、部品調達に至るまでを一気通貫で見渡せるエコシステムの存在を把握できるでしょう。また、複雑なネットリスト変換に対応するオープンアーキテクチャや、ユーザーファーストなユーザーインターフェースの特長を踏まえ、導入検討に欠かせない機能面・サポート面の具体例を解説していきます。
本記事ではさまざまな導入成功事例を取り上げ、実際にQuadceptを導入した企業がどのように運用し、どの程度のスピード向上やコストパフォーマンスを実現したのかを示します。特に、短期間でプロトタイピングを実現したウシオ電機株式会社や、企業文化そのものを変えるレベルで業務フローを改善した株式会社タツノなど、多岐にわたる成功事例を紹介します。
Quadceptのサービス構成や具体的な料金体系、サブスクリプションモデルの持つメリットなど、電子CADの民主化を後押しする現代らしい仕組みについても詳説します。技術の進歩や市場変化のスピードが増す中で、開発期間の短縮と柔軟な環境を手に入れることは競争力の確保につながります。ぜひ本記事を最後までお読みいただき、Quadceptの特長や活用方法を十分に理解し、貴社のものづくりを加速させるヒントにしていただければと思います。
Quadceptの基本概要と特長
Quadceptは、回路設計ソフトのCircuit Designerとプリント基板設計ソフトのPCB Designerを柱として、電子開発を効率化するEDAツール群を展開しています。特に注目されるのは、クラウドの力を最大限に活用した設計環境であることです。これにより、従来のオンプレミス環境では考えにくかったリモートワーク対応が進むだけでなく、インストールやバージョン管理の手間を軽減する効果が期待できます。クラウドベースCADを導入することで、事務所や自宅、外出先を問わず同一の作業環境を共有でき、チーム内でのコミュニケーションもシームレスに行いやすくなるのが大きな強みです。
また、Quadceptが掲げる4つのコンセプト(Cloud Computing、Cost Performance、Innovation、User First)は、単なる製品特性にとどまらず、ユーザーファーストの姿勢やコストパフォーマンス重視の開発方針を具体化したものです。ユーザーのアイデアを迅速に取り入れた機能追加や、実務に役立つオンライン製造サービスとのスムーズな連携は、Quadceptならではの価値と言えます。特に、ライブラリ管理やネットリスト変換など、開発会社それぞれが抱えがちな面倒な作業を効率化する機能が多く備わっているため、設計者の作業負担を大きく減らせることも特長です。これまで複数のCADツールを使い分けていた企業や、他社CADから乗り換えを考える開発部門にとっては、Quadceptへの移行が生産性向上のきっかけになるでしょう。
さらに、Quadceptは習得期間の短縮にも力を入れており、初心者や他CADから切り替えるユーザーがスムーズに操作できるように設計されています。わかりやすいユーザーインターフェースと、豊富に用意されたチュートリアルやヘルプドキュメントも特徴の一つです。このようにクラウドコンピューティングだけでなく、ユーザーファーストの精神に基づく細かなサポート体制が、Quadceptの選ばれる要因となっています。今後もIoTや高度なデバイス開発が進むにつれ、一層需要が高まるクラウド型の電子設計環境を代表する存在として注目を集めています。
Quadceptとは?
Quadceptは、電子CADの民主化を標榜し、クラウド上で回路設計からプリント基板の製造、部品調達、さらに実装に至るまでを効率化するシステムとして登場しました。特に注目される要素の一つが、わかりやすいUIを備えつつ、プロフェッショナル仕様のEDAツールとしての機能を有している点です。Circuit DesignerとPCB Designerを組み合わせて利用することで、回路図と基板レイアウトの変更を相互に同期させやすい環境を実現しています。これは設計者が行う校正作業に大きく寄与し、ネットリスト変換の手間や配線ミスのリスクを軽減する効果があります。
また、クラウドコンピューティングを中核としているため、サブスクリプションモデルならではの気軽な導入が可能です。特に、数カ月だけライセンスを使いたい、あるいは短期プロジェクトに合わせて使いたい場合など、運用形態に合わせやすい柔軟なプランが用意されています。従来の高額な買い切りCADでは、予算的にハードルの高かった中小規模の企業やスタートアップでも導入しやすく、必要に応じて契約量を増減させることができるのが魅力となっています。
Quadceptは、クラウド上に電子部品データベースを持つことで、常に最新の製品情報を参照できる仕組みも特徴的です。これによって、部品の廃番や在庫状況をリアルタイムで把握でき、設計段階から見込調達までのフローをスムーズにつなぐことができます。特に「Forceへの鼓動」と称されるQuadcept Forceでは、さらに広範なデータ管理機能をクラウドPDMサービスとして提供し、設計担当から調達部門、あるいは外部パートナーとの情報共有を円滑にしているのです。今後、5GやIoTなど技術領域の高度化が続く中で、このようにオンラインサービス全体を束ねるプラットフォームが開発者の負担を大きく減らしていくでしょう。
Quadcept社の概要
Quadceptを提供する企業は、創業以来『イノベーションを起こす』という観点を大切にしながら、電子CAD業界におけるクラウド化を先んじて進めてきました。国内開発拠点を中心に、ユーザーからの機能要望やアイデアを積極的にフォーラムサイトなどで収集し、それを短いスパンで製品に反映する姿勢を持ち続けています。
同社は電子回路設計のみならず、基板製造や部品実装までをトータルで支援するサービスを拡大しており、ElefabやQuadcept ForceなどのクラウドPDMサービスも同じプラットフォームで扱えるようにしています。これにより、大企業でも中小企業でも同等の設計・製造リソースを活用できるだけでなく、ユーザーファーストなアップデートを行うことで、常に最新技術を使ったものづくりを実現します。とりわけ注目を集めるのが、ユーザーインターフェースの徹底的な追求です。シンプルな操作でありながら、専門的な要素を損なわないUI/UX設計は世界で初めてグッドデザイン賞を受賞したという実績もあり、初心者からベテランエンジニアまで幅広い層に支持されています。
さらに同社は、国内の拠点で開発・サポートを一括管理していることから、ユーザーの要望に素早く対応できる体制を整えています。リモートワーク環境下だからこそ重要性を増すオンラインでの顧客サポートやトレーニングプログラムにも注力し、高度な専門知識を要する分野でもユーザーが気軽に質問・相談できる仕組みを提供しているのです。こうした企業文化とサポート体制が、Quadceptの普及を後押ししている大きな要因と言えるでしょう。
Quadceptのサービス概要
Quadceptが注目されるのは、その高性能な回路設計ソフトやPCB設計ソフトだけでなく、開発フローを大きく変革する包括的なオンライン製造サービス群を備えている点にあります。例えば、Circuit DesignerとPCB Designerの基本機能によって、回路図から基板設計へシームレスに橋渡しできるだけでなく、設計データをそのままElefabやQuadcept Forceに連携することで、基板製造や部品調達をワンクリックで発注できる一気通貫のワークフローが完成します。設計者が面倒に感じがちなBOM管理や部品在庫の確認、場合によっては複数社からの見積もり取得などを自動化することで、手戻りのリスクややり取りのタイムロスを大きく削減できるのです。
これにより、中小規模の電子機器開発企業などが高額な設備や多大な初期投資を行わずとも、大手と同水準の生産性を発揮できる可能性が一気に高まります。まさに電子CADの民主化の象徴と言えるでしょう。特に、回路設計を行うエンジニアが製造・実装工程にまで踏み込むときのハードルを徹底的に下げるのがQuadceptの強みです。リモートワークが増え、従来のようにオフィスで長時間設計に関わるのが難しくなる状況に対応するためにも、クラウド型のサービスは大きな付加価値を持ちます。
以下では、Quadceptをさらに詳しく理解するために、それぞれのサービスの概略や特長を掘り下げていきます。Circuit Designerでは多彩な回路図編集機能、PCB Designerでは3D表示やDFMチェックなど製造性を考慮した機能が揃っています。そして、Quadcept ForceはクラウドPDMの役割を担い、こちらを導入することでプロジェクトチーム全体のコラボレーションを大幅に向上させることが可能です。最後に、基板製造をダイレクトに依頼できるElefabについて紹介し、電子部品の選定から実装工程の見積もりに至るまでをトータルにサポートする仕組みがなぜスピーディな開発を生むのかを解説します。(出典:Quadceptユーザーガイド)
Circuit Designer – 回路図エディタ
画像引用: Quadcept「LTspice(回路シミュレーション)」https://www.quadcept.com/ja/service/simulation/ltspice/
Circuit Designerは、回路図を作成する上で必要な機能を包括的に備えたソフトウェアです。自動結線や束結線、マルチページ編集など、手動で煩雑となりがちな回路配線を大幅に簡略化できるツールが揃っています。特に、ネットリスト変換にもオープンアーキテクチャを採用しているため、他社CADとの相互運用性を高めやすく既存資産を有効に活用できます。回路修正時や流用設計時にも作業時間を短縮できるので、中小規模の電子機器開発企業にとっては「すぐに実践できる生産性向上の要」となるでしょう。
また、Circuit Designerと電子部品データベースが連携している点も大きなアドバンテージです。設計段階で使用する部品の在庫や価格情報をリアルタイムに確認できるため、設計方針の検討やコスト最適化を早期に行うことが可能になります。LTspice®などのシミュレーションソフトとの協業例も充実しており、アナログ回路の検証から部品調達まで、一貫してシームレスに進められる体制が整っているのです。
さらに、ユーザーファーストを体現すべくユーザーインターフェースにも徹底的にこだわっており、初心者がまずつまずきやすい操作方法をわかりやすくガイドするヘルプやチュートリアル動画などが豊富に用意されています。また、クラウドベースCADならではの利点として、導入後すぐに最新バージョンを使えるので、セキュリティ対策やソフトウェアのアップデートに余分な工数を割かずに済む点も評価対象になるでしょう。多くのエンジニアが抱える「新しい電子CADに慣れるための学習期間が長い」という課題に対して、習得期間の短縮を強力にサポートしているのがCircuit Designerなのです。
PCB Designer – プリント基板設計/3D
PCB Designerは、Quadceptの要となるプリント基板設計ソフトです。2次元のレイアウトだけでなく、3D表示機能を利用することで実際の基板形状や部品配置を直感的に確認することができます。高周波回路など、設計精度が求められる分野でも活躍できるよう、オンラインDRCやDFM製造チェック(MRC)といった製造性の観点を事前に考慮できる仕組みが充実しています。これにより、後工程での手戻りを大幅に防ぎ、量産化までのリードタイムを短縮することが可能です。
特に注目すべきは、クラウド上のPCB Designerでも本格的な多層配線や差動配線、半自動配線など、多機能なオプションを標準装備している点です。押し付け配線やならい配線などの自動支援機能を活用すれば、複雑なレイアウトでも短時間で高品質な配線を実現できます。制約の多い高密度実装においては、クリアランスルールのカスタマイズやデザインルール領域の設定が大切ですが、これらもGUIベースで直感的に指定できるため、頻繁に発生しがちなレイアウトミスをきめ細かく防止できます。
さらに、見落とされがちなメッシュベタやコイル配線ウィザードなど、専門性の高いスキルを求める作業さえも、PCB Designer内で手厚くサポートされているのは大きなメリットです。3Dモデルとの連携もスムーズなので、メカ設計との協業も進めやすくなります。設計段階で筐体との干渉や発熱対策を考慮できるため、試作回数の削減にも貢献。こうした設計工程の効率化によって得られた時間を、よりイノベーティブなアイデアの実装や検証に使うことが可能となるでしょう。
Quadcept Force – クラウド型PDM(Product Data Management)サービス
画像引用: Quadcept「Quadcept Force」https://force.quadcept.com/ja/
プロジェクト単位で設計データや部品情報を一元管理し、複数の部署や外部ベンダーとも円滑に情報を共有できるのが、Quadcept ForceのクラウドPDMサービスです。電子CADとシームレスに連携することで、設計変更履歴や在庫情報・環境情報など、あらゆる要素をリアルタイムで可視化する仕組みが整えられています。たとえば部品のEOL(生産終了)を素早く察知して代替品を検討する際にも、Force上で逆探索や関連するBOMの引き当てが可能となり、業務の停滞なく改版設計を続行できます。
このような情報の一元管理によって、意思決定やコミュニケーション速度が向上し、開発自体が持つリードタイムを大幅に短縮することが見込めます。調達サイドと設計サイドの距離を縮め、さらには外注先とのやり取りを統一したフォーマットで進めることで、「言った・言わない」問題や手戻りを極小化できます。案件管理の透明化やスケジュール調整の容易化により、多様なステークホルダーを巻き込んだプロジェクトでも混乱を抑えつつ進行できるのが最大の魅力です。
こうしたデータ管理やタスクリストの可視化が、クラウド上で随時アップデートされていくため、リモートワーク中でも社内PDMやERPに近い感覚で利用できます。継続的な改善への足がかりとして「普段は見えづらい情報をどこまで見える化できるか」が重要になりますが、Quadcept Forceであれば、細かいログからノウハウやナレッジまで蓄積し、次の開発プロジェクトでさらに効率的な体制を築くことができるでしょう。
Elefab – 電子回路基板の発注を簡単便利に
画像引用: Quadcept「Elefab」https://www.quadcept.com/ja/service/elefab/
Elefabは、部品調達や部品実装、そして基板製造までをオンライン製造サービスとして一括でサポートしてくれるプラットフォームです。たとえば、Circuit DesignerやPCB Designerで作成したデータをElefab上にアップロードするだけで、即座に複数の製造パートナー企業の見積りを比較できる仕組みが用意されています。従来であれば、数社に問い合わせを行い、見積を取得し、その中から条件の良い製造会社を探す手間が発生していましたが、Elefabを利用すればこれらのアイミツ作業を大幅に省力化できるのです。
また、Quadceptの電子部品データベースと連携することで、部品表の自動化や在庫確認、すぐに注文が可能なサプライヤーのリストアップもスムーズに行えます。ユーザーは希望納期や予算に合わせて最適な方法を選択でき、決済も一元化されるため事務的なやり取りも最小限で済みます。リモートワークの体制下において、設計の進捗と同時に基板製造が効率よく進められるというのは大きな魅力です。
さらに、Elefabを活用すれば、試作段階で少量生産を行った後の量産フェーズへの移行もスピーディです。開発者は基板形状や配線、実装状態をしっかりとチェックしてから追加発注できますし、急な部品切れや設計変更があった場合でもオンライン上で状況を共有・管理できるため、手戻りが起きにくいのも特長と言えます。まさに「Back To The Makers」のスローガンのもと、モノづくりを取り戻そうとする開発者たちにとって欠かせないサービスとなりつつあります。
成功事例とユーザーレビュー
Quadceptの導入効果を実感している企業は多く、ここでは特に象徴的な事例をピックアップします。Quadceptは、クラウドによる利便性やオンライン製造サービスとの密接な連携を武器に、小規模企業から大企業まで幅広い利用者を獲得してきました。部品ライブラリの集中管理や差分比較機能などによって、従来の電子CAD環境では時間のかかっていた作業を大幅に短縮でき、その結果、リードタイムの削減や開発コストの低下を実現したとの声が上がっています。
また、「クラウドPDMサービスは本当に役立つのか?」という問いに対しても、使いやすいデータ管理システムとプロジェクト管理ツールがリモートワーク時に非常に強いと評価されています。設計変更が頻発するプロジェクトでも、クラウドでバージョン管理が簡単に行えるため、チーム全員が最新情報を共有しながら集中して本来の業務に注力できるのです。以下の事例では、Quadceptの導入により、業務プロセスの根本改善や高速プロトタイピングの実現に成功した企業の実際の声をお伝えします。
株式会社タツノ – 業務プロセスを抜本改善
株式会社タツノはガソリン計量機の国内トップシェアを誇る企業で、多数の製品ラインアップを持ち、高い品質及び信頼性が求められる製造現場を支えています。同社は、従来の電子CAD運用で抱えていたライブラリ管理の混乱や外注コストの増大、さらに部品調達時の煩雑な対応などを解決したいと考え、Quadceptを導入しました。ポイントは、回路図から製造工程に至るまでの情報を一元的に扱える環境が得られるかどうかでした。
QuadceptとElefab、そしてクラウドPDMの仕組みを組み合わせた結果、部品情報の誤登録やライブラリの重複などが大幅に減少し、正確な部品表の作成や設計変更の可視化が容易になりました。外注設計に依存していたPCB設計の一部を内製化することにも成功し、少しの修正なら社内でサッと完結できる体制を築けたのです。以前は1週間ほどかかっていた部品作成の工数も数分レベルに短縮されるなど、作業効率が劇的に向上しました。
さらに、クラウドサービスならではのメリットとして、設計環境を整えるまでの時間を最小化できる点も大きかったといいます。USBドングルの発行やCADのセットアップ作業に煩わされることなく、ライセンス契約後わずか数分で業務がスタートできるようになったことで、気軽に作業場所を分散させるリモートワーク対応も見据えた運用が可能になっています。タツノは自社業務を抜本的に変革し、さらに若手エンジニアが主体的に運用ルールを改善するカルチャーを育むことにもつながった事例です。
ウシオ電機株式会社 – QuadceptとElefabで高速プロトタイピング
ウシオ電機株式会社では、電源など電子部品の検討・研究開発に長い時間がかかることが長年の課題でした。特に複雑な基板を試作しようとすると、複数の外注先との連絡や部品在庫の確認、さらには試作基板の実装までに多大なリードタイムが必要とされ、素早く市場ニーズに対応するのが難しかったのです。
そこで、QuadceptのCircuit DesignerとPCB Designerでの設計からElefabを介した基板製造・部品実装までをワンストップで進める手法を取り入れ、「チャレンジ15Days」という大胆なプロジェクトに挑戦しました。およそ200日掛かっていた試作品の受注から完成までを、わずか15営業日で実行に移すという目標を掲げたのです。
結果として、設計データをElefabに連携して簡単に部品表や見積りを取得できる仕組みが功を奏し、複数の協力工場やサプライヤーをすばやく手配することができました。クラウド型のQuadceptでは、設計環境の整備やバージョン管理も円滑であり、実装不備による手戻りも軽微なレベルで抑えられました。その成果として、従来の開発プロセスを大幅に短縮しつつ、必要な評価試験を丁寧に行う余裕を確保することが可能になったとのことです。同社はこの成功体験から、「スピードを意識した開発風土」を全社的に醸成する足がかりを得たという評価を下しています。
国立大学法人電気通信大学 – 教育用ボードをQuadceptを用い開発
国立大学法人電気通信大学の事例は、教育・研究環境への導入として非常に興味深いものがあります。同大学の特任教授が、コンピューターサイエンスの基礎を実践的に学ぶための教育用基板をQuadceptで設計しています。過去にはフリーのCADを使って試行錯誤しながら部品を手作業で配置したり、カスタムのシミュレーションを繰り返したりしていましたが、回路図の束配線機能やオンラインDRCがあるQuadceptに切り替えることで、より高密度かつビジュアル的にわかりやすい配線を短時間で実現できるようになったといいます。
特に注力しているのは、学生や初学者が仕組みを目で見ながら学べること。Quadceptの豊富な配線支援機能と3Dモデル連携を活用することで、基板の内部構造やピン配置を理解し、CPUの動作原理やメモリ構成などを体感的に把握できる設計を実現しているそうです。同大の研究者は「配線機能が豊富な上に、必要があればクラウドで更新された部品ライブラリも使えるなど学習環境が整備しやすい。これからも学生の育成や実践教育のためにQuadceptを使い続けたい」との声を寄せています。こうした教育機関での事例は、電子CADを学習する段階からQuadceptを導入することで、今後のエンジニア育成にもプラスの影響を与えていると考えられます。
Quadceptの価格
電子設計ツールの価格モデルと言えば、従来は買い切り型が多く、高価な初期投資と保守費用が重くのしかかっていました。しかしQuadceptは、必要な期間だけライセンスを契約するサブスクリプションモデルを早い段階から取り入れており、初期費用を極力抑えたい企業にとって導入ハードルを大幅に下げています。さらに、クラウドベースCADであるがゆえに、PCごとに複雑なインストールを行う必要がなく、アカウント管理の仕組みもシンプルです。
カジュアルに始められる月契約と、割引が適用される年契約の2パターンが基本ラインナップとして用意されています。月契約であればプロジェクトの繁閑に合わせてライセンス数を調整でき、年契約なら1ヶ月分お得な価格設定となるため、連続して使う予定がある場合により低コストで運用可能です。また、複数ライセンスをまとめて購入する場合や、継続して使用する年数が長い場合に適用される割引制度(本数割・継続割)も存在し、規模の大きい組織や複数プロジェクトを同時に走らせる企業にとってコストパフォーマンスを高めやすい仕組みが整っています。
こうした体系的な取り組みが、小規模企業やスタートアップにもQuadceptが選ばれる背景となっています。技術者自身の判断で必要な期間だけ契約することで、無駄な支出を抑え、初期投資リスクを回避できるのです。さらに、保守費用が無料という点も特徴的で、クラウドによる自動アップデートやオンラインサポートなど、常に最新の環境をリーズナブルに維持し続けられることが評価されています。
以下の小見出しでは、Quadceptの具体的な料金体系と、導入時にほぼリスク無しで評価可能な無期限・無料ライセンスについて詳しく触れていきます。
Quadceptの料金体系
Quadceptでは、主にCircuit DesignerとPCB Designerの2種類のライセンスを取り扱っており、サブスクリプションモデルとして月契約、年契約のいずれかを選択できます。さらに、本数割や継続割が適用されることで、一度に多くのライセンスを導入したり、長期的に契約を継続することで、追加の割引が受けられるようになっています。たとえば、設計メンバー数が増加傾向にある企業では、初年度に複数本をまとめて契約することで、大幅にコストを下げられる可能性があります。
<参考>Circuit Designer、PCB Designer価格
画像引用: Quadcept「料金体系」https://www.quadcept.com/ja/price/
※価格は記事執筆時の2025年2月7日現在のものです。サービス内容・価格については変更の可能性がございます。実際のご購入の際には、公式サイトも併せご確認ください。
月契約の場合、Circuit Designerを月々数千円台から利用できるプランが用意されているため、プロジェクトベースで必要な期間だけライセンスを用意する運用がしやすいです。年契約は、よりお得な条件のため、通年でライセンスが必要な企業や部署におすすめできます。さらに、アカウントごとのオンラインサポートも年間を通じて受けられるため、導入後も新機能や操作方法に関する不明点をフォーラムや問い合わせで気軽に解消できます。
このようなサブスクリプションモデルは、特に開発エンジニアが少数精鋭の体制で仕事を行う小中規模の電子機器開発企業に好都合です。需要のピーク時のみライセンスを追加して費用をコントロールでき、不要な時期には解約または縮小できるためリスクが低いです。従来型の買い切り製品のように、大きな初期費用がかからず、保守費用も不要であるため、導入コストを最小限に留めながら常に最新バージョンを利用できるメリットが享受できます。
まずは無期限・無料ライセンスでの試用を
Quadceptの魅力として、多くの機能を試せる無期限・無料ライセンスが存在することが挙げられます。これは一部の機能に制限が設けられているものの、回路図作成やPCBレイアウトの基本的な操作を確認するには十分な内容です。将来的にサブスクリプション契約を検討している企業でも、まずは無料ライセンスで操作感やUI、設計ワークフローなどをじっくり検証し、自社プロジェクトへ応用できるかを見極めることができます。
使用手順はシンプルで、ユーザー登録を行い、ソフトウェアをダウンロードするだけで即座に評価を始めることが可能です。リモートワークの環境下でも、アカウント情報さえあればすぐにアクセスが可能なため、複数のメンバーと同時に試験導入を行うのも現実的な選択肢でしょう。さらに、無料ライセンスを使って徐々に習熟度を高めたうえで、有料プランに移行すれば、スムーズに本格運用へ踏み切ることができます。
また、フォーラムやオンラインのマニュアルが充実しているので、分からないことがあればコミュニティ内で質問できるなど、導入当初のハードルが低い点も好印象です。単に「体験版の期限が切れたからそれで終わり」という製品とは異なり、無期限で使える無料ライセンスを常用してから導入時期を決められるため、失敗のリスクを最小化したかたちで導入を検討できる仕組みが整えられています。こうした試用制度も含め、Quadceptは初心者からベテランまで幅広い層を柔軟にサポートしているのです。
まとめと今後の展望
現代のエレクトロニクス設計は、スピードと柔軟性を備えることが不可欠です。Quadceptは、クラウドベースCADという形でそれを実現し、かつSubのサブスクリプションモデルを採用することで企業規模を問わず手軽に導入できる環境を整えました。回路設計ソフトであるCircuit Designer、プリント基板設計ソフトのPCB Designer、そしてクラウドPDMサービスのQuadcept Forceやオンライン製造サービスのElefabをはじめとする一連のソリューションが連携することで、開発効率を飛躍的に向上させるだけでなく、部品調達や製造工程における時間的・人的コストを削減してくれます。
このように設計から製造、さらにはメンテナンスフェーズに至るまでの一気通貫したフローを持つことは、リモートワークが増える時代に合致しており、場所を選ばずに迅速なコミュニケーションと意思決定を行う上で大きなアドバンテージをもたらします。加えて、Quadceptはユーザーファーストの設計思想を徹底し、ビジュアル面も含めたわかりやすいユーザーインターフェースと豊富なサポートドキュメントを揃え、習得期間の短縮に力を注いでいます。
各企業の成功事例を振り返っても分かるように、Quadceptは従来の電子CADにありがちなハードルを低くし、意欲的なチームが自主的に運用ルールやCADライブラリを改善しながら、付加価値を生み出していく土台を提供していると言えるでしょう。今後、IoTやAI、5Gなど高度化が進むエレクトロニクス分野において、機能追加や最新技術への対応をクラウド経由で迅速に行えるメリットはますます重宝されるはずです。将来的にはさらに多様な外部ツールとの連携や新機能の展開も期待でき、オープンイノベーションを支援するプラットフォームとしての進化にも注目が集まっています。
最後に、Quadceptを選ぶべき理由をまとめると、大きく以下の点が挙げられます。まず、クラウドベースCADであることから、場所を問わず簡単に導入でき、常に最新バージョンを利用できるので、リモートワーク環境でもスムーズにコラボレーションが可能です。次に、サブスクリプションモデルで初期費用と保守費用を抑えられるため、スタートアップや少人数の開発チームでも導入が容易となります。これにより、コストパフォーマンスの観点から継続しやすいのも魅力です。
また、Quadcept ForceやElefabとの連携によって、部品在庫の確認から基板製造、部品実装への発注までをワンクリックで行えるなど、オンライン製造サービスを含む開発全体の工程を効率化できるのもポイントと言えます。さらに、ユーザーファーストの文化が強く反映されたサポート体制により、フォーラムやトレーニングなどで設計者が抱える悩みに素早く対応してくれるので、導入後に運用で苦労しにくいです。実際、多くの企業がQuadceptの導入を機に「習得期間の短縮」や「開発風土の改善」を実感しています。
こうした総合的なメリットは、スピード勝負の小規模開発チームだけでなく、大型案件を複数同時進行する大手企業にも当てはまります。自社内のITインフラに依存せずに新機能をいつでも取り込める拡張性は、変化の激しい市場を勝ち抜くための武器になるでしょう。Quadceptはまさに、バックエンドからフロントエンドまで技術サポートを一貫して提供する「オープンイノベーションの駆動力」と言えます。
以上を踏まえ、クラウドやリモートワークの時代に即した電子CADを探している方は、まず無期限・無料ライセンスを試しながらQuadceptの設計環境を体感するところから始めてみてはいかがでしょうか。
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参考情報:
・Quadcept「Quadcept」
https://www.quadcept.com/ja/
・Quadcept「事例: 株式会社タツノ」
https://www.quadcept.com/ja/case/tatsuno/index.html
・Quadcept「事例: ウシオ電機株式会社」
https://www.quadcept.com/ja/case/ushio/index.html
・Quadcept「事例: 国立大学法人電気通信大学」
https://www.quadcept.com/ja/case/uec/index.html
・Quadcept「料金体系」
https://www.quadcept.com/ja/price/