2D設計を3D設計へと自動反映できるサービスとは?活用ポイントやツールの選び方を解説
2Dで作図した設計図面は、多くの場合生産の過程で3Dモデルへの変換が必要になります。その際必要になるのが3D設計図ですが、近年は2D設計から3D設計へと図面を自動で反映できるサービスも登場しています。
今回は、2D設計を3D設計へと自動反映できるサービスについて、活用のポイントとともにご紹介します。
目次:
①2D設計と3D設計の違い
②2Dデータを3D化する上での課題
③2D設計を3D設計へ自動反映するメリット
④2D設計の3D設計への自動反映をサポートするサービス
⑤3D設計をさらに効率化するBIMの可能性
⑥BIM運用を実現するために必要なもの
2D設計と3D設計の違い
2D設計にしろ3D設計にしろ、近年はどちらの設計図もCADソフトを使って作成されています。それぞれのデータにおける違いとして、設計プロセスの違いが挙げられるでしょう。2D設計は正面図と側面図、そして平面図という3つの図面から一つのプロダクトを形成し、いわゆるx、y、zの概念を表現します。
一方で3D設計の場合、立体的な表現を実現可能なため、1枚の図面でプロダクトの全てを表現することができます。2D設計においては図面の読み方や書き方を理解していなければ、感覚的に全容を把握することが難しいのですが、3D設計はあまり設計に明るくないという人でも、容易に理解が可能です。
2Dデータを3D化する上での課題
2D設計データも3Dデータも同じプロダクトを表現しているため、2Dから3Dへの変換は十分に可能です。しかし、両者は設計プロセスにおいて別々のアプローチが採用されているため、2Dからの変換には多くの負担が発生します。
平面図を3Dに書き起こすというのは、図面を読みながらその通りに構築すれば変換はできる一方、手作業では手間がかかるため、業務負担の増加に繋がります。にもかかわらず、近年は3Dモデルの登場機会が増えており、クライアントへの説明やプロモーションのためには設計図を3D化しなければならず、この負担は不可避となってきています。
そのため、3D設計へと自動で変換してくれるサービスの需要は、業界内では非常に大きいことがわかります。
2D設計を3D設計へ自動反映するメリット
2D設計を3D設計へと自動反映するメリットとしては、大きく分けて2つ挙げられます。順に見ていきましょう。
作業スピードを改善できる
自動で変換ができるツールの導入は、やはり作業スピードの大幅な改善に繋がるのが最大のメリットです。3Dモデリング業務に必要な負担を大きく解消できるため、余計な人材コストの発生を抑え、必要な業務へと人員を配置可能になります。
設計品質を改善できる
自動で反映可能なツールの導入は、単なる業務効率化にとどまらず、設計品質の向上にも役立ちます。手動での3D設計の場合、どうしてもヒューマンエラーや手動ゆえの粗さが発生するリスクは拭えず、仕上がった設計図にミスがある可能性は捨てきれません。
その際の差し戻しや修正、確認作業において発生する負担を鑑みると、設計図面の変換作業は非常に手間がかかるものです。一方で設計図の自動反映機能を利用すれば、2D設計に基づく極めて正確な3D設計を用意することができるため、修正が必要なケースも少なくなることが期待できます。品質改善と業務効率化の両立に、自動反映ツールは活躍します。
2D設計の3D設計への自動反映をサポートするサービス
2D設計から3D設計への自動反映に対応しているサービスとしては、以下のような製品が例として挙げられます。新たに導入するツール選びの際の参考としてはもちろん、既存ツールに同様の機能がないかを確認してみてください。
AutoCADやRevitをはじめとするAutodesk製品
CADソフト会社大手のAutodeskが提供しているCAD製品は、基本的に2D設計から3D設計への変換を自動化してくれる機能が実装されています。2Dから3Dへの移行プロセスを省略するだけでなく、高品質なシミュレートとビジュアライズを促す機能として、積極的に活用することが進められています*1。
3DGenerator
3DGeneratorは、CADソフトのIRONCAD向けに提供されている自動反映用アドインです。2D の DXF データを IRONCAD のシーンに自動で配置し、3D モデル自動作成を行い、モデリングをアシストしてくれる機能を有しています*2。
3D設計をさらに効率化するBIMの可能性
3D設計と2D設計をわざわざ1つずつ用意し、運用していたのには、平面図に設けられた情報が必要になる機会も業務上発生していたことが理由の一つでもあります。しかし近年採用されているBuilding Information Modeling、通称BIMと呼ばれる技術は、2Dと3Dの両方の情報を扱えるモデリング技術として、各企業で採用されています。
BIMモデルの最大の特徴は、3Dモデルにプロダクトに関するあらゆる情報を付与することで、2Dにも3Dにも運用できるだけでなく、自在に編集、活用が可能という点です。従来の3Dモデルは単体での運用には限界があり、図面として活用するためには詳細情報が足りておらず、修正作業も1からの作り直しが必要となるため、2D図面との併用が求められてきました。
しかしBIMモデルを運用する場合、3Dモデルを参考にすれば一瞬でプロダクトの全容を理解できるだけでなく、詳細な数値情報も得られるため、単一のデータ活用で済ませてしまうことができます。
設計業務の効率化はもちろん、現場作業における業務の効率化や、更なるロボット活用のきっかけにも繋がるとして、研究と実践投入が繰り返されています。
BIM運用を実現するために必要なもの
BIM運用を実現する上では、BIM運用のスキルと、BIMに対応したサービスの導入が必要です。
BIM運用スキル
BIM運用のスキルは、従来の3D CAD運用を発展させた形で学ぶことができます。3Dモデリングの基礎は同じですが、細かい数値情報の編集やプログラミング技術が必要となるため、やや複雑な処理をはらみます。
すでにCAD運用経験のある技術者をスキルアップさせることで、BIM運用の土壌を整備可能です。
BIM関連ソフト
CADソフト単体に加え、BIM運用に適したソフトの導入も必要になります。3Dモデルに対して細かな数値情報の入力や、3Dモデルを編集できる機能が必要となるため、3D CADソフトの買い替えや、それに追加する形での導入を進めましょう。
まとめ
2D設計から3D設計への自動反映を実現できれば、モデリング作業を大幅に効率化できます。業務品質の改善にも繋がる自動化ツールをうまく活用し、次世代の設計業務を社内に導入しましょう。
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参考:
*1 Autodesk「2D 設計を 3D モデルに変換」
https://www.autodesk.co.jp/solutions/2d-to-3d
*2 クリエイティブマシン「2D データを効率的に 3D 化 | 3D モデリング支援アドイン『3DGenerator』」
https://lp.ironcad.jp/catalog/3dgenerator/