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SOLIDWORKSで差がつくサーフェス作成術―設計品質を高める実践ポイント

1. はじめに

中級SOLIDWORKSユーザーの皆さまは、すでにソリッドモデリング(体積を持つ閉じた3Dモデルを作成する方法)の操作にある程度慣れ、設計の幅をさらに広げたいと願っていることでしょう。そこで注目していただきたいのが、サーフェスモデリング(厚みのない面で形状を自由に表現する方法)の活用です。サーフェス作成技術を習得することで、自由形状モデリングや複雑曲面の設計が可能になり、製品設計の実務でより高い品質と柔軟な対応力を発揮できます。

実際、曲面パネル設計や意匠性の高いケース形状を扱う場面などでは、スケッチ精度を高めてサーフェスツールを使いこなすことが欠かせません。さらに、設計チェックポイントを明確にしながら、曲率連続性やソリッド変換を考慮すると、より美しく整合性の取れたモデルを作り上げることができます。

本記事では、サーフェスとソリッドの違いを再確認しながら、SOLIDWORKS サーフェスモデリングの基礎と実務向けサーフェス技術のポイントを詳しく解説します。さらに、中級者向けサーフェス技術を中心に、設計品質向上を目指す具体的な手法や、CADソフトウェアの機能を最大限に活かすノウハウを紹介します。

最終的には、サーフェス作成のコツやプロセスの効率化を解説し、高品質サーフェス作成によって得られる効果をまとめることで、読者が次なるステップに踏み出せるよう助力します。ぜひ実務に取り入れていただき、モデリングスキルと設計品質の両面で大きな飛躍を実現してください。

2. SOLIDWORKSサーフェスモデリングの基礎

引用:SOLIDWORKSブログ:https://blogs.solidworks.com/japan/solidworks-blog/3dexperience/20210707/

サーフェスモデリングは、単なるソリッドモデリングの補助機能ではなく、高度な曲面設計や製品デザインに求められる重要な技法といえます。SOLIDWORKSをはじめとする3D CADでは、サーフェスを活用することで複雑曲面や自由形状モデリングが実現し、意匠性だけでなく、機能面でも高品質を追求できるのが大きな魅力です。

まずは、ソリッドモデルとの違いをしっかり理解すると、サーフェス特有の利点と用途が明確になります。ソリッドモデルは体積を持ち、不用意に穴が開いていればエラーを生じることがありますが、サーフェスは厚みを持たないため、自由な曲面形状や複雑な意匠設計が容易です。そのため、製品設計の初期段階で形状確認を行うほか、曲面間の接合やトリムなどの作業にも適しています。

例えば、ロフトやスイープ、境界サーフェスといった強力なサーフェス編集機能が備わっており、スプライン制御や曲率連続性を意識しながら形状を整えることが可能です。また、後述するサーフェス作成のワークフローに沿って作業を進めると、履歴修正のトラブルを最小限に抑えられます。これにより、設計品質向上と作業効率化の両立を図ることができるでしょう。

サーフェス品質を高めるうえでは、ゼブラ解析やフィレットの調整など、サーフェス評価ツールを積極的に活用することが重要です。見た目の美しさだけでなく、実際の製造プロセスや組み付けを踏まえた設計チェックポイントを適切に設定し、常にモデル全体の整合性を検証していくことが、サーフェスモデリング上達への近道となります。

ここではまず、サーフェスとソリッドの違いを再確認しつつ、主要なサーフェス作成ツールと一般的なワークフローを押さえることで、CADソフトウェアにおけるサーフェスモデリングの基本的な位置付けを安全に理解していきましょう。

2.1. サーフェスとソリッドの違い

サーフェスは“厚みのない面”として定義され、形状の外郭を表現するのに適しています。これに対して、ソリッドは体積を持つモデルであり、最終的な製品形状を厳密に反映するために用いられます。

サーフェスモデルでは、表面が開いていてもエラーとはなりません。自由形状の再現度が高いため、曲面パネル設計や意匠性を重視する領域ではきわめて有効です。一方、ソリッドモデルは、溶接や加工などの生産工程を意識した設計で重宝されます。ボディの閉じている状態が求められるため、設計チェックポイントが自動で判定される利点もあります。

サーフェスモデリングを行う際は、意図的に部分的に開口したままモデルを組み立てる場合が多いです。複数のサーフェスをニットした後、最終段階でソリッド変換することがよくあります。また、薄肉製品の壁厚をどのように確保するかといった課題にも、サーフェスレベルで検討を加えることで、複雑曲面を含む製品設計の精度が上がります。

結果として、サーフェスとソリッドはいずれもCADソフトウェアでの設計において欠かせない要素ですが、「外形を柔軟に表現したい」「意匠の追求が必要」なケースではサーフェスが強みを発揮し、「組立準備や強度面での検証を行いたい」段階ではソリッドを活用すると効果的です。

2.2. 主要なサーフェス作成ツール

SOLIDWORKSでは、ロフト、スイープ、境界サーフェス、フィルサーフェスなど、多彩なサーフェスツール活用が可能です。これらは「サーフェス作成の基本」とも言える機能で、複雑曲面や自由形状モデリングにおいて重要な役割を果たします。

例えば、ロフトは複数のスケッチ断面を連続的に結び、滑らかな曲面を形成するために用いられます。一方、スイープは、指定した軌道に沿って断面を移動させることでサーフェスを生成する手法で、パイプ形状や有機的な曲線を含む構造に適しています。また、境界サーフェスは、複数の方向を同時に指定できるため、形状コントロールの自由度が高く、複数エッジを絡め合うような複雑な面を作成する際に便利です。

フィルサーフェスは部分的な隙間を埋める際に役立ち、トリムや延長といったサーフェス編集機能と組み合わせることで、局所的な修正や形状調整を効率的に行えます。さらに、フィレットを付与するタイミングも重要で、先にフィレットをかけるべきか、それとも途中段階で面の状態を整えるべきかを見極めることで、余計な履歴トラブルを減らすことができます。

これらのツールをバランスよく組み合わせると、設計品質向上だけでなく、モデリングスピードの加速にもつながります。実務向けサーフェス技術として、細部まで曲率連続性に気を配りながら、ソリッド変換も視野に入れて操作することが、最終的な3D CADデータの完成度を左右するのです。

2.3. サーフェス作成の一般的なワークフロー

サーフェスモデリングを確実に行うには、まずスケッチなどの下準備が重要です。しっかりとしたスケッチ精度がなければ、後続のサーフェス編集段階でエラーが出たり、思い通りの曲率連続性が得られなかったりするため、ここでの手間を惜しまないことが設計の最適化につながります。

一般的には、以下の流れで作業が進みます。第一に、必要なスケッチや基準面を用意し、サーフェスの大まかな形状を決めるための輪郭を定義します。第二に、ロフトやスイープ、境界サーフェスなどのサーフェス作成機能を使って基本的な面を構築します。第三に、トリムや延長、フィルサーフェスで接合部を整え、全体の外形が途切れなく滑らかに連続するように調整します。

最後に、必要に応じてサーフェス診断ツールやゼブラ解析を実行してサーフェス品質を評価します。問題があれば修正を加え、曲率の不整合を解消した後、ニット機能などを使ってソリッド化を検討するのが一般的です。ソリッド変換をスムーズに行うためには、サーフェス同士の隙間が極力なくなるように仕上げておく必要があります。

このように、サーフェスの段階でデザイン性と実用性の両立を意識することで、高品質サーフェス作成のみならず、後工程におけるデータ活用もしやすくなります。結果的に、製品設計から生産準備までのプロセス効率化が実現し、競争力のある製品づくりにつながるでしょう。

3. 設計品質を高めるサーフェス作成のポイント

引用:SOLIDWORKSブログ:https://blogs.solidworks.com/japan/solidworks-blog/3dexperience/20230208/

サーフェスモデリングを活用した高品質な製品設計を行うには、いくつかの要点を押さえる必要があります。たとえばスケッチ精度や選択するサーフェスツールが不十分だと、モデル全体の一貫性が損なわれ、後付けの修正が多発する恐れがあります。

また、曲率連続性の確保は美観や製造コストの面を左右する重大なファクターです。曲面同士が滑らかにつながっていないと光の反射や外観にムラが生じるだけでなく、金型制作時にも歪みや段差が発生しやすくなります。こうした問題は試作段階でしか発覚しない場合もあり、開発スケジュール全体を圧迫するリスクにもつながります。

さらに、サーフェス編集機能を適所で活用し、最終的にはソリッドモデルに変換して組立や製造段階に備えることが大切です。サーフェス状態のままでは生産性や強度、干渉チェックが十分に実施できない場合もあるため、どの段階でソリッド化を行うかを設計フローに組み込む必要があります。

以下の各ポイントを踏まえながら、サーフェス作成技術の習熟を目指していくことで、自由度の高いモデリングを実現すると同時に、確かな品質管理ができる“強い設計”を身につけることができるでしょう。

それでは具体的に、スケッチの精度やサーフェス機能の選定方法、曲率連続性、さらにはソリッド変換の考え方など、要所となる5つの着眼点を順に確認していきます。

3.1. スケッチの精度を高める

サーフェスモデリングにおいて、スケッチは形状の“基礎”そのものです。特に複雑曲面や自由形状モデリングでは、スプライン制御が不十分だと狙い通りの曲率連続性を得ることが難しくなります。したがって、まずはスケッチ精度を徹底的に高めることが、設計品質向上の第一歩となります。

スケッチ平面や投影スケッチを使う際、必要な寸法や条件を正確に設定し、エンティティ同士の関係を明示します。また、トリムやスイープなどで利用するガイドカーブにも、適切な拘束を適用しておくことが大切です。こうした基礎作業を怠ると、後になって意図しない方面へ形状が歪む原因となります。

多くの3D CADには、スプライン編集時の曲率グラフを表示する機能が備わっています。これらを活用して、部分的な屈曲が生じていないかをチェックしておくと良いでしょう。加えて、あらかじめ製品の意匠や機能要件を明確にしておき、どの部分に滑らかさを要求するかや、どこにリブや補強が入るかを考慮しながらスケッチを作成すると、のちのサーフェス作成作業がさらにスムーズになります。

3.2. 適切なサーフェス機能を選択する

サーフェスモデリングでは、多種多様な機能が用意されているからこそ、自身の設計意図に合ったツールを使いこなすことが重要です。どの機能を使うかによって、得られる曲面の品質や編集のしやすさ、さらには修正の自由度が変わります。

例えば、ロフトは複数の断面をスムーズにつなげる際に便利ですが、断面の数が多すぎると制御が難しくなることがあります。一方、スイープはパスと断面がしっかり定義されている場合に効果的で、パイプ状やワイヤーフレーム状の構造に向いています。境界サーフェスは、周囲のエッジを基準に形状を埋められるため、段差が生じやすい部分に滑らかな曲面を生成する際に役立ちます。

また、意外と見落としがちなのがフィルサーフェスや塗りつぶしサーフェスによる小さなギャップの修復です。大まかな形状ができた後、トリムした面同士をつなぐ際に、これらの機能を適切に組み合わせることで、段差の少ない連続した形状を実現できます。こうしたサーフェスツール活用のコツを押さえることで、無駄な再作成や大量の修正を回避でき、結果としてより洗練された設計フローを築くことができるでしょう。

3.3. 曲率の連続性を意識する

サーフェスモデルの外観や品質を評価する上で、“曲率連続性”は避けては通れない要素です。曲率連続性がきちんと管理されていないと、光の反射にムラが出たり、金型製作時に不具合が生じやすくなります。SOLIDWORKSには、サーフェス評価ツールやゼブラ解析という機能が用意されており、隣接する面がどれだけスムーズにつながっているかを視覚的に確認することが可能です。

設計品質向上の観点からは、G1連続(接線連続)はもちろん、G2連続(曲率連続)にまで対応できるサーフェス作成技術が望ましいと言えます。例えば、高級感のある外装パネルや車両のボディなどは、微小な段差や歪みを極限まで抑えることが要請されるため、より高次の連続性を維持することが重要です。

実務向けサーフェス技術としておすすめなのは、サーフェスを作成したらすぐにゼブラ解析を走らせ、不要な波打ちや段差が発生していないかを逐一チェックする方法です。こうしたこまめな検証を習慣化することで、後々大規模な修正をする必要がなくなり、結果的に生産性を向上させることができます。

3.4. サーフェスの編集機能を活用する

大まかな面ができあがったあと、そのまま放置せず、必要に応じてトリムや延長、オフセットなどの編集機能を活用することが、最終的なサーフェス品質を大きく左右します。たとえば、余分な面を適切にトリムしておくことで、後続の結合やソリッド化がスムーズになり、履歴ツリーの管理も容易になります。

延長機能については、サーフェスをソリッド変換する際にエッジ同士をぴったり合わせたほうが良い場合や、フィレットをかける前に必須となるシーンで活躍します。また、必要に応じて新たなスケッチを追加することで、再ロフトや再スイープを行う手もありますが、それらは設計変更時の履歴修正が煩雑になるリスクも伴います。よって、可能な限り既存のサーフェス編集機能で対処したほうがトラブルを減らせるでしょう。

さらに、複数のサーフェスをニットしてソリッド化する際には、隙間の有無や面の方向整合に注意してください。せっかく高品質に作り上げた曲面でも、結合のタイミングを誤ると隙間が生じ、ソリッドにならない場合もあります。こうした取りこぼしを防ぐには、逐次サーフェス診断を行い、問題箇所を事前に排除しておくことが効果的です。

3.5. ソリッド化を考慮する

最終的に現場で使われる製品設計データは、形状の干渉チェックや強度シミュレーション、CAMによる加工検討などが行われるため、ソリッドボディとして取り扱われることが一般的です。そのため、サーフェスモデリングを行う際も、どの段階でどのようにソリッドに変換するかを考慮しておく必要があります。

一度ソリッド化すると、細やかな曲面修正がやりにくくなる現象はよく見られます。そこで、発想としては「大枠の形状をサーフェスでまとめ、要件が固まったらソリッド化する」ことが鉄則です。サーフェスステージで外観を徹底的に詰め込むことで、ソリッド変換後の手戻りを最小限にとどめるわけです。

また、サーフェス同士の隙間を確実に埋めておくことで、ソリッド化エラーを回避できます。ニット機能で隙間を検知したら、フィルサーフェスや延長・オフセットを併用して修正し、可能な限り自動的に結合できる状態に整えましょう。メーカーによっては肉厚検討や金型への反映が必須となるため、サーフェス段階からソリッドへの移行を見通した設計フローが結果的に時短やコスト削減をもたらします。

4. サーフェス作成の実践テクニック

ここからは、SOLIDWORKSで差がつくサーフェス作成技術を、さらに一歩進めるための実践的テクニックを紹介します。具体的な機能活用例を掴むことで、より複雑曲面や高度な製品設計が実現し、設計品質向上と作業効率化の両方を狙うことができます。

例えば、高度なサーフェストリム操作を効率的に行うためのパワートリム機能や、モデル全体の欠陥を早めに見出すためのサーフェス診断機能など、見落とされがちな機能をしっかり押さえることで、実務上のトラブルに素早く対処できるようになります。

ここでは2つのテクニックを取り上げ、どのような場面で有効か、具体的にどの機能を組み合わせると効果的かについて順を追って解説していきます。適切なツール選択やスムーズなビジュアル検証を身につければ、中級者にも難度が高いとされる曲面パネル設計や先進的デザインの案件でも、しっかり対応できるスキルを習得できるでしょう。

4.1. パワートリムの活用

パワートリム機能は、スケッチ段階で不要な線や曲線を効率よくトリム(切り取り)するための機能です。サーフェス形状を作成する前にスケッチを細かく調整する際、この機能を使うことで迅速かつ的確に作業が進められます。

例えば、複雑な曲面パネルの設計をする場合、多数のスケッチ線が交差したり重なったりすることがあります。このような場面でパワートリムを活用すれば、不要部分を直感的に連続してトリミングでき、短時間でクリーンなスケッチが完成します。

スケッチの段階で不要な要素をしっかり除去しておくことで、その後に続くサーフェス作成や、サーフェスモデルのトリム操作(サーフェストリム)を円滑に行うことが可能になります。結果として、設計品質の向上と作業効率化の両方を達成できます。

ただ、一気にトリムを進める際には、必要な面まで削除してしまわないよう注意が必要です。複数の段階に分けてトリムを行い、都度結果をプレビューすることで、理想的な境界を保ちつつ作業を進められます。こういった慎重さを保ちながらパワートリムを使いこなせば、設計スピードと品質の両面を一挙に高めることができるでしょう。

4.2. サーフェス診断の活用

サーフェス診断機能は、モデル上の問題箇所や連続性の破綻、隙間などを自動的に検出してくれる便利なツールです。大規模なサーフェスモデルを扱うときほど、肉眼で問題を見つけるのは困難ですから、定期的にこの機能を活用して不整合やエラーを洗い出すことが、設計品質向上の重要なステップとなります。

例えば、トリムした面同士がわずかに開いていたり、曲率連続性が崩れていたりすると、ソリッド変換や後工程で思わぬ問題を引き起こします。サーフェス診断を適用すれば、小さな隙間や修復すべき箇所がリストアップされるため、原因箇所へスピーディにたどり着き、ピンポイントで修正することが可能です。

作業が一段落するたびにサーフェス診断を実行し、問題をその都度解決しておけば、最終段階で大幅な作り直しに迫られるリスクも低減できます。3D CADによる製品設計の現場では、プロセス全体の効率化が求められるため、こうした機能の積極的な活用が結果的にコスト削減と納期短縮にも貢献するはずです。

5. サーフェス作成の効率化

設計作業における効率化は、より高品質なモデルを短時間で仕上げる上でもはや欠かせない視点といえます。サーフェスモデリングも例外ではありません。ここでは、テンプレート機能やショートカットキー、マクロといった仕組みをうまく取り入れ、日々の作業の無駄を削減するアプローチをご紹介します。

たとえば、よく似た曲面パネル設計を繰り返し行う場合、最初にテンプレートを正しく設定しておくことで、後からわざわざ同じスケッチや参照面を作成しなくて済みます。さらに、ショートカットキーをカスタマイズするだけでも、コマンド呼び出しの手間が大幅に減り、一連のサーフェスモデリング手順が流れるように進行します。

また、VBAなどを利用したマクロ作成も、実務向けサーフェス技術では見逃せないポイントです。定型化された操作を自動化することで、単調な繰り返し作業を省き、人為的ミスを防ぎながら作業のスピードアップを実現できるでしょう。こうした取り組みは、設計者の負担軽減という観点だけでなく、組織としての生産性向上にも寄与します。

それでは、具体的にどのような方法で効率化を図れるのか、3つの視点から順に解説していきます。小さな積み重ねが大きな時間短縮につながることを、ぜひ体感してみてください。

5.1. テンプレートの活用

同種の製品を何度も設計する場合、テンプレートの活用は欠かせないテクニックです。SOLIDWORKSでは、パーツやアセンブリ、そしてサーフェスモデリングに設定されたファイル形式をテンプレート化しておくことが可能です。こうすることで、しばしば必要となるスタート時の設定や規格を毎回やり直す手間を省くことができます。

例えば、特定の基準面やスケッチ断面、初期サーフェス設定などをあらかじめ含んだテンプレートを用意しておけば、新規プロジェクトの際にゼロから条件を作り込む必要がなくなります。また、社内標準の寸法設定や単位、精度設定などもすでに統一された状態で始められるため、個人差による設定ミスや共有時のトラブルを大幅に軽減できます。

さらに、テンプレートを社内の管理サーバーやクラウド上に置いておき、関係者が同じベースで作業できるようにすると、チーム全体の設計品質向上にも寄与します。『サーフェス作成のコツ』の一環として、このような小さな効率化を積み重ねると、最終的な製品設計までの時間短縮が大きく変わってくるでしょう。

5.2. ショートカットキーの活用

設計作業のスピードを上げるには、頻繁に使うコマンドへのアクセスをいかに素早くできるかが鍵となります。ショートカットキーを積極的に活用すれば、いちいちリボンやツールバーを探す手間が省け、サーフェスモデリングの各ステップをより直感的に進められます。

ロフトやスイープ、フィレットなどの使用頻度が高い機能について、独自のキー割り当てを行うと効果的です。GUIでの操作に比べて指の移動量が減るため、数時間の作業の中でも大きな時間短縮が見込めます。また、複数のショートカットを状況に応じて切り替えながら使うことで、さらなる効率アップが期待できます。

ただし、むやみに割り当てすぎると覚えきれなくなるので、まずは自分が最も多用するサーフェス機能から厳選して設定するのがおすすめです。最初に覚えてしまえば習慣化しやすく、ほかの作業者との情報共有も簡単になります。こうして設計環境を最適化することで、実務における設計作業フローが飛躍的にスピードアップするはずです。

5.3. マクロの活用

ショートカットキーよりさらに高度な自動化を目指すなら、マクロの活用が有力な選択肢です。SOLIDWORKSではVisual Basic for Applications(VBA)を用いてさまざまな処理を自動化でき、特に繰り返し行うサーフェス作成手順や変換操作などをスクリプト化しておくと作業時間を大幅に削減できます。

例えば、複数のサーフェスを一括してオフセットやトリムするなど、一連の操作が決まった流れで構成されている場合にマクロを組むと便利です。ワンクリックで一連の処理が実行されるため、ヒューマンエラーを防ぎながら安定した品質でモデルを仕上げられます。さらに、ある程度プログラミングに慣れてきたら、マクロに条件分岐やダイアログ表示などを組み込めば、複数パターンの自動処理も可能です。

このような自動化スキームは個人だけでなく、チームや組織全体の生産性を高める有効手段となるので、設計品質向上と同時にコスト削減にも寄与します。現在のCADソフトウェア環境下で、マクロはほとんどコーディング不要で始めることもできるため、積極的に挑戦してみる価値は十分にあるでしょう。

6. まとめ

本稿では、中級SOLIDWORKSユーザーの皆さまに向けて、サーフェスモデリングによる設計品質向上の具体的ポイントと実践テクニックをご提示しました。サーフェスはソリッドに比べて自由度が高く、複雑曲面や独創的な形状を実現しやすい一方で、スケッチ精度や曲率連続性、ソリッド変換のタイミングなど注意すべき点も多いことが分かります。

今回ご紹介した基本的なサーフェス作成のワークフローや、パワートリム、スカルプト機能、サーフェス診断などの機能活用のコツは、実務向けサーフェス技術を習得する上で欠かせない要素です。さらに、テンプレートの整備やショートカットキーの設定、マクロによる自動化といった効率化手段を組み合わせることで、生産性も大きく向上します。

ぜひ、ここで取り上げた内容を実践しながら、自分なりの最適な設計プロセスを築いてください。サーフェスモデリングを習得すれば、新たな創造性や技術力が身につき、競争力ある製品設計を生み出す大きな武器となるはずです。

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参考資料

・SOLIDWORKSブログ:設計の課題を克服する – episode 2

https://blogs.solidworks.com/japan/solidworks-blog/3dexperience/20210707/

・SOLIDWORKSブログ:金型設計者に人気の機能 ご紹介します

https://blogs.solidworks.com/japan/solidworks-blog/3dexperience/20230208/

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