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SolidWorksのCPU使用率を上げるには?初心者でもできる快適化の基本

1. はじめに

SolidWorksは、機械設計から建築分野まで幅広く使われている代表的な3D CADソフトウェアです。直感的にモデリングできる反面、複雑なアセンブリを扱ったときに「動作が重い」「CPUの力を十分に使えていない」と感じる方も少なくありません。特に初心者にとっては、作業効率の低下やフリーズに悩まされる大きな原因になります。

快適に作業を進めるためには、ソフトの操作スキルだけでなく、PCの性能をきちんと引き出すことも大切です。中でもCPUの最適化はパフォーマンス改善の大きなポイントとなります。CPUが効率よく働かないと、モデリングや大規模アセンブリの処理が遅れ、設計の流れ全体に支障が出てしまうからです。

そこで本記事では、初心者でもすぐに実践できる「CPU使用率を高めるための基本対策」を紹介します。Windowsの設定やPC環境の調整、SolidWorks側のオプション設定、さらにハードウェアの見直しまで、さまざまな角度から最適化のコツをわかりやすく解説します。この記事を参考に、SolidWorksをより軽快に動かし、設計作業を快適に進めてみてください。

2. SolidWorksとCPUの基本理解

SolidWorksを効率的に使いこなすためには、まず「CPUがどのように働いているのか」を理解しておくことが重要です。一般的に、ソフトウェアは複数のCPUコアを同時に活用できれば使用率が高まりやすくなります。しかし、3D CADソフトの多くは処理内容によってシングルコアに依存する場面が多く、SolidWorksも例外ではありません。特にモデリングやフィーチャーの計算、スケッチ作成といった基本操作ではシングルスレッドでの処理が中心となります。一方で、レンダリングやシミュレーション、バッチ処理など演算量の大きいタスクではマルチコアをフルに使えるよう設計されており、これらの場面ではCPU全体を効率よく稼働させることが可能です。したがって、CPUコア数を増やしても普段の作業では使用率が思ったように上がらず、「高性能CPUを導入したのに速度が変わらない」と感じることもあるのです。

さらに注意したいのは、CPUそのもの以外に「処理を妨げる要因(ボトルネック)」が存在する場合です。例えば、メモリ容量が不足していたり、GPU(グラフィックカード)が正しく設定されていなかったりすると、CPUの性能が十分でもシステム全体の速度は頭打ちになります。特にCADや3D設計では、描画処理をGPUが担当し、計算処理をCPUが担うのが理想的ですが、設定を誤っているとCPUに過剰な負担が集中してしまいます。こうした状況を避けるためには、「SolidWorks 最適化」や「SolidWorks パフォーマンス改善」という観点から、CPU単体に注目するのではなく、周辺ハードウェアやOSの設定を含めて総合的に見直すことが欠かせません。

以下の小見出しでは、SolidWorksが具体的にどのような場面でCPUを使うのか、そして「なぜCPU使用率が思ったほど上がらないのか」という原因を整理して解説します。

2.1. SolidWorksがCPUをどのように使用するか

SolidWorksでは、モデリング、スケッチ作成、アセンブリの再構築など、あらゆる工程でCPUの処理能力が必要になります。しかし、それぞれの処理が常にマルチコアで並行実行されるわけではありません。多くの基本操作はシングルコア依存であり、そのため処理が一度に一つのコアで進んでしまうことが多いのです。一方で「SolidWorks シミュレーション」などの解析作業はマルチコアを積極的に活用できるため、コア数が多いCPUほど効率的に計算を進められます。

また、レンダリングに関しては、かつては「PhotoView 360」がCPUのみを利用するレンダラとして用いられていましたが、現在は「SolidWorks Visualize」が主流となっており、GPUやCPU、あるいは両方を組み合わせたハイブリッド方式でレンダリングを行うのが一般的です。このため、最新環境ではCPUだけに負荷が集中するのではなく、GPUとの役割分担によって処理が進むケースが多くなっています。

そのため、マルチコアCPUを搭載していても、日常的なモデリング作業ではコアの一部しか使われず、タスクマネージャーでCPU使用率を見ると低めに表示されることがあります。これは不具合ではなく、SolidWorksの仕様上の特性です。どの作業がマルチコア向きで、どの作業がシングルスレッド寄りなのかを理解し、場面に応じた操作や設定を工夫することが、CPUを効果的に活かす第一歩となります。

2.2. CPU使用率が低い原因

CPU使用率が思うように上がらない原因はいくつもあります。まず代表的なのは電源設定です。Windowsの電源プランが「省電力」や「バランス」に設定されていると、CPUクロック数が自動的に抑えられ、SolidWorksの動作に必要な性能が十分に発揮されません。特にノートPCではこの影響が大きく、作業中でもクロックが制限されて動作が重くなるケースがあります。

次に、バックグラウンドで多くのアプリやプロセスが動いている場合もCPUのリソースが分散し、SolidWorksに十分な処理能力が割り当てられなくなります。スタートアップに不要なアプリが多いと、起動直後から無駄な負荷がかかり続けることもあるため注意が必要です。

さらに、GPUが果たすべき役割をCPUが肩代わりしてしまうケースもあります。例えば「SolidWorks グラフィックカード」が認定外だったり、ドライバが正しく設定されていない場合、描画処理がGPUではなくSoftware OpenGL経由でCPUに回ってしまい、結果として表示や操作が遅くなります。このような事態を避けるためには、必ず認定GPUと最新のドライバを使用することが重要です。

そのほかにも、メモリ不足によるスワップ発生、一時ファイルの肥大化、設定の最適化不足などが原因となり、CPUの処理がスムーズに働かないことは珍しくありません。これらの要因を一つひとつ確認・改善していくことが、SolidWorksの快適な利用につながります。

3. Windows・PCの基本設定を見直す

SolidWorksを快適に使うためには、PCのハードウェア性能だけでなく、OSであるWindowsの設定も大切です。どんなに高性能なマシンを用意しても、電源モードが省電力寄りのままだったり、不要なアプリケーションが常駐していたりすれば、CPUが本来の力を発揮できず、結果として処理速度が伸び悩みます。まずはWindowsの基本設定を見直し、余計な負荷を取り除くことから始めましょう。

具体的には、電源プランを「高パフォーマンス」または「最良のパフォーマンス」に切り替え、バックグラウンドで動作するアプリを最小限に抑えることで、SolidWorksが使えるCPUリソースを確保できます。さらに、大型アップデートやOSのメンテナンスが作業中に走ってしまうと、CPUが分散して動作が遅くなることもあるため、Windows Updateのタイミングにも注意が必要です。以下の小見出しでは、それぞれの設定方法を具体的に説明します。

特に初心者の方は、購入時の標準設定のまま使い続けていることが多く見受けられます。しかし、一つずつ設定を変更していくだけでPC全体のパフォーマンスが向上し、SolidWorksの動作も明らかに軽快になります。結果的に「SolidWorks 速度向上」や「SolidWorks 効率的な使用」に直結するため、まずはここから取り組んでみることをおすすめします。

3.1. 電源オプションを高パフォーマンスに設定する方法

最初に確認すべきは「電源オプション」です。Windowsでは「省電力」「バランス」「高パフォーマンス」といった電源プランが選べるようになっており、多くの場合はデフォルトで「バランス」に設定されています。このモードではCPUが必要なときにクロックを一時的に上げる仕組みですが、性能が安定せず、SolidWorksの処理がもたつく原因になることがあります。

そこでおすすめなのが、Windows 11の「設定」→「システム」→「電源とバッテリー」で電源モードを「最良のパフォーマンス」に切り替える方法です。従来のコントロールパネルから「高パフォーマンス」プランを選ぶことも可能ですが、現在は電源モードの切替画面から操作するのが一般的になっています。検索機能から「電源」と入力して設定画面を開くこともできるので、初心者でも迷わず変更できるでしょう。

ただし、ノートPCでは消費電力が増えるためバッテリーの減りが早くなります。基本的にはACアダプターを接続して作業し、電源供給が安定した状態で「高パフォーマンス」設定を使うのが安心です。

3.2. バックグラウンドアプリの停止

次に注目したいのが、バックグラウンドで常駐しているアプリです。SolidWorks以外のソフトが同時にメモリやCPUを消費していると、その分リソースが分散し、SolidWorksが十分な力を発揮できなくなります。特にスタートアップに多くのプログラムが登録されていると、PCを起動した直後から無駄な負荷がかかり続ける状態になってしまいます。

対策としては、Windowsの「設定」→「アプリ」→「スタートアップ」から不要なプログラムをオフにしておくのが有効です。さらに、タスクマネージャーの「プロセス」タブで常に動作しているアプリを確認し、リソースを大量に消費しているものは作業中だけ終了させると良いでしょう。ただし、データ共有やセキュリティに関わる必須アプリは停止しないよう注意してください。不要な常駐ソフトを整理するだけでも、CPUの余力をSolidWorksに優先的に回すことができ、動作の快適さが向上します。

3.3. Windowsアップデートのタイミングを見直す

Windows Updateはセキュリティの維持に欠かせない機能ですが、アップデートが作業中に実行されるとCPUやディスクに大きな負荷がかかり、SolidWorksの動作が一気に遅くなることがあります。特に大規模アップデートでは顕著で、設計作業の中断につながることさえあります。

これを防ぐためには、Windowsの「アクティブ時間の調整」を活用し、作業している時間帯に自動更新が走らないように設定するのが効果的です。設定画面で普段の作業時間を指定しておけば、その時間内には自動的に再起動が行われず、SolidWorks作業中のパフォーマンス低下を避けられます。

初心者の多くはWindows Updateをデフォルト設定のまま使用していますが、一度見直すだけで不要なCPU負荷を大幅に減らせます。定期的に夜間や業務外の時間帯にアップデートを実行させるようにすれば、安全性を保ちながら作業効率も確保できます。

4. SolidWorks側の設定で快適化

次に確認しておきたいのが、SolidWorks本体の設定です。PCやWindowsの環境をいくら整えても、SolidWorksのオプションが初期状態のままだと新しいCPUを十分に活かしきれないことがあります。「SolidWorks システムオプション」には動作に関わる幅広い設定項目が用意されており、グラフィックスの制御や大規模アセンブリの扱い方など、細かい調整を行うことでパフォーマンスを改善できます。

さらに、作業を重ねるうちにソフト内部に一時ファイルや履歴データが蓄積していくと、再構築や保存に余計な時間がかかり、処理全体の遅延につながることもあります。そのため、適切に整理しておくことも快適な利用には欠かせません。ここでは代表的な調整項目を3つに分けて解説します。

とくに注目したいのはグラフィックス関連の設定です。GPUに任せられる部分はGPUに処理を振り分け、CPU側の負担を減らすことがパフォーマンス改善の鍵となります。グラフィックカードをしっかり活用できるように調整することで、SolidWorks全体の動作をより軽快にすることができます。

4.1. SolidWorksの「システムオプション」の基本設定

SolidWorksの「オプション」メニューに含まれる「システムオプション」には、全体の動作を左右する重要な設定が集約されています。たとえば「パフォーマンス」カテゴリーでは、大規模アセンブリモードの有効化や描画処理の詳細管理を調整することができます。特に部品点数の多いアセンブリを扱う場合には、このモードを適切に利用することで画面表示が軽くなり、CPUの無駄な負荷を避けられるようになります。

また、アドインの設定も見直す価値があります。必要のないアドインが常に有効になっていると、起動や操作のたびにCPUリソースが余計に消費されてしまいます。普段使用しない機能は無効化しておき、必要になったときだけオンにすることで、CPUを効率よく使える環境を維持できるでしょう。

4.2. グラフィックスパフォーマンス簡易設定と詳細設定

SolidWorksのグラフィックス設定は「簡易設定」と「詳細設定」に分かれています。簡易設定では、主にリアルタイム表示の品質を調整でき、低品質寄りに変更することでCPUやGPUへの負荷が軽くなり、操作の反応速度が向上します。ただし、作業内容によっては表示品質を落としすぎると設計確認が難しくなるため、用途に応じてバランスを取ることが大切です。

一方、詳細設定では「レンダリング時のマルチコア利用」など、より専門的な調整が可能です。解析やレンダリングといった演算負荷の高い処理を頻繁に行う場合には、マルチコアを最大限活用できるように設定を有効化するのがおすすめです。ただし、影や反射を高品質に設定しすぎるとGPUだけでなくCPUにも負担がかかり、全体的な動作が遅くなることがあるため、必要に応じて最適な水準に調整することが重要です。

4.3. 一時ファイルや履歴データの整理方法

SolidWorksを長期間使っていると、一時ファイルやキャッシュデータがどんどん蓄積し、ファイル保存や再構築の処理に時間がかかるようになることがあります。これらは内部的に作業履歴を保持する仕組みですが、過剰に溜まるとパフォーマンスに悪影響を及ぼします。

そのため、定期的に不要なファイルを整理する習慣を持つことが重要です。「システムオプション」からキャッシュの保存先を確認し、適宜整理を行うと効果的です。さらに、PDMや3DEXPERIENCE環境を利用している場合は、専用のローカルキャッシュクリーンアップ機能を使うことで安全に不要データを削除できます。あわせてWindowsのディスククリーンアップ機能を利用すれば、ストレージ全体を効率的に整理することも可能です。特にSSDを利用している場合、空き容量を確保することで読み書き速度の低下を防ぎ、「SolidWorks メモリ最適化」にも良い効果をもたらします。

5. PCハードウェアの活用テクニック

ソフトウェアやWindowsの設定を整えたら、次はハードウェア面から「CPU 使用率向上」を意識することが重要です。初心者であっても、CPUを選ぶ際にコア数やクロック周波数の違いを理解しておくだけで、SolidWorksのパフォーマンスを大きく左右できます。また、メモリを増設したり、ストレージをHDDからSSDへ換装するなど高速化を図ることで、ほかのアプリケーションとの併用時にも有利に働きます。

一方で、オーバークロックのような高度な手法は初心者には敷居が高いかもしれませんが、パフォーマンスをさらに引き出す手段として知識として持っておく価値はあります。加えて、メモリ増設とあわせてシステム全体のリソースに余裕を持たせておくと、負荷の高い作業でもCPUが処理待ちで停滞しにくくなり、安定した動作を維持できます。

以下では、「SolidWorks パフォーマンス設定」の観点から、CPUやメモリをどのように選ぶべきか、さらにオーバークロックを行う際の注意点について具体的に解説します。初心者でも無理なく取り入れられる範囲を理解し、自分の作業環境に合った最適化を目指しましょう。

5.1. マルチコア対応・高クロックCPUの選び方

SolidWorksではレンダリングやシミュレーションといった処理でマルチコアが活用されるため、コア数の多いCPUを選ぶ意義は十分にあります。ただし、モデリングやアセンブリの再構築などはシングルコア依存の要素が強く、クロック周波数の高さも同じくらい重要です。つまり、単にコア数が多いCPUを選べば良いのではなく、シングルスレッド性能とマルチコア性能の両立が求められます。「SolidWorks CPUコア」の観点でいえば、解析やレンダリングを頻繁に行うのであれば6〜8コア以上が望ましいですが、普段のモデリング作業ではシングルスレッド性能の高さが作業効率に直結します。

CPUを選定する際には、メーカーが公開しているベンチマークスコアや第三者による測定結果を確認し、処理内容に適したCPUを選ぶのが賢明です。「SolidWorks プロセッサ選定」に際しては、コア数とクロック周波数のバランスを意識し、自分の作業スタイルに最適なものを選びましょう。

5.2. オーバークロックの可否と注意点

CPUを規定以上のクロック数で動作させる「オーバークロック」は、パフォーマンスを引き上げる方法の一つです。うまくいけば計算処理や描画が高速化しますが、冷却が不十分だと「熱暴走」によりシステムがフリーズしたり、突然シャットダウンして作業が中断してしまうリスクがあります。

さらに、オーバークロックは保証の対象外となることが多く、CPUやマザーボードの寿命を縮める可能性もあります。初心者にとってはリスクが大きいため、積極的におすすめできる方法ではありません。もし試してみたい場合は、高性能なCPUクーラーや電源、オーバークロック対応マザーボードなどを用意し、十分な知識を身につけてから実施する必要があります。安全性を優先するなら、まずは電源設定や冷却環境を整えるなど、標準の範囲でできるパフォーマンス調整にとどめておく方が安心です。

5.3. メモリ増設の効果

SolidWorksを快適に動かすためには、十分なメモリ容量を確保することも欠かせません。とくに「SolidWorks 大規模アセンブリ」を扱う場合は、一度に読み込むデータ量が膨大になり、メモリ不足が原因で処理が遅延することが多くあります。メモリが足りないとシステムはストレージ上にスワップ領域を作って一時的にデータを退避させるため、CPUが処理を待たされ、結果的に使用率が思うように上がらなくなります。

一般的なPCには8GB〜16GBのメモリが搭載されていますが、複雑なアセンブリやシミュレーションを扱う場合は16GB〜32GB以上を推奨します。余裕のあるメモリ環境を整えておくことで、CPUが本来の性能を発揮できるようになり、「CPU 使用率向上」や「SolidWorks 全体の安定化」にも効果が表れます。作業内容やプロジェクトの規模に合わせて適切な容量を見極め、必要に応じて増設することが重要です。

6. 実際にCPU使用率を上げる操作

ここまで、CPUを効率よく使うための設定やハードウェア面での工夫を解説してきました。では実際の作業において、どのような操作を行うと「CPU使用率が上がる」のかを見ていきましょう。大きなアセンブリを開いたからといって必ずしもCPUが常にフル稼働するわけではなく、設計作業では断続的に負荷がかかるのが一般的です。そのため、CPUを効果的に動かすには、作業内容や処理の組み合わせを工夫することが大切です。

たとえば、マルチタスク処理やバッチ処理を意図的に組み合わせれば、CPUに負荷を集中させて効率よく回すことができます。以下の小見出しでは、アセンブリ操作時や複数処理の同時実行、さらにタスクマネージャーを使った使用率の確認方法について具体的に解説します。「SolidWorks レンダリング」や解析といった演算処理も含めて、どのタイミングでCPUに大きな負荷がかかるのかを理解しておくことが重要です。

加えて、タスクマネージャーを利用すれば、作業ごとにCPUがどの程度動いているかを数値で把握できます。最適化の成果を客観的に確認できるため、自分の環境で何がボトルネックになっているのかを特定する助けにもなります。

6.1. アセンブリや複雑なモデルの操作時

大規模アセンブリを読み込んで部品間の調整を行う際には、SolidWorksが大量のジオメトリ情報を処理しながら画面表示を更新するため、CPUとメモリに大きな負荷がかかります。もし表示モードが常に高精細なままであれば、その分だけ描画処理にCPUリソースが割かれてしまい、動作が重くなることがあります。

こうした状況では「軽量モード」や「大規模アセンブリモード」を活用するのが有効です。必要な情報だけをリアルタイムで表示し、詳細な情報は後から読み込むことで、CPUの無駄な消費を抑えながら作業を進められます。最終的なチェック段階で全パーツをフル表示に切り替えれば、効率と精度の両立が可能です。

6.2. マルチタスク処理例(バッチ処理、レンダリングなど)

「SolidWorks シミュレーション」やレンダリングを定期的に行う場合は、複数の処理をまとめてバッチ実行するのが効果的です。これらの処理はマルチコアを活用できるため、CPU使用率が自然と高まりやすいのが特徴です。

一度に複数のアセンブリをレンダリングキューに入れて連続実行すれば、CPUコアを途切れなく稼働させられます。作業環境によっては夜間にバッチ処理をまとめて走らせ、翌日に結果を確認するといった運用方法も効率的です。ただし、処理中はシステムリソースを大きく消費するため、同時にほかのソフトを動かすと動作が重くなる点には注意が必要です。

6.3. タスクマネージャーでの使用率チェック方法

CPU使用率がどこまで上がっているかを確認するには、Windows標準の「タスクマネージャー」を利用します。起動したら「パフォーマンス」タブを開き、CPUグラフの推移や論理コアごとの使用状況を確認してみましょう。高負荷の作業中に80〜90%程度まで使用率が上がっていれば、CPUをしっかり活用できていると判断できます。

逆に、大きなアセンブリを扱っているのに使用率が低いままであれば、電源プランの設定やバックグラウンドアプリ、グラフィックス設定などに問題が残っている可能性があります。その場合は前の章で紹介した最適化方法を見直し、環境を整えることで改善できることが多いです。CPU使用率を定期的にチェックする習慣をつければ、作業効率の改善ポイントを客観的に把握できるようになります。

7. よくある疑問とトラブルシューティング

最適化を積み重ねても、CPU使用率が思ったほど上がらなかったり、予期しない不調に出会うことはあります。本章では、初心者がつまずきやすい代表的なポイントを「原因」と「対処」のセットで整理しました。

設定変更やハードウェアのアップグレードには不安がつきものですが、あらかじめ対処の流れを知っておくと落ち着いて原因を切り分けられます。まずは再現条件を簡単にメモし、同じデータで再現するか/別のデータでも起きるか、新規ドキュメントでも発生するかを確認しましょう。これだけでも「ファイル起因」か「環境起因」かの見当がつきます。加えて、SolidWorksのバージョンやサービスパック、GPUドライバ、Windowsアップデート適用状況をチェックし、最新化と設定見直しを並行して行うのが近道です。

また、技術サポートに連絡する前に、自分で事前確認できるチェックリストを回すのも有効です。たとえば「電源モードが最良のパフォーマンスか」「Software OpenGLが不要に有効になっていないか」「スタートアップ常駐が増えていないか」「ディスク残容量に余裕があるか」「PDM/ローカルキャッシュが肥大化していないか」などを一気に点検すると、原因特定がぐっと早くなります。

7.1. CPU使用率が上がらない原因例

よく見られる原因の筆頭は、電源設定がいつの間にか「バランス」や省電力寄りに戻っているケースです。Windowsの大型更新やドライバ更新を経て設定が変わることがあるため、定期的に「最良のパフォーマンス」へ戻っているか確認しましょう。特にノートPCでは、バッテリー駆動時に性能が自動制御されるため、AC接続の有無も合わせて見直すと効果的です。

次に多いのが、バックグラウンドの常駐増加です。スタートアップ登録が増えたり、同期・クラウド系アプリがフル稼働していると、CPUやディスク帯域が静かに奪われます。不要な常駐をオフにし、作業中だけ一時停止できるものは停止して、SolidWorksにリソースを優先的に割り当てましょう。

GPU関連の設定不備も見逃せません。認定外のGPUや不適切なドライバ、あるいは誤ってSoftware OpenGLが有効になっていると、本来GPUが担う描画がCPUに回り、表示が遅くなります。この場合は、認定GPU+適切なドライバの導入、Software OpenGLの無効化、グラフィックス設定の最適化で改善が見込めます。

そのほか、メモリ不足によるスワップ発生、ストレージの空き容量不足、PDM/3DEXPERIENCEのキャッシュ肥大化、ウイルス対策のリアルタイムスキャンが重い、高解像度・多画面での過度な表示品質設定なども、CPU使用率が伸びない/体感が重い原因になります。各項目を一つずつ潰し込むことで、ボトルネックがどこにあるかが見えてきます。

7.2. よくある“勘違い”とその解決法

「CPU使用率は常に100%が理想」という考えは誤解です。SolidWorksの多くの基本操作はシングルスレッド寄りで進むため、タスクマネージャーの全体表示が低めでも正常です。重要なのは、重い処理(解析・レンダリング・大規模再構築など)で必要なときにリソースが使えているかであり、常時100%である必要はありません。

「コア数を増やせばモデリングも一気に速くなる」という期待も要注意です。レンダリングや解析ではコア数が効きますが、日常のモデリングはシングルスレッド性能(高クロック・高IPC)の影響が大きい場面が多く、最適解はコア数とシングル性能のバランスです。用途を整理して選定すると、投資対効果が高まります。

「クロックを上げればすべて解決」という短絡も危険です。メモリ不足やGPU設定不備、ストレージ遅延といったほかの要素がボトルネックであれば、CPUをいくら強化しても体感は変わりません。まずは電源設定/常駐整理/グラフィックス設定/メモリ容量/ストレージ空きといった基本の土台を整え、そこからピンポイントで強化する順序が有効です。

解決のコツは、一度に一つだけ設定を変えて効果を記録することです。代表的なアセンブリや操作手順で「変更前後の体感/処理時間/CPU使用率」を簡単にメモしておくと、何が効いたのかがはっきりします。思い込みや噂に流されず、自分の環境で測って判断する——これが最短ルートのトラブルシューティングです。

8. まとめ

本記事では、SolidWorksのCPU使用率を高め、より快適に作業を進めるための基本的な対策を幅広く紹介しました。特に初心者がまず取り組みやすい方法としては、Windowsの電源プランを「最良のパフォーマンス」に切り替えること、不要なバックグラウンドアプリを停止すること、そしてSolidWorksのシステムオプションを適切に調整することが挙げられます。こうした日常的な工夫の積み重ねが、「SolidWorks メモリ最適化」や「SolidWorks 速度向上」といった大きな成果につながります。

パフォーマンス改善は単なる動作の軽快さにとどまらず、作業効率の向上、設計のストレス軽減、さらには余裕をもってプロジェクトに取り組める環境づくりに直結します。これにより、設計品質や納期の管理にも良い影響をもたらすでしょう。さらに必要に応じてハードウェアをグレードアップすれば、より高度で安定した作業環境を構築することも可能です。

そして、より一歩踏み込んだ最適化に挑戦したい方は、オーバークロックやネットワークレンダリングの活用、「SolidWorks シミュレーション」の高度利用などを検討してみるのも良い選択です。まずは本記事で紹介した基本的な方法から実践し、少しずつ自分の作業環境をアップデートしていきましょう。SolidWorksを快適に動かす工夫は、日々の設計作業を大きく前進させてくれるはずです。

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<参考文献>

3次元設計と製品開発ソリューション

https://www.solidworks.com/ja

システム要件 | SOLIDWORKS

https://www.solidworks.com/ja/support/system-requirements

SOLIDWORKS Visualize のシステム要件 – 2025 – SOLIDWORKS ヘルプ

https://help.solidworks.com/2025/japanese/SolidWorks/install_guide/c_viz_prereqs_system_reqs.htm

ハードウェアの問題と推奨事項(Hardware Issues and Recommendations) – 2025 – SOLIDWORKS ヘルプ

https://help.solidworks.com/2025/japanese/SolidWorks/sldworks/c_Hardware_Issues_and_Recommendations.htm

認定ハードウェア | SOLIDWORKS

https://www.solidworks.com/ja/support/hardware-certification/

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