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SolidWorksの大規模アセンブリが重い?今すぐ試せる軽量化のコツを解説!

1. はじめに

SolidWorksで大規模アセンブリを扱っていると、「画面がカクついて思うように操作できない」「フリーズ対策を試しても効果がない」といった悩みに直面することはありませんか?

特に部品点数が多いアセンブリでは、PCにかかる負荷が一気に高まり、SolidWorksの動作が極端に遅くなったり、最悪の場合クラッシュしてしまうこともあります。こうした「アセンブリが重い」という問題は、初心者にとって大きな壁になりがちです。

そこで本記事では、SolidWorksの大規模アセンブリを快適に扱うための軽量化テクニックを、初心者にもわかりやすく解説します。
「軽量表示モード」や「大規模設計モード」といった基本的な設定をはじめ、パーツ数の整理やサブアセンブリの活用など、すぐに実践できる対策を具体的に紹介します。

PCのスペックが十分でない場合でも、ちょっとした設定の見直しや設計手法の工夫で、驚くほど動作が軽くなることもあります。この記事を参考に、ぜひご自身のアセンブリデータで試してみてください。

2. SolidWorks大規模アセンブリの重さの原因

大規模なアセンブリをSolidWorksで扱う際、「動作が遅い」「フリーズする」といった問題が起こる背景には、いくつもの見落としがちな要因があります。
これらを一つひとつ整理して理解することで、適切な対策を見つけやすくなります。

以下では、初心者の方はもちろん、SolidWorksを長年使っている方でも「なるほど」と思えるような、見過ごされがちな4つの代表的な原因を紹介します。
各原因を把握したうえで、後述する軽量化テクニックを活用すれば、アセンブリ全体の最適化とパフォーマンス改善が期待できるでしょう。

2.1. 部品数とデータ量の影響

SolidWorksで大規模アセンブリが重くなる最大の要因は、やはり部品点数の多さです。

数百〜数千のパーツを含むアセンブリでは、それぞれの部品のジオメトリや拘束情報が個別に読み込まれ、全体として膨大なデータ量になります。SolidWorksはすべての構成要素を認識・描画しながら動作するため、その分だけ処理負荷も高くなるのです。

また、見た目には小さな穴や複雑なフィレットが大量に使われている場合も、形状の読み込みに時間がかかり、ファイルサイズも大きくなりがちです。こうしたケースでは、部品の詳細を必要最低限にとどめることで、読み込みや表示の負荷を軽減できます。

効率化の工夫としては、同じ形状のパーツをライブラリ化して使い回したり、無駄な配置を減らすことで部品数そのものを見直すのも有効です。
こうしたモデルデータの整理が、処理の軽量化につながります。

2.2. PCスペックとの関係

PCのハードウェアスペックも、SolidWorksの動作速度に大きく関わってきます。

特に重要なのはメモリ(RAM)の容量です。推奨要件を満たしていないPCでは、十分なメモリを使えず、動作中に仮想メモリへ切り替わることで処理速度が大幅に低下してしまうことがあります。
仮想メモリは、物理メモリよりも遅いストレージ(HDDやSSD)を使うため、SolidWorksの応答性に直接影響します。

また、グラフィックボード(GPU)も表示処理の負荷を左右します。SolidWorksが公式に認定しているドライバが使えるプロフェッショナル向けGPUであれば、安定した描画と高速処理が期待できます。

もしハードウェアのアップグレードが難しい場合でも、設定の工夫次第である程度のパフォーマンス改善は可能です。まずは使用中のPCスペックを確認し、不足している部分を把握することから始めてみましょう。

2.3. 再構築と高精度表示の影響

SolidWorksでは、アセンブリを開いたり編集したりするたびに「再構築」と呼ばれる処理が自動的に実行されます。
これは、各パーツや拘束の整合性を再確認するための重要な処理ですが、設定によっては非常に重くなることがあります。

とくに「高精度表示」の設定を有効にしていると、陰影や曲面などの細かな描画がすべてリアルにレンダリングされるため、グラフィック負荷が急激に増します。結果として、アセンブリの表示や操作に時間がかかる原因となります。

もちろん、高精度表示は美しいビジュアルを得るためには有効ですが、作業効率を優先する場面では表示設定を一段階落とすことで、十分なパフォーマンス改善が見込めます。

また、常に高負荷な状態で作業を続けていると、操作のたびに再構築が頻繁に発生し、SolidWorks全体の動作が重くなる要因にもなります。必要に応じてグラフィック設定を見直し、表示の質と動作速度のバランスを取るように心がけましょう。

2.4. 外部参照と拘束の複雑さ

SolidWorksのアセンブリでは、外部参照を活用することで部品間の関連性を保ちながら設計を進めることができます。
ただし、複数のアセンブリにまたがって外部参照が張られている場合、そのリンク情報を読み込むたびに処理が増え、動作が遅くなる原因になります。

さらに、部品間に設定された拘束(メイト)の内容が複雑になると、モデルの動きや変更のたびに大量の計算が発生します。特に接触や角度などを複数組み合わせて設定していると、操作時にフリーズが起きやすくなります。

こうした状況を改善するには、拘束を最小限に抑えることがポイントです。必要のないメイトは削除し、外部参照の数をできるだけ減らすようにします。また、機能ごとにパーツをグループ化してサブアセンブリとして整理すると、外部参照の構造がシンプルになり、処理の効率化にもつながります。

より大規模なデータ管理が必要な場合には、「PDM(製品データ管理)」の導入も選択肢となるでしょう。設定や設計手法を見直すことで、外部参照や拘束がSolidWorksの動作に与える負荷を効果的に抑えることができます。

3. 今すぐ試せる軽量化のテクニック

ここからは、SolidWorksの大規模アセンブリを少しでも軽くするために、初心者でも取り組みやすい具体的な対策をご紹介します。いずれも特別なソフトや高性能なPCを必要とせず、SolidWorksの設定や機能をうまく活用することで、動作の改善が期待できます。

ご自身の作業環境やアセンブリの構成に合わせて、無理なくできそうなものから取り組んでみてください。軽量化の効果は単体でも実感できますが、複数の方法を組み合わせることでさらに効果が高まります。

とくに、部品数の多いアセンブリや複雑な構成を扱っている方にとっては、大きな改善が見込めるはずです。

3.1. 軽量化表示モードの活用

「軽量表示モード」は、アセンブリを開くときに部品内部の情報までは読み込まず、見た目の形状だけを表示する設定です。これにより、部品ごとの詳細なフィーチャ(穴、リブ、フィレットなど)を省略して読み込むことができ、アセンブリの表示速度が大きく向上します。

たとえば、作業中にすべての部品を詳細に確認する必要がない場合、このモードを使えばパフォーマンスが格段に改善され、快適に作業を進めることができます。

操作方法としては、アセンブリを開く際のダイアログで「軽量モード」を選択するか、アセンブリを開いた後で部品を右クリックし、「軽量化」に切り替えることができます。

普段の作業で内部構造まで頻繁に確認しない部品が多いようであれば、積極的に軽量表示モードを活用するのがおすすめです。作業の初期段階や、レイアウト確認、全体構成のチェックなどにも非常に向いています。

3.2. 大規模設計モードの利用

「大規模設計モード」は、部品数が多いアセンブリ向けに用意された、一連の軽量化設定を自動で適用するモードです。読み込み時間の短縮や、作業中のフリーズ防止などを目的として、SolidWorksが自動的に最適化を行ってくれます。

このモードを使うことで、詳細表示を省略したり、自動保存の頻度を抑えたりといった複数の設定がまとめて適用され、作業時の安定性が向上します。特に数千点規模の部品を扱う場合には、パフォーマンス改善の効果が大きく現れます。

設定方法は、「システムオプション」内のアセンブリ設定から、大規模設計モードの有効化と適用条件(部品数のしきい値)をあらかじめ設定しておくことで、条件に達したアセンブリを開く際に自動で切り替えが行われます。

作業中にすべての機能が使えるわけではないものの、設計変更が少ないタイミングや、構成チェック時などには非常に有効なモードです。まずは一度有効化してみて、その効果を実感してみてください。

3.3. SpeedPakの適用

「SpeedPak」は、アセンブリの中から必要な面やエッジだけを残し、他のジオメトリを省略することで軽量化を図る機能です。これにより、構成部品の大部分を読み込まずに表示できるため、全体の動作が格段にスムーズになります。

たとえば、大きな設備のレイアウト確認や、外形だけを使った干渉チェックを行う場面では、内部の詳細まで読み込む必要がないため、SpeedPakが最適です。
適用するには、アセンブリの構成を編集し、「SpeedPak構成」を作成して、保持したいジオメトリを選択するだけです。

ただし、SpeedPakを使うと一部の操作(編集や拘束の変更など)が制限されるため、適用するシーンを見極めることが大切です。設計の初期段階や部品詳細の調整中には不向きな場合があります。

パフォーマンスを重視したい場面で、SpeedPak構成をうまく活用すれば、大規模アセンブリでも快適に作業を進められるようになります。

3.4. グラフィック設定の最適化

SolidWorksの表示設定には、パフォーマンスに大きな影響を与える項目がいくつか存在します。とくに「イメージ品質」や「影・反射の描画」「リアルビューグラフィックス」のようなビジュアル面の設定は、GPUに負荷をかけやすく、描画のレスポンスが悪化する原因となります。

たとえば、イメージ品質のスライダーを「中」程度に設定するだけでも、画面スクロールや回転の操作が軽く感じられるようになります。曲面やフィレットの多いモデルほど効果は大きく、作業の快適さが向上します。

また、不要な部品を非表示にしたり、サプレッション(抑制)することで、描画処理の対象を減らすのも効果的です。表示しない部品にまでリソースを割かずに済むため、処理が軽くなります。

作業の内容に合わせて、グラフィック設定を柔軟に調整する習慣を持つことで、無駄な描画負荷を減らし、全体の操作性を向上させることができます。

3.5. 自動保存と履歴の調整

SolidWorksには、クラッシュ時のデータ保護として便利な「自動保存」機能がありますが、保存の頻度が高すぎると作業の途中で動作が止まることがあります。

特に大規模アセンブリでは、保存されるファイルのサイズが大きくなりやすく、その分だけ保存処理にも時間がかかります。頻繁に保存が発生すると、そのたびに待たされてストレスがたまるだけでなく、作業リズムが乱れる原因にもなります。

また、「履歴の世代数」が多すぎると、保存ファイルがどんどん蓄積され、ディスク容量を圧迫する可能性もあるため注意が必要です。

設定の見直しとしては、自動保存の間隔を少し長めにしたり、履歴の保存世代数を必要最小限に調整することがおすすめです。もちろん、自動保存は突然のトラブルに備えるためにも必要な機能なので、完全にオフにするのではなく、バランスを取りながら調整するのが現実的です。

3.6. サブアセンブリ化と外部参照の管理

大規模アセンブリでは、すべての部品を一つのアセンブリにまとめてしまうと、構造が複雑になり、管理も操作も困難になります。
そこでおすすめなのが、「サブアセンブリ化」による階層構造の整理です。

設計の意図や構造単位に応じて部品を分けてサブアセンブリ化することで、読み込み対象の範囲を限定でき、操作性が大幅に向上します。 また、各サブアセンブリごとに拘束を設定することで、メインアセンブリ側の拘束がシンプルになり、全体のパフォーマンスにも好影響を与えます。

さらに、編集の必要がないサブアセンブリについては、SpeedPak構成に変換して軽量化することも可能です。サブアセンブリとSpeedPakを組み合わせれば、非常に効率的な運用が実現します。

また、外部参照のリンク数が多すぎると、動作が遅くなるだけでなく、ファイルの整合性維持も難しくなります。参照先の整理やリンク切れの防止策としても、サブアセンブリの活用は有効な手段です。

4. パフォーマンスを上げるための環境整備

ここまで、SolidWorksの設定や操作面から大規模アセンブリを軽くする方法をご紹介してきましたが、パフォーマンス改善には作業環境そのものの見直しも欠かせません。

とくに、PCのスペックやファイルの保存場所、グラフィックドライバの状態などは、アセンブリの処理速度に直接的な影響を与えます。設定だけでカバーできる範囲には限界があるため、ハードウェアや運用環境の最適化も検討すべき重要な要素です。

この章では、「マシンスペック」「ドライバ」「保存環境」という3つの視点から、SolidWorksをより快適に使うための基本的な整備ポイントを整理して解説します。導入コストとのバランスも踏まえながら、長期的な視野でご検討ください。

4.1. 推奨ハードウェアの選定

SolidWorksで大規模アセンブリを扱う場合、作業が重くなるのはPCのスペック不足が原因となっていることが少なくありません。
とくに重視すべきなのは、メモリ(RAM)容量、CPUの処理能力、そしてストレージの種類です。

まず、RAMは最低でも16GB以上を推奨します。8GB程度では大規模アセンブリに対応するには心許なく、動作中にメモリが不足すると、仮想メモリへの切り替えが発生し、処理速度が大きく低下します。理想的には32GBを搭載しておくと、作業の安定性が大幅に向上します。

CPUはクロック周波数が高く、複数コアに対応したモデルを選ぶとより効果的です。特定の操作はシングルコア性能に依存するため、コア数と性能のバランスが重要です。

さらに、HDDではなくSSDを使うことで、アセンブリファイルの読み込みや保存が圧倒的に速くなります。とくに大容量ファイルを何度も開閉する作業では、SSDの導入だけでも体感速度が劇的に向上するケースが多く見られます。

設計業務を安定して行うには、SolidWorksの推奨ハードウェアに近い、またはそれ以上のスペックを整えておくことが望ましいでしょう。

4.2. 認定グラフィックドライバの使用

SolidWorksでは、グラフィックドライバの適合性がソフトの動作や表示品質に大きく影響します。とくに大規模アセンブリでは、描画処理にかかる負荷が大きくなるため、適切なグラフィック環境が整っていないと、表示の乱れや応答遅延、クラッシュの原因になることもあります。

そこで重要になるのが、「SolidWorks認定グラフィックドライバ」の使用です。これは、SolidWorksが特定のグラフィックカード向けにテスト・最適化した専用ドライバで、描画の安定性や速度が確保された環境を構築できます。

一方で、ゲーミング用や汎用のドライバは、CAD用途に最適化されていないことが多く、処理エラーや不具合を招くリスクがあります。画面が点滅したり、ズーム・回転が重くなるといった症状が起きている場合は、まずドライバの種類とバージョンを確認してみましょう。

SolidWorksの公式サイトでは、使用中のグラフィックカードに適した認定ドライバのリストが公開されています。定期的に更新されているため、定期的なチェックとアップデートの実施も重要です。

快適で安定した作業環境を維持するためには、グラフィックカードそのものの性能だけでなく、適切なドライバの導入が不可欠です。

4.3. ファイルの保存場所の最適化

アセンブリファイルの保存場所も、SolidWorksの動作に意外なほど大きな影響を与える要素の一つです。とくにファイルの読み込み・保存時のレスポンスは、保存先のストレージ環境とネットワーク速度に強く左右されます。

たとえば、共有サーバーなどネットワーク越しの保存先からアセンブリを直接開いている場合、通信環境によっては読み込み速度が大幅に低下することがあります。回線が混雑していたり、ネットワークが不安定な場合は、途中でフリーズやエラーが発生するリスクも高まります。

一方で、ローカル環境(PC内やSSD)に保存されたファイルは、通信を介さずに高速でアクセスできるため、ファイルの開閉や編集操作がスムーズになります。
ただし、チーム作業においてはローカル保存だけではバージョン管理が難しく、データ共有の効率も下がってしまうため注意が必要です。

そこでおすすめなのが、SolidWorks PDM(製品データ管理)システムの導入です。PDMを利用すれば、ネットワーク環境であってもアクセスの最適化が図られ、ファイルのバージョン管理や履歴追跡も自動化できます。

特に複数人で大規模アセンブリを扱う場合、PDMによる保存環境の整備は作業効率だけでなく、トラブル防止にも大きく貢献します。将来的なチーム運用を見据えて、保存場所の最適化を検討してみてください。

5. トラブルシューティングとリスク回避

どれだけ環境を整え、設定を最適化していても、SolidWorksで大規模アセンブリを扱っているとトラブルが起きる可能性はゼロではありません。
特に、作業中のフリーズやファイル破損といった問題は、データ損失や業務の遅延につながるため、あらかじめ対処法を知っておくことが重要です。

また、複数人でプロジェクトを進めるチーム設計では、個々の作業が他のメンバーに影響する場面も多く、トラブル防止のためのルール作りや連携体制の整備が欠かせません。

この章では、いざというときに落ち着いて対応できるよう、よくあるトラブルへの対処法と、日頃から意識すべき予防策について、具体的にご紹介します。チームで設計に関わる方は、ぜひ他のメンバーとも共有しておくと安心です。

5.1. フリーズ時の応急処置

SolidWorksで作業中に突然フリーズした場合、多くの方はすぐにソフトを強制終了してしまいがちですが、すぐに閉じるのではなく、まずは状況を見極めることが大切です。

大規模アセンブリを扱っていると、何らかの操作をきっかけに大量の再構築処理が始まり、それにより応答が一時的に止まっているだけということもあります。この場合、数分ほど待つことでソフトが回復することがあります。

それでも復帰しない場合は、タスクマネージャーを開いて、CPUやメモリの使用率を確認しましょう。もしメモリが逼迫しているようであれば、他のアプリケーションを終了させるだけでも復旧につながることがあります。

最終的にSolidWorksを再起動せざるを得ない状況でも、保存していない作業内容を少しでも減らすために、日頃からこまめに保存を行う習慣をつけておくことが重要です。 特に複雑なアセンブリを編集する際には、作業前にバックアップをとっておくと、万一のトラブル時にも安心です。

5.2. ファイル破損の予防とバックアップ

SolidWorksのアセンブリファイルは、構成要素が多く、外部参照も含まれるため、ちょっとした不具合がファイル破損につながることもあります。
万が一に備えて、バックアップ体制を整えておくことは非常に重要です。

最も基本的な対策は、外付けHDDやクラウドなどに定期的にバックアップを保存することです。これにより、トラブルが発生した場合でも、直前の状態にすぐ戻すことができます。

また、同じファイルに何度も上書き保存をするのではなく、「バージョン番号」や「日付」などを付けた別名保存を活用することで、過去の状態を残しながら安全に作業を進められます。
履歴管理の面でも、古い世代を適度に整理することでストレージ容量を無駄に消費せずに済みます。

さらに、OSやSolidWorks本体の不具合によってデータが破損することもあるため、Windowsアップデートやグラフィックドライバの更新も定期的に行っておくと安心です。

作業開始前にバックアップを取っておく習慣を持つことで、万一のファイル破損にも冷静に対応できるようになります。

5.3. チーム設計時の注意点

複数人で同じアセンブリや部品を扱う「チーム設計」では、個々の操作がプロジェクト全体に影響を及ぼすことがあるため、個人作業以上にトラブル管理が重要になります。

たとえば、あるメンバーが部品の外部参照を変更している間に、別のメンバーが同じ部品やサブアセンブリを編集すると、参照リンクの不整合やデータ破損が発生する恐れがあります。

こうした問題を防ぐためには、編集手順やファイルの扱い方に関する共通ルールをチーム内であらかじめ決めておくことが必要です。作業範囲を明確に分けたり、ファイルの編集状況を共有したりすることで、同時編集による衝突を回避できます。

加えて、SolidWorks PDMの導入を検討するのも有効な手段です。PDMを使えば、ファイルのチェックイン・チェックアウトによって編集の排他制御ができ、誰がどのファイルを操作しているかをリアルタイムで把握できます。

また、定期的なチームミーティングやチャットツールを活用して設計状況の進捗を共有する仕組みを整えておくことも、無駄な手戻りやミスを減らす鍵となります。

チームでの作業が多くなるほど、こうした連携の質が作業効率とトラブル発生率に大きく影響します。ぜひ意識的に対策を講じていきましょう。

6. まとめ

SolidWorksで大規模アセンブリを扱う際に発生する「動作が重い」「操作が遅い」といった問題は、多くのユーザーが共通して抱える悩みです。この記事では、その主な原因として、部品数やデータ量の増加、PCスペックの不足、再構築処理や高精度表示による負荷、さらには外部参照や拘束の複雑化など、さまざまな要素が関係していることを解説してきました。

こうした問題に対処するためには、「軽量表示モード」や「大規模設計モード」、「SpeedPak」の活用といったSolidWorksの機能を適切に使いこなすことが重要です。また、グラフィック設定の調整や自動保存・履歴の最適化、サブアセンブリ化による構造の整理といった工夫も、大きな効果をもたらします。

さらに、快適な作業環境を整えるには、SolidWorksの推奨ハードウェアや認定グラフィックドライバを活用し、SSDの導入や保存場所の見直しなど、ハードウェア面での対応も検討すべきです。ファイル破損やフリーズといったリスクに備えるには、定期的なバックアップの習慣や、チーム設計時のルール整備も欠かせません。

SolidWorksを効率よく活用するためには、こうした設定・操作・環境の三方向からのアプローチをバランスよく取り入れることが大切です。特別な知識や高性能なPCがなくても、日々のちょっとした工夫と意識の変化で、作業効率を大きく改善することができます。

もし「アセンブリが重くて作業が進まない」と感じているなら、まずは本記事で紹介した基本的なテクニックから、ひとつずつ試してみてください。動作が軽くなり、SolidWorksを使った設計が今まで以上にスムーズに進められるはずです。

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<参考文献>

認定ハードウェア | SOLIDWORKS

https://www.solidworks.com/ja/support/hardware-certification/

大規模アセンブリ パフォーマンスの向上(Improving Large Assembly Performance) – 2025 – SOLIDWORKS ヘルプ

https://help.solidworks.com/2025/japanese/SolidWorks/sldworks/c_Improving_Large_Assembly_Performance_SWassy.htm

SOLIDWORKS PDM | SOLIDWORKS

https://www.solidworks.com/ja/product/solidworks-pdm

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