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ソリッドワークスで軸が見えない?デザインツリーでの確認・対処法を徹底解説

1. はじめに

SolidWorks(ソリッドワークス)は、直感的な操作で部品やアセンブリの3D設計ができる人気のCADソフトです。しかし、初心者がよくつまずくポイントの一つに、「軸が見えない」「軸の表示が切り替えられない」といった問題があります。

このトラブルに直面すると、回転フィーチャやミラー機能などの基本操作が使えず、作業が止まってしまうことも少なくありません。軸は、回転の中心線や部品の位置合わせ、アセンブリでの拘束など、設計に欠かせない要素です。それだけに、見えなくなったときの原因や対処法を知っておくことが、作業の効率アップに直結します。

特にSolidWorksでは、軸の表示設定やデザインツリー(フィーチャーツリー)の操作を誤ると、必要な軸が非表示になってしまうケースがあります。こうした状況に慌てず対応するためにも、軸の仕組みや見つけ方をしっかり理解しておくことが大切です。

この記事では、SolidWorks初心者の方に向けて、「軸が見えない」主な原因や、デザインツリーを使った確認・再表示の方法をわかりやすく解説します。あわせて、軸の効率的な管理方法や、チームでの作業時に気をつけたいポイントもご紹介します。

本記事を通して、軸のトラブルを早く解消できるようになり、SolidWorksの作業効率を高めるきっかけになれば幸いです。ぜひ最後までご覧ください。

2. ソリッドワークスの「軸」とは?

引用:https://help.solidworks.com/2025/japanese/SolidWorks/sldworks/t_displaying_temporary_axes.htm

SolidWorksでいう「軸」とは、3Dモデルを構築するうえで基準となる仮想の線のことで、回転やミラーといった各種フィーチャを使う際に欠かせない重要な要素です。軸は、モデルの中心線として参照するだけでなく、アセンブリで部品同士の位置を正確に合わせるためにも活躍します。たとえば、円筒状の部品の中心を示す軸や、左右対称の形状を作る際の対称線として使われることがよくあります。

通常、SolidWorksではX軸・Y軸・Z軸といった「基準軸」が最初から用意されています。さらに、円筒面から自動的に作られる「一時軸」や、スケッチを利用して自分で作成する軸など、用途に応じてさまざまなタイプの軸が存在します。これらを適切に活用することで、フィーチャの管理や寸法の設定がしやすくなり、より精度の高いモデルを効率よく作成できるようになります。

一方で、SolidWorks初心者の方にとっては、基準軸と一時軸の違いや、軸がいつ・どのように生成されるのかがわかりにくい場合があります。たとえば、円柱形状を回転フィーチャで作成すると一時軸が自動で生成されますが、特定の位置に軸を追加したい場合には、自分で「参照ジオメトリ」から新しく軸を作成する必要があります。このように、どの軸を使うかの判断が、設計の仕上がりや寸法の正確さに大きく関わってくるのです。

軸の存在に気づかないまま作業を進めてしまうと、ミラー機能を使った際に意図しない角度で形状が反転されたり、アセンブリで部品の配置がうまくいかなかったりといったトラブルにつながることがあります。こうしたミスを防ぐためにも、まずは軸の種類や役割をしっかりと理解しておくことが大切です。

2.1. 軸の基本とその役割

軸は、3Dモデルにおける“中心線”として機能するもので、SolidWorksの設計作業において非常に重要な役割を果たします。たとえば、回転体を作成するときや、対称形状をミラー機能で再現するときなど、軸を基準にすることで正確な操作が可能になります。軸を正しく設定すれば、パーツを回転させたときの寸法基準を簡単に把握できたり、等間隔の配置を素早く行えたりと、多くの場面で作業の効率化が図れます。

特に、パイプや円柱など円筒形状を多用する設計では、軸が表示されていないと、中心位置の確認や寸法の測定が難しくなり、モデリングミスが発生しやすくなります。したがって、基準軸や一時軸が正しく表示されているかどうかをこまめに確認する習慣を持つことが重要です。

また、軸がわずかにズレた状態で回転フィーチャを適用してしまうと、本来意図していた形状とは微妙に異なる回転体ができてしまうこともあります。たとえば、きちんと中心を取らずに物を回すと、回転がブレて歪んでしまうのと同じです。こうしたエラーを防ぐには、軸を正しく認識し、適切な使い方をマスターしておくことが求められます。軸は見た目には地味な存在ですが、設計の正確さを支える大事な要素なのです。

2.2. 軸の種類と使用シナリオ

SolidWorksで使われる軸は、大きく分けて「基準軸」「一時軸」「スケッチベースの軸」の3種類があります。

まず、基準軸(Reference Axis)は、モデルの基本となるX軸・Y軸・Z軸などで、部品やアセンブリ全体の基準として使用されます。これは常に表示されているわけではありませんが、必要に応じて「参照ジオメトリ」から明示的に作成することもできます。

次に、一時軸(Temporary Axis)は、円筒面や円錐面、あるいは穴などの円形形状をSolidWorksが自動的に検出して生成する仮想の軸です。一時軸は初期状態では非表示になっていることが多く、設定を変更しないとグラフィックスエリアに表示されませんが、回転体の中心や穴の中心線を示すのに非常に便利です。

そして、スケッチベースの軸とは、スケッチ内で描いた中心線(construction line)や2点間などを使って、自分で任意の軸を作る方法です。たとえば、特定の角度で回転させたいフィーチャのために、意図的に軸を設定したいときなどに使われます。このタイプの軸は柔軟性が高く、複数の軸を組み合わせて設計に応用することも可能です。

これらの軸は、それぞれ表示方法や役割が異なるため、表示されない場合の原因特定にも役立ちます。たとえば、「これは一時軸だから表示設定をオンにすれば見える」「これはスケッチから作った軸だから、レイヤー設定や抑制状態を確認しよう」といった判断ができるようになります。軸の種類と特徴をあらかじめ理解しておくことが、トラブルの早期解決と安定した設計作業の鍵となります。

3. 軸が見えない主な原因

SolidWorksで作業していると、「軸が表示されない」「さっきまで見えていた軸が突然見えなくなった」といった状況に出くわすことがあります。こうした表示トラブルは、特に初心者の方にとって混乱のもとになりやすく、設計作業の妨げになってしまうことも少なくありません。

軸が見えなくなる原因はさまざまですが、よくあるのは表示設定の変更ミスやデザインツリー内での非表示設定、そしてレイヤーの誤設定といった操作ミスです。これらは意図せず発生していることが多く、自分では気づきにくいこともあります。

とくにSolidWorksでは、設定項目や表示オプションが豊富にあるため、何気ないクリックやショートカット操作で軸が非表示になることもあります。また、複数のファイルを同時に開いていたり、他の人が作成したモデルを扱っているときなど、表示のルールが異なることで余計に混乱しやすくなります。

ここでは、軸が見えない場合にまず確認したい代表的な3つの原因について詳しく解説します。一つひとつ順を追ってチェックしていけば、多くのケースで問題を早期に解消することができます。軸がまったく表示されない状態でも、あわてずに以下の内容を参考にしてください。

3.1. 表示設定の問題点

軸が見えないとき、まず最初に確認すべきなのがSolidWorksの表示設定です。最も基本的な部分ですが、意外と見落とされがちな原因でもあります。SolidWorksの上部にある「表示」メニュー、または画面上部のヘッドアップ表示ツールバーには、軸の表示・非表示を切り替える項目があります。ここで「軸を表示」のチェックが外れていると、どれだけ正しく軸が作られていても、画面上には何も表示されません。

この設定は、現在開いているファイルだけでなく、他のファイルにも影響することがあります。たとえば、ある部品で軸の表示をオフにした状態で別のファイルを開くと、その表示設定が引き継がれて軸が非表示のままになってしまうこともあるのです。

また、表示設定の切り替えにはショートカットキーが割り当てられていることもあり、知らないうちにキーを押して軸が非表示になることもあります。たとえば、選択フィルターのON/OFFやビュー設定の切替えが原因で、軸が見えなくなってしまうことも珍しくありません。

表示設定を変更しても軸が表示されない場合は、次に紹介するデザインツリーやレイヤーの設定も確認するようにしましょう。

3.2. デザインツリーでの非表示設定

SolidWorksでは、各種フィーチャやジオメトリを管理するための「デザインツリー(フィーチャーツリー)」が用意されています。このツリー上でも、軸の表示・非表示を個別に設定できる仕組みになっており、ここで軸が非表示にされていると、いくら画面設定を変更しても軸が表示されることはありません。

通常、デザインツリー内で軸のアイコンを右クリックすると、「表示」や「非表示」の切り替えができます。しかし、ツリー内の階層が深くなると、軸の位置を見つけるのが難しくなり、表示がオフになっていることに気づかないこともあります。とくにアセンブリ構成が複雑な場合は、軸がどの部品の下にあるのかさえ把握しにくくなるため注意が必要です。

このような場合には、デザインツリーの上部にある検索ボックスを使って、軸の名前や「Axis」などのキーワードでフィルタリングすると便利です。表示状態が非表示になっている軸も検索で見つけやすくなり、再表示の操作もスムーズに行えます。

また、表示順序やフィルターの種類によっては、非表示になっている軸がソート順の関係で見落とされてしまうこともあります。軸の見え方がおかしいと感じたときは、デザインツリーを一度しっかり展開し、表示状態やフィルタ設定を細かく見直してみましょう。

3.3. レイヤー設定の誤り

SolidWorksでは、モデル内の要素を整理・管理するためにレイヤー(Layer)機能を使うことができます。寸法線や注記などを目的別に分類するためにレイヤーが活用されますが、軸も例外ではなく、レイヤーに割り当てることが可能です。そして、このレイヤーが非表示に設定されていると、軸が表示されていても画面上には一切見えなくなってしまいます。

たとえば、ある作業のために新しいレイヤーを作成し、そこに軸を割り当てたあと、そのレイヤーをうっかり非表示にしてしまった場合、軸が消えたように感じてしまいます。また、他の人が作成したデータを編集しているときは、どのレイヤーにどの要素が含まれているかが把握しにくく、思わぬ表示トラブルの原因になりがちです。

このようなレイヤー設定によるトラブルは、初心者に限らず、中級者や上級者でも油断すると起きてしまうことがあります。そのため、SolidWorksで設計を行う際は、レイヤーの「表示/非表示」の状態を定期的に確認する習慣を持つことが重要です。

また、会社やチームで共通のテンプレートを使っている場合は、テンプレート内のレイヤー設定が軸の非表示に関与していることもあるため、作業開始時にテンプレートの中身をチェックしておくこともおすすめです。

4. デザインツリーでの軸の確認方法

引用:https://help.solidworks.com/2025/japanese/SolidWorks/sldworks/c_featuremanager_design_tree.htm

ここからは、SolidWorksのデザインツリー(フィーチャーツリー)を使って、軸が非表示になっていないかを確認する具体的な方法を解説していきます。デザインツリーは、スケッチやフィーチャ、参照ジオメトリなど、すべてのモデル要素を構造的に管理できる便利な機能です。軸の状態もここから簡単に確認・変更できるため、見えなくなった軸を探すには最も有効な手段のひとつです。

初心者の方でも扱いやすいように、ツリーの展開方法やアイコンの意味、軸の表示・非表示を切り替える操作を順を追って紹介します。さらに、軸が埋もれてしまって見つからないときに役立つ「検索機能」や「フィルター機能」も取り上げ、効率的に軸を見つけるためのテクニックもご紹介します。

とくにアセンブリ構成が複雑になると、軸の数が増えてどこにあるかわからなくなりがちです。ここで紹介する方法を知っておくだけでも、作業のスピードが大きく変わるはずです。信頼性の高いモデル作成と効率的な設計作業のために、ぜひマスターしておきましょう。

4.1. デザインツリーの基本操作

まずは、デザインツリーの構成と操作の基本から確認しましょう。デザインツリーは、SolidWorksの画面左側に表示されるツールで、モデルを構成する各要素が階層的に並んでいます。パーツ、スケッチ、フィーチャ、参照ジオメトリなどがツリー上に一覧表示されており、軸もその一部として表示されます。

軸を確認したい場合は、該当するパーツやサブアセンブリをツリー上で展開し、そこに含まれている「基準軸」や「一時軸」の名前を探します。軸の名前が「Axis1」や「一時軸-1」などのように表示されているので、ひと目で見つけられるようになっています。

また、デザインツリーには複数の表示モードが用意されており、たとえば「履歴順」や「機能別」に切り替えることで、見つけやすさが変わります。たとえば、ツリーがフォルダ形式で表示されていて見つけにくい場合は、表示モードを変更して、要素ごとにグループ化されていない一覧形式にすると軸が見つけやすくなります。

軸を後で再び素早く見つけたいときには、名前を変更しておくのもおすすめです。たとえば「回転軸_1」や「ミラー基準」など、用途に応じた名前を付けておけば、複数の軸を扱うようなモデルでも混乱せずに管理できるようになります。デザインツリーの整理整頓は、トラブル防止にもつながる重要なステップです。

4.2. 軸の状態確認手順

軸がデザインツリーに表示されているかどうかは、アイコンの状態を見ることで簡単に確認できます。軸アイコンの横に目のマークが付いている場合、それが「表示中」のサインです。逆に、目のマークが閉じた状態になっていると、その軸は非表示になっていることを意味します。

表示されていない軸を再表示したい場合は、デザインツリー上でその軸を右クリックし、「表示」を選ぶことでグラフィックスエリアに軸が表示されるようになります。この操作は何度でも繰り返せるので、軸の表示状態を必要に応じて切り替えて使うことができます。

一時軸の場合は、通常のデザインツリー内には直接表示されていないことがあります。このときは、関連するフィーチャ(たとえば円柱、穴、円錐など)を辿っていくことで、そのフィーチャに基づいて生成された一時軸を見つけることができます。円筒面を含むフィーチャには、自動的に一時軸が紐づいていることが多いので、まずはフィーチャ名から探すとよいでしょう。

また、軸が表示されない場合、軸を含むフィーチャやボディ自体が抑制(Suppress)状態になっていないかも確認する必要があります。抑制されたフィーチャに紐づく軸は、フィーチャと一緒に非表示になるため、フィーチャの右クリックメニューから「抑制解除」を選ぶことで軸が再表示されるケースもあります。

4.3. フィルタリング機能の活用

デザインツリーが長くなってきて、軸を探すのが大変になったときには、フィルター機能を活用すると効率的です。SolidWorksのデザインツリーの上部には「検索ボックス」があり、ここにキーワードを入力することで、ツリー内の項目をすばやく絞り込むことができます。

たとえば、「Axis」と入力すると、軸に関係するすべてのノードが一覧で表示されるため、どこにあるのかを一目で把握することができます。さらに、軸の名前をカスタマイズしていれば、「回転軸」や「ミラー」などの日本語名でも検索が可能です。この検索機能は、大規模なアセンブリや複雑なパーツで特に威力を発揮します。

バージョンによっては、フィルタの種類を切り替えることで「一時軸」「基準軸」など、特定の軸タイプのみを抽出できる機能もあります。こうした機能を使いこなせば、作業中に必要な軸だけを表示したり、不要な要素を一時的に隠して集中できる環境を整えることができます。

また、チームで共有するモデルの場合、大量の軸が登録されていることもあるため、こうしたフィルタリングによって自分に関係する軸だけを効率的に管理するのは非常に有効です。慣れてきたら、ショートカットキーやカスタムマクロと組み合わせてさらに効率を上げることもできます。

5. 具体的な対処法

ここまでで、軸が見えなくなる主な原因や、デザインツリーを使った基本的な確認方法について解説してきました。ここからは、さらに一歩進んで、実際の操作手順に沿った具体的な対処法を紹介していきます。

「表示設定を変更しても軸が表示されない」「デザインツリーを見ても見当たらない」「なぜか常に軸が非表示になってしまう」など、軸に関するトラブルは複数の要素が絡むことも多く、ひとつの設定だけを見ていては解決しない場合もあります。

このセクションでは、すぐに実践できる対処方法を3つの角度から整理し、設定変更の手順や操作のポイントを順を追って紹介します。また、ショートカットキーの活用や、システム設定の見直しによってより効率的に作業できるヒントも取り上げます。

軸の表示に関する問題は、原因さえ特定できれば解決は難しくありません。この記事を読みながら操作していただければ、今まさに表示されなくて困っている状況もきっと改善できるはずです。では早速、最初の確認項目から見ていきましょう。

5.1. 表示設定の変更

まず最初に試すべきは、SolidWorksの表示設定です。画面上部の「表示」メニュー、またはヘッドアップ表示ツールバーを使って、軸の表示状態を確認・変更することができます。特に「表示」→「軸を表示」にチェックが入っていない場合、どの軸もグラフィックスエリア上に表示されません。

また、複数のパーツやアセンブリを同時に開いているとき、あるファイルで変更した表示設定が別のファイルにも影響してしまうことがあります。こうした仕様により、気づかないうちに軸が非表示になっているケースもあるため、作業ごとに表示設定を確認する習慣をつけるのが大切です。

さらに、表示の切り替え操作にショートカットキーを割り当てている場合、誤ってキーを押してしまい、軸が表示されなくなってしまうこともあります。操作に自信がないうちは、ショートカット設定を見直したり、必要に応じてキーの割り当てを解除するのも効果的です。

「表示」メニューやツールバーで設定を変更しても軸が見えない場合は、パーツやフィーチャ単位で表示が制御されていることが考えられます。その場合は、次の項目で紹介するデザインツリーを使った操作へ進んで確認しましょう。

5.2. デザインツリーでの操作

次に行うべきは、デザインツリーを使って軸の表示状態を個別に確認・変更する操作です。まずは該当するパーツやサブアセンブリのノードを展開し、「基準軸」や「一時軸」などの軸アイコンを探します。軸のアイコンを右クリックし、「表示」を選択すれば、グラフィックスエリアにその軸が表示されるようになります。

軸の数が多くなると、ひとつずつ手動で探すのが大変に感じることもあります。そんなときは、デザインツリー上部にある検索ボックスに「軸」や任意の軸名を入力して検索するのがおすすめです。条件に合致する軸がすぐに一覧表示され、そこから表示状態の切り替えがスムーズに行えます。

また、複数の軸を一括で表示・非表示に切り替えたい場合は、ShiftキーやCtrlキーを使って複数選択し、右クリックからまとめて操作することも可能です。とくにアセンブリ構成が大きく、同種の軸が多数あるときには、こうした一括操作が作業効率を高めてくれます。

加えて、名前が初期状態のままだと軸の識別が難しくなるため、必要に応じて軸名を変更しておくと、次回以降の操作がずっとスムーズになります。たとえば「Axis1」ではなく「回転用軸」や「穴中心_1」など、役割に応じた名前にしておくのがおすすめです。

5.3. システム設定の確認

デザインツリーで軸を表示しようとしても表示されない、あるいはそもそも軸の選択肢自体が出てこないという場合は、SolidWorksのシステム設定に原因があるかもしれません。こうしたケースでは、「オプション」→「ドキュメントプロパティ」や「システムオプション」を確認することで解決につながることがあります。

とくに「参照ジオメトリ」や「一時軸」の表示に関する設定が、知らないうちにオフになっていると、軸が全体的に非表示になってしまうことがあります。テンプレートを共有している場合や、他のユーザーの環境で作業している場合にこのような設定が引き継がれていると、原因に気づきにくくなります。

また、SolidWorksのバージョンや環境によっては、設定が正常に保存されない、またはクラッシュ後に初期化されてしまうといった事例も報告されています。このような状況では、SolidWorksの再起動や、設定ファイル(.sldreg)の再読み込みを試すことで改善する場合があります。

さらに、システムオプションには「選択フィルター」や「ビジュアル表示」など、軸の挙動に関係する項目が複数あるため、一つひとつ丁寧に確認していくことが大切です。問題が再発しないよう、作業環境の標準設定を見直し、必要に応じてマイテンプレートとして保存しておくのも有効な対策です。

6. トラブルシューティング

軸の表示に関する問題は、基本的な設定の見直しやデザインツリーの操作で解決するケースが多い一方で、複数の原因が絡み合っていたり、環境依存の要素が影響していたりすると、すぐには原因を特定できない場合もあります。そのようなときに役立つのが、トラブルシューティングの知識と視点です。

このセクションでは、よくあるトラブルとその解決策をはじめ、SolidWorksの動作が不安定になる原因や、バージョン間での仕様の違いにより混乱が生じやすいポイントについても触れていきます。普段は問題なく作業できていても、ある日突然軸が表示されなくなったり、以前とは異なる動作をするように感じたりすることもあるでしょう。

特に、グラフィック処理の影響による動作の遅延や、他ユーザーとの環境差、ファイルの設定違いなどが関係すると、単純な操作では解決しない場合があります。ここでは、そうした一歩踏み込んだ対処の考え方やチェックポイントを紹介します。ぜひ、普段の作業に役立ててください。

6.1. よくある問題と解決策

SolidWorksで軸が見えない、または使えないといったトラブルには、いくつかの典型的なパターンがあります。まず多く見られるのは、「うっかり軸を削除してしまった」「一時軸があると思っていたが実際には作られていなかった」といった軸そのものが存在していないケースです。この場合、参照ジオメトリから軸を再作成するのが確実な対応となります。

再作成時には、作成元となる円筒面やスケッチジオメトリの条件を正しく満たしているかを確認しましょう。たとえば、円柱が不完全な形状だったり、スケッチが意図せず寸法欠落していた場合、一時軸が正しく生成されないことがあります。また、穴ウィザードで作成した穴に対して軸が表示されないときは、ウィザードの設定内容やスケッチ状態も要確認です。

また、軸が「存在しているのに選択できない」場合は、選択フィルターが無効になっている可能性も考えられます。選択フィルター(F5キー)で「軸」がチェックされていないと、画面上に軸があっても選択できない状態になります。この点は見落としやすいため注意が必要です。

他にも、軸が抑制されたフィーチャに依存しているケースでは、フィーチャの抑制解除を行わないと軸が表示されません。原因を突き止めるには、「軸がそもそも存在しているのか」「非表示設定になっているのか」「選択や表示に制限がかかっていないか」の3点を順に確認していくと、無駄なく原因にたどり着けます。

6.2. パフォーマンスに関する問題

SolidWorksで複雑なモデルや大規模なアセンブリを扱っていると、表示要素が増えることでグラフィックスの処理が重くなり、操作レスポンスが遅くなることがあります。軸が大量に表示された状態もその一因になりやすく、とくに一時軸が多く生成されるようなモデルでは注意が必要です。

こうした状況では、必要な軸だけを選んで表示し、それ以外は非表示にしておくことが推奨されます。たとえば、アセンブリで位置合わせに使う主要な軸だけを表示し、補助的な軸は一時的に非表示にすることで、作業効率とパフォーマンスのバランスを保つことが可能になります。

また、ハードウェア環境にも大きく左右されるため、パソコンのグラフィック性能が十分でない場合や、オンボードGPUを使用している場合などは、表示設定を軽量化する調整が必要になることもあります。SolidWorksのオプション設定からグラフィックス表示に関する設定を見直すことで、動作の改善が期待できる場合があります。

さらに、選択フィルターの設定を適切に行えば、表示されている軸の数が多くても、誤選択を防いで操作ミスを減らすことができます。モーション解析やアセンブリ拘束を行う場面では、こうした細かな工夫が操作性に大きな違いをもたらします。無駄な表示を減らすだけでも、ストレスの少ない作業環境を実現できるでしょう。

6.3. バージョン別の違い

SolidWorksは毎年新しいバージョンがリリースされており、細かな機能や仕様に少しずつ変更が加えられています。そのため、バージョンによって軸の表示方法や設定項目の名称、初期状態などが異なっていることがあります。たとえば、以前のバージョンでは「一時軸の表示」がデフォルトでオフだったのに対し、新しいバージョンでは初期状態でオンになっているといった違いがあるのはよくあることです。

このようなバージョン間の差異により、「同じ設定をしているつもりでも結果が違う」と感じることがあります。特に、複数人で共同作業をしている環境では、使用しているSolidWorksのバージョンが一致していないことがトラブルの原因になることがあります。

対策としては、まず使用しているバージョンを確認し、必要に応じてバージョンを合わせることが第一です。また、SolidWorksのリリースノートや公式フォーラムを確認し、仕様変更がないかを把握しておくことも非常に有効です。環境差を前提に運用ルールを整備しておくと、予期せぬ不具合の防止につながります。

テンプレートファイルや設定ファイル(.sldprtや.sldreg)を共有する際も、バージョン違いによって正しく読み込まれないケースがあるため、ファイル共有時の注意点として周知しておくと安心です。環境整備と情報共有を行うことで、軸に関するトラブルも未然に防ぐことができるようになります。

7. 実践的な活用例

ここまでは、軸が見えなくなる原因やその対処法について詳しく解説してきましたが、軸はトラブル時だけでなく、普段の設計作業においても非常に便利で実用的な存在です。特に、アセンブリの組立精度や図面での正確な寸法表現など、作業の完成度に大きく関わってきます。

このセクションでは、SolidWorksにおける軸の具体的な活用シーンとして、「アセンブリ作業における軸の管理」と「図面作成における軸の使い方」の2つに焦点を当て、どのように軸が役立つのか、またどんな工夫ができるのかを紹介します。実際の現場でも頻繁に使われるケースばかりですので、日頃の業務や学習にもすぐに活かせる内容となっています。

設計の初期段階から軸の使い方を意識しておくだけで、作業の効率が大きく変わってくることも少なくありません。トラブルを避けるだけでなく、より正確でスマートな設計のために軸を積極的に活用していくことが、SolidWorks上達への近道と言えるでしょう。

7.1. アセンブリでの軸管理

SolidWorksでアセンブリを組み立てる際、部品同士を正確に位置合わせするために「軸」は非常に重要な役割を果たします。特に、円筒形状の部品を他のパーツと中心合わせする場合には、軸同士を一致させることで正確かつ簡単に組み立てが可能となります。

たとえば、モーターシャフトやパイプのような円柱形状の部品を、別の部品の穴に挿入する場合、両者の一時軸や基準軸を「同心(Concentric)」で拘束すれば、手動で位置調整する手間をかけずに、正確に軸合わせができます。このとき、軸が非表示になっていると選択すらできないため、作業が滞ってしまいます。

また、複数の部品を円周方向に等間隔で並べるといった場面でも、中心軸を基準に配置することで、均一なピッチで部品を並べることが可能です。特に複雑なアセンブリ構成では、軸を適切に表示・非表示に切り替えながら作業することで、画面がすっきりし、パフォーマンスの維持にもつながります。

さらに、部品ごとの軸に名前をつけて整理しておけば、後から修正や再配置を行うときにも混乱を防ぐことができます。「シャフト中心軸」「固定ベース用軸」など、用途に応じて分かりやすい名前をつけておくと、プロジェクト全体の管理がよりスムーズになります。軸は、正確なアセンブリ作業の要となる存在なのです。

7.2. 図面作成時の軸表示

軸の活用は3Dモデリングだけにとどまらず、図面作成の場面でも非常に有効です。部品図や組立図を作成する際、穴やボルト、円形の部品の中心を明示するために、軸を補助線として活用することで、寸法の基準が明確になり、図面の読みやすさが向上します。

たとえば、円形の穴の中心を示すために軸を使えば、その穴に関連する寸法線や注記を正しく配置できるようになります。寸法基準が明確になることで、製造現場での解釈ミスが減り、加工や組立がスムーズに行えるというメリットがあります。特に精密な部品や対称性の高い形状では、軸の表示が重要な意味を持ちます。

また、SolidWorksでは図面モジュールでも軸の表示・非表示を設定できます。テンプレートにあらかじめ軸表示を有効化した状態で登録しておけば、新規図面作成時に自動で軸が表示されるように設定することも可能です。これにより、作図ミスを防ぐだけでなく、作業時間の短縮にもつながります。

さらに、図面と3DモデルがリンクしているSolidWorksの特性上、3D側で軸が削除されたり非表示になっていると、図面にも反映されなくなります。これを防ぐには、モデル側での軸管理をしっかり行い、図面との整合性を保つ意識を持つことが重要です。軸の存在は、正確で信頼性の高い図面作成にも直結しているのです。

8. 予防策とベストプラクティス

軸が見えなくなるトラブルや、設計時に必要な軸を探す手間は、SolidWorksの操作ミスや設定の見落としによって起きることが多く、ちょっとした工夫で未然に防げることも少なくありません。そこでこのセクションでは、軸に関するトラブルを回避するための予防策と、日頃から意識しておきたいベストプラクティス(最適な習慣)を紹介します。

軸は、設計の中心線や回転体の基準、アセンブリ時の整列など、モデルの構成に大きな役割を果たします。そのため、見えなくなったり、探すのに手間がかかると、作業全体の効率が落ちてしまいます。そうした事態を防ぐためにも、普段からの管理方法や使い方を整えておくことが非常に重要です。

特に複数人での共同作業や、長期的な設計プロジェクトでは、設計ルールやファイルの整理ができていないと、後々のメンテナンスや変更作業に大きな支障をきたすことがあります。このセクションで紹介する対策は、個人作業だけでなく、チームでの運用にも役立つ内容です。効率的な設計環境を維持するために、ぜひ実践してみてください。

8.1. 効率的な軸管理

効率的な軸管理を行うためには、まず「軸を必要なときにすぐに見つけられる状態にしておく」ことが大切です。そのためには、軸を作成したらすぐに名前を変更し、役割がわかるように明示する習慣をつけることをおすすめします。たとえば「Axis1」のままではなく、「モーター中心軸」や「ボルト基準」など、用途に応じた名称にすることで、後からの確認がスムーズになります。

また、軸の数が増えすぎると作業効率が落ちるため、必要以上に軸を作成しないこともポイントです。一時軸で済む場面では基準軸を使わず、既存のジオメトリやフィーチャをうまく活用することで、モデルがシンプルになり、管理がしやすくなります。軸を乱用せず、設計意図に沿って最小限の数に抑える工夫も重要な視点です。

さらに、軸の表示・非表示は作業内容に応じて適切に切り替えるのが理想です。たとえばアセンブリ作業中だけ軸を表示し、それ以外の作業では非表示にしておけば、画面上の視認性が向上し、誤選択や混乱を防ぐことができます。こうした作業フェーズに応じた軸の扱いを意識することで、設計全体の流れがスムーズになります。

最後に、軸の作成ルールや命名規則、表示状態の初期設定などを自分なりにテンプレート化しておくと、プロジェクトごとの設定のばらつきを防ぎ、継続的に効率の良い作業が可能になります。とくに繰り返しの多い業務や定型パーツが多い現場では、こうしたルール整備が設計の質とスピードを両立させる鍵となります。

8.2. チーム作業での注意点

チームでSolidWorksを使用する場合、軸に関する操作や管理は、個人作業以上にルール化しておくことが求められます。たとえば、「軸の名前をプロジェクトルールに従って統一する」「不要な軸は削除せず非表示にとどめる」「設計レビュー時には軸の表示状態も確認する」など、明確な運用ルールを設定することで作業の統一性が保たれます。

また、複数のメンバーが同じモデルにアクセスする場合、軸の表示状態やレイヤー設定が上書きされてしまうことがあります。これを防ぐためには、各自が使うテンプレートや設定ファイルを共通化し、必要に応じて書き込み制限を設けるといった環境整備も重要です。設定のばらつきを減らすことで、表示トラブルの再発防止にもつながります。

さらに、チームメンバーの間で設計意図を共有できていないと、「なぜこの軸が必要なのか」「この軸は使ってよいのか」といった判断が属人的になってしまい、手戻りや誤操作の原因になります。そのため、軸の用途や役割をコメントやドキュメントに残す習慣を持つことも効果的です。たとえば「この軸は回転部の基準です」と記載するだけでも、他メンバーの理解が深まります。

さらに、プロジェクトの初期段階で「軸は部品単位で管理する」「アセンブリには不要な軸を持ち込まない」といった方針を共有しておくと、後々の混乱を防ぐことができます。誰が見ても理解できるモデルづくりを意識し、チーム全体での共通認識を持つことが、品質と効率の両立に直結するのです。

9. まとめ

SolidWorksで設計を行う中で、「軸が表示されない」「選択できない」といった問題に直面すると、作業が思うように進まず戸惑ってしまうことがあります。しかし、軸の役割や表示設定の仕組み、デザインツリーを活用した確認方法を正しく理解しておくことで、そうしたトラブルにも落ち着いて対処できるようになります。

本記事では、軸の基本から始まり、見えなくなる主な原因、具体的な対処法、さらに実践的な活用例やチーム作業での注意点までを幅広く解説しました。SolidWorksにおける軸は、単なる補助線ではなく、正確なモデリングやアセンブリ作業、図面作成を支える重要な基準となる存在です。

特に、デザインツリーを使った軸の管理や、作業フェーズに応じた表示設定の切り替え、チームでのルール整備などを実践することで、設計品質と効率の両方を高めることができます。今後の業務や学習の中で軸をより上手に使いこなすことで、SolidWorksの設計スキルも一段とレベルアップするはずです。

もし軸に関する操作で困ったときは、本記事を読み返して、原因と対処法を順にチェックしてみてください。基本に立ち返ることが、最短の解決への近道になります。これからSolidWorksを使いこなしていく中で、本記事の内容が少しでもお役に立てば幸いです。

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<参考文献>

軸 – 2025 – SOLIDWORKS ヘルプ

https://help.solidworks.com/2025/japanese/SolidWorks/sldworks/c_Axis_Overview.htm

一時的な軸の表示 – 2025 – SOLIDWORKS ヘルプ

https://help.solidworks.com/2025/japanese/SolidWorks/sldworks/t_displaying_temporary_axes.htm

FeatureManager デザイン ツリー – 2025 – SOLIDWORKS ヘルプ

https://help.solidworks.com/2025/japanese/SolidWorks/sldworks/c_featuremanager_design_tree.htm

参照ジオメトリ – 2025 – SOLIDWORKS ヘルプ

https://help.solidworks.com/2025/japanese/SolidWorks/sldworks/c_Reference_Geometry_Overview.htm

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