【2026年】BIM導入に使える補助金とは?建築GX・DX推進事業とデジタル化・AI導入補助金を比較解説
1. はじめに|BIM導入には補助金を活用できる可能性がある
近年、建築業界では建築プロジェクトのデジタル化や省エネ化が進み、さまざまな業務の効率化が求められています。なかでもBIM(Building Information Modeling)は、3次元モデルを活用して情報を一元管理できる手法として注目されています。しかし、ソフトウェアやクラウド利用料、教育研修費など、BIM導入には一定の初期投資が必要です。
こうした負担を軽減する手段として、国や自治体が提供する補助金制度の活用が挙げられます。代表的な制度には、国土交通省が管轄する建築GX・DX推進事業や、中小企業支援を目的としたデジタル化・AI導入補助金があります。建築GX・DX推進事業は、建築物LCCO₂評価によるGX推進と、建築BIMの普及拡大によるDX推進を一体的に支援する制度です。一方、デジタル化・AI導入補助金は、中小企業・小規模事業者等のITツール導入を支援する制度であり、BIM専用の補助金ではありません(参照*3)。
BIM導入を検討する際は、補助金を活用して費用負担を抑えながら、自社に適した導入計画を立てることが重要です。本記事では、補助金制度の違いや活用時の注意点、そしてBIM導入を進めるうえで押さえておきたいポイントを解説します。
2. BIM導入で補助金が注目される理由

BIM導入では、多額の初期投資が必要になることが大きな課題です。具体的には、BIMソフトのライセンス費用やクラウド利用料、教育研修費に加え、BIMモデルの作成や運用環境の整備など、さまざまなコストが発生します。
こうした費用負担を抑えながら導入を進めたい企業や設計事務所にとって、補助金の活用は魅力的な選択肢です。特に中堅ゼネコンでは、新技術を取り入れて業務効率化を進めたい一方で、多額の予算を一度に確保するのが難しい場合もあります。そのため、補助金は導入を後押しする手段として注目されています。
ただし、補助金制度ごとに要件や適用範囲は異なります。後述する「建築GX・DX推進事業」や「デジタル化・AI導入補助金」も、補助対象経費だけでなく、想定する事業スキームや導入規模が異なるため、自社に合った制度を選ぶことが重要です。
2.1. BIM導入にかかる主なコスト
BIM導入でまず必要となるのが、BIMソフトのライセンス費用とクラウド利用料です。ライセンス費用は導入時の負担が大きく、さらにクラウド環境でモデルを共有・管理するための通信費やサーバー関連費用も継続的に発生します。
次に重要なのが、教育研修費やBIMモデル作成費です。ソフトを使いこなすためには社内研修が欠かせず、大規模な設計データをBIM化する際には、外部コンサルタントの支援を受けるケースもあります。そのため、これらの費用も無視できません。
また、導入後に継続して発生する運用環境整備費も見落とせません。ハードウェアの更新や現場機器の整備など、継続利用に必要な予算を事前に見込んでおくことが大切です。
| 費用項目 | 内容 |
| BIMソフトライセンス | RevitなどのBIMソフト利用費 |
| クラウド利用料 | モデル共有・管理に必要な環境費 |
| 教育研修費 | 社内研修や操作習得にかかる費用 |
| BIMモデル作成費 | 既存図面や設計データのBIM化費用 |
| 運用環境整備費 | PC・周辺機器・現場機器などの整備費 |
2.2. 補助金活用のメリット
補助金を活用する最大のメリットは、導入コストを抑えられることです。BIMソフトのライセンス費用やクラウド利用料の回収期間を短縮できるため、ROI(投資回収率)の改善につながります。特に中小企業向けの支援制度を活用できる場合は、キャッシュフローへの負担を抑えながら導入を進められます。
また、補助金申請の過程で導入計画を整理できる点もメリットです。必要書類を準備するなかで、BIM導入の目的や活用範囲、必要な人材や教育体制などを明確にできます。その結果、導入後の運用も進めやすくなるでしょう。
ただし、補助金には申請期限や公募要件があり、成果報告が求められる場合もあります。制度内容を十分に確認しないまま進めると、後から書類作成や審査対応の負担が増えることがあります。そのため、計画段階から公募要領をしっかり確認しておくことが重要です。
3. BIM導入に活用できる主な補助金制度

BIM導入に関連する補助金制度として、多くの企業が注目しているのが、国土交通省が管轄する建築GX・DX推進事業と、中小企業支援の一環として実施されるデジタル化・AI導入補助金です。
建築GX・DX推進事業は、主に建築業界のDX推進や環境負荷低減(建築GX)を目的とした制度で、BIMを活用するプロジェクトと関連性が高い点が特徴です(参照*1) 。一方、デジタル化・AI導入補助金は対象分野が広く、業務効率化やデジタルツール導入を検討している中小企業にとっても選択肢になります。
| 制度名 | 主な対象 | BIMとの関連 |
| 建築GX・DX推進事業 | 建設・建築分野の事業者 | BIM活用との関連性が高い |
| デジタル化・AI導入補助金 | 中小企業・小規模事業者等 | 登録ITツールや申請枠の要件による |
このほか、自治体や地域独自の補助金が用意されている場合もあるため、地域によっては複数の制度を組み合わせて導入費用を賄える可能性があります。現場で必要となる経費と各制度の要件を照らし合わせ、自社に合う方法を選びましょう。
4. 建築GX・DX推進事業の詳細解説
建築GX・DX推進事業は、国土交通省が推進する取り組みです。建築物のライフサイクルで発生する二酸化炭素排出量(LCCO₂)の削減と、建築プロジェクト全体の生産性向上を目的としています(参照*1) 。その中で、BIMの活用は情報共有の効率化や業務改善につながるものとして注目されています。
この制度は、環境負荷低減に関する取り組みと、建築業界のDX推進に関する取り組みの両方を支援するものです(参照*1) 。応募には、公募期間内に所定の要件を満たしたうえで申請手続きを行う必要があります。一定の要件を満たす建築物を整備するプロジェクトでは、BIMデータ作成等に関する費用が補助対象となる場合もあり、BIM導入を検討している企業にとって注目度の高い制度といえるでしょう。
ただし、公募内容や制度の枠組みは年度ごとに変更される場合があります。最新情報は国土交通省や建築GX・DX推進事業実施支援室の公式サイトで確認し、事前準備を進めることが大切です(参照*1、参照*2)。
4.1. 建築GX・DX推進事業の目的と概要
この事業の大きな特徴は、環境に配慮した建築物を推進する「建築GX」と、生産性向上につながる「建築DX」の両面を支援している点です(参照*1) 。BIMは、その両方を実現するための重要なツールとして位置づけられています。
建築プロジェクトでは、設計から施工、維持管理まで多くの情報を扱います。BIMを活用することで、構成部材の数量や仕様を正確に把握しやすくなり、情報管理の効率化や環境負荷低減に役立てることができます。
この制度を活用することで、BIM導入やデジタル化を進めながら、業務効率化に取り組むことが可能になります。
4.2. 対象となる事業とBIMとの関連
建築GX・DX推進事業では、建物の環境性能向上や情報管理の高度化につながる取り組みが対象となります。そのため、BIMモデルを活用して設計段階から情報を整理・共有することは、制度との親和性が高いといえます。
また、複数の事業者が関わるプロジェクトでは、BIMの効果がより発揮されやすくなります。設計事務所やゼネコン、建設会社などが同じ情報を共有することで、情報の重複や伝達ミスを減らしやすくなるためです。
このように、建築GX・DX推進事業はBIM活用との関連性が高く、一定の要件を満たす建設・建築分野のプロジェクトを支援する制度となっています。
4.3. 適用可能な企業と事例
建築GX・DX推進事業は、主に建設・建築業界の事業者を対象としています。具体的には、BIMを活用してプロジェクトを進める設計事務所や、施工段階でBIM活用を進めるゼネコン、建設会社などが対象となります。
BIMは、設計段階でのモデル作成だけでなく、施工管理や維持管理における情報共有にも活用されています。そのため、建築プロジェクト全体を通じて情報を連携させる取り組みとの相性が良いといえるでしょう。
自社でBIMをどのように活用するのかを事前に整理し、具体的な導入計画を立てることが重要です。制度の要件を確認しながら、自社に適した活用方法を検討しましょう。
5. デジタル化・AI導入補助金の詳細解説

引用:https://it-shien.smrj.go.jp/
一方で、中小企業支援制度の一つであるデジタル化・AI導入補助金も、BIM導入を検討する企業にとって有力な選択肢です。業務効率化や生産性向上を目指す企業を対象としており、事務局に登録されたITツールの導入が補助対象となります(参照*3) 。そのため、BIM関連ツールを活用する場合も、対象ツールとして登録されているか、申請枠の要件を満たしているかを事前に確認する必要があります。
この制度の特徴は、建築分野に限定されない点です。設計や施工だけでなく、管理部門の業務改善やAIによるデータ分析など、幅広い取り組みが対象となっています。ただし、建築GX・DX推進事業とは異なり、BIMに特化した制度ではないため、自社の用途や導入規模に適しているかを事前に確認することが重要です。
また、実施時期や補助率などの内容は年度ごとに変更される場合があります。公募開始前に条件や必要書類を確認し、余裕をもって申請準備を進めましょう。
5.1. 制度概要とBIM導入への適用
デジタル化・AI導入補助金は、ITツールの活用によって企業経営の効率化を支援する制度です(参照*3) 。BIM関連ソフトが補助対象となるかどうかは、登録ITツールであることや申請枠の要件を満たしていることが条件となります(参照*3)。通常枠では、ソフトウェアや導入研修、保守サポートなどが補助対象として示されています。クラウドサービスについては、登録内容や対象期間を確認する必要があります。
申請時には、BIMをどのように活用して生産性向上につなげるのか、具体的な目標や活用方法を示す必要があります。例えば、BIM関連ソフトやクラウドサービス、導入研修などを申請する場合は、それらが業務効率化にどのように貢献するのかを明確に説明することが求められます。
| 費用項目 | 注意点 |
| BIM関連ソフト | 登録ITツールか確認が必要 |
| クラウドサービス | 補助対象となる期間や範囲を確認 |
| 導入研修 | 対象となる役務か確認が必要 |
| 保守サポート | 補助対象範囲に含まれるか確認 |
| BIMモデル作成費 | 制度によって対象外となる可能性がある |
予算規模や申請枠は年度によって変動しますが、近年は中小企業や中堅企業への支援が重視されています。ゼネコンでも中小規模の事業者であれば、この制度を活用して導入コストの一部を補うことが可能です。
5.2. 対象となる事業と適用企業
デジタル化・AI導入補助金では、業務管理や顧客対応の効率化を目的としたシステム導入などが広く対象となっています。BIM導入も、建設プロジェクトのデジタル化を進める取り組みとして、要件を満たせば支援を受けられる可能性があります。
また、建築業界だけでなく、製造業やサービス業など幅広い業種が対象です。そのため、対象となる中小企業・小規模事業者等にとって、業種を問わずデジタル化を推進するための制度として活用できます。BIMのように現場情報を可視化し、データを活用する仕組みを整えることで、業務改善につながる効果も期待できます。
ただし、他のITツールと比べると、BIMは導入や運用の負担が大きい傾向があります。そのため、申請時には社内体制や教育計画を具体的に示し、導入後の運用方法を明確にしておくことが重要です。
6. 建築GX・DX推進事業とデジタル化・AI導入補助金の比較
この2つの制度は、どちらもBIM導入時に活用できる可能性がありますが、対象や特徴は異なります。建築GX・DX推進事業は、建築物の環境負荷低減とデジタル化推進を主な目的としており、BIM活用や建築業界のDX推進と関連性が高い点が特徴です。
一方、デジタル化・AI導入補助金は、より幅広い業務を対象としているため、建設業界以外の企業でも申請できる可能性があります。BIM活用に特化した制度ではありませんが、中小企業の経営効率化を進めるうえで使いやすい側面があります。
自社の状況を踏まえ、どちらの制度がBIM導入計画に合うのかを見極めることが重要です。両方を検討したうえで、条件に合う制度を選ぶか、規模によっては併用の可否も確認しておきましょう。
6.1. 比較表と適用ケースの解説
| 判断軸 | 建築GX・DX推進事業 | デジタル化・AI導入補助金 |
| 向いている企業 | 建設会社・設計事務所・ゼネコン | 中小企業・小規模事業者等 |
| 主な目的 | 建築GX・建築DXの推進 | 業務効率化・ITツール導入 |
| BIMとの関連性 | 高い | 条件による |
| 活用しやすいケース | 環境負荷低減とBIM活用を同時に進めたい場合 | 業務改善やDX推進を進めたい場合 |
| 確認すべき点 | BIM活用要件や対象経費 | 登録ITツールや申請枠の要件 |
いずれの制度を活用する場合も、申請期限や必要書類などの実務的な確認が欠かせません。各公募サイトや公式資料を事前に確認し、社内の対応スケジュールを明確にしておきましょう。
7. BIM補助金を活用する際によくある失敗とその回避策
補助金申請では、制度内容の確認不足や準備不足によって採択につながらないケースがあります。代表的な例をまとめると、次のとおりです。
| よくある失敗 | 主な原因 | 回避策 |
| BIM関連ソフトであればすべて補助対象だと思い込む | 補助対象経費や対象ツールの確認不足 | 公募要領や対象ツールを事前に確認する |
| 申請準備が間に合わない | 公募期間や必要書類の確認不足 | 公募開始前から情報収集を進める |
| 導入目的を十分に説明できない | BIM活用の目的が曖昧 | 設計効率化や情報共有など目的を具体化する |
このような失敗を避けるには、制度内容を十分に確認したうえで、導入目的・対象経費・申請スケジュールを早めに整理しておくことが重要です。
8. 補助金申請前に確認したい実務ポイント

補助金を活用する前に、「BIM導入の目的は何か」「どの範囲で活用するのか」を明確にしておくことが重要です。目標が曖昧なままでは、申請書の内容に具体性が不足すると判断される可能性があり、採択に影響することもあります。
また、BIMを円滑に活用するためには、人材の確保と教育体制の整備が欠かせません。設計者だけでなく、積算や施工管理、保守管理部門まで活用範囲を広げる場合は、部署間で基本的な知識やスキルを共有できる体制づくりが必要です。
さらに、補助対象経費の内容を正しく把握することも大切です。BIMソフトやクラウド利用料、教育研修費がどこまで対象となるのか、自己負担がどの程度発生するのかを事前に確認しておくことで、後の予算不足を防ぎやすくなります。
申請準備を進める際は、次の項目を事前に整理しておくとスムーズです。
チェック内容
- 導入目的:BIMで何を改善したいか明確になっているか
- 活用範囲:設計・施工・維持管理のどこで活用するか整理できているか
- 対象経費:ソフト・クラウド・研修費などの扱いを確認したか
- 対象ツール:補助対象となるツール・サービスか確認したか
- 申請時期:公募期間や社内承認スケジュールを確認したか
8.1. BIM導入の目的と活用範囲の明確化
補助金申請では、なぜBIMを導入するのかを明確にしておくことが重要です。例えば、設計品質の向上や情報共有の効率化など、導入目的を具体的に整理することで申請内容にも一貫性が生まれます。
また、どの業務でBIMを活用するのかを事前に整理しておくことも大切です。設計、施工、維持管理など、対象範囲を明確にすることで導入計画を立てやすくなります。
無理に活用範囲を広げるのではなく、自社の状況に合わせて段階的に進めることが重要です。
8.2. 補助対象経費と対象ツールの確認
補助金制度によって対象となる経費は異なります。BIM関連ソフトやクラウド利用料が対象となる場合もあれば、一部の費用は対象外となる場合もあります。
また、制度によって対象ツールや補助対象範囲が定められているため、申請前に公募要領を確認することが重要です。
導入を検討している製品やサービスが対象となるかを事前に確認することで、申請後の認識違いを防ぎやすくなります。
8.3. 申請スケジュールと準備体制の確認
補助金申請では、必要書類の準備や社内承認などに一定の時間が必要です。そのため、公募開始後に準備を始めるのではなく、事前にスケジュールを確認しておくことが重要です。
また、申請後には実績報告や各種手続きが求められる場合もあります。制度ごとの流れを把握したうえで準備を進めることで、申請時の負担を軽減しやすくなります。
9. まとめ|BIM補助金活用のポイントと今後の展望
以上のように、BIM導入には一定の費用がかかりますが、補助金を活用することで初期負担を軽減できる可能性があります。なかでも、建築GX・DX推進事業は建築分野でのBIM活用と関連性が高く、デジタル化・AI導入補助金は幅広いITツール導入を支援する制度として活用が検討できます(参照*3) 。
ただし、いずれの制度も申請要件や補助対象経費、公募スケジュールが変更される場合があるため、最新情報を確認しながら準備を進める必要があります。また、補助金を活用する際は、導入目的や対象経費を整理し、自社に合った制度を選ぶことが大切です。
BIM活用が広がるなか、自社に合った制度を選び、計画的に申請準備を進めることが重要です。補助金を有効に活用するためにも、制度の要件や対象経費を確認しながら、無理のない導入計画を立てていきましょう。
建築・土木業向け BIM/CIMの導入方法から活用までがトータルで理解できる ホワイトペーパー配布中!
❶BIM/CIMの概要と重要性
❷BIM/CIM導入までの流れ
❸BIM/CIM導入でよくある失敗と課題
❹BIM活用を進めるためのポイント
についてまとめたホワイトペーパーを配布中
<参考文献>
(*1)建築:令和8年度建築GX・DX推進事業について - 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/jutakukentiku_house_fr_000201.html
(*2)建築GX・DX推進事業実施支援室
https://gxdx.jp/
(*3)トップページ | デジタル化・AI導入補助金2026
https://it-shien.smrj.go.jp/
