BIMソフト一覧【2026年版】|建築・設備・土木で使われる主要ソフトと失敗しない選び方
1. はじめに
BIMソフトは、建築・設備・土木の各分野で活用が広がる設計・情報管理ツールです。国土交通省でも建築BIM推進会議を通じてBIM活用に関する検討が進められており、建築分野のデジタル化において重要なテーマとなっています(参照*4)。3Dモデルを作成するだけでなく、部材の寸法や材質、数量、工程などの情報も扱えるため、設計変更への対応や関係者間の情報共有に役立ちます。
しかし、BIMソフトにはRevit、Archicad、Vectorworks Architect、GLOOBE、Rebro、Civil 3Dなど多くの種類があり、それぞれ得意分野や用途が異なります。「有名だから」「価格が安いから」といった理由だけで選ぶと、導入後にデータ連携や操作習得で苦労することもあります。
本記事では、主要なBIMソフトの一覧と特徴を紹介するとともに、比較時に確認したいポイントや、失敗しない選び方について整理します。
2. BIMソフトとは?CADとの違いを簡単に解説
CADは主に図面や形状を作成するためのツールですが、BIMソフトは3Dモデルに属性情報を持たせ、設計・施工・維持管理に必要な情報をまとめて扱える点が特徴です。buildingSMART Japanでも、BIMやIFCを通じた建設分野の情報連携が紹介されています(参照*1・参照*2)。 たとえば、壁や窓、配管などの部材に寸法・材質・メーカー情報・数量などを登録し、図面や集計表と連動させることができます。
そのため、設計変更が発生した場合でも関連する図面や数量情報を更新しやすく、意匠・構造・設備など複数分野の連携にも役立ちます。BIMソフトを選ぶ際は、単に3Dモデルを作成できるかだけでなく、自社業務に必要な情報をどこまで扱えるか、他ソフトと連携できるかを確認することが重要です。
3. BIMソフト一覧【主要製品早見表】
まずは、主要なBIMソフトを大まかに比較したい方のために一覧を用意しました。建築設計向けではRevitやArchicad、デザイン性に強みを持つVectorworks Architect、日本の設計実務に配慮したGLOOBEなどが代表的です。
| ソフト名 | 主な分野 | 特徴 |
| Revit | 建築・構造・設備 | 総合的なBIM運用に強い |
| Archicad | 建築 | OpenBIM対応に強み |
| Vectorworks Architect | 建築 | デザイン性に優れる |
| GLOOBE | 建築 | 国内設計実務との親和性が高い |
| Rebro | 設備 | 空調・衛生設備に強い |
| CADWe'll Tfas | 設備 | 設備施工図作成に強い |
| Civil 3D | 土木 | 道路・造成設計に強い |
| InfraWorks | 土木 | インフラ計画向け |
| OpenRoads Designer | 土木 | 道路設計向け |
| TREND-CORE | 土木 | CIM活用・施工計画向け |
設備設計分野では、RebroやCADWe'll Tfasといった定番ソフトがあり、ビルや工場の空調・配管設計などで活用されています。土木分野ではCivil 3Dが広く知られており、インフラ設計における生産性向上が期待されています。
また、Tekla Structuresは構造分野で実績のあるソフトで、鉄骨やプレキャスト工法などの詳細な構造モデル作成に活用されています(参照*9)。IFC対応やOpenBIMを意識することで、異なるソフト間でもデータをやり取りしやすくなります(参照*2)。
BIMソフトには無料体験版や教育機関向けライセンスが提供されている場合がありますが、機能や利用条件に制限が設けられていることがあります。そのため、実務で利用する際は有料版との違いを確認しておくことが大切です。まずは一覧で全体像を把握し、次章で各ソフトの特徴を見ていきましょう。
4. 建築設計向けBIMソフト一覧
建築設計向けのBIMソフトとしてよく名前が挙がるのが、Revit、Archicad、Vectorworks Architectです。国内向けではGLOOBEが候補となり、構造設計や海外案件を重視する場合はAllplanも比較対象になります。
それぞれの特徴を理解しておくと、自社のニーズに合ったBIMソフトかどうかを判断しやすくなります。たとえば、RevitはAutodesk製品群やIFCを介した連携を検討しやすく、ArchicadはOpenBIMに力を入れているため、情報交換のしやすさが魅力です。
日本の法律や設計実務への対応を重視する場合は、GLOOBEが候補になります。また、Allplanはヨーロッパを中心に導入事例があり、構造や鉄筋のモデリングにも強みがあります。
以下では、それぞれのソフトを個別に解説します。操作性や導入コスト、サポート体制などを把握しておくことで、BIMソフト導入後のミスマッチを防ぎやすくなります。
4.1. Revitの詳細解説
RevitはAutodeskが提供する代表的なBIMソフトで、建築・構造・MEPのモデル作成に対応しており、建築・構造・設備を同じプラットフォーム上で扱いやすい点が特徴です(参照*5)。 大規模案件やゼネコン、設計事務所での利用が多く、関連情報や学習教材も豊富です。一方で、導入費用や操作習得の負担は比較的大きいため、社内教育やテンプレート整備を含めて検討する必要があります。
4.2. Archicadの特徴と利点
ArchicadはGraphisoftが提供する建築向けBIMソフトで、Graphisoft公式でもOPEN BIMやIFCを活用した連携が紹介されており、他ソフトとの情報共有を重視した運用に向いています(参照*6)。比較的直感的に操作しやすく、設計事務所や中小規模の建築プロジェクトでも導入候補になりやすい製品です。意匠設計を中心に、他社ソフトとのデータ交換を意識したい場合に適しています。
4.3. Vectorworks Architectの魅力
Vectorworks Architectは、建築設計向けのBIMソフトで、企画設計から建設までの建築プロジェクトを支援する製品として紹介されています(参照*7)。意匠設計やプレゼンテーション表現に強い点も特徴です。 デザイン性を重視する設計事務所や小規模オフィスと相性がよく、2D図面・3Dモデル・BIM情報を段階的に扱いやすい点が魅力です。ただし、大規模案件で他社と連携する場合は、IFC出力や運用ルールを事前に確認しておきましょう。
4.4. GLOOBEの国内法規対応とは
GLOOBEは福井コンピュータアーキテクトが提供する国産BIMソフトで、建築確認業務の効率化や設計品質の向上を支援するBIM建築設計支援システムとして紹介されています(参照*8)。日本の設計実務や法規対応を意識しやすい点が特徴です。 国内サポートを重視したい設計事務所や、海外製ソフトの操作に不安がある企業に向いています。他ソフトと連携する場合は、IFC連携やデータ変換の流れを事前に確認しておくと安心です。
4.5. Allplanの概要
Allplanは、構造設計や鉄筋モデリングに強みを持つBIMソフトです。欧州での利用実績があり、海外プロジェクトや構造分野を重視する企業では候補になります。一方で、日本国内での情報量やサポート体制は事前に確認しておく必要があります。
5. 設備設計向けBIMソフト一覧
設備設計向けのBIMソフトでは、配管・空調・電気設備などを3Dで確認しながら、干渉チェックや施工図作成、数量管理に活用できることが重要です。代表的な製品には、Rebro、CADWe'll Tfas、RevitのMEP機能、DDS-CADなどがあります。RebroやCADWe'll Tfasは、設備設計・施工図作成に関連する製品として公式情報でも紹介されています(参照*10・参照*11)。
5.1. Rebroの設備設計特化の紹介
Rebroは、空調・給排水・電気設備などに対応した設備設計向けBIMソフトです。国内の設備設計・施工分野で利用されており、建築側のBIMとの連携や、3Dモデルによる干渉確認に活用できます。設備会社やゼネコンの設備部門でも導入候補になりやすい製品です。
5.2. CADWe'll Tfasの施工図強化点
CADWe'll Tfasは、設備施工図の作成に強みを持つソフトです。2D作図の延長で設備図面を扱いやすく、施工現場での作図や調整業務に適しています。BIM連携を重視する場合は、IFC対応や他ソフトとのデータ交換方法を事前に確認しておきましょう。
5.3. RevitのMEP機能と特性
Revitは、建築・構造・設備設計に対応したBIMソフトです。設備設計ではMEP機能を利用して空調・配管・電気設備のモデルを作成でき、建築モデルと同じ環境で情報を管理できます。そのため、意匠・構造・設備の連携を重視するプロジェクトに向いています。ただし、操作を習得するには一定の学習コストが必要です。
5.4. DDS-CADの利用シナリオ
DDS-CADは、設備設計に特化したBIMソフトとして海外で利用されている製品です。IFC連携を前提としたOpenBIM運用と相性がよく、国際案件や設備分野の詳細設計を重視する場合の候補になります。日本国内で導入する際は、サポート体制や日本語情報の有無を確認しておくとよいでしょう。
6. 土木・インフラ向けBIMソフト一覧
土木・インフラ分野では、道路、橋梁、造成、上下水道などの計画・設計・施工管理に3Dモデルを活用するBIM/CIMの取り組みが進んでいます。BIM/CIMに関する情報は、国土交通省関連のポータルサイトでも整理されています(参照*3)。 代表的なソフトとして、Civil 3D、InfraWorks、OpenRoads Designer、TREND-COREなどがあります。
6.1. Civil 3DのBIM/CIM対応
Civil 3Dは、土木インフラの設計とドキュメント作成に対応したAutodeskのソフトです(参照*12)。道路、造成、上下水道などの土木設計で利用されます。 地形モデル、線形、縦横断、数量計算などを扱いやすく、設計変更に伴う図面更新にも対応しやすい点が特徴です。AutoCAD系ソフトの操作に慣れている企業では、導入候補になりやすいでしょう。
6.2. InfraWorksの機能紹介
InfraWorksは、インフラ設計のコンセプト検討や周辺環境を含むモデル作成に活用できるAutodeskのソフトです(参照*13)。都市計画や道路計画などの初期検討に適しています。 地形や周辺環境を含む広範囲の3Dモデルを作成し、計画案の比較やプレゼンテーションに活用できます。Civil 3Dと連携しながら詳細設計へ進める運用も可能です。
6.3. OpenRoads Designerの特徴
OpenRoads Designerは、Bentley Systemsが提供する道路・インフラ設計向けソフトです(参照*14)。道路線形、交差点、地形、排水などを一体的に扱えるため、道路・高速道路・インフラ案件に適しています。MicroStation系の環境を利用している企業では、既存データとの相性も確認しやすいでしょう。
6.4. TREND-COREの概要
TREND-COREは、福井コンピュータが提供するBIM/CIM業務に対応した3DCADシステムで、土木分野の3Dモデル作成や施工計画に活用できます(参照*15)。 現場条件や施工手順を3Dで可視化し、施工計画や説明資料の作成に活用できます。国内の土木現場で利用しやすい点が特徴で、CIM対応を進めたい建設会社の候補となる製品です。
7. BIMソフトを比較するときに見るべき5つのポイント
数あるBIMソフトから自社に合うものを選ぶには、いくつかの比較ポイントを押さえておく必要があります。ここでは、特に重要な5つの観点を紹介します。事前に確認しておくことで、導入後のミスマッチを減らしやすくなります。
| 比較ポイント | 確認内容 |
| 対応分野 | 建築・設備・土木のどれに対応しているか |
| IFC対応 | 他ソフトとデータ交換できるか |
| 国内サポート | 日本語サポートや研修体制 |
| 導入コスト | ライセンス費用・保守費用 |
| 習得難易度 | 社内教育に必要な工数 |
まず1つ目は「対応分野」です。建築向け、設備向け、土木向けなど、分野によって得意な機能は異なります。そのため、自社のプロジェクト内容に合った機能を持つソフトを選ぶことが重要です。
2つ目は「IFC対応状況」です。OpenBIMを意識するなら、他ソフトとどこまで正確にデータ交換できるかを確認しましょう。3つ目の「国内サポート体制」も、導入初期のトラブル対応や研修を考えるうえで欠かせない要素です。
4つ目は「導入コスト」です。ソフトウェアの価格だけでなく、年間保守費用やアップグレード費用なども含めて総合的に把握する必要があります。最後に5つ目は「操作習得の難易度」です。社内で使いこなすには、学習リソースも見込んでおきましょう。
8. BIMソフト選びで失敗する3つのパターン
BIMソフト導入に失敗するケースには、いくつかの共通点があります。ここでは代表的な3つのパターンを取り上げ、注意したいポイントを整理します。
| 失敗パターン | 起こりやすい問題 |
| 有名だから選ぶ | 自社業務に合わない |
| 価格だけで選ぶ | 機能不足や追加費用が発生 |
| 連携を確認しない | 他社とのデータ交換で問題が発生 |
1つ目は、「有名だから」という理由だけで選んでしまうケースです。知名度の高いソフトを導入しても、自社のプロジェクトや業務内容に合っていなければ、十分な効果を得られない可能性があります。
2つ目は、「価格だけで選ぶパターン」です。初期費用の安さを重視して導入した結果、必要な機能が不足していたり、後から追加費用が発生したりすることがあります。投資対効果を考えるうえでは、総コストで判断することが重要です。
3つ目は、「データ連携を確認せずに導入する」ケースです。IFC対応やOpenBIMへの対応状況を確認しないまま運用を始めると、他社との協働時にデータ連携の問題が発生することがあります。導入前に確認しておきたい重要なポイントです。
9. 中小企業がBIMソフトを導入するなら何を選ぶべき?
中小企業にとって、BIMソフトの導入は大きな投資です。しかし、建築DXへの対応を見据えると、3D CADやBIMの活用を検討する意義は小さくありません。特に個人事務所や小規模な設計事務所では、操作性とコストのバランスを重視する必要があります。
| 企業・用途 | 候補ソフト |
| 個人事務所 | Archicad Solo、Vectorworks Architect |
| 小規模設計事務所 | Archicad、Vectorworks Architect |
| 中堅設計事務所 | Revit、Archicad |
| 設備会社 | Rebro、CADWe'll Tfas |
| 土木会社 | Civil 3D、TREND-CORE |
たとえば、Archicadの小規模向けプランやVectorworks Architectは比較的導入しやすく、デザイン性を重視しながらBIMを活用できる点で小規模オフィスにも適しています。Revitも高機能ですが、導入コストや学習負荷が大きいため、慎重に検討したいところです。
設備設計分野であれば、Rebroは比較的取り組みやすい選択肢です。導入時には、ソフト選定だけでなく、サポートやトレーニング体制も含めて検討することが失敗防止につながります。
まずは試用版や無料体験ライセンスを活用し、自社のプロジェクトに適しているかを確認する方法も有効です。企業規模や目的に応じて、無理なく拡張できるかどうかも確認しておきましょう。
BIMソフト選定時のチェックリスト
- 自社の分野(建築・設備・土木)に対応しているか
- IFC対応状況を確認したか
- 国内サポート体制を確認したか
- 導入費用と保守費用を把握したか
- 社内教育の計画を立てているか
10. よくある質問(FAQ)
Q1. BIMソフトは無料で使えますか?
A. 一部のBIMソフトには無料体験版や機能を限定した版が用意されている場合があります。ただし、機能制限や利用期間の制約があるため、商用利用を検討する際は有料版との違いを確認することが大切です。
Q2. BIMソフトと3D CADは同じですか?
A. 同じではありません。BIMソフトは3Dモデルに属性情報を付与し、プロジェクト全体の情報を一元管理できる点が特徴です。一方、3D CADは主に形状設計を目的としたツールです。
Q3. IFCとは何ですか?
A. IFC(Industry Foundation Classes)は、建築・設備・土木分野のソフト間でデータ交換を行うための標準的なファイル形式です。buildingSMART JapanでもIFCの概要が紹介されており、OpenBIMを実現するうえで重要な役割を担っています(参照*2)。
Q4. 初心者におすすめのBIMソフトはありますか?
A. Vectorworks ArchitectやArchicadの小規模向けプランなど、比較的操作しやすく導入コストを抑えやすい製品が候補になります。ただし、最終的にはプロジェクトの要件に合わせて選ぶことが重要です。
11. まとめ|BIMソフトは用途と連携性で選ぶことが重要
BIMソフトは、建築・設備・土木のどの分野で活用するかによって適した製品が異なります。Revit、Archicad、Vectorworks Architect、GLOOBE、Rebro、Civil 3Dなど、それぞれの特徴を比較し、自社の業務内容や連携先に合うかを確認することが大切です。
また、IFC対応、国内サポート、導入コスト、操作習得の難易度は、導入前に確認しておきたい重要なポイントです。単に一覧を見て選ぶのではなく、実際のプロジェクトでの活用方法をイメージしながら、自社に合ったBIMソフトを選びましょう。
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<参考文献>
(*1) buildingSMART Japan
https://www.building-smart.or.jp/
(*2)IFCとは? – buildingSMART Japan
https://www.building-smart.or.jp/ifc/whatsifc/
(*3)BIM/CIM ポータルサイト
https://www.nilim.go.jp/lab/qbg/bimcim/bimcimindex.html
(*4)建築:建築BIM推進会議 - 国土交通省
https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/kenchikuBIMsuishinkaigi.html
(*5)Autodesk Revit
https://www.autodesk.com/jp/products/revit/overview
(*6)Graphisoft Archicad
https://graphisoft.com/jp/solutions/archicad
(*7)Vectorworks Architect
https://www.vectorworks.net/ja-JP/architect
(*8)GLOOBE Architect|建築CAD - 福井コンピュータアーキテクト
https://archi.fukuicompu.co.jp/products/gloobe/
(*9)Tekla Structures
https://www.tekla.com/jp/products/tekla-structures
(*10)Rebro
https://www.nyk-systems.co.jp/product/rebro
(*11)CADWe'll Tfas 15 製品情報:ダイテック
https://www.daitec.jp/catalog/Tfas15/tfas_01.html
(*12)Autodesk Civil 3D
https://www.autodesk.com/jp/products/civil-3d/overview
(*13)InfraWorks
https://www.autodesk.com/jp/products/infraworks/overview
(*14)OpenRoads Designer
https://www.bentley.com/software/openroads-designer/
(*15)TREND-CORE
https://const.fukuicompu.co.jp/products/trendcore/
