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BIMを建設現場でも活用する。効率化を実現した事例をご紹介。

BIMは設計・施工・維持管理のすべての建築プロセスで活用でき、それぞれの段階でのBIM活用を設計BIM、施工BIMなどと呼びます。この記事では建設現場でBIMを活用した事例、つまり施工BIMを活用した事例を3つご紹介します。

この記事を読むと以下の3つのことがわかります。
(1)事例1(本間組)
(2)事例2(東急建設)
(3)事例3(清水建設)

事例1(本間組)

まず初めに2013年に設計BIM、2018年に施工BIM の取り組みを始めた、株式会社本間組が2020 年に施工した新潟いすゞ自動車長岡支店のプロジェクトについてご紹介します。
鉄骨ファブリケーターや電気・機械設備会社が制作した BIM モデルを組み込んだ「ワンモデル」によって設計から施工までを“一気通貫”で推進し、手戻りがほとんどないまま竣工を迎えました。*1

工事概要とBIM活用について

建築確認申請後から着工までの5ヶ月間で以下の3つのBIMモデルを作成しました。

・竣工レベルに詳細なBIMモデル「ワンモデル」
鉄骨ファブリケーターや電気・機械設備会社が作成した3DモデルをBIMモデル統合ソフト「Navisworks」に取り込み、意匠、構造基礎、電気・機械設備、鉄骨BIMデータを統合しました。そしてそれらの干渉チェックを行いました。

・仮設足場
ドローンで工事現場を測量し、その結果を点群処理して仮設足場のモデルを作成しました。
・鉄骨の建て方4Dシミュレーション
RevitのモデルをNavisworksに取りこむことでどのように鉄骨を組み立てていくかという施工BIMモデルを作成しました。

着工してからの施主に向けた説明会では、3Dモデルを用いて作成した360°パースとウォークスルー動画を見せて完成形を示しました。この結果、施工中の手戻りの原因となる設計変更もほとんど生じませんでした。

プロジェクトチーム関係者間での BIM データ共有には、Autodeskのクラウドシステム「A360」を利用しました。クラウドにBIMモデルビューワーを備えているので、BIMソフトを持っていない人でもタブレットやスマートフォンからBIMモデルを閲覧したり、更新したり、コメントしたりできます。このようにBIMモデルをクラウド上で共有することで、全員が最新のデータにアクセスできるので効率的にプロジェクトを進められます。

事例2(東急建設)

次に、2023年4月現在、東急建設株式会社が行っている、「三番町 26」という名の地上 17 階、地下 2 階の鉄筋コンクリート造マンションのプロジェクトについてご紹介します。
現場は都心にあり、スペースが非常に限られているため、重機が乗って作業する仮設の構台や足場をこまめに設置・撤去を繰り返しながらの施工となります。そのための施工ステップ図を1400個も作成しました。
また、この工事では完成までの施工手順を一度、BIMで確認してから実際の作業を行っているので、現場で施工の手戻りはほとんど発生していません。*1

工事概要とBIM活用について

まず、毎日の朝礼で行う作業の内容を3次元のCGパースで共有します。このパースを見ると機械の配置が一目で分かるようになっています。
このプロジェクトはマンションなので、躯体モデル+仮設材、共用仕上・外装・外構モデル、専有部モデル、モデルルームモデル、配筋モデルの5つのBIMモデルを作成しています。これらをAutodeskのクラウドシステム「Autodesk Construction Cloud 」で共有しているので、関係者全員が最新の情報にアクセスし、施工図を作成できます。鉄筋や型枠の施工図は、最新の躯体モデルに基づいて描く必要があるので、BIMモデルを共有することは移動と手戻りの無駄削減に役立ちます。
さらに業務を効率化するために360°カメラとそれで撮影した写真を共有するためのクラウドを導入しており、現場の進捗を把握しています。

事例3(清水建設)

最後に、さきほどの2つとは異なり、そもそも建設現場に行かないという効率化を図った事例をご紹介します。

清水建設の地下鉄工事

2023年3月、相模鉄道と東急東横線をつなぐ、東急新横浜線が開通しました。これにともない、JR新横浜駅の北側で巨大な地下駅の建設が清水建設を筆頭とする共同企業体によって進められました。
Autodeskのクラウドサービス「BIM 360Docs」上で構造物のBIMモデルや、現場の点群データ、360°写真などを共有して「現場に行かない施工管理」が行えるようにしました。

この結果、東京・京橋の本社から往復3時間と1時間の巡回の合計4時間かけて行っていた現場巡回が、わずか30分の遠隔巡回に短縮されるなど、様々な業務効率化が実現しました。

BIM 360 Docs

まずこの工事で使われた「BIM 360 Docs」について説明します。
Autodeskのクラウドサービス「BIM 360Docs」は最新のBIMモデルを発注者や受注者、協力会社などがリアルタイムに共有でき、モバイル端末でどこでも最新図面が確認できます。さらには、BIMソフトを持っていなくても、ウェブブラウザーなどで2D図面や3Dモデルの表示、距離計測などが行えます。*2
同じ場所、異なる日時で撮った写真を、同じ視点で比較することができ、写真上に印を付けてオンラインで修正指示や是正完了などの指摘事項を記入できるので、品質管理や安全管理がスピーディーに行えます。
また、後述するように他のシステムと連携することでBIMモデルを点群データと比較したり、BIMモデルをVR・AR機能で利用したりできます。

工事に使われた技術概要

この工事では、BIMモデルと点群データ、360°写真を同時に活用し、時にVR・AR機能を活用しました。
Insta360というカメラで撮影した360°画像のデータとスマートフォンのLiDARで計測した点群データや現場の計測結果をOpenSpaceという360°画像共有用のクラウドにアップしていました。点群データと360°画像は自動的にひも付けされ、部材間隔の計測などを行うことができます。
OpenSpaceでは、BIM 360 Docsと連携することで画面に360°写真のほかBIMモデルなどを表示して、比較することができます。
現場の点群データについては、これから施工する構造物の設計BIMモデルと統合し、施工検討にも利用していました。
このBIMモデル、点群データ、360°画像の連携によって、施工中のちょっとした出来形チェックも、現場に行かずに行えるようになりました。

BIMモデルや点群データの用途をさらに広げるためにゲームエンジンを利用してVRやARを可能にする「Unity Reflect」というシステムを導入しました。Unity ReflectもBIM 360 Docsとクラウド上で連携させることができ、BIMモデルや点群データなどをワンタッチでVRやARで利用できます。ワンタッチでBIMモデルがVRモデルに変換されるので、VRを使うハードルが下がりました。また、これは現場での作業となりますが、AR機能を使うと、BIMモデルや点群データを実際の現場に同じスケール・視点で重ねて表示しながら、現地で完成形の検討などが行えました。
複数の参加者が集まってVR空間内でコミュニケーションをとる、メタバースとしても活用できます。実際、遠隔地からの参加者が集まって、施工検討やVR見学、合意形成を行うこともしました。

まとめ

この記事ではBIMが建設現場でどのように役立っているのかをご紹介しました。紹介した事例のように、BIMソフトウェアだけでなく、カメラや他のソフトウェアを連携させることでより一層業務の効率化が期待できます。

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*1 Autodesk「BIMデータ活用事例集2022」
https://bim-design.com/uploads/honma-corportation-customer-story-ja.pdf

*2 Autodesk「ユーザ事例:清水建設」
https://bim-design.com/infra/case/shimz.html

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