pyRevitとは?できること・導入方法・Dynamoとの違いをわかりやすく解説
1. はじめに
建築業界では、設計や施工のデータを一元管理できるBIMの活用が広がっています。その中でもAutodesk社のRevit(レヴィット)は広く利用されているBIMソフトウェアの一つですが、モデルやビューの管理など、繰り返し発生する作業も少なくありません。
こうした作業に時間や人手を取られると、本来注力すべき業務に十分な時間を確保できなくなることがあります。そこで注目されているのが、自動化やカスタマイズに対応した拡張ツールです。
本記事では、オープンソースで提供されているRevit拡張ツール「pyRevit(パイレヴィット)」について解説します。主な機能や導入方法に加え、同じくRevitと連携して利用されるDynamo(ダイナモ)との違いにも触れながら、それぞれの特徴を比較していきます。
作業の無駄を減らしてDX推進に取り組みたい方や、自社の業務に合わせたツール開発を検討している方はもちろん、チーム全体の標準化を進めたいBIMマネージャーの方にも役立つ内容です。ぜひ最後までご覧ください。
2. pyRevitの基本とは?

引用:https://docs.pyrevitlabs.io/
まずはpyRevitの基本的な概要を見ていきましょう。pyRevitはRevit上で動作するオープンソースの無料拡張ツールで、公式ドキュメントでもRevit向けの開発・自動化環境として紹介されています(参照*1)。Pythonスクリプトを活用して業務の効率化や自動化を実現します。
コミュニティ主導で開発されており、ユーザーが自社の業務に合わせてカスタマイズや拡張を行いやすい点が特長です。BIMソフトウェアの運用で発生する繰り返し作業をPythonスクリプトで一括処理することで、プロジェクト全体の生産性向上が期待できます。
ただし、Autodesk社の公式製品ではなく、オープンソースプロジェクトとして公開されています。そのため、導入時にはライセンス情報やサポート体制を確認しておくことが重要です。GitHub上で公開されており、リリース情報を確認することで対応バージョンや変更内容を把握できます(参照*4)。
| 項目 | pyRevit |
| 提供形態 | オープンソース |
| 料金 | 無料 |
| 動作環境 | Revit上で動作 |
| 開発言語 | Python |
| カスタマイズ | 可能 |
| サポート | コミュニティ中心 |
| 配布場所 | GitHub |
2.1. pyRevitの概要と主な特徴
pyRevitは、RevitにPythonベースの拡張機能を追加し、自動化や効率化を進めるためのツールです。
従来、Revitでモデルやパラメータをまとめて変更するには、手動操作や公式APIを利用した複雑なスクリプト作成が必要でした。しかし、pyRevitを利用すれば、汎用的に作られた自動化ツールを比較的手軽に試すことができます。
また、オープンソースプロジェクトとして継続的に改善や機能追加が行われている点も特徴です。実務に合わせた調整がしやすく、BIMマネージャーやDX推進担当が独自ツールを導入しやすい環境が整っています。
2.2. Autodesk公式製品ではない点について
pyRevitはAutodesk社が開発・提供する公式製品ではなく、GitHub上でGPLライセンスのもと公開されているオープンソースプロジェクトです(参照*3)。そのため、問題が発生した際は、コミュニティフォーラムやGitHubのイシュー(掲示板)などを活用して解決策を探すのが基本となります。
公式製品のようなサポートが提供されているわけではないため、利用する際はRevitとの互換性を確認し、事前にテスト環境で十分な検証を行うことが重要です。Autodeskのサポート情報でも、pyRevitのインストール後にRevitの起動に影響が生じるケースが紹介されているため、導入テストは欠かせません(参照*2)。
一方で、pyRevitコミュニティは活発に活動しており、問い合わせやバグ報告も継続的に行われています。こうしたコミュニティの情報を活用することで、トラブル解決につながる場合があります。
3. pyRevitでできること

ここでは、pyRevitが具体的にどのような自動化や効率化に役立つのかを見ていきます。繰り返し発生する作業を簡単に処理できる点や、チーム全体の標準化に役立つ点が大きな強みです。
建築や設備のモデル管理、ビューやシートの整理、パラメータチェックなど、活用できる範囲は広く、プロジェクトマネージャーにとっても便利なツールといえるでしょう。
pyRevitでできる代表的なことは次のとおりです。
- ビューやシートの管理を効率化する
- パラメータ編集やチェック作業を自動化する
- 独自ツールや専用ボタンを追加する
ここでは代表的な事例を3つ取り上げます。
3.1. モデルやビューの管理を効率化
Revitのプロジェクトが大規模になると、ビューやシートの数も増え、整理が難しくなります。pyRevitでは、標準搭載ツールや独自スクリプトを活用することで、ビューの管理や名称変更などの作業を効率化できます。
例えば、シートの並べ替えや同じ形式のビュー作成などを行う際に、手作業によるクリック数を減らせるため、プロジェクト管理の負担を軽減できます。結果として、プロジェクトブラウザ上の情報整理が進み、作業の見通しが良くなる利点があります。
こうしたRevitモデル管理の効率化により、必要なビューを把握しやすくなるため、施工段階や後工程での資料提供もスムーズになります。
3.2. パラメータ編集やチェック作業の自動化
プロジェクト進行中には、部材の属性情報を一括で修正したい場面が少なくありません。従来手動で行っていた入力チェックや整合性確認も、pyRevitを活用することで自動化できます。
部材のパラメータを洗い出し、所定の条件に合わない場合に警告を出す仕組みや、特定の値だけをまとめて書き換えるスクリプトを用意すれば、手作業より効率的に処理できます。ビジュアルプログラミングほど直感的ではありませんが、Pythonならではの柔軟性があり、運用次第で高い自由度を確保できます。
トラブルシューティングの際にも、原因をコードレベルで確認できるため、Revitの標準機能だけでは見つけにくい不備を効率的に洗い出せるメリットがあります。
3.3. 独自ツールの追加とカスタマイズ
pyRevitの大きな魅力は、ユーザーが自身のニーズに合わせてスクリプトを作り、Revitに新しいリボンやボタンを追加できる点です。建築設計のプロジェクトでは企業独自の業務フローがあるため、その一部を自動化する社内専用ツールの開発にも向いています。
すでに社内にPythonエンジニアやプログラミングに関心のあるBIMコーディネーターがいる場合は、連携を進めやすくなります。専門職がいない場合でも、コミュニティの情報を参考にしながら、小規模なカスタマイズから始めることは十分可能です。
また、オープンソースかつ無料で利用できるため、コスト面での導入ハードルを下げやすい点もメリットです。結果として、自社の業務改革やDX推進につながる可能性もあります。
4. pyRevitとDynamoの違い

引用:https://primer.dynamobim.org/ja/08_Dynamo-for-Revit/8-1_The-Revit-Connection.html
ここでは、Dynamoとの比較を通じてpyRevitの特徴を整理していきます。DynamoはAutodeskが提供するビジュアルプログラミングツールで、ノードベースで処理の流れを構築できることが特徴です(参照*6)。
一方、pyRevitはPythonスクリプトを中心に活用し、独自のUIを作成したり、特定の条件で一括処理を実行したりするなど、開発面にも強みがあります。
| 項目 | pyRevit | Dynamo |
| 操作方法 | Pythonコード | ノードベース |
| 学習しやすさ | Python知識が必要 | 初心者向け |
| カスタマイズ性 | 高い | 高い |
| UI拡張 | 得意 | 限定的 |
| 主な用途 | 自動化・ツール開発 | 設計支援・形状生成 |
| 主な利用者 | BIM管理者・開発担当 | 設計者・BIM担当 |
では、どのような場面でそれぞれが適しているのでしょうか。
4.1. Dynamoの基本情報
DynamoはAutodeskが提供するビジュアルプログラミング環境で、Revitと連携して利用できます(参照*6)。 ノードをつなぎながら処理の流れを可視化できるため、プログラミング初心者でも仕組みを理解しやすいという利点があります。
複雑な形状生成やパラメトリックデザインを得意としており、画面上で確認しながらスクリプトを作成できる点が設計者に支持されています。実際に、BIMマネージャーや建築エンジニアの間でも学習コストが比較的低く、導入しやすいツールとして知られています。
ただし、大量の繰り返し処理を構築する場合には手順が複雑になりやすく、本格的な拡張機能の開発では別の手段が選ばれることもあります。
4.2. pyRevitとDynamoの比較
pyRevitとDynamoでは、操作方法や学習のしやすさに大きな違いがあります。pyRevitはPythonコードを中心に利用し、Dynamoはノードベースで操作します。
初心者が取り組みやすいのはDynamoですが、Pythonに慣れている人であれば、pyRevitで直接コードを書いたほうが柔軟に対応しやすいでしょう。どちらも高いカスタマイズ性を備えていますが、UIやメニューの拡張を含む独自ツールを開発したい場合には、pyRevitが選択肢となることがあります。
また、DynamoにはAutodeskによる情報提供やアップデートがある一方で、pyRevitはコミュニティ主導で開発されています。そのため、信頼性を重視したい場合や、情報収集のしやすさを重視する場合は、Dynamoが適しているケースもあります。
4.3. どちらを選ぶべきか?
図形の自動生成や比較的簡単な自動化が目的であれば、Dynamoでも十分に活用できます。一方で、大規模なカスタマイズや独自機能の開発を視野に入れる場合は、pyRevitを検討する価値があります。
企業としては、まずDynamoで自動化の考え方や運用に慣れ、その後さらに高い拡張性が必要になった段階でpyRevitを導入するという方法もあります。どちらを選ぶかは、組織のスキルセットや目的に応じて判断することが大切です。
結果として、Pythonや開発に強い担当者がいる場合はpyRevit、コードに抵抗がある人や設計業務を中心に進めたいチームにはDynamo、という使い分けが一般的です。
5. pyRevitの導入方法
ここからは、pyRevitの導入方法について解説します。無料ツールではありますが、基本的な知識や設定が必要になるため、手順を確認しながら進めることが大切です。
公式のインストールガイドやGitHubのリリース情報を参照しながら、実際のプロジェクトへ導入する前にテスト環境で動作確認を行いましょう(参照*4、参照*5)。
導入の流れは次のとおりです。
- インストーラーをダウンロードする
- pyRevitをインストールする
- RevitでpyRevitタブを確認する
- 対応バージョンを確認する
- テスト環境で動作検証する
5.1. インストールの流れ
まずはpyRevitのリポジトリから、利用する環境に適したインストーラーをダウンロードします。GitHubの「Releases」ページには複数のバージョンが公開されているため、使用中のRevitに対応したものを選択します。
ダウンロードした実行ファイルを起動し、ウィザードの案内に従ってインストールを進めます。完了後にRevitを起動し、pyRevitタブが表示されていれば導入は成功です。
その際は、既存のRevitアドインとの競合や、社内ルールに反する設定がないかも確認しておきましょう。
5.2. 対応バージョンと互換性の確認
pyRevitの各リリースが対応するRevitのバージョンは、GitHubのリリースページで確認できます(参照*4)。 導入前に、利用中のRevitがサポート対象に含まれているかを確認しておくことが重要です。
互換性のない状態で導入すると、Revit起動時や作業中にエラーが発生する可能性があります。バージョンの不一致やインストール手順の見落としによって、「pyRevitタブが表示されない」といったトラブルが起こることもあるため注意しましょう。
また、安定して利用するために、Windows OSの要件もあわせて確認し、必要に応じて更新プログラムを適用しておくと安心です。
6. 導入時によくあるトラブルと注意点

pyRevitを導入する際は、Revitとの連携設定やアドインの動作環境など、いくつかのポイントを確認しておく必要があります。
| トラブル | 主な確認ポイント |
| Revit起動時にエラーが出る | バージョン互換性 |
| pyRevitが無効化される | 他アドインとの競合 |
| タブが表示されない | アドイン設定 |
| 動作が不安定 | リリース情報の確認 |
よくあるのが、Revit起動時にエラーが発生したり、pyRevitが無効化されたりするケースです。こうした問題は、バージョンの不一致や他のアドインとの競合によって起こる場合があります。
また、インストールしたにもかかわらず、pyRevitのタブが表示されないこともあります。この場合は、RevitのアドインフォルダからpyRevitが正しく読み込まれているか、インストーラーがユーザーフォルダへ正常に展開されているかを確認しましょう。
さらに、最新リリースを利用して開発する場合は、更新内容を把握するためにもリリースノートを定期的に確認することが大切です。こうした注意点を押さえておくことで、導入をスムーズに進めやすくなります。
7. pyRevitはどんな人に向いている?
pyRevitは、Revitをより深く活用したいプロフェッショナルやBIMマネージャー、DX推進に積極的な方に向いています。Pythonスキルを持つ人材がいれば、社内向けの自動化ツールを開発しやすくなります。
また、設計者だけでなく、プロジェクト管理者やBIMコーディネーターが業務効率の向上を目指す場面でも役立ちます。ビジュアルプログラミングではなく、直接コードを編集したい場合にも適した選択肢です。
一方で、Revit初心者やプログラミング未経験者にとっては、Dynamoのようにノードを並べて直感的に操作できるツールのほうが取り組みやすいでしょう。コードを書かずに標準機能で十分対応できる場合は、無理にpyRevitを導入する必要はありません。
自社の業務に合わせて作業を最適化したい方や、オープンソースを積極的に活用したい方に向いているツールといえます。
8. まとめ
pyRevitは、無料で利用できるオープンソースのRevit拡張ツールです。Revit業務の効率化に役立つだけでなく、独自機能の開発やカスタマイズに対応できる点も魅力です。
Dynamoと比較すると、Dynamoはビジュアルプログラミングの扱いやすさに強みがあり、pyRevitはPythonを活用した拡張に向いています。どちらを選ぶかは、組織のスキルや用途に応じて判断することが大切です。
本格的にpyRevitを導入する際は、Revitとの対応バージョンや社内での運用体制を事前に確認しておきましょう。チームの負担を減らし、より重要な業務に集中するための選択肢として、pyRevitの活用を検討してみてください。
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<参考文献>
(*1)pyRevit
https://docs.pyrevitlabs.io/
(*2)pyRevit をインストールすると、Revit の起動時に問題が発生します
https://www.autodesk.com/jp/support/technical/article/caas/sfdcarticles/sfdcarticles/JPN/The-installation-of-pyRevit-is-causing-issues-with-Revit-start-up.html
(*3)pyRevit/LICENSE.txt at develop · pyrevitlabs/pyRevit · GitHub
https://github.com/pyrevitlabs/pyRevit/blob/develop/LICENSE.txt
(*4)Releases · pyrevitlabs/pyRevit
https://github.com/pyrevitlabs/pyRevit/releases
(*5)Install pyRevit
https://pyrevitlabs.notion.site/Install-pyRevit-98ca4359920a42c3af5c12a7c99a196d
(*6)Learn - Dynamo BIM
https://dynamobim.org/
(*7)Autodesk Revit ヘルプ | Autodesk
https://help.autodesk.com/view/RVT/2027/JPN/
