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よく見るあのかっこいいGUI、何で作っている?アプリケーション開発フレームワーク「Qt」入門

おなじみのGoogle Earthや楽譜編集プログラム MuseScoreからSkypeまで、私たちが何気なく使っているサービスのあのかっこいいGUI。見た目だけではなく、どのデバイスから閲覧および使用しても一貫した画面遷移でサービスが提供される上、表示を他の言語に切り替えて表示させてもストレスなくサクサクと動作するのは誰もが知るところ。

Windows、Mac OS X、組み込みシステムなどさまざまなプラットフォーム上で動作するアプリケーションの開発を、たった1つのソースコードで可能にするというコンセプトの元設計された「Qt(キュート)」。上述のサービスはすべてこの開発環境「Qt」で作られたものです。

これまでは、プラットフォーム別にアプリケーションを開発しようとすると、その開発コストは膨大なものとなっていました。「Qt」のマルチプラットフォームの概念が支持されて、現在では、世界で15万人も「Qt」を使用している開発者がいると言われています。

「Qt」は豊富なツールや開発支援ツールが標準で付属しており、開発に必要なツールを買い足したりする必要がないのが特長。以下に、「Qt」の主な開発支援ツールを挙げてみます。

Qt Creator SDKの一部として提供されるクロスプラットフォームの統合開発環境。「プロジェクトファイル(.pro)」、「CMake」や「Autotools」といったフォーマットのプロジェクトを管理するプロジェクトマネジャーも含む。
Qt Designer GUI のデザインと設計を行うツール。WYSIWYG形式でウィンドウやダイアログを設計できる。
Qt Linguist 翻訳支援ツール
GUI の翻訳作業を支援するツール。コンピュータの知識のない翻訳者であってもアプリケーション上のテキストの翻訳が簡単にできる。

さらに、Windowsの Visual Studio での開発を可能にするプラグイン、Java で作られた開発環境 Eclipse 上での開発を可能にする Qt Eclipse Integration も備えており、これまで他の開発環境に慣れているユーザーにも受け入れやすい仕組みが整っています。

これら「Qt」の備えるさまざまなツールや機能のうち、特筆すべきは「Qt Linguist」でしょう。「Qt Linguist」が扱う形式はTS形式(.ts)と呼ばれるフォーマットであるものの、XMLベースのファイル形式であるXLIFF (XML Localization Interchange File Format) のファイルのインポートおよびエクスポートが可能です。XLIFF形式は、翻訳やローカリゼーション専用の支援システムとして地位を確率しているSDL TRADOS(トラドス)からもインポートできるため、翻訳者は使い慣れたTRADOSで翻訳をして「Qt」で再読み込みできます。

「Qt Linguist」の操作画面も中央に翻訳画面、サブウィンドウとしてContext(文脈)、ソース言語、フォームといったウィンドウが配置され、翻訳者とアプリケーション設計者の双方が必要な情報を俯瞰することができます。また、操作性もWindowsのエクスプローラーと同様のコンセプトで設計されており、非常に馴染みやすい作りとなっています。

画面左のContextには翻訳対象となる文脈がアルファベット順に表示され、翻訳が済んだらチェックマークが表示されます。未翻訳が識別できるため、ローカリゼーション時の最大の問題のひとつであるテキストの翻訳忘れなどを即座に見つけられます。Contextはアルファベット順に並べられているが、実際の翻訳においては、翻訳しやすい文章から翻訳することもできます。翻訳を後回しにするテキストにも未翻訳のマークが付くため、対応し忘れることがないのが嬉しいところです。

さらに、「Qt Linguist」が備えるバリデーション機能では、翻訳のテキストがチェック項目を満たしているかを自動的に判定し、基準を満たしていない翻訳テキストには警告表示します。

「Qt」により、敷居の高かったアプリケーション開発が、身近になりつつあるようです。

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