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Azureの無料アカウントでできること、メリットとデメリット

Azureは「アジュール」と読み、Microsoftが提供するクラウドプラットフォームのサービスです。クラウドプラットフォームはSaaSなど多様な分類がありますが、AzureはIaaSならびにPaaSの機能を提供しています。

「そもそもクラウドって何?IaaSとPaaSってどう違うの?」という方のためには、クラウドサービスの概要を以下の記事にまとめました。

IaaS/SaaS/PaaS/DaaS、それぞれのちがいを詳しく説明。

ところで、クラウドプラットフォームを正式に利用すると料金が発生します。大企業であればともかく、スタートアップなど小規模の企業や個人は、いきなり多機能で高額のクラウドプラットフォームを利用するには「敷居が高い」と感じるのではないでしょうか。

しかし、Azureには無料アカウントがあります。12か月限定で、一部の機能制限はありますが、実際にAzureを試してみることができます。

この記事を読むと以下の3つのことが分かります。
①Azureの概要
②Azureの無料アカウントで可能なこと
③Azureの無料アカウントを利用するときに注意すべきこと

 

Azureって何? まず確認したい基本知識

 

クラウド登場以前には、サーバーといえば社内にサーバー室があり、社内のネットワークにつながれた物理的なマシンがラックに積まれて稼働していました。高速のCPU、大容量のメモリやストレージを積んだ物理的なサーバーを「オンプレミス」といいます。

もちろん現在でもオンプレミスは使われていますが、インターネットにつながれた外部の仮想化されたサーバー、つまりクラウドを使うことが一般化しました。また、社内外のサーバーを境界なく扱うハイブリッドクラウドの技術も進化しています。

Azureは2008年10月に発表され、2010年2月に正式にリリースされました。競合となるAmazonのクラウドサービスAWS(Amazon Web Services)の公開は2006年なので、やや遅れをとった形になります。とはいえ2018年の第4四半期では、AWSには及ばないものの第2位の約15%の市場シェアとなりました(アメリカの調査会社Synergy Research Groupの資料より)。

Azureには、どのようなメリットがあるのでしょう。以下に3つ挙げます。

 

1: Azureは世界最大規模のクラウド

 

Azureは世界で54か所のリージョン(2019年4月現在)があり、140か国で利用できる巨大なクラウドサービスです。Fortune 500 企業のうち95%がビジネス基盤として採用という実績があります。

日本国内には、東日本リージョン(東京・埼玉)、西日本リージョン(大阪)が設置されています。遠隔地のリージョンを使わないことで、データ転送の遅延を最小化することが可能です。

 

2: DR、BCP、セキュリティ対策も万全

 

国内の2つのリージョンでデータは3重化してバックアップされます。さらに2つのリージョンで6重化されます。

したがって、地震やテロなどの災害があってもデータの復旧に不安がありません。「DR(Disaster Recovery)」と呼ばれる、データセンターの信頼性として重要な要素です。災害やテロなどの不測の事態があっても、ビジネスを持続でき、「BCP(Business Continuity Plan)」、日本語で「事業継続計画」と呼ばれている面において、Azureは堅牢性の高いクラウドです。

また、多層構造のカスタマイズされたハードウェアで構築され、3,500 名以上のサイバーセキュリティの専門家によるチームがセキュリティを監視しています。DDoS などの脅威から保護されることはもちろん、全世界から供給される新たな脅威に関する情報がリアルタイムで蓄積されるため、最新の脅威にも迅速に対応しています。

 

3: Azureは開発環境の構築に最適、ビジネスを加速

 

ECサイトやモバイルアプリの開発にとどまらず、先端のIoT、AIや機械学習、画像認識や音声認識のサービスに対応した機能を備えています。そして現在も最先端の技術に対応し続けているクラウドです。

現在、Webサイトの構築ではWeb AppsとSQL Databaseを組み合わせたPaaSが主流ですが、特にB to Cのサービスでは先手必勝です。クラウド上にはビッグデータが蓄積され、機械学習や予測など高度な分析が求められます。Azureでは「Cognitive Services」と呼ばれる人工知能の23パーツが、Web APIを経由して提供されています。

開発環境をゼロから立ち上げようとすると時間も手間もかかります。しかし、Azureには開発環境が用意されているので、迅速に開発からデプロイができます。規模に合わせてスケーラブルに利用できることもメリットです。また、OSS(オープンソースソフトウェア)と親和性が高いことも開発者の多様な要求に応える仕様といえるでしょう。

 

Azureの無料アカウントで可能なこと

 

このようにインフラと開発のプラットフォームとして非常に優れたMicrosoftのAzureが、無料アカウントで利用できます。

無料アカウントには次のようなメリットがあります。

1)12か月間、無料でAzureを体験できる。
2)30日間は22,500円のクレジット枠内で任意の機能を使える。
3)25種類以上のサービスは、いつでも無料で利用可能。

この無料アカウントを使って、たとえば企業向けのアプリを開発してデプロイしたり、独自のモバイルエクスペリエンスを作ったりすることができます。分析情報のデータも得られます。

無料アカウントで利用できるAzureの機能を、コンピューティング、ストレージ、データベース、ネットワークで分類すると以下のようになります。

 

コンピューティング

 

LinuxとWindowsのOSによる仮想マシンをわずか数秒で作成します。

・Linux Virtual Machines(750時間)
・Windows Virtual Machines(750時間)

 

ストレージ

 

Azure Virtual Machines 向けのディスクストレージ、あらゆる非構造化データのストレージ、分散型クロスプラットフォームストレージを用意。

・Managed Disks(64 GB X 2)
・Blob Storage(5 GB)
・File Storage(5 GB)

 

データベース

 

SQL Databaseには分析用などのインテリジェンスが組み込まれています。Azure Cosmos DBはグローバルな分散と拡張性を目的に構築されたデータベースでNoSQLとOSS APIをサポートし、高可用性が保証されています。

・SQL Database(250 GB)
・Azure Cosmos DB(5 GB、400 要求ユニット)

 

ネットワーク

 

世界規模の堅牢なネットワークにより、データの送受信を実現します。

・Bandwidth (データ送信、15GB)

以下はいつでも無料の機能です。

・App Service(コンピューティング、10)
・Functions(コンピューティング、1か月あたりの要求数1,000,000)
・Event Grid(統合、1か月あたりの操作数100,000)
・Azure Kubernetes Service (AKS:コンテナー、無料)
・Face API(AI + 機械学習、1か月あたりのトランザクション数)
・DevTest Labs(開発者ツール、無料)
・Active Directory B2C(ID、1か月あたりの保存ユーザー数50,000)
・Service Fabric(コンテナー、無料)
・Azure DevOps(開発者ツール、5)

まだありますので、Azureのサイトでご確認ください。
https://azure.microsoft.com/ja-jp/free/

 

Azureの無料アカウントで注意すべきこと

 

トライアルとしてインフラと開発環境が利用できるAzureの無料アカウントですが、クレジットカードの登録が必要です。クレジットカードから引き落とされる金額は、30日以内に利用したツールの25,500円までと上限が定められているので、使いすぎて大量に引き落とされることはありません。

しかしながら、一度無料体験したクレジットカードは再び利用できないようになっています。そこで、ぼんやりしていると日数が過ぎて、十分にAzureを試用できずに無料期間が終わってしまうことになります。

そんなときはクレジットカードの登録が不要のオンライン学習サイト「Microsoft Learn」を利用するとよいでしょう。基礎からレベルの高い学習までカリキュラムがあり、サンドボックスをアクティブにすることで実物のAzure PortalなどにアクセスしてAzureを学習できます。

■Microsoft Learn
https://docs.microsoft.com/ja-jp/learn/

 

まとめ

 

いま世の中には「無料」のツールがあふれています。しかし、アプリの開発やUIの設計では「こういうものが作りたい!」という構想なしに、漠然と「無料だから使ってみるか」と試しても実りが得られないものです。Azureの無料アカウントでは数多くの機能が使えますが、数が多いだけに混乱することもあるでしょう。

無料アカウントを作る前に、ある程度Webサイトや書籍やオンライン学習サイトでAzureについて知り、「Azureで何ができるのか」をざっくりと理解して「こんなアプリを開発しよう!」と目的を定めておけば、ビジネスとして成果の出せるトライアルになるはずです。

参考URL
18年4Qのクラウドインフラ市場、AWSとAzureの差が縮まる Alibabaも好調
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1902/13/news078.html
クレカ不要で本物のAzureを試用できる、無料の学習サイト「Microsoft Learn」がオープン
https://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/1811/07/news015.html

[2019年4月24日アップデート]

 

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