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建設DXとは?取り組むメリットや課題、事例も紹介

国土交通省をはじめ、建設会社などで推進されている「建設DX」。

建設DXに取り組むことで、建設業が抱える課題が解決に近づくと期待されています。

今回は、建設DXとは何かを詳しく解説します。

建設DXに取り組むメリットや課題、事例も紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。

建設DXとは

建設DXとは何かを解説します。

建設DXの理解を深めましょう。

建設DXの概要

DXとは「Digital Transformation」の略です。

日本語で「デジタルトランスフォーメーション」と呼びます。

顧客目線で新たに企業の価値を創出するために、デジタル技術を活用することです。*1

また、ビジネスモデルを変革することも当てはまります。

総務省の公式ホームページでは、デジタルトランスフォーメーションを以下のとおり定義しています。

【Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)】*2

企業が外部エコシステム(顧客、市場)の劇的な変化に対応しつつ、内部エコシステム(組織、文化、従業員)の変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術)を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデルを通して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること

引用)総務省「デジタル・トランスフォーメーションの定義」

建設DXとは、デジタル技術を活用して建設業界の経営課題を解決し、ビジネスモデルに変革を起こすことです。

AI・ICT・ドローンなどのデジタル技術を活用して、建設業界が抱える課題解決に取り組むことを指します。

建設DXが推進された背景

建設DXが推進された背景を解説します。

建設業就業者の減少

引用)国土交通省「建設業を巡る現状と課題 建設投資、許可業者数及び就業者数の推移」

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001610913.pdf

建設業の課題の1つが「人材不足」です。

国土交通省「建設業を巡る現状と課題」によると、平成9年の建設就業者は685万人。*3

平成23年の建設就業者は502万人で、右肩下がりで減少しています。

令和4年における建設就業者は479万人なので、平成9年の685万人から200万人以上も減少したことがわかります。

ただ、建設投資額は令和元年から令和4年にかけて増加。

建設就業者が減少している一方で、1人当たりの業務量が増加していると考えられます。

建設就業者1人当たりの生産性を向上させるために、建設DXの推進が求められたといえます。

働き方改革への対応

建設業では「働き方改革へ対応」するために、建設DXが推進されています。

働き方改革関連法により、令和6年4月に建設業でも時間外労働の上限規制が適用されました。*4

労働時間の上限は、原則「月45時間・年360時間(限度時間)」と定められており、臨時的な特別な事情がない限り守らなければなりません。

働き方改革に対応するために、業務効率化や生産性向上の実現が求められます。

国土交通省「建設業の働き方改革の推進(令和5年6月)」では、罰則付き時間外労働規制に対応するために、以下の取り組みを実施しています。*5

【罰則付き時間外労働規制に対応するための国土交通省の取り組み】

  • 直轄工事において週休2⽇の質の向上へ向けた取組推進
  • 地方公共団体への直接的な働きかけ
  • 民間発注者への周知・注意喚起
  • 建設業団体への周知・注意喚起

国土交通省を中心に働き方改革への対応を進めていますが、業務効率化や生産性向上の実現に寄与するのが建設DXの推進です。

たとえば、BIM/CIMの活用やICT建機の導入、施工管理・勤怠管理アプリの導入などにより、業務効率化の実現が期待できます。

引用)厚生労働省「建設工事における労働災害防止対策(令和5年12月) 死亡災害発生状況の推移」

https://www.cbr.mlit.go.jp/kensei/pdf/03_setsumeishiryo/r05_shiryo_01-1.pdf

建設DXを推進することで、建設業で発生する「労働災害の防止」にもつながります。

厚生労働省「建設工事における労働災害防止対策(令和5年12月)」によると、令和4年の全産業と建設業の死亡災害発生状況は、以下のとおり報告されています。*6

【死亡災害発生状況】

  • 全産業:774件
  • 建設業:281件

死亡災害の約36%は、建設業で発生しており、建設業の死亡災害の事故の型(令和4年)は、以下のとおりです。

【建設業の死亡災害の事故の型(令和4年)】

  • 墜落・転落:116人(41%)
  • はさまれ・巻き込まれ:28人(10%)
  • 崩壊・倒壊:27人(10%)
  • 激突され:27人(10%)
  • 交通事故(道路):24人(8%)
  • その他:59人(21%)

引用)厚生労働省「建設工事における労働災害防止対策(令和5年12月) 建設業における労働災害の発生状況」

https://www.cbr.mlit.go.jp/kensei/pdf/03_setsumeishiryo/r05_shiryo_01-1.pdf

建設業の労働災害を防止するために、正しい安全対策と周知の徹底が重要です。

建設DXによって、建設現場の安全性の向上につながっている事例もあります。

たとえば、デジタルを活用した現場巡視です。

定点カメラの設置やウェアラブルカメラの活用により、事務所からでも現場状況を確認できます。

建設DXで活用される主な技術

建設DXで活用される主な技術は、以下のとおりです。

【建設DXで活用される主な技術】

BIM /CIM(Building/ Construction Information Modeling)建築物や土木構造物において、計画・設計・施工・維持管理などに3次元モデルを導入する技術
AI(人工知能)人間の知能に関連する作業をコンピューターが学習する技術
IoT(Internet of Things)モノに通信技術を搭載し、リアルタイムで情報を収集・分析できる技術
ICT(Information and Communication Technology)コンピューター・タブレット・スマートフォンによる情報通信技術
5G「高速」「大容量」「低遅延」「同時多数接続」の特徴を持つ次世代の移動通信システム
ドローン技術自動操作や遠隔操作により、データ収集やデータの共有ができる無人航空機を使った技術
クラウドインターネット経由でデータの保存や共有ができるサービス

建設DXに取り組むメリット3選

建設DXに取り組むメリットは、以下の3つです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

業務効率化の実現

建設DXに取り組むことで、業務効率化の実現が期待できます。

建設現場では、UAV(ドローン)・TS(トータルステーション)・GNSS(衛星測位システム)を活用した測量により、従来よりも正確かつ効率良く業務ができます。

また、クラウドサービスを活用すれば、これまで紙媒体で管理していた図面・数量計算書・発注書・勤怠管理表など、クラウド上でデータの共有が可能です。

建設現場の安全性の向上

建設DXへの取り組みは、建設現場の安全性の向上につながります。

労働安全衛生法の遵守、建設現場ごとに定める安全ルールの周知・徹底を行うことで、建設現場の安全性を向上させ、労働災害の防止が期待できます。

ただ、労働災害の発生リスクを低減するためには、施工管理者だけではなく事務所や本部の職員にも共有することが重要です。

たとえば、建設機械と作業員との接触事故を防ぐために、AIが搭載された建設機械を導入するのも効果的です。

AIが搭載された建設機械なら、警報や振動などで労働災害を防ぐ取り組みの1つとなるでしょう。

また、定点カメラやウェアラブルカメラを活用すれば、現場から離れた事務所や本社からでも安全管理ができるようになります。

技術継承の円滑化

引用)国土交通省「建設業を巡る現状と課題 建設業就業者の現状」

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001610913.pdf

建設DXに取り組むことで、技術継承の円滑化も期待できます。

国土交通省「建設業を巡る現状と課題」によると、建設業就業者の高齢化が進行していることがわかります。*7

令和4年における建設業就業者の35.9%が55歳以上、11.7%が29歳以下です。

今後、55歳以上の技術者・技能者の引退が見込まれており、若手の技術者・技能者への早急な技術承継が求められます。

建設DXを導入し、ベテランの技術者・技能者の知識や経験をデータベース化することで、若手人材への技術継承が可能です。

繰り返し情報にアクセスできるので、人材育成にも役立てられます。

建設DXの推進における課題

建設DXの推進における課題は、以下の3つです。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

DXに関する知識が不足している

DXに関する知識が不足しているため、建設DXを何から進めればいいかわからない方もいるでしょう。

建設DXは、建設業の経営課題や業務効率化、生産性向上の実現につながりますが、デジタル技術に関する知識が必要です。

建設DXの導入を検討する際は、DXについて詳しい団体に問い合わせをしましょう。

社内にデジタル人材がいない

社内にデジタル人材がいないため、建設DXが思うように推進できないこともあるでしょう。

建設DXを推進する上で、デジタル技術に関する知識や技術の習得が欠かせません。

「建設DXに取り組む際に何から始めればいいのか」

「建設DXを推進する場合に優先すべきことは何か」

デジタル人材がいないことで、建設DXに関して課題を感じることもあります。

DXに精通している専門家に相談したり、新たに人材を採用したりするなど、建設DXを推進するためにはデジタル技術に詳しい人材が必要です。

導入における費用対効果を把握できない

建設DXを推進すると、どのくらいの費用対効果を見込めるのかが明確にわからず、導入に踏み切れないこともあるでしょう。

すでに建設DXに取り組んでいても、導入前後の変化を定量化しにくいことも。

さらに、建設DXに取り組むために新しいツールやソフトウェアを導入すると、初期費用がかかります。

初期費用が高額であることから、建設DXの推進による費用対効果は低いのではないかと感じる方もいるのではないでしょうか。

ただし、建設DXの費用対効果は、長期的な目線で考える必要があります。

具体的にどのくらいの費用対効果が見込めるのかについては、導入するツールやソフトウェア、その他の企業の状況によって異なります。

導入するツールやソフトウェアを提供する企業に問い合わせをすると安心です。

【事例紹介】建設DXへの取り組み

一般社団法人 日本建設業連合会「建設DX事例集(2022年3月)」では、各企業のDX事例が詳しく掲載されています。

これから建設DXに取り組む予定の方は、ぜひ参考にしてみてください。

>一般社団法人 日本建設業連合会「建設DX事例集(2022年3月)」

まとめ

今回は、建設DXについて詳しく解説しました。

建設DXに取り組むメリットや課題、事例も紹介したので、理解が深まったのではないでしょうか。

企業ごとに経営課題が異なるため、課題解決にあわせて建設DXを推進することが重要です。

2024年12月11日(水)〜13日(金)に、東京ビッグサイトにて「建設DX展」が開催されます。

前回開催された同展示会では、560社が出展した日本最大級のイベントです。

建設DXについてオフラインで理解を深めたい方は「建設DX展」を訪れてみてはいかがでしょうか。

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*1

参考)経済産業省「デジタルガバナンス・コード 実践の手引き(要約版)」

https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/investment/dx-chushoguidebook/tebiki-yoyaku.pdf

*2

引用)総務省「デジタル・トランスフォーメーションの定義」

https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd112210.html

*3

参考)国土交通省「建設業を巡る現状と課題」

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001610913.pdf

*4

参考)厚生労働省「建設業 時間外労働の上限規制 わかりやすい解説」

https://www.mhlw.go.jp/content/001116624.pdf

*5

参考)国土交通省「建設業の働き方改革の推進(令和5年6月)」

https://jsite.mhlw.go.jp/saitama-roudoukyoku/content/contents/001498604.pdf

*6

参考)厚生労働省「建設工事における労働災害防止対策(令和5年12月)」

https://www.cbr.mlit.go.jp/kensei/pdf/03_setsumeishiryo/r05_shiryo_01-1.pdf

*7

参考)国土交通省「建設業を巡る現状と課題」

https://www.mlit.go.jp/policy/shingikai/content/001610913.pdf

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