GPT-3.5とGPT-4の違いは?注意点や無料で利用できる方法も紹介
今や企業や教育機関など、今や個人の利用範疇を超えているChat GPT。多くの人がAIを身近に感じるきっかけとなったChat GPTには、GPTモデルと呼ばれる大規模言語モデルが搭載されています。
その歴史は2018年から始まり、何度も改良され、新たなモデルがほぼ毎年リリースされてる状態です。モデルは「GPT-〇(数字)」と命名され、数が大きくなるにつれ新たなモデルとなります。
今回は、GPTの歴史や、2022年11月にリリースされた「GPT-3.5」と2023年3月にリリースされた「GPT-4」のちがいを解説します。
この記事を読むと、以下のことがわかります。
1.GPTの歴史
2.「GPT-3.5」と「GPT-4」の違い
3.GPT-4の注意点
4.GPT-4の料金と無料で利用する方法
GPTの歴史
そもそも、GPTとは「Generative Pre-trained Transformer」の略であり、OpenAI社が開発した大規模言語モデルを指します。
GPTの歴史は2018年から始まり、最初のリリースは「GPT-1」です。OpenAI社は改良を繰り返し、年々パラメータ数が増え続けています。パラメータ数は、モデルの複雑さや表現力を示す重要な要素です。パラメータ数が多ければ多いほど、モデルはより複雑なパターンや関係性の学習が可能であることを意味します。
以下は、それぞれのGPTモデルのリリース年月と特徴、パラメータ数をまとめた表です。なお、パラメータ数は公式には発表されておらず、識者らなどが算出した推測値です。
モデル | リリース年月 | 特徴 | パラメータ数 |
GPT-1 | 2018年6月 | 文章の類似度予測が可能 | 1.2億 |
GPT-2 | 2019年2月 | 文章の生成が可能 | 15億 |
GPT-3 | 2020年9月 | 言語タスクを高精度に処理 | 1750億 |
GPT-3.5 | 2022年11月 | Chat GPTに搭載されたモデルで、従来より自然な文章生成や対話の精度が大幅に向上。 | 3550億 |
PT-4 | 2023年3月 | 従来よりさらに精度が向上し、画像処理も可能に。 | 100兆か |
GPT-3.5とGPT-4の違い
ここからは、GPT-3.5とGPT-4の違いを解説していきます。
(1)料金
まず一番わかりやすい違いとして、料金が挙げられます。GPT-3.5はChat GPTのデフォルトモデルで無料で利用できますが、GPT-4は料金を払わなければ利用できません。料金は後ほど紹介します。
(2)性能
GPT-3.5では、比較的速いスピードでプロンプトに対し回答を出力します。しかし、プロンプトの内容がGPT-3.5にとって難しい場合は、精度の低い回答が返ってきてしまう問題がありました。GPT-4は、速度こそ少々遅いものの、精度の高い回答を出力してくれます。
また、GPT-4では一度のやりとりにおいて、より長い文章に対しての処理ができるようになりました。GPT-3.5では、約5,000文字まで処理が可能でしたが、GPT-4では約25,000文字までの処理が可能となったのです。
(3)正確性
GPT-4は、GPT-3.5よりも正確性の高い回答を出力します。幅広いデータセットでトレーニングされているGPT-4は、プロンプトに対しより深い理解を示すことができるのです。そのため、正確な回答を提供でき、ユーザーのニーズに的確に応えてくれます。
AIが事実に基づかない情報を生成する現象のことをハルシネーションと呼びます。OpenAI社は、ChatGPT4.0の技術性能をわかりやすく示すために、「GPT-4 Technical Report」※1を公開しています。本レポートによると、ハルシネーションの起こりやすさについて、GPT-3.5と比べてGPT-4の方が19~29%低くなったとされているのです。
また、同レポートではさらに、GPT-4は司法試験の模擬試験に合格し、さらに上位10%のスコアを獲得したと報告されています。GPT-3.5は下位10%の成績であり、GPT-4の優秀さがよくわかります。
(4)マルチモーダル
GPT-4は、マルチモーダルです。マルチモーダルとは、テキストや画像、数値、音声など複数のデータを組み合わせて処理することができるAIモデルのことを指します。
GPT-3.5はマルチモーダルではないため、文章や数値しか処理することができませんでした。しかし、GPT-4では文章や数値だけでなく、画像も処理できるのです。
しかも、どのような画像でも処理できる点もポイントです。手書きで書いたクイズの画像に答えたり、アーティストの描いた絵を説明したりと、さまざまなことができます。
さらに、公開されているWebサイトをスクリーンショットして、それと一致するHTMLやCSSなどを出力させることもできてしまうのです。
この画像処理機能を使い、Open AI社はGPT-4のリリースと同時に「Be My Eyes」※2というアプリをリリースしました。同アプリは、視覚障がい者の支援アプリとして開発されたもので、ユーザーが身の回りにあるものを認識するのに役立ちます。
このように、マルチモーダルとなったことで、物事の実現可能な幅が広がりました。
(5)安全性
生成AIのリスクは、ヘイトスピーチや性的・暴力的なコンテンツに代表される、不適切で有害な回答を生成してしまうことです。
GPT-3.5では、これらの回答がなされないようにする「安全対策」を後から行っていました。つまり、ユーザーの操作や質問を監視しながら不具合を見つけ出し、その中で不具合の修正を試みていたのです。
GPT-4ではリリースに向け、安全性を評価するために50人超の専門家らを含む”レッドチーム”を結成。2022年8月から8ヶ月に渡ってリスクの評価とその軽減に向けたチューニングを実施してきたきたそうです。なお、「GPT-4 Technical Report」には「チューニング前の不適切な回答の例」として、効果的な脅迫状や毒ガスの詳細な作り方が出力されたと掲載されています。
GPT-4に関する注意点
GPT-4の利用前に、知っておきたい注意事項を紹介します。
2021年10月以降の情報は答えられない
GPT-4はGPT-3.5と同様、2021年9月以前に発表されたWikipedia、科学学術雑誌、ニュース記事などから得た情報を基にトレーニングされたものです。そのため、2021年10月以降の出来事やニュースは答えられません。
安全・正確な回答が必ず返ってくるとは限らない
前章で、正確性、安全性が高くなったと紹介しましたが、それでもまだ、不正確な情報や不適切であったり有害であったりする回答が返ってくる可能性はあります。
そのため、公に公開する文章などを作成する場合は、必ず公開前に最後に人間の目でチェックしましょう。
GPT-4の料金
先述しましたが、GPT-4は無料では利用できません。GPT-4を利用したい場合は、「ChatGPT Plus」に登録する必要があります。ChatGPT Plusは月額20ドルで、日本円に換算すると約3,000円です。(2024年9月時点)
ちなみに、Microsoft社が提供する検索エンジン「Bing」のチャット機能であるCopilot(旧Bing AIチャット)では、無料でGPT-4を利用することができます。ただし、Microsoftアカウントを保有していなければなりませんので、注意してくださいね。
「とにかく試してみたい!」という方はまずはCopilotでGPT-4を利用することをおすすめします。
まとめ
今回は、GPTモデルの歴史やGPT-3.5とGPT-4の違い、注意点を紹介しました。
GPT-3.5はChat GPTで使用されているモデルであり、非常に優れたAIモデルです。しかし、GPT-3.5が改良されたGPT-4はより優れたモデルと言えるでしょう。
ぜひあなたも、GPT-4を使ってご自身の可能性を広げてみてはいかがでしょうか?
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※2:Be My Eyes