施工管理の初心者でもわかる!今選ぶべきCADソフト5選
1. はじめに:施工管理とCADの基本を学ぶ
施工管理の業務を進めるうえでは、建築物の図面をいかに正確かつ素早く扱うかが重要です。CADソフト初心者の方でも、注意すべきポイントをしっかり押さえておけば、施工管理に役立つさまざまな作業を効率化することができます。
施工管理でのCADは、施工管理ツールとして現場の作業効率を高めるだけでなく、工程管理や品質管理の視点からも大きなメリットを生み出します。例えば、施工計画に合わせて2D CADや3D CADで作成した図面をリアルタイムに修正したり、クラウド上で他のメンバーと共有し、施工管理の効率化を図ることが可能です。
本記事では、施工管理の初心者でも取り組みやすいCADソフトの選び方や基本知識、さらにBIM技術と呼ばれる先進的な3次元モデルの活用に関しても分かりやすく解説します。これによって、現場で即役立つ具体的な方法や導入ステップをつかみ、施工管理のレベルアップを実感できるでしょう。
CADの導入を検討する際は、導入コスト(価格)やCAD操作性のほか、将来的なBIM対応やCADサポート体制の充実度など、さまざまな視点を踏まえて考えることが大切です。そしてCADソフト比較を行ううえでは、CADソフトの将来性やCADのクラウド機能も考慮すると、長期的にメリットを得やすくなります。
2. 施工管理とは何か?
施工管理とは、建築や土木などの工事現場で必要とされる工程や品質、安全などを総合的に管理し、計画どおりに施工を進める業務のことです。現場では図面を何度も見直して修正を行うケースが多く、CADの図面管理の知識とツールが欠かせません。
CADソフト初心者が増えている背景には、業界のデジタル化の進展があります。現場で働く施工管理者は、紙の図面よりもパソコンやタブレットを使った作業に慣れつつあり、CADを通じて工程の見える化を図りたいと考えています。こうしたニーズに対応するために、使いやすいCADソフトの選定が大切になります。
以下では施工管理の役割や、なぜCADが必要なのかを、初心者でも理解できるように解説します。単純に図面を描くだけではなく、実際の現場をスムーズに進めるための施工管理ツールとしてのCADの重要性を見ていきます。
2.1. 施工管理の役割と重要性
施工管理では、工程管理・品質管理・安全管理など多岐にわたる業務を行います。例えば、工程管理では工期を守るためのスケジュール調整や、資材の手配計画を念入りに進めます。品質管理では、建築基準法などの規定や仕様書に沿って適切な材料を選定し、施工精度を確保する必要があります。
安全管理も非常に大切で、現場で事故が起こらないように安全体制を整えるだけでなく、万一の予防策を講じることが求められます。こういった幅広い分野で施工管理者は多くの情報を扱うため、CADの図面管理をうまく活用することで誤差やミスを減らし、作業の効率を高めることができます。
現代の建設現場では、2D CADや3D CADで作成された資料を多用します。紙の図面を使うよりも、コンピューター上で瞬時に修正したり変更記録を残したりできるため、施工管理の効率化につながるのです。
2.2. CADの役割:なぜ施工管理に不可欠なのか
CADは、施工管理者にとって不可欠なツールになっています。最大のメリットは、キャンセルや修正の多い図面でも柔軟に対応できることです。例えば、建設プロジェクト中には、設計変更や現場でのアイデアが反映されるケースがたびたび発生します。その際、従来の手書き図面では手間がかかりましたが、CADソフトなら迅速に図面の一部分を修正し、最新版の図面を全員で共有することができます。
さらに、BIM技術により三次元のモデリングを用いた設計が進むことで、より立体的でわかりやすい情報をチームと共有できるようになりました。これにより、工程の不整合や衝突が早期に発見されるなど、施工管理の業務の精度向上が期待できます。
CADソフト初心者でも、まずは2D CADの操作からスタートし、将来的に3D CADやBIMへステップアップできる環境を整えることが大切です。そうした段階的な学習により、現場での実務能力を段階的に拡充することが可能になるのです。
3. CADの基本知識
ここでは、CAD自体がどのような仕組みで動き、どんな種類があるのかを見ていきます。
近年では、クラウド機能を備えた施工管理ツールや建築CADも増えていて、現場の作業場所を問わずに図面を扱えるケースが多くなってきました。その一方で、依然としてオフラインでの作業が中心という場面もあります。そうした環境の違いを踏まえつつ、CADソフト比較を行う際は、自分の使用シーンに合ったソフトを選ぶことが大切です。さらに、CADソフトの将来性やCADライセンス選びの基準にも着目し、長期的に安定して使える環境を整えましょう。
3.1. CADとは?その基本機能
CADは、コンピューター上で製図や設計を行うためのソフトウェアです。紙に手書きで図面を引く代わりに、パソコン上で各種ツールを駆使しながら線を正確に引き、部材を配置します。そのため微妙な寸法変更や、部品の移動、レイヤーを活用した図面の整理などが簡単に行えます。
基本的には、線や円、四角形といった要素を組み合わせて図面を描いていきます。多くのソフトウェアでは、寸法や角度を数値入力できるので、ミスが減るのがメリットです。また、配置した要素を後から検討し直すときも、数値を変えるだけで修正が終わる点が大きな利点だと言えます。
このように、CADは施工管理者が扱う図面の精度を高めるため、また修正や変更への対応を素早くするために欠かせない存在です。単純な2D作図だけでなく、3DモデルやBIM技術を使えば、より細かな部分まで検証しやすくなります。
3.2. 2D、3D、BIMの違いとは
2D CADは、平面的に設計するためのツールで、縦横の寸法を正確に示すことができます。施工管理の場面では、もっとも導入しやすい形式と言えます。
3D CADは、立体的に建物を描くことができるため、断面やパース図、各階層の配置などが一目でわかる視覚的な利点があります。複雑な構造を持つ案件や、空間イメージを正確に伝えたいときに重宝するでしょう。
さらに近年注目されているのがBIM技術です。BIMは3次元モデルに部材や工程、コストなどの情報をまとめて管理します。これによって、設計から施工管理、運用保守まで一貫したデータ連携が可能となり、施工管理の効率化に大きく貢献してくれます。将来的にBIMを活用した施工管理を目標とするなら、BIM対応を視野に入れたソフト選びを早い段階で検討すべきでしょう。
4. CADソフト選びの5つのポイント
施工管理者がCADソフトを導入する際には、複数の切り口からソフトを比較・検討する必要があります。ここでは、特に重要な5つの観点をピックアップしました。
初心者が最初に注目したいのは「使いやすさ」、そして長期的には「価格」や「機能」だけでなく、「将来性」や「サポート体制」まで含めて総合的に評価することをおすすめします。これらを意識してCADソフト比較をすることで、自分に合った施工管理のCADを見つける一助となるでしょう。
まずは自分の予算や現場の業務範囲を考慮し、そのうえでどの方向にスキルアップしたいのかを明確にしておきましょう。以下の5つのポイントを押さえて検討すれば、CADソフトの選び方の道筋が見えてきます。
4.1. 使いやすさ:初心者に優しい操作性
CADソフト初心者にとって、最初のハードルは操作性です。メニューが複雑すぎると学習コストが高くなり、日々の施工管理の業務に支障をきたしかねません。インターフェースが直感的で、必要なコマンドが見つけやすいソフトであれば、短期間で基本操作をマスターしやすくなります。
また、YouTubeなどのチュートリアルが充実しているCADソフトなら、独学でもスムーズにスキルを習得できます。さらに、実際の業務を想定した図面作成を試しながら学ぶことで、習熟度が格段に上がるといえるでしょう。
使いやすさを重視するなら、無料体験版が提供されているかどうかを必ず確認しましょう。実際に試用してみることは、最適なCADソフトを見極めるうえで極めて大切なステップです。
4.2. 価格:予算に合ったCADソフトの選び方
CADソフト価格は高額なものからリーズナブルなものまで幅が広く、さらに年間ライセンスや月額サブスクリプションなどのライセンス形態も多岐にわたります。資金力や導入規模によって、適切なモデルを見極めることが必要です。
例えば、大企業が利用するようなフル機能のソフトは、操作できれば確かに便利ですが、必ずしも小規模の施工管理者には必要ない機能が含まれているケースもあります。その場合、よりリーズナブルでピンポイントな機能だけを搭載したソフトを選ぶ方がコストパフォーマンスが良いことも多いのです。
検討段階で、導入費用だけでなく、更新費用やメンテナンス費用にも注目しましょう。長期間にわたり使い続けるためには、トータルコストを正確に把握して、計画を立てることが不可欠です。
4.3. 機能:現場での使い勝手を考慮
CADソフトの選び方で重要なのが、現場で実際に役立つ機能を備えているかどうかです。例えば、2D CADの作図機能や簡易的な3D表示にとどまらず、複雑な配管や構造物を設計できる3D CAD機能を備えるソフトもあります。また、BIM技術に対応しているか否かは今後を見据えるうえで大きな判断ポイントとなるでしょう。
さらに、CADソフトのクラウド機能や多人数での共同作業がしやすいツールであれば、施工管理の業務で課題になりがちな図面のバージョン管理や同時編集の問題をスマートに解決しやすくなります。クラウドを利用する場合は、セキュリティや通信環境もチェックしておくと安心です。
現場での使い勝手を考えるなら、どのような形式のファイル入出力に対応しているかも大切です。DWGやDXFなど、建築・土木分野で広く使われるファイル拡張子への対応状況を確認しておくと、他社や協力企業との連携もスムーズに進むでしょう。
4.4. 将来性:BIMやクラウドへの対応
建設業界では、今後もBIM技術の普及が進むと予想されます。そのため、施工管理者が将来的にBIM環境へシフトしやすいかどうかは、ソフト選定で押さえておきたい重要ポイントです。BIMに対応したソフトは、立体モデルに大量の情報を盛り込みやすく、設計変更の影響範囲を迅速に確認できる利点があります。
クラウド機能の充実度も、将来性を左右する要素です。クラウド上で図面を管理すれば、現場でタブレットを使い箇所修正を反映したり、オフィスでも状況をリアルタイムに共有したりできます。作業効率やコミュニケーションが格段に向上するため、スピーディーな意思決定につながるでしょう。
「まだBIMは早いから必要ない」と思う人もいるかもしれませんが、数年先を見すえた場合、BIM対応やクラウド活用を無視するのは得策ではありません。今のうちから将来の技術シフトに備えたソフトを選んでおけば、スムーズにキャリアアップを図れるでしょう。
4.5. サポート:充実したサポート体制の重要性
CADソフト初心者にとって、わからないことを気軽に相談できるサポート体制は大切です。特に、導入初期に操作方法がつかめず立ち止まってしまうのはよくあることですが、サポートが充実していれば短時間で問題を解決できます。
電話やメール、チャットサポートだけでなく、オンラインマニュアルやフォーラムなどの有無もチェックポイントです。日本語対応の資料が豊富だと、専門用語が苦手な方でも理解しやすいでしょう。
施工管理の効率化を図るには、現場とオフィスの連携を切れ目なく行う必要があります。サポートが不十分なソフトを選んでしまうと、トラブルが起きたときに作業が大きく滞るため、テクニカルサポートの品質は軽視できないのです。
5. 初心者におすすめのCADソフト5選
ここでは、施工管理のCADとして特に初心者に注目されているソフトを5つ紹介します。紹介する基準としては、操作性、価格帯、BIM技術やクラウド機能への対応度合い、そしてサポート体制を考慮しています。
もちろん、最終的には自分の施工管理の業務の範囲や予算、将来的なBIM活用の意欲などを踏まえて判断することが大切です。ここで挙げるソフトには、無償のものやリーズナブルなもの、有名な大手メーカーが開発したものなど多様な選択肢があります。CADソフト比較を行う際の参考にしてみてください。
自分に合ったCADソフトに巡り合えれば、図面作成だけでなく、CADの図面管理や施工管理の効率化につながり、長い目で見てコスト削減にも寄与するでしょう。
5.1. Bricsys「BricsCAD」
画像引用:BricsCADとは?BricsCAD:デザイナーとエンジニアのための最高のCADソフトウェア
https://www.bricsys.com/ja-jp/bricscad
BricsCADは、AutoCADと類似した操作性や画面構成を持ちながら、比較的リーズナブルな価格帯で利用できる点が特徴です。2D CADから3D CAD、BIM技術まで幅広くサポートしており、将来的にさまざまな施工管理の業務へ応用しやすいのが魅力となっています。
CADソフト初心者にとってはインターフェースが理解しやすいので、スムーズに命令の位置を把握しやすいでしょう。クラウド機能も積極的に取り入れ、遠隔地から図面を閲覧・修正できる点も施工管理者には嬉しいポイントです。サポート体制も整っており、学習リソースが公式サイトなどに充実しているため、導入直後の不安も軽減できます。
さらに、BricsCADはDWGファイルへの高い互換性を持つため、他社とのデータ連携がしやすい利点があります。現場でAutoCADのデータをそのまま扱うような場面でも、ストレスなく作業できるでしょう。
5.2. Autodesk「AutoCAD/Revit」
画像引用:Autodesk ソフトウェアの購入 | 価格とオンライン購入 | Autodesk 公式ストア
https://www.autodesk.com/jp/products
建設業界で定番の建築CADといえば、AutodeskのAutoCADです。汎用性が高いため、施工管理の業務から設計全般にわたって幅広く使われています。また、三次元モデルを取り扱うRevitはBIM技術の代表格として知られており、いずれBIMにステップアップしたいという方には大きな魅力と言えるでしょう。
有償ソフトゆえの充実した機能を備えており、データ量の多い大規模案件でも快適に作図できるケースが多いです。オンラインマニュアルや公式のCADチュートリアルが豊富に用意されているので、初心者でも自学自習しやすい環境が整っています。
ただし、CADソフト価格としては比較的高めの部類に入るので、予算が限られている場合は注意が必要です。その一方で、大掛かりなプロジェクトや長期的なキャリア形成を考えるなら、投資した分だけ確実に専門性を身に付けられるソフトと言えるでしょう。
5.3. Graebert「ARES」
画像引用:【ラインナップ】互換CAD「ARES Standard」 – アレススタンダード | コンピュータシステム研究所
https://www.cstnet.co.jp/cad/function.html
ARES CADは、DWG互換性を重視しながらも、クラウド環境でも利用しやすい点が魅力です。単純な2D CADのみならず、3D CAD機能やモバイル版にも対応しており、デバイスを選ばない活用が期待できます。価格帯も比較的抑えめで、個人や中小規模の施工管理者にとって、手を伸ばしやすい選択肢でしょう。
施工管理ツールとしての実用性も高く、現場でタブレットから図面を開いて直接注釈を入れたり、クラウドを介してチームメンバーと同じ図面を同時に編集することも可能です。CAD学習リソースとしては公式サイトにある解説や日本語のマニュアルが準備されています。
将来的にBIM技術へ完全移行したい場合には、追加モジュールを検討するなど段階的に対応する方法もあります。まずは低コストかつ柔軟性の高いソフトを使いたい人にとって、ARESは候補として十分考慮に値するでしょう。
5.4. 福井コンピュータ「GLOOBE Architect」
引用画像:GLOOBE Architect|建築CAD – 福井コンピュータアーキテクト
https://archi.fukuicompu.co.jp/products/gloobe/
福井コンピュータが提供するGLOOBE Architectは、日本の建築基準や住宅設計に特化した機能を持つ国産ソフトとして定評があります。大手海外製ソフトでは表現しづらい細かな建築ルールに対応しており、独自のUIやサポート体制で国内のユーザーを重点的にバックアップしているのが強みです。
特に戸建て住宅や小規模現場を扱う施工管理者は、国産ソフトならではのきめ細かい設定や日本語ドキュメントを活かして、スムーズに図面管理を行えます。価格的には中~高の価格帯に位置するものの、その分、手厚いサポートや住宅設計への親和性が高い機能を利用できるため、コストパフォーマンスを感じやすいでしょう。
施工管理の効率化を実現するには、現場の声に沿った細かなカスタマイズが重要です。福井コンピュータのCADソフトでは、地方の施工会社などにも配慮した整備が進められており、導入後のフォローも含め頼れる存在となっています。
5.5. Jw_cad
画像引用:Jw_cadのページ
Jw_cadは無料CADソフトとして長い歴史を持ち、多くのユーザーがいます。初心者でも導入コストゼロで始めやすく、2D CAD作図に特化しているため操作が比較的シンプルです。動作も軽量なので、古いパソコンでも動かしやすいメリットがあります。
一方で、本格的な3D機能やBIM技術などの先進的機能は基本的に搭載されていません。あくまで2D中心に施工管理を進めたいと考える場合や、CADソフト初心者が「まずCADに触れてみる」という目的で始めるには最適です。
学習リソースも豊富で、ウェブ上や書籍で数多くのチュートリアルが提供されています。興味を持った段階で、ほかのCADソフトが気になったら乗り換える、というステップアップの方法も考えやすいでしょう。
6. 比較まとめ:あなたに合うCADはどれ?
ソフト名 | 操作のやさしさ | 価格帯の目安 | BIM対応 | 特徴 |
BricsCAD | ○ | 中〜やや高 | ○ | AutoCADライク+BIMも対応 |
AutoCAD / Revit | ○ | 高額 | ◎ | 学習教材が豊富、業界標準 |
ARES | ◎ | 低〜中 | △ | クラウド活用&低コスト |
GLOOBE Architect | ○ | 中~高 | ○ | 日本の建築業に最適化 |
Jw_cad | ◎ | 無料 | × | 軽量・シンプル・誰でも使える |
※操作のやさしさ:直感的なメニュー構成や、マウス操作中心で使える
※価格帯の目安:業務用年間ライセンスを基準にした目安です。
以上の5つのCADソフトには、それぞれに特徴や強みがあります。BricsCADはAutoCADに近い操作感と幅広い機能をリーズナブルに利用できますし、AutoCAD/Revitは巨大な建築CADの代名詞として信頼感が高いです。
ARESはクラウド対応やDWG互換で低コストに運用でき、福井コンピュータのGLOOBE Architectは住宅や国産特化の強みがあります。また、Jw_cadは無料CADソフトとして気軽に始められる最初の一歩です。
施工管理の業務内容と将来の計画に合わせてCADソフトの選び方を再考すれば、どのソフトがベストなのかクリアになるはずです。初心者が一番苦労するのは「どれを選んだらいいか分からない」ことですが、まずは自分の現場規模や必要機能、そして価格面の条件を整理し、各ソフトを試せるのであれば積極的に体験版を使うことをおすすめします。
7. CADの学び方&導入のステップ
ここからは、いざCADを始める際のお勧めステップと学習リソースを整理していきます。いきなり高機能なソフトに移行すると学習負荷が高すぎる場合もあるため、段階的にスキルアップする道筋を考えましょう。
施工管理の現場では、短い納期の中で効率的に図面を作成・修正しなければなりません。そのために必要なのは、まずは基本操作を確実に押さえ、次に応用的な部分を少しずつ習得するという段階的アプローチです。
7.1. 無料体験版でスタート
ほとんどの有償CADソフトには、一定期間利用できる無料体験版が用意されています。導入前に実際の操作感を試すことができるため、操作性や機能の有用性を実感的に確かめたい初心者には最適です。
無料CADソフトのJw_cadなどを一度触ってみるのも良い方法です。基礎的なコマンドやショートカットキーに慣れることで、ほかのソフトを使うときにも応用が利くようになります。まずは試してみて、自分の作業スタイルに合うかどうかを見ることが、失敗しないCAD導入の第一歩です。
いくつかソフトを体験してみると、それぞれの特徴や操作画面の違いを比較しやすくなります。特に初心者にとっては、最初の選択で道が大きく変わるので、体験版の活用を怠らないようにしましょう。
7.2. オンラインリソースで基礎を学ぶ
次に、オンラインでさまざまなCAD学習リソースを活用することがおすすめです。YouTubeや専門サイトでは、初心者向けのCADチュートリアルが数多く公開されています。図形の描き方や寸法の入れ方などの基礎でさえも、動画で見るとつまずきにくくなります。
また、SNSやコミュニティサイトを活用すると、同じく施工管理でのCADに興味を持つ仲間の存在を知り、疑問点を共有しながら学ぶことができます。インターネット上には図面のサンプルやテンプレートもたくさんあるので、最初はそれらを真似ながら作業の流れを覚えていくとスムーズです。
学んだことはすぐに試してみるのが大切です。施工管理者の場合、実際のプロジェクトで図面を訂正する場面があれば、学習リソースで得た知識を現場に応用しながら身につけることで、一気に理解が深まります。
7.3. 社内教育とフォロー体制の整備
施工管理の業務でCADを運用する場合、社内全体がある程度CADの基本に通じているとスムーズな連携が可能になります。そこで大事なのが、社内教育やフォロー体制の構築です。新人研修や社内講習会などを定期的に行い、ノウハウを共有する機会を設けましょう。
また、現場で生じた疑問やトラブルを即座に解決できる窓口を用意しておくと、CAD操作に困った社員が早めに解決策を得られます。結果として、施工管理の効率化だけでなく、会社全体の技術レベル底上げにもつながるでしょう。
小規模の現場でも、リーダーや先輩社員が若手の操作をサポートする仕組みを作ることが有効です。特にCAD初心者は「基本は分かったが、実際の施工図面にどう落とし込むか分からない」という悩みを抱えがちなので、現場の生の知識と連動させて丁寧に導いてあげる必要があります。
7.4. ライセンス選びのコツ
最後に、CADライセンス選びに関しては、利用人数や導入期間、機能の範囲を考慮してください。年間サブスクリプション型で常に最新版を使えるタイプや、買い切り型でコストを抑えるタイプなど、各ソフトによりさまざまなプランが用意されています。
また、BIM技術やクラウド機能を含めた上位プランを契約すると、短期的には費用がかかりますが、長期的に見て柔軟性を保ちやすいケースも多いです。たとえば、RevitやBIM対応のBricsCADを導入すれば、2D CADから3D CAD、さらにBIMモデリングまで一貫して行えます。
導入当初は必要最小限のプランで始めて、徐々にアップグレードするという方法も賢明です。特に、小規模現場や個人事業主は費用対効果を求めつつ、施工管理の拡大やスキルアップに合わせてライセンスを見直すと良いでしょう。
8. まとめ:初心者でもCADで施工管理はもっとラクになる
今回は施工管理のCADの基本知識やCADソフト初心者におすすめの製品群、そして導入のステップまでを詳しく紹介しました。2D CADから3D CAD、さらにはBIM技術まで視野に入れると、建築CADが担う役割は今後ますます大きくなると考えられます。
施工管理の業務では、図面だけを扱うのではなく、工程や品質、安全面など幅広い領域を把握する必要があります。CADソフトの導入は「ただ設計図を描く」だけでなく、クラウド機能によるリアルタイムの情報共有や、CADサポート体制による効率的な学習など、多岐にわたるメリットをもたらします。これによって施工管理の効率化を図り、現場のミスやコミュニケーションロスを減らすことが未来への投資となるでしょう。
重要なのは、自分の施工管理プロジェクトに本当に必要な機能と、将来のキャリアアップに必要な機能をバランスよく見極めることです。CADソフトの選び方に迷った際は、まず無料CADソフトや無料体験版を使ってみる、オンラインのCADチュートリアルで試してみるなど、実践を伴うリサーチをおすすめします。
初心者でも正しい導入手順と徐々にレベルアップする学習法を取り入れれば、施工管理CADを使いこなし、CADの図面管理からBIMモデルの活用へと自然にステップアップできるはずです。ぜひ本記事の内容を参考に、自分に合うCADソフトを選び、日々の施工管理に生かしてみてください。
建設・土木業界向け 5分でわかるCAD・BIM・CIMの ホワイトペーパー配布中!
CAD・BIM・CIMの
❶データ活用方法
❷主要ソフトウェア
❸カスタマイズ
❹プログラミング
についてまとめたホワイトペーパーを配布中

<参考文献>
・BricsCAD (Bricsys Japan) の中の人
・Bricsys Japan 「BricsCAD_カタログ_202406.pdf」
https://note.com/api/v2/attachments/download/a8eb4f3b05a42701496d5fffd3e93c8e
・Autodesk Revit | Revit ソフトウェア正規品の価格と購入
https://www.autodesk.com/jp/products/revit/overview
・Revit での施工と専門工事 | Autodesk
https://www.autodesk.com/jp/products/revit/construction
・ARES Standard – Graebert
https://www.graebert.com/ja/cad-software/ares-standard/
・【互換CAD】ARES – アレス | コンピュータシステム研究所
https://www.cstnet.co.jp/cad/index.html
・GLOOBE Architect|建築CAD – 福井コンピュータアーキテクト
https://archi.fukuicompu.co.jp/products/gloobe/index.html
・GLOOBE / GLOOBE VR|お客様サポート|建築CAD – 福井コンピュータアーキテクト
https://archi.fukuicompu.co.jp/user/products/gloobe/manual.html
・Jw_cadのページ
・Jwcad操作マニュアル