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eDrawingsで体積が表示されない?その理由と解決策を徹底解説

1. はじめに

3Dモデルを正確かつスムーズに共有できるかどうかは、ものづくりの現場において非常に重要です。特に製造業の設計・技術者の方が設計レビューや見積検討を行う際、「eDrawings」というビューアソフトを使ってモデルの体積や質量を確認しようとする場面は少なくありません。

しかし、いざeDrawingsを使ってみると「体積が表示されない」「どこを探しても数値が出てこない」といった戸惑いの声がよく聞かれます。実はこれ、eDrawingsのバージョンやファイルの形式、保存時の設定などが影響しているのです。

本記事では、こうした疑問に対して誰でも理解しやすい言葉で原因と対策を整理し、解決策を具体的にご紹介します。なぜeDrawingsで体積が表示されないのか、どのようなファイルや設定が必要なのか、そして代替手段にはどんな選択肢があるのかを、順を追って解説していきます。

さらに、体積や質量などの物理特性を確認するためのeDrawings Professionalの使い方や、ファイル形式(STEP、STLなど)によって起こる表示の制限とその回避策についても詳しく取り上げます。

この記事を読めば、eDrawingsを使って体積を確認する方法がはっきりと分かり、製品レビューやコスト見積もりの精度を高めるための実践的なヒントが得られるはずです。ぜひ、設計から製造までの情報共有をよりスムーズに進めるための参考にしてください。

2. eDrawingsとは?基本概要と機能

引用:eDrawings公式サイト:https://www.edrawingsviewer.jp/ed/eDrawings-professional.html

この章では、eDrawingsの基本的な機能や特長について、実務での利用をイメージしやすいように整理して解説します。eDrawingsには無料で使える「Viewer版」と、測定機能などを備えた「Professional版」があり、それぞれ用途やできることが異なります。

eDrawingsは、SOLIDWORKSをはじめとするCADソフトで作成された3Dモデルを、CADソフトがインストールされていないパソコンでも手軽に閲覧・操作できるビューアです。特にファイル容量の大きいモデルでも軽快に表示できる「軽量化機能」や、「断面表示」「アニメーション再生」など、設計レビューに役立つ機能が多く備わっています。

また、3Dモデルに寸法を加えたり、注釈を付けたりして、他部門や外部パートナーと設計意図を正確に共有できる点も、製造業の現場で高く評価されています。

ただし注意が必要なのは、Viewer版では体積や質量といった物理的な情報(質量特性)を表示することができないという点です。設計レビューやコスト見積もりなどで体積情報が必要になる場合には、Professional版の利用や、他の方法による補完が求められます。

次の節では、無料版とProfessional版の違いについて、具体的に整理していきましょう。

2.1 無料版とProfessional版の主な違い

eDrawingsには大きく分けて2つのバージョンが存在します。ひとつは無料で利用できる「eDrawings Viewer」、もうひとつは高度な機能を備えた有償版の「eDrawings Professional」です。どちらも基本的には3Dモデルの閲覧に対応していますが、体積や質量を確認したい場合には、Professional版の利用が必須です。

Viewer版では、モデルの回転・ズーム・断面表示などの操作が可能で、形状の確認やレビューには十分に活用できます。ただし、「測定ツール(Measure Tool)」が搭載されていないため、モデル上の寸法・表面積・体積・質量などの物理特性を確認することはできません。

一方のProfessional版では、これらの測定機能が提供されており、寸法の計測だけでなく、材料情報に基づく体積や質量なども取得可能です。例えば、製品コストの見積もりや構造検討の際に、材料体積がどれくらいかを調べたい場合には、Professional版が大きな力を発揮します。

ただし、ここで重要なのは、すべての形式のファイルで体積が表示できるわけではないという点です。測定可能なeDrawings形式のファイル、あるいはSOLIDWORKSから「測定を許可する」「物理特性を含める」などの設定を施して保存されたファイルである必要があります。たとえば、STEPやSTLファイルのような汎用フォーマットでは、体積情報が正しく表示されないケースもあります。

また、SOLIDWORKS ProfessionalやPremiumのライセンスを契約している場合は、eDrawings Professionalが付属していることがあります。社内にSOLIDWORKSを導入している場合は、まず既存のライセンス契約を確認してみるとよいでしょう。

「体積をちょっと確認したいだけなのに見られない」「表示されないのは設定ミス?」といった混乱を防ぐためにも、Viewer版とProfessional版の違い、対応ファイル形式、保存設定の有無を事前に把握しておくことが重要です。

2.2 eDrawingsの主要な使用シナリオ

eDrawingsは、製造業のさまざまな業務で幅広く活用されています。この節では、実際の現場でよく使われている代表的なシナリオを紹介します。

1. 設計部門と製造現場とのモデル共有

設計部門で作成した3Dモデルを、製造現場や営業部門、協力会社に渡す際、eDrawings形式で共有すれば、受け取り側のパソコンにSOLIDWORKSなどのCADソフトが入っていなくても3Dモデルを開いて確認することができます。Viewer版でも回転・ズーム・断面表示が可能なため、打ち合わせやレビューが円滑に進みます。

2. 試作段階でのレビューや設計検証

eDrawingsには、モデルに注釈を追加したり、断面を表示して内部構造を確認する機能があり、設計の細かな検証にも役立ちます。特に、拠点が離れているチーム間でも共通の3Dデータを元に議論できるため、意思疎通の齟齬を減らす効果が期待されます。

3. 組立手順や操作手順の確認

アセンブリモデルに対してアニメーションを再生することで、部品の組み立て順序や動作の流れを視覚的に確認することができます。これにより、組立工程でのミスや作業のやり直しを減らすことができます。

ただし、これらの用途においても、体積や質量などの数値情報を正確に把握したい場合には、Professional版の導入やSOLIDWORKSでの事前準備が不可欠です。レビューの精度や工程の最適化に影響するため、用途に応じたツール選択と運用ルールの整備が求められます。

3. なぜeDrawingsで体積が表示されないのか?

ここからは、実際に「eDrawingsで体積が表示されないのはなぜ?」という疑問に対して、その代表的な原因を順に解説していきます。この問題は単に「ソフトの機能不足」と片づけられるものではなく、使用しているeDrawingsのバージョンや、ファイルの形式、保存時の設定内容など、複数の要素が絡み合って発生することが多いのが実情です。

そのため、表示されない理由をきちんと把握しないまま操作を続けても、根本的な解決にはつながりません。まずは自分がどのバージョンを使っているのか、どの形式のファイルを開こうとしているのか、モデル作成時にどんな設定がなされていたのかといった点から確認することが大切です。

この章では、体積が表示されない代表的な3つの原因を取り上げ、それぞれに対する対処法も含めてわかりやすく説明します。状況に応じて正しい判断をすることで、現場での混乱や手戻りを最小限に抑えることができるでしょう。

それでは、よくある3つの原因を順に見ていきましょう。

3.1 無料版では利用できない機能

最も多い原因のひとつが、無料版であるeDrawings Viewerには、体積や質量といった物理特性を測定・表示する機能がそもそも搭載されていないという点です。

Viewer版は、3Dモデルの形状を閲覧したり、簡単な回転・ズーム・断面表示などを行ったりすることには十分対応していますが、寸法の測定や物理量の確認といった高度な解析機能は持っていません。そのため、画面上には「体積」のような項目が一切表示されず、「どこを見ても数値が出てこない」という状況になるのです。

たとえば、製品のコストを見積もる際には材料の使用量を正確に把握する必要がありますが、そのためには体積情報が不可欠です。特に3Dプリンタを使った試作などでは、体積がそのまま材料費や造形時間に直結するため、簡単に見られないことで困るケースが少なくありません。

こうした場合、SOLIDWORKS本体で体積を確認するか、eDrawings Professionalを利用する必要があります。ただし、後述の通りProfessional版であっても、ファイル形式や保存時の設定次第では体積が表示されないことがあるため、そこにも注意が必要です。

また、意外と見落とされがちなのが、社内で「eDrawingsを使えば体積も見られる」と誤認して運用しているケースです。無料版と有償版の違いを把握しないまま使ってしまい、後になって「情報が足りない」と気づくこともあります。そうした混乱を防ぐためにも、ViewerとProfessionalの違い、使える機能の範囲を事前に確認しておくことが大切です。

3.2 ファイル形式とデータ完全性の問題

次に挙げられる原因は、使用しているファイル形式や、データの構造自体が測定に適していないというケースです。具体的には、STEPファイルやSTLファイルなどの中間フォーマットを使っている場合、eDrawingsでは体積情報が正しく認識されない、あるいは計算できないことがあります。

たとえばSTLファイルは、主に3Dプリンター用として広く使われている形式ですが、これは三角形のポリゴン(メッシュ)で構成されたデータであり、本来のCADモデルのような「ソリッド(実体)」として扱うことが難しい形式です。そのため、eDrawings上では見た目が表示されていても、体積のような数値情報は取得できないことが多くあります。

また、STEP形式であっても、モデルが壊れていたりサーフェスが抜けていたりすると、測定機能が正しく動作しません。さらに重要なのは、SOLIDWORKSからeDrawings形式で保存する際に、「測定を許可する」「物理特性を含める」といったオプションをオンにしておかないと、Professional版であっても体積が表示されないという点です。

つまり、eDrawingsの機能だけでなく、**「どのように保存されたデータなのか」「元のモデルがどう作られたか」**も、体積表示に大きな影響を与えるのです。

もし体積が表示されない場合には、ファイル形式やエクスポート時のオプション設定を見直し、必要に応じて元データを再出力することが効果的です。また、保存時に使われたCADソフトのバージョンや出力形式もチェックポイントとなるため、設計者と密に連携して確認するとよいでしょう。

3.3 設定ミスやソフトウェアの制限

3つ目の原因として考えられるのが、ソフトウェアの設定や環境に関するトラブルです。意外と見逃されがちですが、設定ミスや古いバージョンの使用によって測定機能が動作しない、あるいはUI上に表示されないといったケースもあります。

たとえば、eDrawingsの古いバージョンでは、Professional版であっても測定機能が不安定だったり、体積の表示に制限があったりすることがあります。また、ユーザーインターフェースの設定によっては、測定ツールがツールバーに表示されていなかったり、無効化されていたりする場合もあります。

さらに、会社やチームごとに異なる設定ファイルや表示オプションが使われていると、「同じファイルなのに自分の環境だけ体積が表示されない」といった現象も起こり得ます。このような場合、ソフトウェアの設定を初期化する、または最新版へアップデートすることで解消することが多いです。

加えて、稀ではありますが、eDrawingsをインストールした環境によって必要なライセンス認証が適切に行われておらず、機能制限がかかっている場合もあるため、ライセンスの状態を確認することも重要です。

こうした設定・バージョン・インストール環境の問題を解消するためには、社内で使用するeDrawingsのバージョンと機能セットを統一し、定期的なメンテナンスと動作確認を行うことが効果的です。それでも解決しない場合は、一度アンインストールして再インストールを試すのもひとつの方法です。

4. 体積を表示させる方法

引用:eDrawings公式サイト:https://www.edrawingsviewer.com/ja/product/edrawings-professional

ここまで、なぜeDrawingsで体積が表示されないのか、その代表的な原因を見てきました。この章では、それを踏まえた上で「では実際に、どうすれば体積を表示できるのか?」という疑問に答えていきます。

体積情報を正しく表示・確認するためには、いくつかのアプローチがあります。代表的なのは以下の3つです:

  1. eDrawings Professionalを使用する方法
  2. SOLIDWORKSなどのCADソフトウェアを活用して事前にデータを整える方法
  3. 代替となる無料3Dビューアを利用する方法

それぞれの方法にはメリットと制限があり、どの選択肢が最適かは、自社のライセンス環境や作業フローによって異なります。また、Pro版であっても使用するファイル形式や設定によっては体積表示ができないケースがあるため、注意が必要です。

この章では、各手段の特徴と注意点を整理しながら、目的に応じた最適な方法を選べるよう解説していきます。

4.1 eDrawings Professionalの活用

もっとも直接的で公式な方法は、有償の eDrawings Professional を導入して体積を表示することです。Professional版では、「測定ツール(Measure)」が利用可能となり、モデル上での寸法確認に加えて、体積・質量・表面積などの物理的な情報を取得することができます。

たとえば、アセンブリの干渉チェックやコスト試算のために材料体積を把握したい場面では、Pro版の測定機能が大いに役立ちます。また、断面表示やアニメーション機能など、詳細なレビュー機能も強化されており、設計検証やレビューの精度を高めることができます。

ただしここで重要なのは、Pro版であっても、開こうとしているファイルが測定に対応していなければ体積は表示されないという点です。体積情報を確認するには、SOLIDWORKS形式や、「測定を許可する」「物理特性を含める」といった設定が有効な状態で保存されたeDrawings形式のファイルである必要があります。

一方で、STEPやSTLといった汎用形式のファイルは、Pro版であっても測定機能が動作しないか、正しく体積が取得できないことがあります。「Pro版なら何でも測れる」というわけではないため、対応ファイル形式と保存設定の両方を満たしているか、事前にしっかり確認することが重要です。

なお、SOLIDWORKSのProfessionalまたはPremiumライセンスを契約している場合、eDrawings Professionalが同梱されているケースもあります。ライセンス契約内容を確認し、既に使える環境が整っていないかをチェックすると、無駄なコストを抑えられる可能性もあります。

4.2 SOLIDWORKSや他のCADツールからのデータ準備

もし社内でSOLIDWORKSなどのCADソフトを使用できる環境があるなら、そちらで体積を事前に算出し、それを正しくeDrawingsに引き継ぐという方法が有効です。これは、設計者がデータをエクスポートする段階で、「測定を許可する」「物理特性を含める」などのオプションを適切に設定することで実現します。

この設定を正しく行えば、eDrawings Professionalで体積や質量を表示できる可能性が高まります。ただし、Viewer版ではこれらの情報が表示されないため、Pro版での確認が前提となります。

また、CADソフトによっては、eDrawings形式以外でも物理特性情報を含んだ形式でのエクスポートが可能です。たとえば、SOLIDWORKSからParasolid(.x_t)やSTEP(.step/.stp)に出力した場合でも、他のビューアで測定できるケースがあります。

さらに、eDrawingsにこだわらない場合、FreeCAD や Autodesk Viewer などの無料ビューアを補助的に使うことも選択肢となります。これらのビューアは、STEPファイルなどを読み込み、モデルのソリッド情報が保持されていれば体積の表示が可能な場合があります。ただし、形式ごとの対応状況や表示精度には差があるため、導入前の検証は必須です。

なお、3Dプリンター用のスライサーソフト(例:PrusaSlicer、Curaなど)を使って造形体積を算出するという方法もあります。ただしこれはあくまで造形用の推定体積であり、CADデータに基づく正確な物理特性とは異なる点に留意する必要があります。

4.3 代替的な無料3Dビューアの利用

「eDrawings Professionalの導入はコスト面でハードルが高い」「一時的に体積を確認できれば十分」といった場合は、他社製の無料3Dビューアを活用するという方法も有効です。

たとえば、FreeCADはSTEPやIGESといった中間形式のファイルを読み込み、モデルをソリッドとして認識できれば体積や寸法を計算して表示することができます。Autodesk Viewerもクラウドベースで使用でき、一部形式では体積表示に対応しています。

こうしたツールは、社内の特定部門だけで導入する場合や、簡易的なチェックを行いたい場合に適しています。また、ライセンス費用が不要であるため、導入コストを抑えつつ必要な情報を確認するという目的にも合致します。

ただし注意点として、ビューアごとに対応するファイル形式やバージョンが異なり、読み込みエラーや表示の違いが出ることがあるため、事前の検証が不可欠です。また、企業全体での導入を検討する場合には、ソフトウェアのサポート体制やセキュリティ要件が社内基準を満たしているかの確認も重要です。

特にSTEPファイルなどを使う場合は、モデルのソリッド情報が完全であるかどうかが測定可能性を左右します。**「見えるけど測れない」といった事態にならないよう、読み込み後に意図通りの結果が得られるかどうかをあらかじめテストするようにしましょう。

5. 体積情報を確実に共有するためのベストプラクティス

「eDrawingsで体積を確認できた」としても、それだけで業務が完結するわけではありません。次に大切なのは、その体積情報をチーム内や協力会社と正しく、漏れなく共有できるかという点です。確認できた情報が、現場の作業者や他部門にうまく伝わらなければ、結局のところ設計ミスやコスト計算の誤差が発生してしまいます。

そのため、体積などの物理特性を“共有できる情報”に整える工夫が非常に重要になります。たとえば、チェックリストを活用してeDrawings出力時の設定を再確認する、PDFファイルや注釈付きの3Dビューを併用するなどの方法があります。これにより、意図が正確に伝わる環境が整い、製造・検査・レビューといった各工程での判断がぶれにくくなります。

この章では、情報伝達ミスを防ぎ、体積データを活かしきるための実践的なベストプラクティスを2つに分けて紹介します。

5.1 eDrawings出力前のチェックリスト

体積情報を含めた3Dモデルを共有する際、出力元での準備が不完全だと、相手側で情報が表示されないという問題が発生します。そうしたトラブルを避けるためには、eDrawings形式で出力する前に以下の項目を確認するチェックリストを活用するのが有効です。

チェック項目1:物理特性(体積・質量)が正しく計算されているか?

SOLIDWORKSなどのCADソフトでモデルを作成したら、まずは材料が正しく設定されているかどうかを確認しましょう。材料が未設定のままだと、体積は計算できても質量に誤差が出ることがあります。また、モデルに不完全なジオメトリや面の抜けがあると、計算そのものが失敗する可能性もあります。

チェック項目2:「測定を許可する」設定が有効か?

eDrawings形式に保存する際には、「このファイルで測定を許可」「物理特性を含める」といったオプションをオンにする必要があります。これを設定しないと、たとえeDrawings Professionalで開いても体積情報が表示されません。この設定は出力ダイアログで確認できるため、設計者の段階で明示的に有効化しておくことが重要です。

チェック項目3:ファイル形式が適切か?

体積を表示したいのであれば、eDrawings形式(.eprtや.easmなど)やSOLIDWORKSのネイティブ形式(.sldprtなど)を使うのが最も確実です。STEPやSTLは用途によっては便利ですが、体積情報の保持や測定には向かないことがあります。共有先の環境を考慮し、最適な形式を選びましょう。

このような確認を怠らずに行うことで、「開いたけど体積が出ない」といった不具合を未然に防ぐことができます。共有前の最後のステップとして、このチェックリストを活用することを強くおすすめします。

5.2 図面・PDF・注釈付き3Dビューとの併用

eDrawingsは便利なツールですが、それだけに依存すると情報の伝わり方に偏りが出る可能性があります。特に、3Dビューアを使い慣れていない現場担当者や、ツールがインストールされていない相手とのやりとりでは、視覚的な伝達力を補う別の手段を併用することが重要です。

代表的な補完手段としては、図面やPDFに体積情報を明記しておく方法があります。たとえば、モデルの体積を設計図の備考欄に記載しておけば、eDrawingsが使えない環境でもすぐに確認できます。これは、購買部門や製造現場、品質保証部など、CADに不慣れな関係者にとっても非常に有効な伝達手段です。

もうひとつの効果的な方法が、注釈付き3Dビューの活用です。これは、eDrawings ProfessionalやSOLIDWORKSの機能として、3Dモデルの特定の箇所にコメントや補足説明を追加できるもので、設計の意図や注意点をモデルに直接埋め込むことができます。

さらに、PDF形式で3Dモデルを埋め込んだ3D PDFも検討に値します。Adobe Acrobat Readerなどで簡単に開ける上に、モデルの回転やズーム、注釈表示などが可能です。eDrawingsが使えない社外パートナーにも、3D情報を効果的に伝える手段として活用できます。

こうした補助的な手段を併用することで、情報の確実性と共有の柔軟性を高めることができ、結果的にミスの予防や意思疎通の精度向上につながります。

6. まとめ:eDrawingsで体積表示の問題を解決する

eDrawingsで3Dモデルの体積を表示したいのにうまくいかない。これは製造業の現場や設計レビューで、実際によく発生している悩みのひとつです。その主な原因には、無料版(eDrawings Viewer)の機能制限、使用しているファイル形式や保存時の設定の問題、さらにはソフトウェアのバージョンや環境設定の違いなど、いくつかの要素が関係しています。

特に重要なのは、eDrawings Professionalを使っていても、ファイル形式や測定オプションが正しく設定されていなければ体積が表示されないという点です。「Pro版を使えば何でも見られる」と思い込んでいると、思わぬ落とし穴に陥ることもあります。

この記事では、こうした問題に対処するための3つの方法を紹介しました。具体的には、eDrawings Professionalの適切な活用、SOLIDWORKSなどのCADツールによる事前のデータ準備、そして代替ビューアの活用です。それぞれの方法にはメリットと制約があるため、社内のライセンス状況や業務フローに応じて柔軟に使い分けることが大切です。

さらに、体積情報を正しく伝えるためには、eDrawingsの出力設定を確認するチェックリストの活用や、図面・PDF・注釈付き3Dビューといった補助資料の併用が有効です。情報を「見る」だけでなく、「確実に伝える」ための工夫を組み合わせることで、共有の精度が高まり、業務全体の効率や品質向上にもつながります。

eDrawingsを使ったモデル確認は、設計から製造までをつなぐ大切な橋渡しの役割を担っています。体積が表示されないという小さなトラブルも、正しい知識と対策を持っていれば、すぐに解消できる問題です。本記事で紹介した内容を参考に、社内のデータ共有や設計レビューをよりスムーズに、そして確実に進めていきましょう。

日々の業務でeDrawingsを活用する中で、体積情報の扱い方に迷ったときには、ぜひこの記事の内容を思い出してみてください。ほんの少しの工夫と事前確認が、製品開発の精度と伝達力を大きく変えることを、きっと実感していただけるはずです。

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参考情報

・eDrawings公式サイト

https://www.edrawingsviewer.com/ja

・eDrawings 2025 ヘルプ

https://help.solidworks.com/2025/japanese/eDrawings/c_Welcome_to_eDrawings_Help.htm

・Autodesk Viewer

https://www.autodesk.com/jp/viewers

・FreeCAD公式サイト

https://www.freecad.org/index.php?lang=ja

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