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Civil 3Dのkmlファイル活用ガイド|Google Earthで地形を可視化する方法

1. はじめに

土木設計や測量の現場では、Autodesk Civil 3D を使ってサーフェス(地形)や道路線形などの3Dモデルを作成・検討する場面が増えています。一方で、完成したモデルを誰にでもわかりやすく共有するには、CADを持たない人でも閲覧できる環境が必要です。

そこで役立つのが Google Earth。地理空間データ形式の KML(Keyhole Markup Language) を介して、設計データを航空写真や地形の上に重ね合わせ、直感的に確認できます。Civil 3D から KML(または圧縮形式の KMZ)を書き出せば、行政・住民・社内関係者との合意形成やプレゼンにもそのまま活用できます。

本記事では、Civil 3D から KML/KMZ を出力して Google Earth で表示するまでの手順を、つまずきやすいポイントとあわせてやさしく解説します。具体的には、

  • KML と KMZ の違い
  • 座標系・単位設定でズレを出さないコツ
  • EXPORTKML ウィザードの操作手順
  • 表示が重い/ズレるときの対処法
    を順に取り上げます。

読み終える頃には、Civil 3D のデータを 正しい位置と高さで Google Earth に表示できるようになり、日常業務の確認・共有・説明がぐっとスムーズになるはずです。

2. Civil 3DとGoogle Earthの連携の基本

Civil 3DとGoogle Earthを連携させることで、設計データの「見せ方」と「伝わり方」を大きく向上させることができます。まず、Google Earthは高精細な航空写真や地形データを標準搭載しているため、測量結果や設計モデルが実際の地形とどのように対応しているかを、立体的かつリアルに確認できます。これにより、設計意図や地形との整合性を一目で把握でき、現地調査の補助ツールとしても有効です。

また、Civil 3Dで作成される3Dモデルは高度で専門的ですが、Google Earthは誰でも無料で利用できるソフトウェアです。そのため、CADソフトを持たない行政担当者や住民、関係企業の担当者など、専門知識がない人でもデータを簡単に閲覧できます。こうした「3Dビジュアライゼーション」を活用することで、説明や協議の際に視覚的な理解が深まり、合意形成や設計検討のスピードを大きく高めることができます。

さらに、KMLファイルを利用すれば、座標や標高などの空間情報を保持したまま、地図上に正確な位置でモデルを配置できます。KMLは OGC(Open Geospatial Consortium)によって定義された国際的な地理空間データ標準であり、汎用性が高く多くのツールで扱える形式です。以下では、Civil 3DとGoogle Earthを連携する際に押さえておくべき具体的なポイントを見ていきましょう。

また、KMLとKMZの違いも理解しておくことが重要です。KMZはKMLを圧縮した形式で、画像テクスチャなどの関連ファイルを同梱し、ファイルサイズを小さくできる利点があります。プロジェクトの規模や共有方法に応じて適切な形式を選ぶことで、作業効率やデータ管理のしやすさを大幅に向上させることができます。

2.1. Civil 3DでのKMLファイルの重要性と基本概念

Civil 3Dから出力するKMLファイルは、「地形データの共有」や「設計内容の可視化」を実現するための中心的な役割を担っています。KMLはテキストベースのデータ形式で、ポイント・ポリライン・ポリゴンなどの要素を定義し、それぞれの位置を緯度・経度・標高で管理します。これにより、設計データを地球上の実際の位置に合わせて3D空間で重ね合わせることができます。

特に、道路や河川といった線形要素を含む土木プロジェクトでは、Civil 3Dのサーフェス表示だけでなく、線形(Alignment)・ポイントデータ・断面形状などの複合的な情報を確認する必要があります。KMLを活用すれば、これらの要素を1つのファイル、あるいは複数のファイルとして整理し、Google Earth上で段階的に確認できます。

また、クライアントや関係者との打ち合わせでは、専門用語を使わずに直感的な地形イメージを示せるのも大きな利点です。無料で利用できるGoogle Earth Proを案内するだけで、関係者全員が同じ視点で地形や設計意図を把握でき、説明や議論をスムーズに進めることができます。

2.2. Google Earthでの地形データの視覚化

Google Earthは、世界規模の航空写真や地形データを備えた高機能な3Dビジュアライゼーションツールです。地表の起伏や標高差を立体的に表示できるため、現地に行かなくても広範囲の地形を俯瞰的に確認することが可能です。

Civil 3Dで作成したKMLファイルは、「Google Earth のKMLインポート機能」で簡単に読み込むことができ、設計データを重ね合わせれば、道路や構造物が地形とどのように関係しているかを一目で理解できます。これにより、設計意図の説明や施工前の確認作業がより効率的に行えます。

さらに、Google Earthには「3Dビュー」機能があり、航空機で現場を飛行しているような視点で地形を確認できます。これを利用すれば、道路線形や造成範囲を周囲の地形と比較しながら検討でき、CIM/BIMモデルとの連携にも応用が可能です。プロジェクトの可視化・合意形成ツールとして、Google EarthはCivil 3Dユーザーにとって非常に強力な補助ツールと言えるでしょう。

3. KMLファイルの作成と書き出しの準備

Civil 3DとGoogle Earthを正確に連携させるためには、まずCivil 3D内部の整合性を取ることが欠かせません。特に重要なのが、座標系と単位設定の確認です。これらが正しく設定されていないと、Google Earth上でKMLファイルを読み込んだ際に位置がずれて表示され、全く異なる地域にプロジェクトが出てしまうことがあります。

また、KMLファイルの作成前には、データの整理も大切です。不要なレイヤーやオブジェクトを非表示にしたり削除したりすることで、ファイルサイズを削減し、書き出し時の処理を軽くできます。特に広範囲のサーフェスを扱う場合は、サンプリング密度を下げてデータ量を抑えるのも効果的です。

このセクションでは、KML出力に必要なデータや設定を順を追って解説し、座標系や単位の設定で注意すべきポイントをわかりやすく整理します。これらを理解しておけば、Google Earth上で「Civil 3D モデルを正確に確認」できるようになり、位置ずれや高さの誤差を最小限に抑えられるでしょう。

事前準備を丁寧に行うことで、後のトラブルシューティングに費やす時間を大幅に減らすことができます。特に大規模な設計プロジェクトでは、早い段階で地形モデルや基準点(コントロールポイント)を確定させておくことが、精度の高いデータ連携への第一歩となります。

3.1. 必要なデータと設定の確認

まず、KML出力の対象となるデータを確認しましょう。一般的に、以下の要素が書き出し対象となります。

  • サーフェス(地形モデル):標高データをもとにしたTIN(Triangulated Irregular Network)などのメッシュ情報
  • 線形データ(アライメント):道路やパイプラインの中心線、境界線などの線情報
  • ポイントグループ:測点や観測点など、座標情報を持つポイントデータ

特にサーフェスはファイル容量が大きくなりやすいため、不要部分のトリミングや解像度の調整を行い、処理の負担を減らすのがポイントです。また、出力対象をレイヤーごとに整理しておくことで、ウィザード操作時に対象を選びやすくなります。

さらに、Google Earthで正しい位置に表示させるには、座標系の一致が必須条件です。Civil 3Dで設定しているプロジェクト座標系(例:JGD2011 平面直角座標系など)や標高基準が、Google Earthで採用されているWGS84座標系(経度・緯度・高度)に適合しているかどうかを、事前に確認しておきましょう。こうした確認を怠ると、数十メートル単位のずれが発生する場合があります。

3.2. Civil 3Dでの座標系と単位の設定

Civil 3Dで正しい座標系を設定しないままKMLを書き出すと、完成したファイルが地球上の全く別の場所に表示されるケースがあります。まず、[Drawing Settings]の座標系設定を開き、現在の図面に適用されている座標系を確認しましょう。必要に応じて、地域や測量基準に合った座標系へ変更します。

たとえば、日本国内のプロジェクトでは「JGD2011」の平面直角座標系を使うのが一般的です。一方で、Google EarthはWGS84ベースの緯度・経度・高度情報を参照します。そのため、Civil 3Dの EXPORTKMLウィザード内[地理参照]ページで、WGS84への変換条件を確認・指定することが重要です。この設定が誤っていると、Google Earth上で位置が数百メートル以上ずれることがあります。

また、単位の整合も忘れてはいけません。メートルとフィートが混在すると、距離や標高が大きく異なって表示される原因になります。プロジェクト全体の既定単位と、外部から取り込むデータの単位(測量値・DWGファイルなど)が一致しているか、常に確認しておきましょう。特に他社データや海外基準を扱う際は、単位変換設定を明示しておくことで、後工程のトラブルを防ぐことができます。

4. Civil 3DからKMLファイルを書き出す手順

ここでは、Civil 3Dの「KML 出力ウィザード(EXPORTKMLコマンド)」を使って、設計データをKMLまたはKMZファイルとして書き出す手順を解説します。
この機能を使えば、複雑な操作を行わなくてもGoogle Earthで利用できるファイルを簡単に作成できます。

書き出し時には、対象オブジェクト・出力範囲・属性情報などを細かく指定することが可能です。たとえば、道路の線形(Alignment)のみを出力したい場合はその要素だけを選択し、地形モデル(サーフェス)全体を表示したい場合はサーフェスを指定します。
プロジェクトの目的(例:位置確認、断面可視化、クライアント共有など)に応じて、必要なデータだけを選択するのが効率的です。

また、KMLファイル単体で保存するほか、画像や関連データを含めてKMZ形式で出力することも可能です。KMZはKMLを圧縮した形式で、複数ファイルをまとめて管理できるため、共有やアーカイブにも便利です。

この章では、EXPORTKMLコマンドの使い方からファイルの設定・確認方法までを順を追って説明します。
出力したKML/KMZは「Civil 3Dの設計データをGoogle Earth上で再現するための最終成果物」であり、精度確認・可視化・報告において非常に重要なステップです。設定項目のひとつひとつを丁寧に確認しながら進めましょう。

4.1. EXPORTKMLコマンドの起動と設定

まずはコマンドを起動します。
Civil 3Dの上部メニューから[出力]タブ →[KMLへエクスポート]を選択、またはコマンドラインに「EXPORTKML」と入力して実行します。

コマンドを実行すると、KML出力ウィザード(またはダイアログボックス)が表示されます。ここで、書き出す対象オブジェクト(サーフェス・線形・ポイントなど)を指定します。

次に、高さ情報の扱いを設定します。KMLではaltitudeModeという属性を使用して、高さをどの基準で表示するかを制御します。主な設定は以下の通りです。

  • absolute(絶対標高):Civil 3Dで設定した標高をそのまま反映
  • relativeToGround(地面に対して相対的):Google Earth地形データに対して相対的に配置
  • clampToGround(地表に固定):常に地面に接して表示

一般的には、Civil 3Dでの標高値をそのまま活かしたい場合、absoluteを選択するのが最も自然です。

設定を終えたら「次へ」をクリックし、保存先フォルダとファイル名を指定します。プロジェクト名や日付を含めて命名しておくと、複数のバージョンを整理しやすくなります。

4.2. 出力範囲とファイルの設定

次に、KMLに出力する範囲を指定します。
プロジェクト全体を出力したい場合は「全モデル」を選択し、特定エリアのみを可視化したい場合は該当するサーフェスや線形を部分的に選びましょう。

ファイルサイズが大きくなりすぎるとGoogle Earthの動作が重くなるため、必要な範囲に絞ることがポイントです。サーフェスを細分化したり、主要部分だけを抽出したりすることで、データの軽量化が図れます。

また、「属性設定」も忘れてはいけません。
KMLでは、レイヤー名や説明文などのメタ情報を付加することで、Google Earth上で情報をより分かりやすく表示できます。
たとえば、道路名・構造物名・担当者メモなどをKMLの「説明」欄に入力しておくと、ステークホルダーとの情報共有がスムーズになります。

書き出し設定を終えたら、プレビュー表示で最終確認を行いましょう。Civil 3D上で位置や範囲に問題がないか確認しておくことで、Google Earthでのズレや欠落を防止できます。

4.3. KMZ形式での保存オプション

KMLファイルに画像やテクスチャ情報を含めたい場合、または複数のKMLファイルを1つにまとめたい場合は、KMZ形式での保存が便利です。KMZはKMLをZIP形式で圧縮したもので、関連ファイルを自動的に同梱できます。

EXPORTKMLウィザードの設定画面には、「KMZを作成」または「Compress into KMZ」というオプションがあります。これにチェックを入れるだけで、KMLと付随データが一体化したKMZファイルとして出力されます。

KMZ形式の利点は、共有の簡単さです。受け取った側はファイルを解凍する必要がなく、Google Earthにドラッグ&ドロップするだけで表示できます。特に、複数部門や発注者・コンサルタント間でデータ共有する場合に非常に有効です。

こうしたKML/KMZの使い分けを理解しておくことで、Civil 3Dからのデータ共有がより効率的になり、「Google Earthを活用したプロジェクト管理」や「地形の3D可視化」を実務レベルで実現できます。
公共事業など多部門での調整が必要な場合でも、1つのKMZに全データをまとめることで、情報伝達と確認作業をスムーズに進められるでしょう。

5. Google EarthでのKMLファイルの表示と確認

KMLまたはKMZファイルの作成が完了したら、次のステップはGoogle Earthでの表示と確認です。
作成したデータを実際に地形上に重ねて確認することで、Civil 3Dでの設計が正確に反映されているかを検証できます。

まず、扱うデータ量に応じてGoogle Earthのバージョンを選びましょう。大規模なモデルや高解像度のサーフェスを扱う場合は、Web版よりもデスクトップ版「Google Earth Pro」を使うのがおすすめです。Google Earth Proは無料で利用でき、座標や標高の扱いに関する詳細設定も可能です。

操作は非常に簡単です。Google Earth Proを起動し、メニューから[ファイル]→[開く]を選択し、作成したKMLまたはKMZファイルを指定するだけでインポートが始まります。特別な設定や追加ツールは不要で、誰でも直感的に扱えるのが利点です。

読み込みが完了したら、地形データや線形データが正しい位置に重なっているかを確認します。もし標高や位置が微妙にずれて見える場合、それはCivil 3Dで使用したサーフェス座標系と、Google Earth側の地形データ(WGS84基準)にわずかな差異があるために生じるものです。

次のステップとして、高さのオフセットや透明度の調整を行い、見やすく正確なビューに仕上げましょう。一度この設定に慣れてしまえば、Google Earthを「測量データの可視化」や「設計検討のための3Dビジュアライゼーションツール」として自在に活用できるようになります。

以下のサブセクションでは、KMLデータのインポート方法と表示調整の具体的な手順を詳しく解説します。

5.1. KMLファイルのインポートと基本操作

Google EarthでKMLファイルを読み込むには、メインメニューから[ファイル]→[開く]を選び、対象のKMLまたはKMZファイルを指定します。KMZファイルはKMLを圧縮したものですが、操作手順はまったく同じです。

読み込みが完了すると、Google Earthの画面左側「場所(Places)」パネルに、新しいフォルダまたはレイヤーが追加されます。各レイヤー名をクリックすると、表示のオン/オフ切り替えや、説明文(metadata)の確認ができます。

Google Earthでは、マウス操作で拡大・縮小・回転・移動が直感的に行えます。これにより、Civil 3Dで作成した設計データを、あたかも現地を飛び回るように視覚的に確認できます。

特に注目すべきは、線形やサーフェスがGoogle Earthの地形とどの程度一致しているかという点です。もし位置がずれていたり、高さが不自然に見える場合は、「座標系の設定」または「表示エラーの対処法」を再確認する必要があります。

この段階で問題を発見できれば、後の修正作業が最小限で済みます。

5.2. データの表示確認と調整

KMLファイルのインポート後は、表示精度と高さの整合性を確認します。
まず、データが期待通りに地形と重なっているか、またサーフェスが地表面から浮いたり沈んだりしていないかをチェックしてください。

もし違和感がある場合は、Google Earthの「プロパティ(Properties)」を開いて、レイヤーやオブジェクト単位で標高の設定を調整できます。高度を相対値にするか絶対値にするか、または「地表に固定」するかを切り替えることで、表示精度を微調整できます。

実務でよく見られるケースとして、取得元の地形データとGoogle Earthの標準地形との間にわずかな誤差があり、サーフェスがわずかに浮いて表示されることがあります。こうした場合は、高度オフセット(高度補正)を数メートル単位で設定することで、違和感のない表示に調整できます。

さらに、より見やすい表示にするためには、色分け・透過設定・レイヤーの整理などのカスタマイズも効果的です。たとえば、等高線を薄い色で重ねたり、道路中心線を強調したりすると、地形との位置関係がより明確に把握できます。

ただし、Google Earth上でできる補正には限界があります。根本的なズレがある場合は、Civil 3D側で座標系や標高設定を再確認・再出力する方が確実です。
このように、KMLとGoogle Earthの表示を行き来しながら調整を重ねることで、地形可視化の精度を高め、信頼性のある3Dモデルを完成させることができます。

6. トラブルシューティングとよくある質問

Civil 3DからKMLを正しく書き出したにもかかわらず、Google Earthでうまく表示されない──そんなトラブルは珍しくありません。特に座標系の不一致や表示エラーはよくある原因であり、落ち着いて切り分けを行うことが重要です。

ここでは、代表的な2つのケース
① 座標や高さがずれる場合の対処法
② ファイルサイズが大きすぎて動作が重くなる場合の軽減策
を中心に解説します。

同じような現象でも原因が異なることがあるため、順を追って確認することが大切です。問題を早期に特定・修正できれば、作業効率が上がるだけでなく、クライアントやプロジェクト関係者への説明もスムーズになります。

また、設定の細かい違いやソフトウェアのバージョン差によって動作が変わるケースもあるため、不具合が解消しない場合はCivil 3DやGoogle Earthの公式ドキュメントを確認することをおすすめします。

6.1. 座標系や表示エラーの対処法

KMLファイルをGoogle Earthに読み込んだ際、「エクスポート自体は成功しているのに、地形モデルが数十メートル~数キロずれて表示される」というケースがあります。
この場合、まず確認すべきはCivil 3Dで設定されている図面座標系が、Google Earthの基準であるWGS84座標系に正しく変換されているかどうかです。

対応策として、以下の点を順にチェックしましょう。

  1. Civil 3D側の座標系設定を再確認する
    プロジェクトで使用している座標系が、実際の地域や測量基準に合っているかを確かめます。海外座標系を流用していたり、異なる投影法(UTMや平面直角座標など)を混在させている場合は、変換誤差が発生しやすくなります。
  2. 高度の扱いを見直す
    高さ情報を「絶対高度(absolute)」で扱うか、「地形に対する相対高度(relativeToGround)」で扱うかによって、表示位置が変化します。表示が大きくずれている場合は、どちらのモードを使用しているかを確認し、必要に応じて設定を変更します。
  3. サーフェスの表示エラーを確認する
    KML/KMZファイルを開いた際に、サーフェスが欠落したり、一様な平面として表示されることがあります。このような場合は、Civil 3Dの「詳細レベル表示(Level of Detail)」設定が原因であることが多いです。
    この機能が有効になっていると、書き出し時にサーフェスの一部が省略されることがあるため、[サーフェス]タブ →[詳細レベル表示]をオフにして再出力を試してください。

それでも改善しない場合は、サーフェスの再サンプリングや不要データの除外など、出力対象の軽量化も検討しましょう。特に広域データでは、処理負荷が高すぎるとGoogle Earthが正しく描画できない場合があります。

6.2. ファイルサイズとパフォーマンスの最適化

大規模な測量データや高解像度のサーフェスを含むKMLファイルは、サイズが数百MBに達することもあります。Google Earth自体は軽快なソフトですが、ファイルが大きすぎると読み込みに時間がかかる、動作が不安定になるなどの不具合が生じることがあります。

このような場合は、以下の方法でパフォーマンスを改善できます。

  1. サーフェスの再サンプリング
    TINデータのポリゴン数を減らし、解像度を適度に落とすことでファイルを軽量化できます。見た目の精度を大きく損なうことなく、処理速度を向上できます。
  2. 不要な情報を出力対象から外す
    区画データやポイントグループなど、目的に不要なオブジェクトは出力しないよう設定しましょう。KMLは1つのファイルに多くの情報を含められますが、その分描画に時間がかかります。
  3. 複数ファイルへの分割
    領域ごとや構造物ごとにKMLを分けて出力すれば、Google Earthの動作が安定し、共有もしやすくなります。
  4. KMZへの最適化保存
    KMLをKMZ形式にまとめる際も、余分な画像や不要な関連ファイルを削除することで、データ転送や読み込みをさらに軽快にできます。

このように「KMLトラブルシューティングの視点」から不要な要素を整理することで、「Google Earth上でのプロジェクト共有」がより快適になります。データの軽量化と座標整合を意識すれば、Civil 3DとGoogle Earthの連携は安定し、可視化ツールとしての実用性を最大限に引き出すことができるでしょう。

7. Civil 3DとGoogle Earthの活用例と応用可能性

Civil 3DとGoogle Earthを組み合わせる最大のメリットは、現場検討や説明の「わかりやすさ」にあります。設計データを地図や航空写真に重ね合わせることで、施工現場や周辺環境との関係を直感的に把握でき、打ち合わせや合意形成の効率を大きく高めることができます。

また、ステークホルダー向けのプレゼンテーション資料の作成にも効果的です。CAD図面だけを提示するよりも、航空写真上に道路や橋梁の設計線を重ねることで、非専門家でも状況を理解しやすくなります。こうした視覚的な資料は、行政・住民・設計者など多様な立場の関係者の理解を促進し、意思疎通を円滑にします。

さらに、CIM/BIMの導入が進む現在では、Civil 3DとGoogle Earthの連携を起点に、InfraWorksやNavisworksなどの3Dソフトウェアと統合して情報モデルを構築する例も見られます。これにより、設計・施工・維持管理といった各工程で一貫したデータ活用が可能となり、最終的にはクラウドやVR/AR技術と連動することで、より開かれたデータ共有環境の構築が進んでいます。

以下では、あくまで「例」として、Civil 3DとGoogle Earthの連携がどのように活用できるかを紹介します。

7.1. 設計検討とステークホルダーとの共有

たとえば道路設計を例に取ると、わずかなカーブや勾配の違いが実際の地形に与える影響を把握するのは容易ではありません。こうした場合に、Civil 3DでKMLファイルを出力し、Google Earth上で立体的に可視化すれば、線形と地形の関係を俯瞰的に確認することができます。設計段階での検討精度が向上し、施工前の検証作業を効率化できる点が利点です。

また、行政協議や説明会などの場では、地図上に計画範囲を示すだけでなく、Google Earthの3Dビューを活用して鳥瞰的に説明することで、非専門家にも理解しやすい形で情報を伝えられます。現地に行かずとも全員が同じ視点で確認できるため、会議の短縮や合意形成の迅速化にもつながります。

さらに、設計・施工・管理の各担当者がKMLデータを共有することで、現場情報と設計データの不整合を早期に発見・修正でき、手戻りの防止や品質管理にも役立ちます。

7.2. CIM/BIMモデルとの連携例

CIM(Construction Information Modeling)やBIM(Building Information Modeling)の導入により、近年は3Dデータを基盤としたプロジェクト管理が一般化しています。Civil 3DはBIM的思想に基づいて設計されており、地形・道路・上下水道といった各要素を柔軟に連携できる構造を持っています。

たとえば、Civil 3Dで作成した地形モデルをKML形式で出力し、Google Earth上で確認すれば、現況地形と設計モデルの整合性を簡単にチェックできます。また、InfraWorksやNavisworksなど他ツールとの間でデータをやり取りする中間形式としてKMLを活用することで、複数のソフト間での整合性確認や連携をスムーズに進めることが可能です。

さらに、今後はこれらのデータをVR(仮想現実)やAR(拡張現実)技術と組み合わせることで、現場の状況をリアルに再現し、設計・施工・管理を一体化して検討できる環境の実現が期待されています。
その基盤となるのが、Google Earthを活用した「地形の可視化」と、KMLフォーマットによる地理情報の統合です。

このような仕組みを応用すれば、土木・建築・測量といった異なる分野が連携し、より高精度で共有性の高いプロジェクト運営を実現できる可能性が広がります。

8. まとめ:Civil 3DとGoogle Earthの連携によるメリット

本記事では、Civil 3DからKMLファイルを作成し、Google Earth上で地形を可視化する方法を、初心者にもわかりやすく解説しました。特に、EXPORTKMLコマンドの使い方を中心に、座標系や単位の設定、KMLとKMZの違い、データサイズを最適化するコツなど、実務で押さえておきたいポイントを整理しました。

Civil 3DとGoogle Earthを連携させる最大の利点は、設計データの「見える化」と情報共有のしやすさです。Google Earthは無料で利用でき、操作も直感的なため、専門知識がなくてもプロジェクト関係者全員が同じ視点でデータを確認できます。これにより、打ち合わせや合意形成のスピードが向上し、設計から施工までの流れがスムーズになるという大きなメリットがあります。

さらに、CIM/BIMの流れの中で、KMLファイルは「地形データ共有」の中核を担う存在です。道路設計、河川計画、宅地造成、さらには大規模インフラ整備など、さまざまな分野でCivil 3D×Google Earthの活用が業務効率を飛躍的に高めています。設計モデルを実際の地形や航空写真上に重ねることで、精度の高い検証とリアルなプレゼンテーションが可能になります。

今後は、VR(仮想現実)やAR(拡張現実)との連動も加速し、3D空間で地形や構造物を確認することが標準的なプロセスになるでしょう。そのとき、KMLという地理空間データフォーマットを理解し、正しく扱えるスキルは大きな強みとなります。

ぜひ本記事を参考に、Civil 3DとGoogle Earthの連携方法を実践してみてください。
データを「見る」「伝える」「共有する」力を高めることで、あなたの設計業務がより効率的で、説得力のあるものになるはずです。

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<参考文献>

Autodesk Civil 3D 2026 ヘルプ | Autodesk Civil 3D オブジェクトを KML に書き出すには | Autodesk

https://help.autodesk.com/view/CIV3D/2026/JPN/?guid=GUID-D31F08CA-EFFF-4A04-B426-7ABACCBCB3A8

KML を Earth プロジェクトまたはローカル KML ファイルにインポートする  |  Google Earth  |  Google for Developers

https://developers.google.com/maps/documentation/earth/import-kml

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