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テクノロジーの活用が行政の未来を変える【前編】-世界のGovTech市場動向

今私たちの生活の中や仕事場でIT化されるシーンが増えていますが、行政においてもIT化の波が押し寄せています。

そんな中、昨今GovTech(Government + Technology)という言葉が少しずつ見られるようにもなりましたが、それに合わせて最新技術を持つスタートアップが行政と協力してテクノロジーを市民の生活に役立てようとする動きが活発になってきています。

今回はそんな近年の行政デジタル化の動向、そしてスタートアップと行政の取り組みを支援するサンフランシスコ市発のSTiRプログラムを二部構成でご紹介したいと思います。

前編では世界規模でみるGovTech市場の動向に触れつつ、国を挙げて取り組むIT化の事例を幾つかご紹介します。そして、後編では国という大きな規模からもう少し身近な地方行政に焦点を当て、スタートアップと地方行政の協業を支援するサンフランシスコ市の取り組みをご紹介します。

成長が続くGovTech市場

近年スタートアップが持つ最新テクノロジーを行政に活用して、IT面から業務や市民生活の改善を行う流れがアメリカ国内で顕著になりつつあります。

アメリカ西海岸に拠点を置き州や地方行政を中心にリサーチを行うe.Republic社のIT市場調査によると、行政におけるITへの投資額は2015年から安定的な増加傾向を見せています。

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出典:e.Republic社IT市場調査

この流れはアメリカだけに留まらず、世界的にも同様の傾向が見られます。IT業界の調査・アドバイザリー企業として著名なGartner社は昨年10月に98カ国の合計3160人のCIO(最高情報責任者)を対象にアンケート調査を実施。

そのうち461人が政府、地方都市のCIO担当者でしたが、彼らの回答だけを抽出した結果、彼らの中で最も実施の優先度が高いとされたものはデジタルトランスフォーメーションでした。

ITの浸透が人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させるというデジタルトランスフォーメーションのアイディアの下、データ収集と分析を可能にするITインフラを強化し、それを元にした市民へのサービスの改善が今行政のIT担当者の間で注目されているのです。

国を挙げて行うデジタル化プロジェクト

エストニア共和国

実際にそれぞれの国の動きを見ても行政のIT化の波は大きくなっていることがわかります。バルト三国の一国であるエストニア共和国は、ソ連崩壊後から国の立て直しを図る手段としてデジタル化を進めたことで以前から有名です。

1999年から導入したe-Cabinetは内閣閣僚が閣議のアジェンダを確認したり、発言する閣僚は事前に申告したりすることが可能なシステムを導入し、閣議にかかっていた時間を4-5時間から30-90分に短縮しました。

さらに2000年に開始した税金申告システムのe-Tax、2002年に15歳以上の国民全員に所有を義務付けた電子IDカード、2005年のネット選挙システムi-Voting、さらに2011年には20分足らずで会社を登記できるe-Businessといったシステムが市民生活に浸透しています。

「電子政府」として著名なこのエストニア共和国の活動がここに来てさらなる注目を集めているのです。

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シンガポール

同様にシンガポールでは1980年より国を挙げてIT化を進めてきましたが、2017年に体制を立て直し、首相官邸下に一般国民向けデジタルサービスの拡充を目的としたSmart Nation and Digital Government Group (SNDGG)を設立しました。

実施機関のGovTech Singaporeの働きで、テクノロジーを活用した『スマート国家』を目指し、国が掲げるSmart Nation Singaporeプロジェクトを支えています。

インド

インドでも2015年に本格始動した行政デジタル化プロジェクト、Digital Indiaがナレンドラ・モディ首相を筆頭に進められ、2014年から2018年までの5年間で組まれた1兆1,300億インドルピー(約1兆8760億円*1)の予算を元に動き続けています。

イギリス

イギリスでもここ数年の動きが注目されており、テックスタートアップの事業の公共サービス化を支援するPublic社によるレポートでもイギリスの2010年の政権交代以降、行政のデジタル化は加速し、2025年には2.5兆円の規模にまで成長すると見込まれています。

まとめ

このように行政のテクノロジー化が様々な地域で見られるようになり、それと同時に最新テクノロジーを持つテック系スタートアップの活躍にがますますの期待が集まるようになっています。

特にスタートアップは国の中央政府よりも地方行政との相性が良く、彼らが持つ細かな課題に対しピンポイントで最新テクノロジーを提供できるため、『テック×行政』のシナジーを生み出み環境を作りやすいのです。

次回お届けする後編では、そんな地方行政に焦点を当て、スタートアップと地方行政の協業を支援するサンフランシスコ市の取り組み『Startup in Residence』を紹介したいと思います。

*1 レートは2月19日現在(1ルピー=1.66円)

 

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