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Apple MusicとAmazon Prime Musicの比較から探る音楽配信の未来

時代は「レコードって何?」どころか「CDやDVDって何?」というデジタルネイティブ世代に移行しつつあります。音楽のオフライン再生や、プレイリストをシェアして仲間とコミュニティで活用するなど、デジタル音楽配信は現在の音楽リスナーにとって欠かせません。

さまざまな音楽配信ストリーミングサービスがありますが、iPhoneでスマートフォンの覇者になったAppleの展開するサービスが「Apple Music」、インターネットで流通革命を起こしたAmazonの展開するサービスが「Amazon Prime Music」です。

この記事を読むと以下の3つのことがわかります。
①ビジネス視点によるAppleとAmazonの音楽配信の違い
②Apple Music vs Amazon Prime Music サービスの比較
③音楽のストリーミング配信によって何が変化するか

それぞれの公式サイトは以下になります。

■Apple Music
https://www.apple.com/jp/music/

■Amazon Prime Music
https://www.amazon.co.jp/gp/dmusic/promotions/PrimeMusic

 

Appleは音楽販売、Amazonはプレミアム提供

 

消費者の立場から「どちらのサービスがお得か?」という比較記事はたくさんあります。しかし、ここでは少しだけビジネスの観点から比較を試みましょう。

Apple Musicはサブスクリプション(定額制)による音楽配信で、iPhoneユーザーにとっては使い勝手がよいサービスです。というのは、iPhoneにはデフォルトの状態で音楽プレイヤーのiTunesがインストールされているからです。

一方、Amazon Prime Musicはプライム会員向けの、いわば「おまけ(プレミアム)」として位置づけられます。月間400円(税込)もしくは年間3,900円(税込)を支払ってプライム会員になると、配送特典や一部の取扱商品の送料が無料、最短2時間でほしいものが届く「流通の特典」を得られます。同時に「コンテンツの特典」もあり、そのひとつがAmazon Prime Musicです。映像特典としてPrime Videoも提供しています。

これは「入会者の獲得を目的とした販売促進(セールス・プロモーション:SP)」と考えられます。コンテンツの特典により、会員登録を促進することがねらいです。

つまり、Apple Musicが「独立した音楽配信サービス事業」と「Apple製ハードウェアの利用促進や満足度向上」として位置づけられることに対して、Amazon Prime Musicはプライム会員向けの特典的要素が強いことが大きな違いです。基本的にAppleはメーカーであり、Amazonが流通事業を軸として展開しているビジネスモデルを比較すると、双方の音楽配信の位置付けの違いは明確です。

ユーザー視点では、どちらも音楽配信サービスに変わりがないのですが、ビジネス視点から考えると比較できないものです。というのは、音楽を「商品」と考えるか「会員の特典」と考えるかによって目的がまったく異なるからです。

このような考え方を前提として、2つのサービスの概要をピックアップします。

 

Apple Music vs Amazon Prime Music

 

Apple MusicとAmazon Prime Musicを「楽曲数」、「利用可能デバイス」、「費用」、「無料体験期間」の4つから比較しました。

【体験レポ】「Apple music」と「Spotify」を徹底比較! 実際に使いやすいのはどちらか

 

楽曲数

 

■Apple Music
5,000万曲
■Amazon Prime Music
100万曲以上

楽曲数でいうとApple Musicが有利にみえますが、Amazon Prime Musicはプライム会員には無料です。紛らわしいのですが、Amazonには音楽リスナーに向けて別途、有料の「Amazon Music Unlimited」があります。こちらは6,500万曲以上が聴き放題(2019年2月5日現在)と謳われていて、Appleを上回ります。

 

利用可能デバイス

 

■Apple Music
PC、iPhoneなどスマートフォン、タブレット、Apple Watchなど
■Amazon Prime Music
スマートスピーカー&ディスプレイEchoシリーズ、PC、タブレット、スマートフォンなど

iPhoneユーザーが音楽を聴くときに(Spotifyなどのアプリを無視すれば)Apple Musicの利便性は高いでしょう。しかし、わざわざApple Music を使うためにWindowsのPCにiTunesを入れることは面倒です。Androidの場合は、Apple Musicのアプリが提供されています。

PCでAmazonのプライム会員になっているユーザーは、そのままブラウザ上でAmazon Prime Musicが利用可能です。プライム会員でEchoシリーズのスマートスピーカー&ディスプレイを所有していれば「Alexa、音楽をかけて」と音声認識で音楽再生を楽しむことができます。

 

費用

 

■Apple Music
学生480円/月、個人980円/月、ファミリー 1,480円/月
■Amazon Prime Music
プライム会員の会費に含まれる(追加料金なし)

Appleの魅力は学生にやさしい料金体系であること。利用できるサービスは学生と個人で同じなので、学生のうちに利用すると有利です。ファミリー会員は6人までの個人アカウントが利用でき、家族でプレイリストやiTunesで購入した音楽をシェアすることが可能です。

Amazon Prime Musicは、プライム会員のみの1アカウントで100万曲以上の音楽を楽しめます。さらに音楽を楽しみたい場合は、Amazon Music Unlimitedに以下のような3つの料金体系が用意されています。

ついにAmazonでの買い物が、近所のスーパーよりも安くなった、という話。【Amazon Prime Nowよもやま】

 

無料体験期間

 

■Apple Music
3か月
■Amazon Prime Music
なし(プライム会員はすぐに利用可能)

サブスクリプションのビジネスモデルであるため、Apple Musicは3か月の無料期間があり、その後に課金されます。一方、プライム会員の特典であるAmazon Prime Musicには無料期間はありません。会員であれば無料で利用できます。ただし、Amazon Music Unlimited?には30日間の無料体験期間があります。

【個人プラン】
・登録可能アカウント数1
・月額980円(プライム会員は、月額780円、年額7,800円)
【ファミリープラン】
・登録可能アカウント数6
・月額1,480円(プライム会員も同額、年額14,800円)
【Echoプラン】
・登録可能アカウント数1
・月額380円

 

まとめ:音楽のストリーミング配信で変化するもの

 

Apple MusicとAmazon Prime Musicを比較しました。最後にストリーミング音楽配信が進化することで、これから変化する音楽配信像を考察してみましょう。

■楽曲の長さが短く、キャッチーなサビだけになる
ストリーミング配信が主流になると、再生数を増やすために聴いた瞬間にリスナーを惹きつけようとして、楽曲が短くなる傾向が指摘されています。つまり、CM音楽のような作品が主流になっていくかもしれません。

参考:SpotifyやApple Musicなど音楽ストリーミングの影響でヒット曲がどんどん短くなっている(Gigazine、2019年1月21日)
https://gigazine.net/news/20190121-spotify-make-music-shorter/

■アルバムがなくなり、単体の音楽販売になる
レコードやCDなどの記録媒体には収録できる音の長さに制限がありました。12インチのアナログLPレコードの場合、片面最大約20分、両面最大約40分。CDの場合、約80分です。しかし、ストリーミング音楽配信では長さは無制限で、1曲による発売が可能です。アルバムという概念が希薄になります。

■カバーフォトが簡略化される、またはなくなる
かつてレコードやCDでは、ジャケットのデザインが重視されました。音楽を聴かずにジャケットのセンスだけでレコードやCDを買う「ジャケ買い」があったほどです。しかしデジタル配信ではアルバムの概念がなくなるとともに「どのアーティストか」分かればよいため、カバーフォトは簡略化されて、アーティストの写真だけになる可能性が考えられます。

■Apple発、Amazon発のアーティストの音楽が生まれる?
既にAmazonのPrime VideoではUSはもちろん日本のオリジナルドラマが配信されています。同様に、Amazonによる音楽アーティストのプロデュースも考えられます。KDP(Kindle ダイレクト・パブリッシング)によって電子書籍を個人が自由に販売できるようになりましたが、その音楽版が登場するかもしれません。

AppleにはGarageBand(Appleユーザーには無料)、上位機種としてプロ仕様のLogic Pro X(有料)という音楽制作ツールがあります。これらの音楽制作ツールからダイレクトにApple Musicに音楽をアップロードすることで、商用レーベルを通さなくてもインディーズや個人のアーティストが音楽を配信できる可能性を秘めています。

以上は、あくまでも考察の範囲であり、データに基づく推測ではありません。しかし、AppleとAmazonの音楽配信の進化は、リスナーだけでなくクリエイターのスタイルも変えていくことでしょう。iPhone販売に苦戦しているAppleは、iPhone購入者に特典として、Apple Musicを期間限定で無料提供するかもしれません。

 

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