WWDC2019で発表されたiPad OSとは?iOSとのちがいを徹底比較!
2019年6月4日に開催されたWWDCで、iPad OSが新しくリリースされることが発表となりました。これまでiPhoneと共通でiOSを利用していましたが、いよいよ独立したOSとして進化をすることになります。今回は気になるiOSとの違いや、iPad OSの特徴についてまとめてみました。
この記事でわかること
・Appleがプロデュースしている多種多様なOS
・iPad OSとiOSとのちがい
・iPad OSの特徴
WWDCとは?
WWDC(Worldwide Developers Conference)とは、技術者や開発者向けに行われる最新技術発表のイベントです。今回の開催ではiPad OS以外にもiOS13・mac OS10.15(Catalina)・ watch OS 6・ tv OS 3などを2019年秋にリリースすることがアナウンスされました。こうして見ると、あらためてAppleは様々なデバイスで独自のOSを開発していることが再認識されますね。
Appleとはどんな企業なの?
以前はマイクロソフトなどのPC関連企業と比較して「世界で唯一ハードとソフトを自社生産しているコンピューターメーカー」と評されることもあったAppleですが、現在は社名からもコンピューターがなくなり収益の大部分もMac以外であるなど、企業としてのポジションは確実に変化しています。
多くのユーザーにとっては、iPhoneを製造している企業としてのイメージが強いのでしょうし、実際売り上げの多くはiPhoneの販売によるものです。しかし、iPadやApple watchなど多くの魅力的なプロダクトを販売していることも事実であり、その一つひとつの製品が新しいマーケットを開拓してきたことも、Appleの特徴としてあげることができます。
実は製造ラインを持たないApple
このような特徴あるプロダクトを販売しているAppleですが、実は自社の生産ラインは一切持っていません。かつてAppleが危機的状況を迎えた時、スティーブ・ジョブズが行った大改革の一つが、製造を外注化するファブレスモデルの採用でした。国内でも精密計測器で有名なキーエンスなどが同じスタイルで業績を拡大していますが、やはり先見の明があったということでしょうか。
このようなことから、現在のAppleの特徴を表現するとしたら「デザイン」「ソフトウエア」「サービス」と言えるのではないでしょうか。「デザイン」と「サービス」については他の記事に譲るとして、本稿ではiPad OSというプロダクトの操作性に大きな影響がある基本ソフトウエアに、いよいよAppleの本領が発揮されたという点に注目したいと思います。
専用OSとしてリリースされるiPad OS
これまではiPhoneと共通であるiOSが採用されていたiPadですが、今回の発表では独立したOSとして再出発することが明確になりました。AppleのHPを確認すると43の項目についてまとめており、それぞれがいくつかの小項目で機能追加・強化されていることが明らかにされています。
参考)iPad OSプレビュー
小項目を全てカウントすると500項目近いので、全てに目を通すのはなかなか骨が折れそうですね。しかし基本的にはiOSをベースにしており、iPad OSになっても実際の操作で戸惑うことはないはずです。また、かなりの項目についてはiPhone(iOS13)と共通の進化になっていますので、ここではiPad OSの特徴がわかるようiOSとの違いに着目して見ていきましょう。
iPad OSだけの機能は4項目だけ
AppleのHPにあるiPad OSプレビューとiOS13プレビューを見比べてみると、iPad OSにだけある項目は最初の4項目に限られることがわかります。言い換えると、この4項目がもっともiPad OSの特徴を表していると言ってよいでしょう。その4項目は以下の通りです。
1. マルチタスキング
2. 新しいホーム画面
3. Apple Pencil
4. Sidecar
では、それぞれについて具体的に内容を確認してみます。
作業の効率化をアップする「マルチタスキング」
いくつかのアプリを同時に立ち上げて作業するのに必要な機能が「マルチタスキング」です。iPad OSでは、これまでより強化されたSlide OverとSplit Viewで「マルチタスキング」を実現しています。複数のアプリを同時に立ち上げ、それぞれを簡単に切り替えて作業するための機能がSlide Overであり、画面を2分割してそれぞれの領域で複数のアプリを立ち上げることができるのがSplit Viewです。
「マルチタスキング」より、同じアプリの違う画面を同時に開いて操作することが可能になりますので、より高度で複雑な作業ができるようになります。これまでのiPadは、モバイルでのファイル確認用と簡単な修正作業がメインの用途という方も多かったと思いますが、この進化によって、より本格的な「ファイル作成」が可能となりました。
iPadの大画面を活かした「新しいホーム画面」
アプリのアイコンが並ぶおなじみのiOSのホーム画面に、ウィジェットを固定表示できるようになりました。iPhoneでは採用されなかった機能ですが、これも大画面を持つiPadだからこその新しいレイアウトということでしょう。「iPadの広々としたディスプレイをもっと活用できるように、ホーム画面のデザインを一新しました。」という紹介文からもAppleの意気込みが感じられます。
実は、iPadを日常的に利用してはいるものの、ウィジェットはあまり活用していないというユーザーも多いようです。必要があれば専用アプリを立ち上げているから、ウィジェットは「帯に短し、襷に長し」なポジションなのかもしれません。しかし、今回のレイアウト変更によって「自然な形で利用する」ことができるようになるため、ウィジェットの活用が広がるかもしれません。
紙と鉛筆の操作性を求めた進化「Apple Pencil」
かつてダイナブックを提唱したアラン・ケイが、インタビューにおいて「理想的な入力デバイスは『紙と鉛筆である』」と言ったのは有名な逸話です。今回、iPad OSの登場でApple Pencilのレイテンシーは9msに大幅短縮され、ほとんど遅延が気にならない程度となっています。もともと、iPad ProとApple Pencilの組み合わせは描画の正確性と精密性で注目を集めていたところに反応性もさらに強化されたことで、まさしくアラン・ケイの理想に近い入力デバイスとなることが期待されます。
参考)iPad ProとApple Pencilは私たちをどこへ導くか
クリエイティブユーザーが待ち望んでいた機能「Sidecar」
MacとiPadの両方を使っているユーザーにとっては、一番便利な機能が「Sidecar」かもしれません。「Sidecar」によって、iPadをMacの外部モニターとして利用することができるようになりました。もちろん、2画面目としてもミラーリングとしても設定が可能です。macOS Catalinaとの連携で実現した機能ですから、厳密にはiPad OSだけの特徴とは言えませんが、特筆すべき特徴の一つでしょう。
Apple PencilとiPadをタブレット端末として使って、さらにMac上で動作するIllustratorでデザインするなど、新しい用途が生み出されました。クリエイティブ関連のソフトを日常的に利用しているユーザーにとってはまさしく「待ち望んだ機能」でしょう。ひょっとしたら、このような入力デバイスを第一目的としてApple PencilとiPadを選択する人も出てくるかもしれませんね。
iOSと共通の機能でも注目すべき点は多い
これまでiPad OSにだけにある特徴について記載してきましたが、実は他にも取り上げるべき進化はあります。その中でも特に注目したいのは、ファイル操作関連の機能強化です。iOSはメモリも保存領域も少ないリソースを利用するモバイル端末用として設計されている関係から、ファイル保存などの操作についてはPCと比べてどうしても脆弱な状態でした。
しかし、今回のリニューアルによってiOSでも強化され、外部ストレージへの保存やファイルサーバーへのアクセスなどができるようになるなど、本格的なファイル操作が実現しました。特にiPad OSではカラム表示が実装されましたので、操作性が格段に増しています。
iOSとのちがいは?
iPad OSはiOSをベースとして独立したものであり、基本的な機能は共通であることは前述した通りです。その中で明確な差異として挙げられるのは次の2点でしょう。
大画面を活かした表示や操作性の強化
Apple Pencilへの対応
iPhoneとの物理的なちがいである「大画面」をより活かしたOSへと進化し、本格的な作業がiPad上でもできるよう、機能の追加が図られています。また、タブレット端末としての特徴でもある「手書き入力・操作」ができるApple Pencilを使った操作性の向上、さらにMacとの連携など、これらがiPhone上で動くiOSとの違いであると言えます。
【まとめ】
iOS 13の独自の機能としては、「電話」や「ミー文字」「ヘルスケア関連」などiPhoneの用途に即したものとなっています。iPhoneは、通話や個人の健康管理などのモバイル機器としての進化へ向け、またiPadはノートPCに変わるデバイスへと進化をして行くのかもしれません。どちらにしても今年秋のリリースが今から待ち遠しいのは私だけではないはずです。
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