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竹中工務店が三栄建設事務所で発揮したBIMの力

BIMを活用した建築プロセスは、すでに多くの現場の中で活躍しています。
中でも、竹中工務店が三栄建設の事務所建築において活用したオープンBIMのあり方は、次世代の建築のあり方を方向付けるクオリティに仕上がっています。

三栄建設と連携して完成させた竹中工務店のBIMプロジェクトは、どのような点で優れていたのでしょうか。その内情を見ていきます。

目次:
①三栄建設が目指した事務所の「鉄のショールーム」化計画
②竹中工務店による、異なるBIMソフトを組み合わせる「オープンBIM」のフル活用
③世界で注目される竹中工務店のBIM運用のこれから

三栄建設の「鉄のショールーム」

竹中工務店が三栄建設の鉄鋼事業本部新事務所ビルとして手掛けていた建築プロジェクトは、非常に複雑な形状を有した「鉄のショールーム」がテーマの建物です。

複雑な形状を有する三栄建設事務所

施工主である三栄建設が求めたのは、通常のビルとは異なる斜めの壁がある部屋を有する建物の建築です。
従来の建物であれば、直線的な廊下や四角に形作られた部屋の数々が設けられるところですが、新しく建設されたこちらの建物にはそれが見当たりません。

元々は鉄骨工事を得意とする同社ですが、今回の事務所建設にあたっては事業拡張のため、というのが背景にあります*1。
それまでは大阪府八尾市に社屋と工場を構えていましたが、大阪市内への移転に伴い従業員数も増加し、より巨大な敷地と空間を要するようになっていったのです。
また社員数が移転の段階で350人程度と、以前の3倍にまで膨れ上がったことで、新たな問題に直面することになっていました。

コミュニケーション活性化を促すボロノイ分割

社員数の急激な増加に伴い、三栄建設が問題視していたのはコミュニケーションの不足です*2。
従来のシステムや従来型の建設では、これまでどおりのコミュニケーションを、部署間や社員同士で維持することができなくなってしまうと感じていました。

そんな問題意識から生まれたアイデアが、『ボロノイ分割』と呼ばれる幾何学をもとに構想した、多面的な空間設計です。
複雑な形状で、一見すると無作為に形成されているかのように思える各部屋は、しっかりと要件を満たした面積の確保ができています。
いずれの部屋も同じ形状のものはないのですが、今回の事務所においては全てが上手く組み合わさるよう配置されています。

オフィス空間や階層にとらわれずコミュニケーションができるようにと設計することで、社員数の増大にも十分に耐えられるキャパシティの確保を目指したのです。

事務所建設における「オープンBIM」の活躍

しかしこのような複雑な設計は、従来の建築プロセスでは途方もない時間がかかってしまい、大幅に予算と工期に影響を与えてしまいます。
そこで竹中工務店が活用したのが、オープンBIMの力です。

複雑な形状を実現したBIMの力

オープンBIMは、特定のBIMソフトの力を借りるだけでなく、複数の互換性のあるBIMソフトを活用することで、連携強化による効率化を図る手法です。

竹中工務店が主に活用しているBIMソフトは、GRAPHISOFTのARCHICADです。
しかし、この度ボロノイ分割を事務所建設で実現すべく起用したのが、3Dモデルデザインソフトの「Rhinoceros」、そしてそのプラグインである「Grasshopper」です。
この二つのソフトを組み合わせて使用することで、数式とパラメーターを設定するだけで、自動的に複雑な空間設計を実現することに成功しました。

基本的な空間設計を上記のソフトで行ったのち、詳細な意匠設計の段階ではARCHICADへと切り替え、作業が進められています。
また、構造設計においては「TeklaStructures」に「Midas」、設備設計では「Rebro」が起用されました。
各作業工程において、別々のBIMソフトが活用されるという、詳細なBIM活用が行われたのです。

ディスプレイ上の3Dグラフィックでは不十分な作業においては、3Dプリンターを活用し、実際の鉄骨模型や実物大のモックアップを作成しながら修正作業を進めていきました。
BIMをフル活用するプロジェクトとはいえ、フィジカルな工程を差し込むことで、実感の伴うクオリティ追求が行われました。

「鉄のショールーム」実現のプロセス

三栄建設が新しい事務所を建設する上で、もう一つリクエストしていたのが「鉄のショールーム」の要素を社屋全体にちりばめるというプランです。
鉄骨に強みを持つ三栄建設ということもあり、このショールーム化計画は社屋のシンボルとして重要な意味を持つためです。

鋳鋼を使った柱の接続部や、細い鋼管を工場で格子状に組んだクロスハッチブレースなど、複雑な構造を意図的に取り入れる方針でしたが、ここでもBIMは大いにその力を発揮しました。
三栄建設が用意した鉄骨のBIMモデルを、BIMソフトであるSolibriを使って意匠や設備のBIMモデルと重ね合わせ、設計の合意を固めていきました。

また、新たな事務所の建設予定地が工場の居抜き物件だったこともあり、工場から建設現場までクレーンで直接搬入できたことも、スムーズな建設が実現した要因になっています。

今回、竹中工務店が実施したオープンBIMのあり方は、異なるベンダーのBIMソフトを上手く使い分け、そして組み合わせていくという、複雑なプロセスをはらんでいます。
しかしそれでも、無事竣工にまで持っていくことができたという技術力は、世界でも非常に注目を集めるプロジェクトとなりました。

竹中工務店のBIM運用のこれから

竹中工務店ではBIM運用の実践が積極的に進められており、今後さらなる活用方法が開拓されていくことにも期待が集まります。

ロボット運用との連携でさらなる生産性向上も

設計段階におけるBIM運用はもちろん、IoTやロボットとも連携した、施工や保守運用におけるBIMの活用はこれからますます活発になっていくでしょう。
竹中工務店はこのロボット運用に特化した「BIMブラットフォーム」を構築し、2020年度中の運用を目指しています。

BIMモデルをAIやロボットに読み込ませることで、単純作業の全自動化や点検業務の自動化、あるいは建物の運用管理における効率化を進めていくことができます。
また、クラウド上でロボットを一括管理できるようにすることで、ロボットをコントロールするための作業や人員も削減することにもつなげられるでしょう。

建築業界における労働人口の減少が懸念される中、竹中工務店では着実に少ない人員を有効活用できる現場の創造が進んでいます。

おわりに

BIMソフトの運用の課題は、異なるBIMソフトを使うことで、情報共有や設計のすり合わせに不備が生じるのではないか、という懸念がある点です。
しかし三栄建設と竹中工務店による共同プロジェクトは、そういったBIM運用における不安を拭い去る一例であったとも言え、これからのBIM運用における大きな成功として期待できそうです。

出典:*1 GRAPHISOFT「傾く壁、「鉄のショールーム」の意匠設計に ARCHICADを活用し、設計・施工BIMを連携」
https://graphisoft.com/jp/case-studies/takenakakoumuten-2019
*2 上に同じ


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