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BIM普及の問題を設備的な観点からみる

BIMの現状

BIM普及の問題点として、設備BIMの遅れが挙げられます。意匠・構造・設備の3つが揃わなくては意味がなく、設備のBIM化は避けることができません。維持管理の面でも設備BIMデータとの連携ができなくては維持管理BIMも難しいでしょう。

設備業務はBIMに向いていない?

設備設計は特殊で機械設備(給排水衛生設備・空調換気設備)・電気設備に分けることができ、機械設備と電気設備では異なる設計者が担当します。どちらの知識も深く持つ設計者は珍しく貴重な存在です。主な図面は下記の3つです。


平面図・・・建物を目線の高さで水平に切断したような図面です。間取りなどが書かれていて、最も想像しやすい図面だと思います。平面図とは別で設備の細部を記載する平面詳細図というものもあります。


系統図・・・建築設備の位置関係や配管順序を示すために描かれる図です。平面図では表現ができない上下階の関係性を表すものですが、関係性がわかれば良いので縮尺などはなく、図面とは別で作成する必要があります。


機器表・・・使用する機器のリストです。図面ではなく表形式で、何の設備が何個あるかまとめられています。


配管は単線で表現し、断面図や矩計図がないため平面図・系統図で縦関係を表しています。機器や配管の仕様は明記するものの、設計段階では裁量はなく、施工段階のサブコンが決めています。その状態で立体のBIMデータを作成しても意匠・構造との干渉や、設備機器同士の干渉などが発見されることがあります。設備設計者は基本的な計画を定め、仕様とコストを明確にするのみで、施工段階で何とかするという認識があります。BIMを利用して設計すれば、そういった干渉を設備設計の段階でなくすことができます。しかし、設備設計者の負担が多くなるためそれは設備設計者の仕事ではないなどの意見もあります。*注1


確かに設備設計者への負担は懸念されますが、BIMが普及すれば設備設計者が担当することが一般的になるかもしれません。それにより図面の不整合や収まりの不具合などが無くなれば、結果的には業務における効率化になります。設備設計者の仕事ではないという今までの慣習に縛られていては設備のBIM化は一向に進みません。

不足するBIMデータ

現在代表的なBIMソフトといえばRevitかARCHICADですが、どちらも海外生まれのソフトのため、国内メーカーのBIMパーツは多くはありません。データがないため設計者が作成することになり、これでは設計者の負担が増えてしまいます。2次元モデルを完成させ、3次元モデルを作り変換して自身で導入することは可能ですが、メーカーによっては設備データのBIM化に力を入れているところもあります。今後の普及としては設計者のBIM普及だけでなく設備を開発するメーカーへのBIM普及も重要です。*注2

まとめ

今回はBIM普及の問題点を設備的な視点でお伝えいたしました。設備は意匠構造とは異なりたくさんある設備機器からの選定、それに応じたBIMデータの利用が必要です。BIMの普及が先か、BIMデータの充実が先か難しい点ではあります。しかし建築業界がBIM化を進める以上、設計者や設備メーカーの方々にも導入が必要不可欠だと感じておりますので、是非とも導入をご検討頂ければと思います。

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参考文献
注1
【第6回】「迷走する設備BIMの後れを取り戻せ!」(前編)
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/2007/01/news011.html
注2
製造業でBIM活用設計データをBIMデータへ変換できる!?
https://www.cadjapan.com/special/bim-navi/article/2011/manufacture.html

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