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企業のBIM活用が急拡大しているのはなぜ?導入メリットや運用課題を解説

最新の3DテクノロジーであるBIMは、その高いポテンシャルが広く知られるようになったことで、近年は導入率が高い水準で推移しつつあります。

BIMの概念そのものは10年近く前から存在していたのにも関わらず、今になって導入が進みはじめたのには、どのような背景があるのでしょうか。

この記事では、企業におけるBIM活用急拡大の現状について紹介しつつ、なぜ導入が拡大しているのか、BIM運用は今後どうなっていくのかについて、解説します。

目次:

  1. BIMとは
  2. BIM導入のメリット
  3. BIM導入の急拡大について
  4. BIM活用が急拡大している理由
  5. BIM運用に伴う課題点
  6. BIM導入の今後

BIMとは

BIMはBuilding Inforamation Modelingの略称で、新しい3Dモデリング技術の一種として知られています。BIMはCADと比較されることも多い技術ですが、最大の特徴は3Dモデルの中に2Dデータも含め、全ての設計情報を内包できる点です。

従来の3Dモデルとは異なり、BIMモデルは寸法を正確に反映した3Dモデルとして構築し、設計データとリアルタイムで連動しながら編集ができます。2Dと3Dを別個に管理する必要がなく、業務上必要なデータをひとまとめにできることから、強力な生産性向上が期待できるテクノロジーです。

BIM導入のメリット

BIMの導入は、現場に

  • 情報共有を円滑に行える
  • 生産性と品質の向上につながる
  • 設計から維持管理に至るまでのコスト削減につながる

などのメリットをもたらすことから、期待値の大きな施策と言えます。

BIM導入の最大のメリットは、BIMユーザー同士の情報共有を効率よく実施できる点にあります。BIMで作られた3Dモデルデータをやり取りするだけで、図面データなどの設計情報も合わせて共有できるからです。

また、修正が必要な場合には3Dあるいは2Dの情報に手を加えるだけで、相互に修正内容が反映されるため、修正漏れや修正負担の増大の心配もありません。

このような作業効率の高さは、短い時間で倍以上のパフォーマンスを得られたり、ケアレスミスをなくして業務の品質を高めたりする上で有効です。

設計から施工までの業務効率化が期待されるBIMですが、実際には竣工後の維持管理負担の軽減においても強力な効果を発揮します。

点検や補修といった維持管理業務を行う際、従来であれば点検用の図面を再度作り直す必要がありました。しかしBIMデータを採用することで、維持管理の段階においても設計当初の情報をそのまま用いられるため、図面作成の手間がかかりません。

その上、設計当初の情報をそのまま維持管理に適用し、正確で少ないコストでの維持管理業務の遂行につながります。

BIM導入の急拡大について

このように、BIM導入は現場に多大な利益をもたらしてくれるため、最近では多くの企業が導入を進めていることがわかります。

BIM導入は70%に達するという調査結果も

2022年に発表された調査結果によると、建設コンサルタント会社におけるBIM導入、そして業務効率化に寄与していると回答したケースは、2020年に比べ、26ポイント上昇し70%に達しているということです*1。

これまでBIMはゆっくりと導入企業が増えていくような増加傾向を示していましたが、一気に普及率が増加するようになったのは最近のことと言えます。

BIMと付随して導入が進んでいる技術

BIMの導入に伴い、他の最新技術も建設コンサルタント会社では盛んに取り入れられるようになっていることが上の調査ではわかっています。

中でも人気の高い技術が、ドローンです。ドローンの業務効率化寄与率は76%に達しており、2020年にも63%というトップの数字を記録するなど、非常に人気と業務貢献度合いの高い技術と言えるでしょう。

その他の技術としては、同調査ではレーザースキャナーや電子黒板などの作業支援ツール、RPA、XRなどの技術が高い導入寄与率を示していますが、ドローンとBIMの寄与率に比べると、やや劣ると言えます。

BIM活用が急拡大している理由

このように、建設コンサルティング業界でBIM活用が急拡大しているのには、国土交通省によるBIMの原則適用が2022年から施行されるようになったというルール変更が背景として考えられます。

元々、2023年までに小規模な事業を除く全ての公共事業にBIM/CIMを適用することを2020年の時点で決めていました。しかし新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、急速なデジタル活用が進んだことにより、2022年へと予定が前倒しになり、全面的なBIM活用が進んで行ったわけです。

その結果、BIMの導入は2022年以降急拡大を進めており、現在では小規模事業者の間でも段階的な実装が実現しつつあります。

BIM運用に伴う課題点

BIM運用はこれまでも積極的に導入するべきと提唱されてきたものの、結局は国土交通省による原則適用のような、国レベルでのルール変更がなければ導入が見送られてきた歴史もあります。

BIM導入に各企業が消極的であった背景には、

  • BIM導入のコストが大きい
  • 導入効果が過小評価されている
  • 導入に伴う業務フローの見直し負担が大きい

といった課題が挙げられます。

まず、BIM導入は単純に設備投資が必要である点が課題として挙げられます。BIMは新しいBIMソフトを導入しなければ適切な運用が難しく、企業はその負担を強いられることを嫌い、導入を見送ってきました。

BIM導入のコストをそれを上回るリターンによって回収できれば良いのですが、果たしてどれくらいのリターンが得られるか、不透明であったことも、見送られてきた要因の一つです。BIM導入の実績がまだ広く知られていなかったり、具体的にどんな成果が得られるかの認知が進んでいなかったりといった理由から、BIM導入は今ひとつ普及しませんでした。

そしてBIM導入に伴い設計フローが大きく変わってしまうことも、BIM導入を遮る障壁となっていました。

BIMを効果的に活用するには、既存の設計フローを見直して、全く新しい設計手法で臨まなければならないという負担が、企業には重石となっていたわけです。

BIM導入の今後

BIM導入の急拡大が進んだことで、上記のような課題意識は少しずつ薄れてきています。広くBIMが普及し、ビジネスのスタンダードとして定着してきたことで、今後はより多くの企業で採用が進むことが期待できるでしょう。

BIM導入企業が増えることで、BIMの優れた情報共有能力も発揮できる機会に恵まれます。DXの普及に伴い、今後BIMは業務に欠かせない存在となるはずです。

まとめ

この記事では、BIMが急拡大している現状や、その理由について解説しました。BIMは高度な業務効率化を実現し、長期的に見ればコスト削減にも貢献できる技術です。

設備投資や業務フローの刷新といった負担は受け入れる必要があるものの、事業の長期戦略を考える上では、これほど頼りになるテクノロジーもそう多くはないと言えるでしょう。

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出典:

*1 日経XTech「建設コンサルタントのBIM/CIM活用が急拡大、国が22年度から原則適用」

https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/02017/041100006/

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