BIM/CIMはカスタマイズ開発ができる!活用メリットや活躍するソフトを解説
BIM/CIM運用は多くの可能性を秘めた新しい取り組みとして注目を集めています。ただ、その注目度とは裏腹にまだまだ国内では十分な導入が進んでおらず、課題解決を進めていく必要があると言えるでしょう
この記事では、そんなBIM/CIM導入が進まない理由はどこにあるのか、そして解決の糸口となるBIM/CIMのカスタマイズ開発とは何かについて、メリットも含めて詳しく解説します。
目次:
- BIM/CIM活用の課題
- BIM/CIMのカスタマイズ開発とは
- BIM/CIMカスタマイズのメリット
- BIM/CIMカスタマイズに活躍する製品
- BIM/CIMカスタマイズ時の検討事項
BIM/CIM活用の課題
BIM/CIMは多くのポテンシャルを秘めた画期的な技術ですが、その期待とは裏腹に今ひとつ各企業で導入が進んでいないという問題も抱えています。
BIM/CIMの導入が進まない理由としては、
- 導入コストがかかる
- 費用対効果が不透明
- 最適化の負担が大きい
といったものが挙げられます。
まず、BIM/CIMの実践には専用のBIMソフトの導入などが必要となるため、設備投資は欠かせません。BIMを扱える製品はいずれも高額なライセンス料金が必要になることから、気軽に始めることが難しい問題を抱えています。
BIM/CIMソフトはただ導入費用がかかるだけでなく、費用対効果がどれくらいになるかが不透明である点も導入を遠のかせている理由の一つです。
せっかく費用をかけてBIM/CIMを実装しても、そのコストを回収できるほどの成果が得られるかが分からないとなると、導入に踏み切ることは難しくなります。
BIM/CIMを導入する場合、これまでの業務プロセスを大幅に刷新しなければならない負担も出てくることがあります。業務の刷新は現場の働き方を大きく変え、新しい体制に馴染むための研修や移行期間が発生し、パフォーマンスの低下を招きます。
上述のような問題が懸念されることから、BIM/CIMの導入を見送る組織は少なくありません。
BIM/CIMのカスタマイズ開発とは
BIM/CIMを導入することは、単に業務プロセスの刷新が発生するだけでなく、業務そのものが既存のBIM/CIMソフトと相性が悪く、敬遠されることがあります。このような問題を回避する上で有効なのが、専門会社に委託して実行するBIM/CIMのカスタマイズ開発です。
BIM/CIMソフトは丸ごと導入する場合でも一定の効果が期待できますが、自社のニーズに寄り添った形でカスタマイズし、導入することも可能です。
BIM/CIMソフトにはカスタマイズのためのAPI連携や専用の自動化機能が備わっています。これらの機能を有効活用することで、上述したBIM/CIM導入の課題を乗り越えることができるでしょう。
BIM/CIMカスタマイズのメリット
BIM/CIMのカスタマイズ開発は、具体的にどのようなメリットをもたらしてくれるのでしょうか。ここでは以下の3つのメリットについて、解説します。
専門性の高い業務を効率化・自動化できる
BIM/CIMのカスタマイズは、自社ならではの専門性の高い業務をそのまま効率化したり、自動化したりする上で有効な手法です。
BIM/CIMソフトを導入する際、通常であればソフトが有している機能に合わせて自社の業務をアレンジし、導入を進めるというアプローチを採用します。
導入の際の手続きは簡単ですが、自社の業務が専門的であったり、他のシステムと複雑に組み合わさったりしている場合、ソフトの導入がかえって効率の低下を招くこともあるものです。
そこで活躍するのが、BIM/CIMのカスタマイズ開発です。自社の業務に合わせてカスタマイズを施すことにより、ソフト導入に際しての摩擦を最小限に抑えて、業務のハイテク化を遂行できます。
情報共有を高度に行える
BIM/CIMのカスタマイズ開発は、情報共有の円滑化を促す上でも有効です。ソフトを導入した際の互換性の問題をクリアしたり、クラウド活用を強力に推進するきっかけになったりするため、コミュニケーションコストを小さくできます。
既存システムとの連携を強化することで、システムの総入れ替えを行うような大掛かりなテコ入れが必要なくなる可能性があるのも、メリットと言えます。
より高度な技術の導入につながる
BIM/CIMソフトをカスタマイズ開発によってスムーズに導入できれば、その環境を活かしたより高度な技術活用の足がかりを得られるでしょう。
大規模な開発を含む大型のプロジェクトの受注につながる、デジタルツインの活用やXRの導入など、多くのビジネスチャンスを獲得することができます。
BIM/CIMカスタマイズに活躍する主な製品
BIM/CIMのカスタマイズ開発には、
- Revit
- Civil 3D
- Dynamo
といったAutodesk製品が活躍しています。
RevitはBIMソフトの代名詞とも言えるポピュラーな製品で、APIを使ったシステム連携や業務の自動化が可能な製品です。Civil 3Dも同様で、土木建設特化の業務を自動化する上で役に立ちます。
このようなカスタマイズを実現する上で重要な役割を果たすのが、Dynamoです。DynamoはRevitなどのAutodesk製品の自動化を実行するためのプログラミングツールで、カスタマイズ開発の際にも頼もしいパートナーとなるでしょう*1。
それぞれの製品特性を理解し、自社の都合に合わせたサービスを選定することも導入を成功する上では重要です。
BIM/CIMカスタマイズ時の検討事項
BIM/CIMのカスタマイズ開発を検討している場合、以下のポイントを事前に整理しておくことで、プロジェクトをより高いレベルで成功に導けます。
自社の課題を整理する
BIM/CIM導入に際しては、まず自社でどのような課題を抱えているかを整理することが重要です。自社の課題に適したソフトを導入したり、最適なカスタマイズを施したりして、パフォーマンスを高められます。
周囲のBIM/CIM導入状況を確認する
社内だけでなく、日頃から関係の深い事業者のBIM/CIM導入状況を踏まえた製品選びを進めることも大切です。
BIM/CIMソフトの中にも互換性に差があるものですが、周囲の導入製品との相性が良いソフトを選ぶことで、導入後のパフォーマンスに良い影響を与えられます。
まとめ
この記事では、BIM/CIMソフトのカスタマイズ開発とはどのようなものか、どんなメリットが得られるのかについて解説しました。
BIM/CIM導入には高い導入効果が期待できる一方、導入コストの高さや自社業務の専門性の兼ね合いから、導入が見送られることもあります。そのような問題をカスタマイズ開発によって解消すれば、円滑に業務のDXを進めることができるでしょう。
まずは自社で抱えている課題を整理の上、最適な製品とカスタマイズのアプローチを専門家と相談しながら検討していくことをおすすめします。
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出典:
*1 Autodesk「Dynamo」