Windows10ユーザー向けに無償化されたRPA「Microsoft Power Automate Desktop」の可能性
RPAの活用は、国内でも多くの企業が実施に向けて動き始めています。ロボットによるデスクワークの自動化を実現するRPAは、導入効果が高い一方、導入コストが懸念されてきたため、気軽に実施できるものではありませんでした。
しかし、最近では低価格で導入できるサービスも増えており、その品質についても向上が進んでいます。そして、この度マイクロソフトがWindows10ユーザー向けに提供を始めたサービスが、RPAの無償化です。
今回は、Win10ユーザー向けに無料提供されている「Microsoft Power Automate Desktop」の概要について、ご紹介します。
目次:
①Microsoft Power Automate Desktopとは
②Microsoft Power Automate Desktopの無償提供
③Microsoft Power Automate Desktopの強み
④Microsoft Power Automate Desktopの強み
Microsoft Power Automate Desktopとは
Microsoft Power Automate Desktopは、マイクロソフトが提供するRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)の一種です。デスクトップレコーダー、およびWebレコーダーを活用してユーザーのコンピューティングを記憶し、記録した通りの挙動を延々と繰り返すことができます。
公式サイト:https://flow.microsoft.com/ja-jp/desktop/
RPAの最大の特徴は、頭脳労働と呼ばれるデスクワークを完全に自動化できる点にあります。デスクワークは頭脳労働といっても、伝票の管理やリサーチ業務など、ルーティンで完結する作業は決して少なくありません。RPAにこれらのタスクを割り振ることで、ロボットが自動的に作業を継続し、人間は別の業務を処理することが可能になります。
人手不足や熟練労働者の離職が問題となる近年、業務効率化と人手不足の解消を目指し、RPAは様々な業種において、多大な貢献を実現しています。
Microsoft Power Automate Desktopの無償提供
そんな高い利便性を持つRPAですが、最近大きな話題となったのが、マイクロソフトによる自社ソフトの無償提供です。2021年3月、マイクロソフトは自社RPAであるMicrosoft Power Automate Desktopを、Windows10ユーザー向けに無料で提供することを発表しました*1。
マイクロソフトは、2020年9月より今回のRPAのプレビュー版の提供を進めてきましたが、今回の無償提供により、完全版の利用を無料で行えることが決定しました。Microsoft Power Automate Desktopは簡単なマウス操作で実現するRPA導入がテーマでした。同社ではすでにExcel関数ベースのプログラミング言語「Microsoft Power Fx」も発表しており、ローコードでのツール活用や普及を顕著に進めています。
Microsoft Power Automate Desktopの強み
Microsoft Power Automate Desktopは、その導入ハードルの低さから様々な効果を期待することができます。
プログラミングのスキルは必要なし
例えば、RPAでありながらプログラミングのスキルは必要がないのはこのツールの大きな特徴の一つです。ドラッグアンドドロップのデザイン機能で簡単にツールを自社業務に当てはめることができ、自動化をすぐに進めることが可能です。
また、ワークフローについては導入時点であらかじめ数百のデフォルト動作が準備されています。挙動を一つ一つRPAに記憶させなくとも、まずはここから最適なワークフローを選び、自社業務の改善を進められます。
迅速な業務効率化の実現
プログラミングが必要なく、それでいてすぐにワークフローの運用を進められるMicrosoft Power Automate Desktopは、従来のRPAに比べて迅速な導入と、業務効率化の推進を進められます。
RPAの導入は、システムの開発だけでなく、現場にツールを実装し、ツールが実際の業務に馴染むまでの時間を考慮する必要もあります。RPAを扱う側の習熟も求められるところですが、ローコードで使えるMicrosoft Power Automate Desktopであれば、その時間も短縮が可能です。
驚きの導入コストを実現
多様なワークフローにフィットするMicrosoft Power Automate Desktopですが、これだけの柔軟性を備えていながら、Windows10ユーザーであれば無償で利用できるのは大きなアドバンテージです。
通常、RPAの導入には多くの開発費用がかかり、社員の育成にも相応の時間と費用がかかります。しかしこちらのツールの場合、導入に伴う費用は発生せず、ローコードで扱えるということで、教育コストも最小限に抑えられます。
また、Windowsは多くの会社で採用されているコアOSであり、最新のOSにアップデートするだけでRPAを使えるという事でもあります。RPAを導入したいが、多くの予算は確保できないという会社にとって、最適のRPAツールとなるでしょう。
Microsoft Power Automate Desktopでできること
Microsoft Power Automate Desktopを導入することによって、様々な業務改善効果を享受できる可能性が高まります。
業務負担の軽減
まず、日常的に発生していた作業労働を自動化できるため、日々の業務負担は大きく改善します。日報の作成や情報共有などの作業を全て自動化し、コア業務に力を入れられるようになります。
毎日細かなタスクに追われている人にとって、このRPAツールの導入は大幅な改善効果が見込めます。
人材不足の解消
作業労働を自動化することで、絶対的に業務に必要な人間の数を減らすことも可能です。作業労働に割いていた人員を全てコア業務に配置させられるようになるため、新しい人手を探すのに苦慮する必要はありません。
優秀な人材を発掘するための人事部の業務も軽減されるため、高い導入効果が期待できます。
働き方改革の実現
作業労働が効率化することで、余分に発生していた業務時間の削減にもつなげられます。残業で定時退社が遅れてしまい、ワークライフバランスの乱れてしまうケースも回避できます。
また、Microsoft Power Automate Desktopは個人利用でも無料で扱えるRPAです。自宅PCでもRPAの恩恵に預かれるため、リモートワークの推進にも活躍してくれるでしょう。
おわりに
高額なツールであるはずのRPAを、マイクロソフトは無償で提供を開始しています。ローコードでプログラミングの知見が浅くとも利用でき、個人のPCでも扱えるということで、幅広いRPA活用が、今後Windowsユーザーの間で広がっていくことが予想できます。
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参考:
*1 ITMedia「Microsoft、自社製RPAツールを全Windows 10ユーザーに無償提供 マウスクリックやキーボード入力をGUIで自動化」
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/2103/03/news096.html