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五洋建設のCIM活用状況を解説!港湾関連設備で先行適用

五洋建設は特に港湾関連設備に多くの実績をもつゼネコンです。
オフィスビルや鉄道の高架橋、道路などに加えて「港湾計画技術」「港湾施設のリニューアル」「津波防災技術」といった港湾関係のソリューションがあります。

港湾関係設備の建築については国がCIMガイドラインを公開するのに先行してCIMを適用するなど、多くの実績があるのです。
この記事では五洋建設のCIM導入の状況や適用事例、CIM導入に関わり開発したツールについてご紹介します。

建設土木工事の課題とCIMの重要性

土木関連施設では、開発時に現場が完全に目視できないという課題があります。

土木事業にはシミュレーションが欠かせない

「港湾計画技術」の場合、設備の基本設計に加えて気象条件や海象条件を十分考慮して防波堤や外郭設備を築くなど、港内作業を安全に進めるための準備が欠かせません。
また、海中や沿岸に設備を建設する場合には、沖から岸へ寄せる波の影響や工事が水質や生態系へ与える影響などを配慮する必要があります。

そのため港湾設備を建設する場合には、さまざまな数値シミュレーション技術などが活用されているのです。

CIMは土木事業の効率化に重要なツール

CIMではプロジェクトの予備設計やレイアウトなどがモデル化できることに加え、設計に欠かせないシミュレーションも可能です。
例えば港湾計画技術においても、CIMを活用すれば着工前の設計完成度やコストの見積もり精度が高められます。
そこでCIMは、働き方改革のなかで積極的な導入が期待されているのです。

CIMガイドラインの整備状況

国はICTの全面的な活用(ICT土工)としてi-Constructionの取り組みを実施しています。
2019年には中期的な目標として、全事業でBIM/CIMを原則適用する方針を掲げました。
加えて2020年にはさらに取り組みを加速させる方針として「2023年度までに小規模を除く全ての公共工事におけるBIM/CIM原則適用」という目標が具体的に打ち出されたのです。(*1)

実際に2020年には「CIM導入ガイドライン(案)港湾編」」とすでに発行済みだった「CIM 導入ガイドライン(案)」が統合した「CIM 導入ガイドライン(案)」が発行されています。(*2)

CIMガイドラインは、CIMを使うための指針のことで、概要をまとめた共通編のほか土工編、河川編、港湾編など全11種類があります。
内容は総則や測量及び地質・土質調査、調査・設計、施工、維持管理の規定までを含みます。
指針が提示されたことで各企業が同じ目線で業務にあたることができ、ゼネコン、サブコン、関連会社全体を巻き込んだCIM活用の準備が整いつつあるのです。

五洋建設はCIMで見えない地中を可視化

五洋建設では建築はもちろん、ダムやトンネルなど地盤に関わる事業も多く手がけています。

従来地質の調査はサンプル調査が中心

地盤改良工事やトンネル工事など地中行う作業の場合、基本的には見えない領域を施工します。
そのため埋設物を損傷させるリスクはもちろん、地盤特性による湧水や崩壊地形、転石、さらには施工精度によるさまざまなリスクが伴うのです。

五洋建設の場合、埋設物は試掘やレーダー探査などを行い、改良地盤の不均質性に関わるリスクは改良土量2,500m3ごとに1箇所ごとのサンプル点で評価を行っていました。
つまり地盤全体の平均的な品質は担保されているものの、完全にすべての地質が確認できるわけではありません。

Gi-CIMで見えない地中をシミュレーションで可視化

そこで五洋建設では、地盤情報の見える化ツールとして地盤情報を三次元的に統合・可視化できるGi-CIM(Ground Improvement Construction Information Modeling)を開発・導入しました。(*3)

CIMモデルに、地盤改良の施工管理情報を統合することで、見えない地中にある構造物との建設予定の構造物が干渉するリスクを最小化できるようにしたのです。
また、Excelに設計・施工情報を入力するだけで地盤改良の3Dモデル化ができるため、誰でもかんたんに使える点も特徴です。

五洋建設のCIM適用事例

五洋建設が国内で初めて港湾工事にCIMを導入したのは2018年です。国が推進する制度がある程度整ってきたことを受け実運用に入ったタイミングだといえます。(*4)

港湾工事におけるCIMの本格適用は相馬港の工事

五洋建設が2018年に行った相馬港のLNG基地建設工事では、桟橋築造や付帯施設が構築されています。その工事のほぼすべての工種に本格的なCIMが適用されました。

港湾設備は、海中の施工があるほか潮の干満や高波や高潮、強風など環境の影響が厳しい特徴があります。
港湾設備の構築物は、厳しい環境でも耐える設計・施工ついての情報を蓄積することで、将来の維持管理や災害時の対応などに大きく貢献する余地があるといえます。

相馬港のLNG基地建設工事の適用・検証ポイント

五洋建設では、港湾工事におけるCIMの効果検証を目的として設計から施工まで以下4つの適用と検証を行いました。

・時系列的な施工手順の検討
・海底地盤の可視化による出来形管理
・施工前および施工中の干渉チェック
・打設記録等の施工情報のCIMモデルへの付与

桟橋は支持層など海中の施工があります。
五洋建設では、設計時にまずCIMを用いて海底地層の可視化を行いました。そのうえで根入れ長の確認を行い、鋼管杭が確実に支持層に届いているかなどの出来形管理を実施しています。

さらに施工の効率化を測るため、一つひとつの部位を作っていくなかで施工手順に無駄がないかのシミュレーションを工期全体について実施しました。

現場を重視した施工情報の収集共有システム「i-PentaCOL/3D」を導入

五洋建設はCIMをより普及させるため、2020年にはi-PentaCOLをさらに進化させた「i-PentaCOL/3D」を開発しました。(*5)

i-PentaCOL/3Dは、i-PentaCOLがベース

i-PentaCOLは五洋土工情報収集システムのことで、2017年に開発されました。多種多様なICT建設機器を統合的に利用するための仕組みです。(*6)
職員がデータ収集し、管理していた施工情報を、クラウド上に集めて各システムを連携するために活用されています。

このi-PentaCOLの仕組みをCIMに統合させたのが、i-PentaCOL/3Dです。
i-PentaCOL/3Dは、クラウド上でBIM/CIMを活用して建設現場のさまざまな情報の収集と共有を行っています。

i-PentaCOL/3DでCIMの課題を解決

CIMは「専用ソフトウェアの価格の高さ」や「CIMそのものの使い方を理解するために時間http://www.penta-ocean.co.jp/news/2018/180123.htmlがかかる」というふたつの大きな課題があります。

しかし五洋建設が開発したi-PentaCOL/3Dでは、現場活用を想定した操作性を重視してます。
とくに工事現場にはさまざまなメンバーが集まるため、誰でも難しい操作がなく使いこなせるかどうかは非常に重要です。

i-PentaCOL/3Dでは、地表面変異や支保パターン、前方探査の結果、切羽写真などの施行情報が、CIMデータと関連づけて登録可能です。

また、コミュニケーション機能として本社や支店、発注者事務所、協力業者などさまざまな関連メンバーが情報を登録したりコメントしたりできる仕様になっています。
CIMデータを活用すれば土木・建築・国内・海外という分野や地域や言語の壁がなくなるため、遠隔地のメンバーともタイムリーに連携が可能です。

i-PentaCOL/3Dを導入した結果、工事現場の現状や関連状況がわかりやすくなり、データ収集・管理、資料作成、打ち合わせのための移動が大幅に削減できるようになりました。
導入や試行は、国道106号与部沢トンネル工事で行われていてさらなるブラッシュアップが期待されています。

まとめ

五洋建設は港湾設備などさまざまな分野で実績のあるゼネコンです。CIMでシミュレーション、測定結果などが3Dモデル化されれば直感的に状況が判断可能で、意思疎通やフロントローディングがスムーズに行えます。
また、3Dデータや設計、施工、メンテナンスに関わる情報をBIMやCIM管理することで生産性の向上が図れます。

 

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参考URL
*1 https://www.mlit.go.jp/tec/content/001362119.pdf
*2 https://www.mlit.go.jp/tec/content/001334795.pdf
*3 http://www.penta-ocean.co.jp/news/2020/200323.html
*4 http://www.penta-ocean.co.jp/news/2018/180327.html
*5 http://www.penta-ocean.co.jp/news/2020/200323.html
*6 http://www.penta-ocean.co.jp/news/2018/180123.html

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