iOS14.5から導入予定のトラッキングID追跡防止機能とは
GAFAと一言であらわしても、その企業の理念や考え方はさまざまです。
利用者のプライバシーについては、特に意見が分かれるところになります。
Appleでは、利用者のプライバシーを最大限尊重するような機能を次々と実装しています。
今回はその中でも「アプリのトラッキング防止機能」を紹介するので、参考にしてください。
①トラッキングやトラッキングID(IDFA)とは
②iOS 14のトラッキング追跡防止機能とは
③Appleの個人情報保護に関する対策
なお、本記事ではトラッキングの概要から紹介することで、Appleの実装する機能がよりわかりやすくなるようにしています。
用語解説もしているので、必要に応じて参考にしてください。
トラッキングとは*1
まずは、トラッキングの概要について紹介します。
利用者の行動を追跡すること
トラッキングとは、ユーザーの行動を追跡することです。
たとえば、Web記事を読んでいるときに、自分の興味・関心のある広告が表示されることはありませんか。
それは、トラッキングによって実現されているものです。
ブラウザではCookieによる追跡がある
Webサイト上で主流なのが、Cookie(クッキー)よるユーザーの行動追跡です。
クッキーによって、サイト運営者や広告事業者は、よりユーザーにクリックされやすい広告を表示することができるようになります。
そのほか、クッキーはWebサイトのログイン情報の記憶にも用いられています。
広告などで多く使われているのは、「サードパーティークッキー」と呼ばれ、Webサイトのログイン情報を保存しているCookieは、「ファーストパーティークッキー」と呼ばれることが多いようです。
最近では、サードパーティークッキーに注目が集まっており、廃止される動きが出ています。
そちらについては、以下の記事で詳しくまとめていますので、参考にしてください。
▶GoogleがChromeでサードパーティー Cookieのサポートを終了を発表!影響を詳しく解説
▶GoogleがサードパーティーCookieを廃止!何が変わるのか
アプリでも利用者の行動の追跡がされている現状
トラッキングは、Webサイト上だけで行われているわけではありません。
実は、アプリの中でもトラッキングが行われています。
Facebookなどに出てくる広告などは、アプリのトラッキング情報をもとに表示されているものです。
このように考えていくと、スマートフォンやパソコンで検索したりアプリで利用した情報は、さまざまな広告に活用されてたりしていることがわかります。
これを良いことと捉えるか、悪いことと捉えるかは企業やユーザーによって変わってくるでしょう。
少なくともAppleでは、トラッキングなどの個人情報を収集することについては否定的な考えを持っています。
それは、Appleの「プライバシー」ページから窺い知ることができます。
トラッキングIDとは
では、トラッキングIDとはどのようなものなのでしょうか?
トラッキングIDとは、それぞれのユーザーや端末に対して割り当てられているものを指します。
具体的には個人を特定できない無意味な文字列で識別されていることが多いようです。
とはいえ、無意味な文字列であるから安心だと考えるのはおすすめしません。
ありとあらゆる情報がトラッキングIDに記録されているとしたら、それはほとんど個人を特定できてしまう可能性があるからです。
Appleではトラッキング対策として、次に紹介する防止機能を追加する予定です。
iOS14.5から導入されるトラッキング追跡防止機能とは*1*2*3
続いて、トラッキング防止機能について紹介します。
アプリでトラッキングを行う場合、ユーザーの許可が必要になる
Appleの資料によれば、アプリ1つあたりにおおよそ6つのトラッカーがしかけられているそうです。
それにより、ユーザーの行動を逐一追跡しています。
個人情報保護の観点に立つと、勝手に追跡されるのは良いとはいえません。
そのため、Appleではトラッキングをユーザーの許可制にしようとしています。
アプリのダウンロード時などに、トラッカーを使用する場合にはユーザーの許可が必要となるのです。
拒否を選択すれば、アプリ提供者はトラッキングができない
ユーザーが許可をすれば、これまでと同じようにアプリ上での行動等をトラッカーで追跡することができます。
しかし、トラッキングを拒否した場合には、ユーザーの追跡ができなくなってしまうのです。
そのため、このAppleの体制にはFacebook等が反対を示していました。
すでにAppleは無断でトラッキングするアプリを却下し始めているとの報道も
Appleのアプリ内のトラッキング追跡防止機能は、まだ正式提供されていません。iOS 14.5の配信後から対応することになっていました。
しかし、アメリカのForbesによれば、追跡防止機能に対応していないアプリについて、アップデートが却下されているとのことです。
この件を踏まえると、近日中にiOSの14.5が配信される可能性が高いといえるでしょう。
Appleの個人情報保護に関する対策*1*2
Appleでは、プライバシーを基本的人権とし、デバイスで記録された利用情報は勝手に追跡されたり、共有されたりしてはならないことだとしています。
最近では、プライバシーという専門のページを設け、デバイスで得られた個人情報がどのように活用されているのか、透明性を高める試みをしています。
Safariにおける「サイト越えトラッキング防止機能」
トラッキングの防止は、WebブラウザのSafariからはじまりました。
Safariでは、トラッキング防止機能を備えており、サードパーティークッキーを拒否する機能が備わっています。
ツールバー上には「プライバシーレポート」という機能も搭載されており、何件のトラッキングをブロックしたのかも確認可能です。
この機能は、ポイントサイト経由で商品を購入するなど、アフィリエイトリンクを利用するサービスに影響しています。
もちろん、Safariの設定でサイト越えトラッキングをオフにすることも可能です。
カメラや位置情報使用中のアイコン表示
Appleでは、カメラやマイクなどを使用している際に、画面の右上に丸いマークを表示するようになりました。
それによって、今現在カメラやマイクが使われているのかが一目瞭然になったのです。
意図しない録音や録画がある場合には、アプリの設定から許可設定を見直すことで、対策をとれるようになりました。
◆まとめ
今回は、iOS14.5から導入予定のトラッキングID追跡防止機能について紹介しました。
Appleでは、「私たちの情報は私たちが握っているべきだ」という考えのもと、さまざまなセキュリティ向上対策をしています。
その一つが今回のアプリトラッキング防止機能です。
トラッキング防止により、利用した情報が意図しないところで利用されるのを防げます。
もちろん、トラッキングの全てが悪だとはいいきれません。
トラッキングがあることにより、より私たちにぴったりの情報が表示されたり、広告が表示されたりします。
とはいえ、自分たちの情報を渡すかどうかを決められる機能は、Appleだけでなく他社も導入するべきではないでしょうか。
そうすることで、透明性のあるサービスを提供できるようになるからです。
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◆参考URL
*1 プライバシー
*2 「あなたのデータの一日」を見る(PDF)
*3 Apple Rejecting Apps With Fingerprinting Enabled As iOS 14 Privacy Enforcement Starts