新しいMacBook AirとMac miniのリリースでMacのラインナップが完璧すぎて鼻血が出そう
先日Apple恒例の新製品発表会がありました。
「新製品発表会」と言えもはや純粋な新製品ではなく全て過去の製品のリニューアル版です。
MacBook Airは3年ぶり、Mac miniは4年ぶり、iPad Proは1年ぶりの新製品のリリースです。
その中でも今回は、MacBook AirとMac miniがいかに特別な製品か、と言うことをApple歴18年以上を誇る私(通称Apple信者)が出来るだけ客観的にを話ししたいと思います。
もう知らない人が多いかもしれませんがMacとはMacintoshの略です。(※高級オーディオメーカーはMclntosh、有名アパレルブランドはMackintoshでそれぞれ綴りが違います。)
Appleは 1970年代後半から80年代前半まで、世界初の一般消費者向けパソコン「AppleⅡ」を大ヒットさせたことでシリコンバレーのパソコンメーカーとして有名になりました。その勢いで会社を上場し、その創業者であるスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックは若くして億万長者となったのでした。
そのAppleⅡの後継機として、1984年に莫大な開発費とジョブズの並々ならぬ情熱と莫大な開発費(ついでに言うと宣伝費も)を注ぎ込み鳴り物入りで発売されたパーソナルコンピューターがMacintoshです。
初代MacintoshはAppleⅡのようにめちゃくちゃ売れた製品ではないのですが、いくつかの点で歴史的な製品として位置付けられています。
(1) 現在のパソコンでは当たり前となっているGUI(グラフィカルユーザーインターフェイス)とマウスを備えた最初のパソコンであること
(2) CMが非常に有名になったこと
(3) それ以後30年以上に渡りAppleの主力製品であり続けていること
パソコンの歴史上特に重要なことは(1)なのですが、ここでは(3)Appleの30年以上主力製品として生き残ったかを紐解くことで、MacBook AirとMac miniがいかに特別なMacであるかを説明していきたいと思います。
冒頭でお話した通り、今はMacintoshという名称は使われていません。Appleのパソコンはその総称を「Mac」と呼び、製品名には必ず「Mac」と言うワードが含まれています。
製品名に初めて正式に「Mac」という略称が入ったのは1997年に初登場した「iMac」からです。
当時、Appleは経営が悪化し倒産寸前でした。紆余曲折ありAppleにスティーブ・ジョブズが電撃復帰し、最初に発表したのがiMacです。
ご存知の通りiMacは大ヒットしました。
現在のAppleの隆盛はここから始まったと言っても過言ではありません。
iMacが素晴らしかったのは、一般消費者向け(つまりプロ向けではない)と割り切り、愛嬌のある筐体に本体とディスプレイを一体化したオールインワンモデルのパソコンを作ったことです。
もちろんその時ビルゲイツ率いるMicrosoftのWindows95が世界中を席巻しすでにパソコンの認知度は高かったのですが、実際にコンピューターを使いこなすにはそれなりのリテラシーが必要でした。
そこに誰でも簡単に使える(しかもなんだかオシャレなデザイン)と言うコンセプトで電撃的に登場し大ヒットしたのです。
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でもそのiMacはジョブズが思い描いていたビジョンのごく一部でしかありませんでした。
ジョブズはすでに製品ラインナップに関する明確なビジョンを持っていました。
ジョブズの思い描いていたビジョンとは
ユーザーを「一般消費者」と「プロ」、コンピューターの形態を「デスクトップ」と「ポータブル(ノートパソコン)」とすることで、
4つのカテゴリーに分け、それぞれで最高のコンピューターをリリースしていくというものでした。
(図はCAPA編集部が作成)
どれだけ正しかったかは20年経った現在のMacのラインナップを見れば一目瞭然です。完璧に実現しています。
一般消費者向けデスクトップ → iMac
一般消費者向けノート → MacBook(当初はiBook)
プロ向けデスクトップ → `Mac Pro(当初はPower Mac)
プロ向けノート → MacBook Pro(当初はPower Book)
ジョブズのビジョンが示した通り、Appleは全てのカテゴリーで完璧にMacをリリースし、そのどのカテゴリーでも製品を大ヒットさせました。
さて、この中に含まれていない製品があるのに気づいたと思います。
MacBook AirとMac miniです。
実は今回発表されたMacBook AirとMac miniは、ジョブズが示したビジョンに従うとカテゴライズが微妙な製品です。
MacBook Airは、今から10年前突如MacBookとMacBook Proの間のカテゴリーとしてリリースされた製品です。
CD・DVDドライブを排除することで本体が劇的に薄くなり、モバイル性が大幅に向上しましたが、CPUなどスペックが低く決してプロ向けではありませんでした。かと言って一般消費者向けのMacBookに比べるとかなり割高でした。
しかしそのミニマムに徹したコンセプトはデザインのスタイリッシュと相まって受け入れられ大ヒットモデルになりました。
大げさではなくその後の業界の標準モデルを作ったとも言えるほどの完成度の高さを誇ります。
Mac miniの初登場はMacBook Airよりさらに古く2005年と今から13年も前です。
Mac miniが興味深いのは当初からある意味「裏メニュー」のような扱いだったことです。
Mac miniの狙いは、Windowsユーザーからの乗り換えでした。iMacもMacBookも当時のWindows機からすると割高でした。そしてなんといっても最も高い障壁はOSを変更することでした。
そこで「すっと差し出される」のMac miniだったのです。
当時のリリースが残っています。
アップル、Mac miniを発表 2005年1月12日(Apple Newsroomより引用)
「58,590円から購入できるMac miniは、Mac OS XとiLifeを楽しむための最も身近な方法です。お手持ちのディスプレイとキーボードとマウスをつなぐだけで、驚くほどコンパクトなMacが多くの方にお求めやすい価格で手に入るようになるわけです。」と、アップルのCEO(最高経営責任者)、スティーブ・ジョブズは述べています。
要約すると「ディスプレイ、キーボード、マウスはそのままで本体だけ変更すれば君は簡単にMacを使える。しかもめちゃくちゃ安いよ」ということです。
価格はリリースされた時から、Mac製品の中で最安です。敢えて分類するなら一般消費者向けデスクトップといったところでしょうか。
今回最も驚いたのはこのMac miniのアップデートです。
筐体そのもののデザインは大きく変わりませんが見た目には重要な変更点があります。
それは筐体の色がスペースグレイカラーになっていることです。
Apple製品のスペースグレイカラーが意味していることはたった一つ。
「プロ向け」です。
Mac Pro、iMac Pro、MacBook ProとProと名のつくものは全て「黒い」のです。
つまり、ここに来てAppleはプロ向けのMac miniをリリースしたことになります。それはスペックを見ても明らかです。
(Appleホームページ 「Macのモデルを比較する」 より抜粋)
もはやMac Proのスペックさえも凌駕する勢いです。
つまり今回のMac miniの狙いは、プロの乗り換え需要の喚起です。それは現Macユーザーだけでなく、Windowsなど非Appleユーザーに届くでしょう。そしてMacの中で相変わらず最安製品です。
故スティーブジョブズが20年前に描いたビジョンに従った4つのカテゴリーの完璧なラインナップ、
そしてそのカテゴリーの隙間を埋めていくMacBook AirやMac mini。
Appleのマーケティング戦略は完璧を超えて超絶凄いと思います。
Apple信者の私は鼻血が出そうです。
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