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製造業を牽引するAGC株式会社 DX化 導入事例と成果はいかに?

AGC グループ(以下、AGC)は化学製品を取り扱っており、「ガラス」「電子」「化学品」「セラミックス」などの製造業で世界トップクラスの技術力をもとにグローバルに事業を展開している企業です。

今回は、そんな AGCのDX戦略やそれに伴う実績・成果について事例を踏まえてご紹介します。

目次:

① AGCグループの DX戦略

② AGCグループの DX化 導入事例 

③ AGCのDX化に伴う受賞実績

AGCグループのDX戦略

AGCのDX(デジタルトランスフォーメーション) の中心となっているのは2017年に経営企画本部内に立ち上げられたDX推進部で、「見える化(可視化)」「わかる化(効果実感)」「変わる化(変革)」の3ステップによるDXを推進しています。

DX化のための主な戦略は「デジタルに詳しい経営層」と「デジタルと業務の両方に精通した二刀流人材」によるトップダウン・ボトムアップ戦略です*1。

これはデジタル化していない業務に慣れ親しんだ社員を根本から解決していくためのデジタル業務普及のための戦略です。

トップダウンとして企業としての意志を決定する CEO、CFO、CTOの経営陣トップ3名はデジタル業務に長く携わり、自らの言葉で DX を語ることができる人財を据えています。

ボトムアップとしては、データサイエンティストの大量育成を行い、デジタルと業務の両方の側面でのエキスパート、いわゆる二刀流人財を育成し現場に分散して配置しました。

経営陣から内部まで、ゆくゆくは全社員へDX化への意識を広めることが目的で、AGCのDX化はデジタルに詳しい人だけが行うのではなく、企業として社員全体で取り組む活動であると掲げたのです。

AGCグループの DX化 導入事例

ここからはAGCのDX化の事例について例を挙げて解説します。

化学品プラントにデータ分析プラットフォームAlteryxを導入

ACGは、2021年5月よりAlteryx(アルテリックス)社のデータ分析プラットフォームAlteryxを導入しました*2。

導入以前は運転一括管理システム「CHOPIN(ショパン)」やプライベートLTEネットワークを導入することによりデータ収集を行っていましたが、収集したデータを集計するのは表計算ソフトで用いており、データの抽出や整理に膨大な時間がかかっていました。

Alteryxは直感的に操作しやすいUIや、さまざまなツールによりデータ処理を一つのプラットフォーム上で行うことができることが特徴のデータ分析プラットフォームです。

また、画面上でアイコンをつなぐだけで自動データ処理プログラムを構築することができることも特徴で、プログラミングの知識のない社員でも短期間の学習で業務データの分析を行うことが可能です。

これにより、データの統合・解析業務の効率が向上し、ITに詳しくない社員でもデジタル業務を行うことができるため二刀流人財を育成することにつながりました。

生産工程全体の最適化のため MotionBoard を導入

AGCは、ウイングアーク 1st 社のBIダッシュボードツールMotionBoard (モーションボード)を導入しました*3。

導入以前は、生産現場で当日に行うことや各指標などをさまざまな情報を集計データから抽出してホワイトボードに書き出すことで社員間で共有を行っていました。

データ抽出には時間がかかるうえ、手作業が多いため業務負荷も大きい作業となっていました。

MotionBoard は製造業に特化したダッシュボードの素材が用意されているため、ダッシュボード画面の構築が容易なことが特徴で、当日のレポートなども自動でデータ集計・作成できるBIツールです。

ダッシュボード画面構築の際は生産現場の管理者と綿密な打ち合わせを行い、表示するデータの取捨選択などを行い生産現場に合ったダッシュボード画面を構築したそうです。

これにより、生産現場にて情報共有にかかる手間は10分の1程まで減少し、現在の進捗と目標とすべき指標までをリアルタイムで共有できるようになり、業務効率化に成功しました。

現場担当用のデータ予測用に機械学習ツール Prediction One を導入

AGCは、Sony社のデータ予測分析ツール Prediction One (プレディクションワン)を導入しました*4。

Prediction Oneは操作がシンプルで扱いやすいUIが特徴の予測分析用の機械学習ツールです。

※予測分析とは、統計アルゴリズムや機械学習を用いて過去の実績から将来の結果を予測するデータ分析手法の1つです。
また、元データの加工が必要なく、予測・分析するデータ項目の選択もアプリケーション内で完結するためITに明るくない現場の担当者レベルの知識でもサポートなしで利用可能なことも特徴です。

Prediction Oneで社内で収集・精査したデータを予測分析して利用しています。

主に現場担当者が利用しており、10万行のデータを分析すると50分ほどかかりますが、精度は高く、予測分析結果の確認や、予測精度の評価と予測理由の確認できるため現場での生産性の向上に一役買っています。

AGCのDX化に伴う受賞実績

以上のような DX化によって AGCは製造業のDX化を牽引してきましたが、この章ではAGCのDX化による評価や大きな受賞実績などを解説します。

「DX銘柄2020」に選定

2020年8月25日に経済産業省が東京証券取引所と共同で選定している「DX銘柄2020」に選定されます*5。

AGCグループは素材製造業として開発や製造業のデジタル化を皮切りにし、後に営業や物流にもDX化の範囲を拡大していきました。また、AGC独自の「Data Science Plus」というデータサイエンティスト育成プログラムを確立し、デジタル人財の育成に力を注いだ点が評価され

「DX銘柄2020」にて35社の内の1社として選定されました。

受賞には主に以下の取り組みが評価されました。

・AI Q&Aシステム「匠KIBIT」の開発

・Coating on Demand

「DX注目企業2021」に選定

2021年6月7日に経済産業省が東京証券取引所と共同で選定している「DX注目企業2021」に選定されます*6。

こちらは、「DX銘柄」に選定されていない企業の中から、特に企業価値貢献部分において、注目されるべき取組を実施している企業について、DX注目企業として選定されています。

「Impress DX Awards 2019」エッジコンピューティング&デバイス部門 準グランプリに選定

AGC/NTTドコモ/エリクソン・ジャパンの共同研究で受賞しました*7。

受賞対象は「ガラス一体型5Gアンテナ」で選定理由は以下の通りです。

28GHz帯の5G通信では車室や建物内では電波が弱まる傾向があることを回避し、電波が弱まる前のガラス面での送受信を可能にした。DX推進において重要な役割を持つ5Gの活用範囲の拡大に寄与すると期待できる。

製品製造としても他企業のDXに貢献している企業であることが分かります。

まとめ

製造業のDX化を牽引しているAGC 株式会社ですが、本記事ではそんなAGC株式会社のDX化の戦略や導入実績、受賞実績をご紹介いたしました。

今回紹介した導入実績や導入ポイント戦略などを参考にし、自社ではどのようなアプローチが可能なのかを検討されてはみてはいかがでしょうか。

今後のAGCのDX化によるさらなる飛躍に目が離せません。

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参考:
*1 AGC「トップダウンと二刀流人財による ボトムアップが生む新たな価値 創業115年のメーカーを DXで変革するAGC」
https://www.agc.com/hub/pr/DX-kaihatsu.html
*2 AGC「化学品プラントにデータ分析プラットフォームAlteryxを導入」
https://www.agc.com/news/detail/1202207_2148.html
*3 wingarc1st 「AGC株式会社 化学品カンパニー 導入事例」
https://www.wingarc.com/product/usecase/426.html
*4 SONY Prediction One「導入事例 AGC株式会社」
https://predictionone.sony.biz/case/01agc/
*5 経済産業省「「DX銘柄2020」「DX注目企業2020」を選定しました」
https://www.meti.go.jp/press/2020/08/20200825001/20200825001.html
*6 経済産業省「「DX銘柄2021」「DX注目企業2021」を選定しました!
https://www.meti.go.jp/press/2021/06/20210607003/20210607003.html
*7 impress「Impress DX Awards 2019年度受賞者」
https://dx-awards.impress.co.jp/awards/index.html

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