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KDDI総研が開発した点群圧縮技術のリアルタイムエンコーダーに期待されること

3D技術への注目度は、XRのような視覚技術や、メタバース空間のような新しいマーケットの創出によって、ここ数年で急激に高まっています。3D業界を支える技術には、3Dをフル活用するサービスも必要ですが、3Dデータを正確かつ素早く生成する技術も不可欠です。

この記事では、そんな3Dデータの生成に活躍する、KDDI総合研究所が開発している点群圧縮技術について、最新の近況を解説します。

目次:

  1. KDDI総合研究所が開発したリアルタイムエンコーダーについて
  2. KDDI総合研究所の点群圧縮技術(PCC)とは
  3. モバイル回線に対応できることのメリット
  4. リアルタイムエンコーダーの開発から期待できること

KDDI総合研究所が開発したリアルタイムエンコーダーについて

2022年10月、KDDI総合研究所は自社で独自開発していた点群圧縮技術を、最新の国際標準方式「V-PCC」に対応したリアルタイムエンコーダーとして、世界で初めて開発に成功したことを発表しました*1。

リアルタイムエンコーダーは、現実世界のオブジェクトをリアルタイムで読み込み、デジタル情報に変換するツールです。3Dデータはとにかく容量が大きいため、リアルタイムでその情報を読み込む際はある程度のラグも発生するのが一般的でした。

しかしKDDI総研が開発した今回のリアルタイムエンコーダーは、データの品質を落とすことなく軽量な3Dデータを生成・圧縮し、インターネットを使って発信できる機構を備えているのです。

リアルタイムの3Dデータをテキストや映像、画像データと同じように運用できる技術は世界でも初めてであり、この技術の登場でさらなる3D技術の発展が期待されます。

KDDI総合研究所の点群圧縮技術(PCC)とは

KDDI総研はリアルタイムエンコーダーの開発で大きな注目を集めたのはもちろんですが、これまでも独自の点群圧縮技術の開発において、高く評価されている組織です。

点群圧縮技術は「PCC、Point Cloud Compressionとも呼ばれており、3Dの点群データをより小さいデータに圧縮するための技術です。人間の点群データはもちろん、大きな建物の点群データも圧縮ができるということから、3D活用の可能性を広げられるとして期待されてきました*2。

そもそも点群圧縮技術の開発の背景にあったのが、大きすぎる点群データの容量です。3Dモデル活用において、点群データはその骨格とも言える役割から必要不可欠とされていますが、データサイズが大きく、柔軟な運用が阻害されてきました。

データサイズが大きいことは、データの読み込みが遅くなってしまうこともさることながら、モバイルデバイスでの運用や、モバイル回線を使った運用が妨げられてしまうのが課題です。

建設DXや製造DXはモバイルデバイスの活用がカギとも言われる一方、肝心のデータが重いとなると、モバイルデバイスで満足のいくパフォーマンスが得られないのです。

そこで開発されているのが、KDDI総研の点群圧縮技術です。同社では点群圧縮技術を用いて、すでに元の点群データのおよそ1/40にまでサイズを圧縮することに成功しており、3Dデータ活用の裾野を広げられると期待されてきました。

モバイル回線に対応できることのメリット

点群データの圧縮においては成果を残していたKDDI総研ですが、今回のリアルタイムエンコーダーの開発により、ついにデータの伝送においても成果を残すことが実現しました。

リアルタイムエンコーダーの開発によってもたらされた最大のメリットは、やはりモバイル回線で圧縮された点群データをやりとりできるようになったことで、さまざまな技術的可能性が広がったことにあります。

今回開発されたリアルタイムエンコーダーのメリットは、元の点群データの品質を落とすことなく、圧縮して簡単に伝送・展開ができる点です。

これまでモバイル回線を使って3Dデータを活用する場合、ややテクスチャの品質を落として運用したり、軽量な形式に変換して運用したりする必要がありました。この場合元のデータの臨場感やディテールを伝えることが難しく、訴求力を高めたりコミュニケーションを円滑にしたりする上で問題が生まれていたのです。

そこで誕生したのが、KDDI総研によるリアルタイムエンコーダーです。モバイル回線でも難なく送受信が可能になったことで、遠隔のイベントスペースにおける美麗な3Dモデルの投影や、大規模なプレゼンテーション、全国各地での3Dを使った顧客への案内など、幅広い用途での運用が実現します。

通常のインターネット回線でできることを、通信量に制限のあるモバイル回線でも実現できるよう促すことで、通信コストを抑えたデータ活用を推進できます。

リアルタイムエンコーダーの開発から期待できること

リアルタイムエンコーダーの開発で最も期待されるのは、今後の3Dデータ活用がさらに進化を遂げる可能性が拓けた点です。これまで、3D技術は将来性の高い技術として注目されてきた一方、モバイル回線のキャパシティなど、インフラ面の技術革新が追いついていないことが足を引っ張ると考えられてきました。

そのため、近年は光回線の普及や、5G規格のような新しいモバイル回線の開通も進んでいますが、全国に浸透するにはまだ時間もお金もかかります。

そこで今回KDDI総研が成し遂げたのは、データそのもののサイズを小さくして送信する技術の開発です。回線のキャパシティが少なくとも、データサイズが小さければ難なく送受信できるため、インフラ環境の革新が進まずとも、3D活用の道が拓けていくというわけです。

3D点群データの圧縮技術がすごいのはもちろんですが、今後はこういったデータを圧縮して送信するための技術にも関心が高まり、新しい圧縮方法の模索が進むことも考えられるでしょう。

まとめ

この記事では、KDDI総合研究所が開発した点群圧縮技術や、リアルタイムエンコーダーについて解説しました。

巨大な3Dデータを効果的に運用するためには、回線環境の改善はもちろんですが、そもそも大きすぎるデータサイズをなんとかしなければならない問題もあります。

そこでKDDI総研が開発したのは、従来よりもはるかに小さいサイズに3Dデータを圧縮できる技術と、それを送信する技術です。これらの技術を併用することで、より広い領域で3Dが活躍することが期待できます。

今後も通信環境やデータサイズの整備が進めば、より多くの現場で3Dを使ったDXが見られるようになるかもしれません。

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参考:
*1 ケータイWatch「KDDI総研、モバイル回線にも耐えられる3Dデータ圧縮用リアルタイムエンコーダーを開発」
https://k-tai.watch.impress.co.jp/docs/news/1449996.html

*2 BUZZAP!「人物や建物の3Dデータが約1/40に、KDDI総合研究所の「点群圧縮技術(PCC)」がすごい」
https://buzzap.jp/news/20220525-kddi-research-pcc-wirelessjapan2022/

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