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SONY(ソニー)が求める製造業としてのDX化 事例を解説

SONYグループ(以下、ソニーグループ)はご存じの通り家電製品の製造からエンタメ、銀行の運営など多様な事業を展開しており、10億人以上の顧客を抱えている世界的大企業です。そんなソニーグループの製造に関わるDX(デジタル・トランスフォーメーション)の戦略や導入事例について、ご紹介します。

この記事では以下の内容について解説をしています。

・ソニーグループのDX戦略について概要

・ソニーグループのDX戦略システム導入事例

・ソニーグループが提供しているDX化に利用されているツール

5分ほどで読み終わりますのでぜひ最後まで読んでいってください。

ソニーグループのDX戦略とは?

ソニーグループはDXをグループ企業全体を成長させ、顧客との接点を広げるための手段の1つとして考えています。これらは GAFA などの大手プラットフォーマーとは異なり、ソニーグループがこれまで培ってきたポートフォリオを軸に進めていく予定です。また、製品売買の際のマインドセットとして「より多く買ってほしい」から「より長く使ってほしい」にシフトを行うとソニーグループの常務CDO 小寺 剛 氏は語っています。*1

上記から読み取れることは、GAFA などとは違う独自の手段を用いるという点と、DXにより企業成長の1手を指す事を目標としてるという点です。

実際に、ソニーグループでは以下の4層構造のフレームワークを作りそれぞれの層で行うことを明確にしています。また、取りまとめとしてDX戦略コミッティを設立してDX戦略を進行しています。

【DX化へ向けた4層のフレームワーク】

・戦略層

・組織層

・人材層

・IT層

なお、DX化に伴い、情報基盤として全社の情報を集約するプラットフォーム「Sony Data Ocean」を構築し、知的財産を含め全ての情報を社内で共有・活用できるような体制を固めました。(※「Sony Data Ocean」の詳細については次章にて解説しています。)

それではどのようなソフトウエアやハードウエアを取り入れ、DXを進めているのか、ソニーグループの製造業で事例を挙げて解説していきます。

ソニーグループのDX戦略 導入事例と経緯とは?

この章ではDX戦略の導入事例と経緯について詳細に解説していきます。

全社情報基盤として「Sony Data Ocean」を構築

先の章で軽く触れましたが、DX化の要である、情報基盤としてソニーグループの情報を集約するため「Sony Data Ocean」を構築しています。

これまでソニーグループのDX化ではデジタルを用いた業務効率化や、技術高度化がメインでした。これに対して、Sony Data Ocean は新規で構築した社内データ 一元管理用のデータベース機能を持ったプラットフォームとなっております。

こちらには顧客情報や企業ノウハウ、製品製造のテストデータなどソニーグループで収集する全てのデータが集約されています。集約されたデータの分析を行うことで、新規のサービスやコンテンツを作成し、顧客に還元するサイクルを組んだのです。

Sony Data Ocean を用いることで製造業の業務内容も大きく変わりました。

製造ラインは、主にAIとRPAにより業務を組み立て実行する流れに変更したため、業務プロセスの再設計が必要になりました。

現在、既にエレクトロニクス領域では、RPAでデータを収集、収集したデータからAIが販売予測を行い、製造販売業務の指標を決めるというような流れで業務を進行しています。

このまま他業種にも半自動の波を広げていき、オペレーションの効率化が進めば2022年度中には36万時間分の作業時間削減につながるという見込みデータもあるようです。*2

データ活用プラットフォーム「iQuattro®」を導入

「Sony Data Ocean」と同じく情報基盤整理のため、NTT DATE社の「iQuattro®」を導入しました。*3

これは2011年に当時製造工場があったタイで洪水が発生したことで需給ひっ迫が引き起こされた経験より、各部署・各事業所でのスムーズな連携が必要であるとして導入されました。

iQuattro はデータ活用プラットフォームとしてさまざまなツールを利用できます。(データ管理機能・ポータル機能・ダッシュボード機能など)これにより部品の製造状況の確認やボトルネックの可視化などサプライチェーンを一括で管理することができます。各ステークホルダーは一元化された情報をリアルタイムに確認できるようになるため、需給ひっ迫などの問題の芽を事前に摘み取ることができるようになりました。

ソニーグループが提供しているDX化 ツール

この章ではソニーグループが提供しているDX化に利用できるツールについて解説していきます。

Microsoft社と提携「LinkBuds」を利用したハンズフリーコミュニケーションの実現

こちらは2022年4月より病院での実証実験を行っている開発中のサービスの紹介です。

自社製品であるワイヤレヘッドセット「LinkBuds」を利用し、Microsoft社の「Azure Communication Service」と「Chatbot」を活用したコミュニケーションサービスとして実証実験を行っています。

まだ開発段階のため現在は提供されてはいないシステムとなっております。(※2022年5月30日現在)

ワイヤレスヘッドセットを用いることで、目と手をふさがないコミュニケーションが可能になるとして、医療現場や建築現場などの視覚や聴覚を重視する業種に向けて導入を想定しているようです。

機能の詳細として、主に以下3点の機能を想定して実証実験を行っています。

・LinkBuds により頭の向きを検知し、その向きに合わせてナビゲーションを行う機能。

・現場作業においてスタッフとのコミュニケーション精度の向上

・自然なハンズフリーコミュニケーションの機能。

現在は医療業界から実証実験を進めておりますが、今後の発表に期待が膨らみます。

AIによるデータ予測分析ソフト「Prediction One」

「Prediction One」は、データのアップロードで手軽に高度な予測分析を自動的に実行できるソフトウエアです。*5

予測分析とは現在および過去のデータを分析して、未来のデータ推移やイベントについて予測を行う事を意味します。

Prediction One は、プログラミング知識が不要なため、専門の知識を必要とせず数クリックで予測分析ができます。また、そのままビジネスに活用できるというメリットがあります。

専門家の方の場合は、予測モデルの構築作業が飛躍的に効率化できます。

なお、予測分析の際は理由の解説も併せて算出されるため、何を根拠にこの予測を行ったのか明確に確認できることがポイントです。

利用例を挙げると、製造業の月間製造数の指標を決める際などに製造・売上数値のデータから予測分析を行い、予測売上数を出すことなどができます。

まとめ

これまでソニーグループのDX戦略と導入事例、提供しているシステムを解説してきました。データの一元管理はどの分野の企業でも成果が出るポイントです。多様な事業を展開し世界的に活躍しているソニーグループが行っているDX戦略の手法をぜひ取り入れてみてください。また、今回ご紹介したソニーグループが提供しているシステムについては、すでに日本大手企業で導入・実験されているシステムとなっております。データの予測分析やハンズフリーコミュニケーションは導入することで効果のある企業も多いため併せて検討してみてはいかがでしょうか。

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■参考サイト
*1:日経XTECH「CDOが明かす「ソニーDX」の全貌、デジタル生かし10億人とつながる」
https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/01915/011800004/
*2:Deloitte デロイト トーマツ「第3回「dX Leaders Summit」開催レポート ”DX, What’s Next?”」
https://www2.deloitte.com/jp/ja/blog/events/2022/dx-leaders-summit-2021.html
*3:NTT DATE「「最速の意思決定」に挑戦! ~サプライチェーンのデータ可視化で、需給管理をデジタル化~」
https://www.nttdata.com/jp/ja/data-insight/2022/0323/
*4:MONOist「進む製造業のDX、ソニー、リコー、コマツ産機、旭化成の取り組み」
https://monoist.itmedia.co.jp/mn/articles/2203/16/news108_2.html
*5:SONY「Prediction One」
https://predictionone.sony.biz/

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