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GoogleのAI「Minerva」とは?関数も解ける賢い技術をご紹介

GoogleのAIの1つであるMinerva(ミネルバ)が、数学の関数問題を解いたとしてTwitterで話題になりました。膨大な計算をミスなくこなすイメージが強いAIですが、実は文章を含むような複雑な問題は得意ではありません。

この記事では、Minervaの概要が解いた数学問題の詳細、Googleが掲げるAIの民主化について解説します。

 この記事を読むと、以下の3つのことがわかります。

1.GoogleのAI「Minerva」とは何か
2.MinervaがなぜTwitterで注目されたのか
3.Googleが目指すAIの民主化について

Googleの「Minerva」がついに複雑な数学を解いた!

数学や物理といった定量的な問題を解くことのできるGoogleの「Minerva」が、三角関数の問題も解けたとしてTwitterで話題になりました。進化するAIに、「学校の課題をAIに解かせる日が近づいた!」と歓喜の声が上がっています。

MinervaとはGoogleのAIの1つである

MinervaとはGoogleが開発を進めるAIの1つで、Pathways Language Model(以下:PaLM)というAIをベースに生み出されました。

まずはMinervaの基本となっているPaLMというAIから見ていきましょう。

Googleは2022年4月、巨大言語モデルであるPaLMを発表しました。Webページや書籍など約8000億もの単語からなる文章を学習した巨大言語モデルで、社会常識に答える・プログラムのソースコードを生成するといった言語処理に長けている点が特徴です。(※1)

PaLMはGoogleが「次世代アーキテクチャ」とも呼ぶもので、既存のAIのように膨大な情報を勉強させるようなトレーニングが不要になっています。少ないデータで学ぶため効率的に訓練ができ、さらに省エネというメリットもあります。

例えば、航空写真から標高を予測するよう学習したAIモデルで洪水が起きた際の水流を予測する、といった高度なデータ処理が可能なのです。1つのモデルの訓練だけで種類が異なる複数のタスクをこなせるようになるということで、汎用AIの実現を大いに期待させます。

今回話題になったMinervaは、このPaLMと同じ機械学習モデルを備えています。MinervaはPaLMのように一般常識を中心とする膨大な文章だけでなく、数式が含まれるWebページなどから100GBを超える文章を学習したことで、数式への理解を深めている点が特徴です。(※1)

Pathwaysについては、進化したAI「Google Pathways」とは!?の記事で詳しく解説しておりますので、ぜひご参照ください。

文章を含む関数を解いた

MinervaとはGoogleが手掛けるAIの1つで、今回話題になったような数学や物理といった定量的推論を解くことができます。

AIといえば人間では到底不可能な膨大な計算処理ができるというイメージが強いものですが、実は数学や物理といった問題は得意ではありません。

その理由は、問題文に文章と複雑な数式が含まれているためです。内容の解釈が難しく、十分な回答文を生成するまでの能力は備えていませんでした。

だからこそ、文章と数式が混ざった複雑な三角関数を解いたことが話題になっているのです。このMinervaというAIの進化により、さらに優れた技術が私たちの生活をよりよくしてくれるかもしれません。

AIは人らしい計算間違いもする

AIや機械学習といえばヒューマンエラーがなく、どんな複雑な問題も間違えないというイメージがあります。しかし数学や物理といった問題においては抜群の正解率を誇る……というわけではありません。

Minervaは数式データを学習していますが、その方法は数式を含んだ自然言語によるものです。

自然言語とは日本語やフランス語、英語といった私たち人間が普段話したり書いたりした文章のことで、書き間違えや表現のブレといった曖昧性があります。自然言語の反対語はプログラミング言語で、「1+1=2」のような答えが1つしか存在しません。

Minervaは人間が使う自然言語で学習しているので、人間と同じく言い間違えたり解釈を間違えたりすることがあるのです。ヒューマンエラーのリスクもあり、ロボットのようにいついかなる時でも正確な回答を出さないところがより人間らしいと評価されています。

まずPaLMの場合、米国の高校レベルの数学問題である「MATHデータセット」の正答率は8.8%と10%にも達していません。しかしこれはAIのレベルが低いというわけではなく、それほど数学問題を解くことはAIにも困難なのです。別のAIにおけるMATHデータセットの正答率は6.9%であり、PaLMやMinervaの正答率は決して低くはありません。

そして今回話題になったMinervaはというと、MATHデータセットの回答率は50.3%と飛躍的に向上しています。(※2)他のAIと比べるとその回答率の高さは歴然です。

宿題代行も?令和の教育とAIの今後

今回、Minervaが三角関数の正解を導き出したことで「宿題をAIに丸投げできる日が来るかもしれない」と期待する声も上がっていました。

AIがどんどん賢くなり数学・物理といった問題も解けるようになれば、子どもたちが「宿題やらせよう」という考えに至るのは無理もないでしょう。そうなれば、当然気になることといえば「本人たちの学力低下」です。 

親や教育者、中国においては国までも巻き込んで、教育におけるAIの付き合い方が課題となっています。

AIに宿題をやらせる子どもたちが増えている

Alexaをはじめ各家庭にAIスピーカーが浸透しています。「音楽をかけて」「クイズを出して」など日々サービスの幅が広がっていますが、最近では子どもが「10+28は?」といった計算問題をAIスピーカーに解かせることが増えているようです。

またスマートスピーカーに限らず、AIを搭載したタブレットなども活用できるようになり、小中学生は宿題やわからない問題をAIに解いてもらうケースがあるようです。

もちろん自力で解くわけではないので、子どもの学力向上にはつながりません。昔では考えつかなかったような技術の登場に、私たち親世代もAIとの付き合い方を問われています。

Minervaのように三角関数まで解けるように進化した今、受験やテストでAIを悪用する事例が出てしまうのも時間の問題と言わざるを得ません。

中国では宿題で「AI禁止」の法律を制定

2021年9月、中国では子どもたちの宿題について、AIの学習アプリにやらせることを禁止としました。(※3)

具体的に禁止となったのは「拍照捜題」という分野のもので、写真を撮るとAIが回答や解説を表示するというMinervaと大変よく似たサービスです。

このサービスは本来、親が宿題を教える目的で作られました。しかしいつの間にか子どもたちに見つかり、アプリを勝手に使われたことで宿題をAIにやらせる子どもが増えたと考えられています。

日本ではすでにGIGAスクール構想の一環として「AIドリル」が登場しています。自動で丸つけをするなど親の負担減や教育コストの削減に寄与していますが、もしかしたら今後、中国のような事例が起きるリスクも考えられます。

親や国は、子どもの教育を正しくサポートするAIの付き合い方についてよく考えなければいけません。

「AIの民主化」に力を入れているGoogle

広告ビジネスのイメージが強いGoogleですが、その一方でMinervaのようなAIの開発にも力を入れています。過去にGoogleはAIの活用について、AIの民主化を目指していることを明言しました。(※4)

GoogleはAIの民主化を進めるために、具体的な方針として以下4つの民主化を進めていくと宣言しています。

1.計算能力(コンピュート)の民主化
2. アルゴリズムの民主化
3.データの民主化
4.才能(タレント)の民主化

AIの最先端を進むGoogleは、計算能力やアルゴリズムといった自社のAI実現に必要な能力まで積極的に公開していくとしているのです。

すでに画像認識や動画分析、音声認識といった複数のサービスでAIを提供しているGoogle。今回三角関数を解いたMinervaなど、その勢いはとどまるところを知りません。

私たちの暮らしをよりよくしてくれるAIですが、その一方で私たち自身が付き合い方を考えたり、国が法整備を進めたりといった対応も重要となっています。あらゆる産業で活用が進むAIは、世界中を巻き込んで進化していくのでしょう。

今後もMinervaのようなAIがどのように進化していくか、注目していきたいところです。

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参照サイト:
※1 https://xtech.nikkei.com/atcl/nxt/column/18/00692/070600084/
※2 https://otona-life.com/2022/08/31/133671/
※3 https://www.zaikei.co.jp/article/20210918/639454.html
※4 https://www.ctc-g.co.jp/bestengine/article/2019/0214a.html

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