「D’s BIM」に見る大和ハウスのBIM運用の目的と手段


15年近くBIM運用に取り組んできた大和ハウスでは、業界の中でも優れたBIMに対する見識の深さと、卓越したBIM運用のビジョンを持ち合わせています。

2019年に発表した次世代の建築ビジョンである「D’s BIM」は、顧客と会社双方に利益をもたらすロードマップを明瞭に描いており、注目が集まっています。

①取り扱い物件のBIM化を目指す「D’s BIM」
②2020年には全物件のBIM移行の目標も
③顧客と従業員の満足の両立に取り組む

大和ハウスの「D’s BIM」とは

大和ハウスは、2019年3月に行った業界向けの勉強会にて、「D’s BIM」と呼ばれる建築イノベーションプロジェクトを発表しました*1。

目標は「全ての物件のBIM化」

2006年よりBIMの運用を進めてきた大和ハウスでは、BIMを同社の成長戦略において大きな役割を果たすと認識しており、その比重を今後さらに大きくしていくことをビジョンとして語っています。

中でもセンセーショナルな発言として目立ったのが、「2020年に全物件のBIM移行を目指す」というものでした。

低層集合住宅と建築系建物、戸建て住宅における100%のBIM化をまずは目指し、その後高層住宅や木造建築にもBIMを展開させるプロジェクトです。2、すでに計画は進行し、2018年度には71件、2019年度以降は20億円以上の物件にBIMを導入しており、2020年以降は完全なBIM化を前提に展開されています3。

大和ハウスはBIMプロジェクト当初より運用を進めてきたAutodesk(オートデスク)社のBIMソフト「Revit(レヴィット)」を引き続き採用することを決めています加えて2019年にAutodeskとのパートナーシップ契約を締結したことで、本腰を入れてBIM化を進めていくことが予想されます。

D’s BIMがもたらしてくれるもの

D’s BIMによる物件のBIM化によって、大和ハウスは「文化・人・物・絆」
という4つの価値を創出することをビジョンに掲げています。

新しい企業文化の創出により、次世代の働き方を従業員、そして社会に届け、そこから新しい文化を生み出すこと。BIMありきの業務を自在にこなすことのできる人財を育成し、社会へと創出していくこと。Revitという共通言語を使って、部署や企業を越えた共同体の中で物づくりを進めること。そしてD’s BIMを産官学民に開かれたオープンイノベーションとしての運用を行うことで、建設業階の底上げと、社会との絆の構築を促していくとしています*4。

こういったビジョンに基づいて、もう少しシンプルにD’s BIMのメリットに注目してみると、顧客満足度の向上と働き方改革という二つの要素が見えてきます。

D’s BIMによる顧客満足度の向上プロセス

D’s BIMによって実現する顧客満足度の向上は、どのようなプロセスが含まれているのでしょうか。

見える化・高品質化の実践

一つは、BIMによるデータの見える化の実践です。これまで、クライアントに提供する物件は、あくまでイメージとなる3DCGを画像で届け、図面を渡しておおよその空間の感覚を掴んでもらうだけにとどまっていました。

しかしBIMデータの活用によって、実寸通りの物件の3Dイメージをディスプレイで自由に閲覧してもらうことがかのうになりました。またVR機器を用いて仮想的に実寸大の物件を肌で体験してもらうことで、実際に完成する予定の建物をしっかりと事前に確かめてもらうこともできます。

これにより、顧客に感覚的な理解を提供し、意思決定をスムーズに行ってもらうことで、建物の仕様決定、施工スケジュールの早期化も可能になるでしょう。さらなる顧客満足に努めることができるというわけです。

また、BIMデータによって情報の一元管理が進み、業務効率が向上するとともに、整合性の高い設計が行えることで、質の高い施工が実現します。

設計から施工に至るまで、一元的にBIMデータによる正確な情報が社内や現場で共有されるだけでなく、クライアントにも提供することで改善を進めていくというプランになっています。

安全で安心な維持管理サービスの提供

BIMを用いた施工管理は、竣工後にもメリットをもたらします。一元的に設計、建設が行われたことで、物件の維持管理にも同じ情報を利用することができ、確認漏れのない高いパフォーマンスの安全管理が容易に可能になります。

大和ハウスは全物件にBIMを活用することで、施工を合理的に改革するだけでなく、その後の維持管理の改善も視野に入れています。

新しい技術を伴うプロジェクトには常に未知のリスクも伴いますが、D’s BIMに関してはその心配もなさそうです。

D’s BIMによる働き方改革プロセス

D’s BIMは顧客満足の工場だけでなく、働き方改革の実践により、従業員満足度の向上にも努めます。

ICTの積極的な活用

BIMの積極的な活用によってICT(情報通信技術)の運用を活性化させ、従来の業務をアップデートは、新しい労働力の確保につながります。

建設業界は、労働人口の減少のあおりを最も受ける業界の一つですが、同時にそれをカバーするための技術も進化しています。

BIMデータの運用を起点に、AIやロボットの開発・導入を加速させ、労働者不足を改善。そして従業員一人当たりの負担を最小化していくことで、働きやすい環境を構築していくのが、ダイワハウスの目的です。

生産性向上による仕事効率化

あるいは、生産性の向上を促すという意味でも、BIMは大きな役割を果たします。

設計から竣工まで、3Dモデルや設計図を各業務ごとに作り直す必要はありません。設計段階から終始同じデータを使いまわすことが可能になるため、中間に発生するコストを大幅に削減できます。

クラウド活用による情報共有・管理の一元化

BIMデータの共有はクラウドを通じて行われるため、情報共有のコストも大幅に削減されます。

手持ちのスマホやタブレット、ラップトップなどで気軽にデータを閲覧・編集できるため、いつでもどこでも修正作業を行うことが可能です。また逐一の確認作業をその場で行えるため、ケアレスミスの低下や確認作業にかかる負担を軽減することができます。

おわりに

このように、大和ハウスではBIMのメリットに注目し、D’s BIMという単一の取り組みの中で、顧客と従業員の両方を満足させるプロジェクトを展開しています。

BIMはまだまだ新しい技術ではありますが、クラウド上での認可申請が可能になるなど、制度上の改善も進んでおり、確実に運用が簡単になりつつある社会になってきています。

大和ハウスの取り組みから、BIM運用の進めかたについて学べることも多いでしょう。

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鹿島建設の生産性向上施策|BIMを使ったロボットの遠隔管理を解説

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出典:
*1 BUILT「大和ハウスの「D’s BIM」顧客満足度と働き方改革で、2020年に“全物件のBIM移行”を目指す」
https://built.itmedia.co.jp/bt/articles/1903/25/news052.html

*2 大和ハウス「建築イノベーション「D’s BIM」始まる」
https://www.daiwahouse.com/innovation/soh/vol11/

*3 *1の2ページ目

*4 *2に同じ。

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