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Googleの独自SoC「Tensor」とは?期待される強みや機能について解説

Googleは独自のWebサービスやソフトウェア、クラウド技術などを強みとする、世界最大のIT企業ですが、近年はハードウェア開発にも注力し、成果を収めてきました。最近の活躍の中で注目を集めたのが、同社が独自に開発したSoCの「Tensor」で、他の製品にはない強みや同社のスマートフォンとの相性の良さから、広く普及することが期待されています。

この記事では、そんなGoogleの独自SoCであるGoogle Tensorの概要や、具体的な機能、搭載されているデバイスについて、紹介します。

目次:

  1. Google Tensorとは
  2. Tensor Processing Unit(TPU)との違い
  3. Google Tensorの特徴
  4. Google Tensorを搭載する「Pixel 6」について
  5. まとめ

Google Tensorとは

Google Tensorは、Googleが独自に開発した初めてのSoCです。SoCはSystem on a Chipの略称で、コンピュータの運用には欠かせない半導体を小さなチップに集積したものです。

これまで同社のスマホでは他社が開発したSoCを採用し、中身の開発をGoogleが行うという手段を選んでいました。しかし独自にSoCを開発したことで、より自社サービスと親和性に優れたハード開発に着手できるようになったというわけです。

Tensor Processing Unit(TPU)との違い

「Tensor」という名前のついた製品については、これまでも同社が複数取り扱ってきた経緯もあるため、混同してしまっているユーザーも少なくありません。Googleが扱っている「Tensor」という名前のついたプロセッサとしては、Tensor Processing Unit(TPU)が挙げられます。

TPUもGoogleが独自に開発した処理チップですが、こちらは機械学習を想定した処理チップです。一方で今回発表されたTensorは、Google独自のスマホ「Pixel」シリーズに搭載することを想定した製品であるため、その用途は大きく異なります。

他にも、Googleは「Tensor Flow」と呼ばれる、AI開発に特化したフレームワークの提供も行なっています。今後AIやスマホなどのハイテク機器やサービスに、Tensorという名前が引き続き用いられることも考えられるため、それぞれの役割の違いを理解しておくことが大切です。

Google Tensorの特徴

Androidの公式サイトでは、Google Tensorの特徴として以下の5つを紹介しています*1。

高いパフォーマンスを発揮する

Tensorは、従来のSoCと比較しても見劣りしない、高い機能性が最大の特徴です。CPUは合計で8つ、GPUに至っては20ものコアが採用されており、スマホとは思えないようなパフォーマンスを発揮します。

従来モデルのチップセットであるSnapdragon 765Gを搭載したデバイスと比較して、Tensor搭載のデバイスはCPUパフォーマンスが最大 80%、GPUパフォーマンスは最大370%の改善が見られるなど、大幅な性能の向上が行われました*2。

それでいて消費電力は従来のモデルよりも抑えられているなど、まさに次世代チップセットの名に恥じないスペックを備えたモデルと言えるでしょう。

カメラ性能の向上に貢献する

Tensorはスマホ本体の性能向上はもちろんですが、カメラ機能の性能改善にも貢献するのが特徴です。従来の問題点とされてきたのが動画撮影時の画質で、多くのスマホカメラは静止画同様のクオリティを動画では担保できないケースが一般的でした。

しかしTensorにおいてはこの点の改善が進み、新たに開発されたアルゴリズム「HDRnet」の搭載によって、動画でも静止画でも変わらない画質を実現しました。他にも顔ブレの低減機能や動的な被写体に独自の効果を加える専用モードなど、多くの新機能を搭載しています。

高度な音声認識を実現する

TensorはGoogleが提供する音声認識システムを、高いレベルで提供するサポートに活躍します。音声の聞き取りクオリティが高まったことで、最大で指を使った入力よりも3倍も早い速度でテキストを入力することができるなど、新しいスマホの使い方を実現可能です*3。

ただテキストを書き起こすだけでなく、文脈から句読点の挿入を予測して行なったり、文章の削除や絵文字の挿入にも使えるなど、高い柔軟性を備えます。運用はハードウェア上で行えるので、オフライン環境でも常に高いクオリティを発揮できるのも強みです。

質の高い翻訳に貢献する

Googleといえば独自の翻訳サービスの提供でもお馴染みですが、Tensor搭載のデバイスを用いることで、ハイクオリティな翻訳を行えます。

メッセージアプリを使っている最中の翻訳や、視聴中の動画の翻訳などを、独自に実行可能です。映像に字幕が載っていないコンテンツも、簡単に翻訳して楽しむことができます。

また、カメラを使って読み込んだ画像に含まれる言語も、読み取り機能を使って翻訳を行えます。海外の標識の意味やメニュー表を読み取る上で、欠かせない機能となるでしょう。

セキュアな環境を確保できる

高度な情報活用を実現するTensorですが、セキュリティの面でも優れた側面を有しています。セキュリティコプロセッサの「Titan M2」と連携することにより、デバイスに保存されている写真や動画、連絡先などの個人情報を、流出リスクから遠ざけることが可能です。

プライベートでの利用はもちろん、ビジネスフォンとしての活用にも期待が持てる、汎用性の高いスマホ活用を促します。

Google Tensorを搭載する「Pixel 6」について

そんなGoogle Tensorを搭載しているデバイスとして、初めて世に送り出されたのが人気スマホシリーズの「Pixel 6」です。

Pixel 6は2022年10月に発売を開始したGoogleのスマートフォンで、価格は600ドルに満たないという、高いコストパフォーマンスが話題を呼びました。iPhoneはその倍の価格で販売されることが一般的であるため、それと同程度の機能を発揮するスマホを安価で買えることは、強力なアドバンテージとなります。

Tensorを搭載した初めてのスマホということで話題となったPixel 6ですが、最大の強みはGoogle謹製のAIを理想的な形で運用できる点です。高精度な音声認識機能や翻訳がスマホで簡単に利用できるようになったため、実用性の面で高い評価を得ています。

これまでは安価だが性能は今一つとされることも少なくなかったPixelシリーズですが、Tensorの搭載により、新しい付加価値の提供が今後ますます加速していくでしょう。

まとめ

この記事では、Google初の独自SoCであるTensorの概要や、具体的な機能性について解説しました。TensorはGoogle Pixelシリーズ向けに開発されたチップセットで、GoogleのAI活用を後押ししてくれる、強力なユニットに仕上がっています。

今後もTensor搭載のスマホが次々に登場することが予想され、価格もリーズナブルであるため、実用性重視の方にとっては魅力的なデバイスとなるはずです。

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参考:
*1 Android「Google Tensor とは?性能や魅力をわかりやすく解説」
https://www.android.com/intl/ja_jp/articles/125/

*2 上に同じ

*3 上に同じ

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